自衛隊の第一線における救護能力の向上について

自衛隊の第一線における救護能力の向上について
平成28年9月
検討の経緯、部外有識者検討会の報告書について
○ 自衛隊の第一線における救護能力の向上の検討の経緯
・ 防衛大綱及び中期防において、事態対処時における救命救急措置に係る検討を行い、
第一線の救護能力の向上を図るとされたことを受け、米軍等における取り組みを踏まえつつ、
部外有識者による検討会(※)を全6回実施し、今般、報告書を取りまとめ。
※ 防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会
○ 米軍等における第一線救護の取り組み
・ 近年、米軍は標準化された戦傷救護方法(TCCCガイドライン)を策定
・ TCCCガイドラインを導入した部隊では、イラク・アフガンでの任務に
おいて救命率が向上したとの報告(右図)
・ 米軍は全軍に同ガイドラインを導入。現在、イギリス軍等でも導入
・ 同ガイドラインでは、救命のための処置として、
出血コントロール、気道確保、呼吸管理等を特に重視
○「防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会」報告書のポイント
・ 医師による治療を受けることが困難な第一線において負傷した隊員の救命率を向上させるためには、
准看護師及び救急救命士である隊員が、後送前の救命処置を実施できる態勢を整備することが必要。
・ その際、一般的な救急救命処置に加え、次の緊急救命行為を実施可能とすることが必要。
りんじょうこうじょうじんたいせっかい
せ ん し
① 気道閉塞に対する輪状甲状靱帯切開・穿刺
ききょう
きょうくう せ ん し
② 緊張性気胸に対する胸腔穿刺
③ 出血性ショックに対する輸液路(静脈路・骨髄路)の確保と輸液
④ 痛みを緩和するための鎮痛剤投与(医療用麻薬を含む)
⑤ 感染症予防のための抗生剤投与
①輪状甲状靱帯切開・穿刺
②胸腔穿刺
③骨髄等への輸液
検討会報告書を受けた今後の取り組み
○ 第一線救護衛生員(第一線にいる准看護師及び救急救命士である隊員)が、緊急救命行為を実施
できる態勢を早期に構築するため、検討会報告書の内容を踏まえ、今後以下の取り組みを実施。
○ 緊急救命行為の実施に必要な知識・技能を修得するための教育体制の整備
・第一線救護衛生員が、緊急救命行為を的確に行うための実施要領、教育カリ
キュラムを策定
・第一線救護衛生員の訓練に必要な機材・資材(例:救命行為を行うためのシミュ
レーター)を整備
○ 防衛省コンバット・メディカルコントロール協議会(CMC協議会)の設置
・事態対処時を前提とした状況でのメディカルコントロール体制を構築するため、
医師である隊員等で構成されるCMC協議会を設置
・CMC協議会において、緊急救命行為の実施要領及び教育カリキュラムの承認、
資格認定、事後検証等を行い、医療行為の質を保証
第一線救護衛生員を、早期に部隊に配置するため、
平成29年度前半より、第一線での新たな救命処置(緊急救命行為)の教育を開始
(名称はすべて仮称)