チートな転生者 ID:98228

チートな転生者
gjuwn
︻注意事項︼
このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので
す。
小説の作者、
﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を
超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。
︻あらすじ︼
ただ、一般人が転生し、無双、そしてハーレムを作る話
プロローグⅠ ││││││││
目 次 プロローグⅡ ││││││││
1
Episode2│1 ││││
戦闘校舎のフェニックス
Episode1│5 ││││
Episode1│4 ││││
Episode 1│3 │││
Episode 1│2 │││
Episode1│1 ││││
旧校舎のディアボロス
プロローグⅢ ││││││││
7
16
20
40 28
48
63
69
Episode2│2 ││││
82
ここはどこだ
プロローグⅠ
﹁あれ
﹂
?
女性が立っていた。すげえ。ものすごく可愛いな。ん
まて。死んだ
俺がか
?
?
読まないでくれよ。
?
⋮⋮そっか。よかった。安心感か自然と笑みがこぼれる。
﹁はい。ご無事ですよ。軽いすり傷ですみましたから﹂
﹁あ、あの、助けた少女は無事なんですか
﹂
⋮⋮そうか思い出した。確かあの時あの少女を助けようとしたんだ。てか人の心を
のです﹂
﹁そうですよ。あなたは車に引かれそうだった少女を助けた際に自分が跳ねられ死んだ
?
後ろから女性の声が聞こえてきた。振り向くとそこには絶世の美女ともいえるべき
﹁あなたは死んだのですよ﹂
か学校の入学式に行こうとした筈だ。そんな事を考えていると、
目を開けるとそこは一面真っ白な世界だった。何でこんなとこにいるんだよ俺。確
?
1
﹁ふふふ、お優しいのですね、貴方は﹂
俺の笑っ
そ う 柔 ら か な 笑 み を 俺 に 向 け る 彼 女。そ の 笑 み は 誰 も を 魅 了 し そ う な そ ん な 笑 顔
だった。思わず見とれそうになり焦るが、なんとか頭を回し、
なんだ
?
﹁いや、そんなことないですよ。でも、人の役に立てたのなら良かったです﹂
そう言いながら彼女のほうを見ると、少し顔を赤くしていた。ん
た顔ってそんな変だった
﹁あ、あの⋮⋮﹂
?
す﹂
﹁話を戻します。あなたは死にました。だからあなたに﹃転生﹄をしてもらおうと思いま
そう少し慌てた様子で答える。そしてコホンと咳払いをし、
﹁い、いえ、何でもありません﹂
恐る恐る彼女に尋ねると、
?
転生ってあれか、死んだ人がよくアニメの世界に行くってやつだよな確か。でもなん
で俺なんだ
?
﹁なんで、俺を﹃転生﹂なんかさせようとしたんですか 他にも亡くなった人はたくさん
プロローグⅠ
2
?
いるじゃないですか
﹂
ってことは神様か
えっとその、あなたの名前を教えてもらっても良いですか
﹁それはあなたが選ばれたからです。この私に﹂
﹁そ、そうなんですか
あ、アマテラスってたしか神話の人だよな
﹁私の名前はアマテラスと申します﹂
﹁そう思ってもらって構いませんよ﹂
?
﹂
?
?
?
欲しいんですけどね。
いう世界です﹂
﹁では、話を進めますね。あなたが﹃転生﹄してもらう世界は﹃ハイスクールD
×
Dか⋮⋮。やべぇな、ほとんどわからないじゃん。主人公の名前す
×
﹁わかりました。その世界に行きます﹂
まぁ決まっちゃったことは仕方ないか。
ら知りませんよ俺。せっかくならソードアート・オンラインがよかったな。
ハイスクールD
D﹄と
謝しないとな。なんせ高校生活始まる前に死んだからな。だから人の心を読まないで
なるほど、理解した。つまり俺は偶然にも天照大神さんに選ばれたわけだ。それは感
?
3
あとは⋮あ、そうだ、もう1つあった。
﹁はい。できますよ﹂
﹂
﹂
﹂
﹁では、その際に﹃特典﹄をつけようと思います。なにかありますか
特典かぁ、何でも良いのかな。
だから人の心読まないで欲しいんですけど⋮⋮
﹁はい。何でもよろしいですよ﹂
?
もうすでにチートな気が⋮⋮いや、だめだ気にするな俺。
﹁じゃ、じゃあそれでお願いします﹂
﹁はい。わかりました。他にはありますか
えっと、あとどーしよ。そうだ、
?
?
とりあえず何にしようかな。あ、
まじ
﹂
﹁えっと、じゃあNARUTOの技が使えるとかありですか
全部の技
﹁はい、全部の技が使えるでよろしいですね
ん
?
﹁はい。そのようなこともできますよ﹂
?
﹁魔法科高校の劣等生にでてくる魔法をお願いします﹂
?
?
﹁ONE PIECEのアニメの覇気を使えるようにできますか
プロローグⅠ
4
﹂
?
﹁わかりました。他にはありますか
﹂
他ってまだ大丈夫なのかよ。でも、もうないかも⋮
?
﹁では、案内しますね﹂
そうか、もうその世界に行くのか。ん
?
アマテラスside
そして、そこで俺の意識も途絶えた。
そう笑顔で手を振りながら言うアマテラスさん。
﹁では、いってらっしゃい﹂
よかった。それなら安心して力使えるな。
﹁安心してください。原作崩壊しても心配ないですよ﹂
んだ。
ちょっと待てよ、原作崩壊とかしたらどうす
まだついちゃうのかい。俺の存在もうヤバイことになるよね。
﹁わかりました。後はこちらでも少し追加で特典つけますね﹂
﹁た、多分もうないかと⋮⋮﹂
5
﹁行ってしまいましたね﹂
少し寂しげに呟く。
彼、名前は確か清宮悠太君だったかしら。プロフィール上だと彼女もいないし、普通
の人生を送ってた。
でも、あの顔で恋人がいないって不思議ですね。思わず彼の笑顔に惚れかけてしまい
ました。優しくてかっこいい、反則ですよほんとに。
おっと、彼の追加する特典がまだでしたね。﹁身体強化﹂でいいわよね。これ以上つけ
あ、まさか⋮⋮やはり、そうですか。原作よりだいぶ前
ると、もうチートどころではない気がしますので。
?
の時間軸でしたか。これは1度こちらに戻さなければなりませんね﹂
﹁これで、追加完了ですね。ん
プロローグⅠ
6
プロローグⅡ
⋮⋮そっか、転生されたんだ俺﹂
悠太side
﹁ここは
﹁そういえば、特典ってもう使えるのかな
よし、試しにこの技やってみるか。
﹂
!
﹁す、凄いなこれは﹂
右手の掌に電撃がみるみる集まる。
﹁雷切
﹂
印は確か、丑、卵、申、だったな。頭に術のイメージをして、
?
がら、歩いているうちに、森を抜けた。
で、たくさんの木々に囲まれていた。空が紫ってのは凄いな。空の光景に目を奪われな
て、しかもアニメの世界に行くって。そんな事を考えながら辺りを見回すと、空が紫色
改めて転生されたことを思い出す。でも変な感じだよな。1度死んだのに生き返っ
?
7
ホントにできたよあの技。どっかに当ててみたいけど、さすがにまずいよな。そんな
﹂
﹂
逃がさんぞ旧魔王派め
事を考えていると、
﹁待て
!
もうどうすれば⋮⋮
グレイフィアside
そう考えた俺は彼女の方へと走り出した。
これは見過ごせないな。よし、行くか。
が複数の男に追われていた。
どっかからか声がする。どこだ一体。そう思い、辺りを見回していると、銀髪の女性
!
!
﹁我ら新魔王派の勝利のため
プロローグⅡ
8
彼らから逃げ回ってもう結構な時間がたつ。
残っている魔力もほとんどない。
追っ手にほとんど使ってしまった。
そんな⋮⋮﹂
そんな事を考えているうちに、進行方向に壁が見えてくる。
﹁行き止まり
女としても、もうだめね。
下種な笑みで私を見て、更に距離を詰める。
たっぷり遊んでやるよ﹂
﹁残念だったな。貴様はここで終わりだ。まぁ、生憎、いい体してるからな。死ぬ前に、
そういい、男たちが近寄ってくる。
﹁やっと追い詰めたぜ。ほんとよく逃げ回るやつだ﹂
これじゃあもうどうしようもない。
!?
9
そう思った時
﹂
思わなかったよ。今更だけどすごいチートだな俺。
﹂
そう怒気をこめて俺に言ってくる。
﹁き、貴様、何者だ
﹁に、人間だと、なぜ、人間がこんなところにいる
﹂
あっぶねー、間一髪ってところかな。でもさ、パンチだけで男が壁にめり込むなんて
悠人side
しかし聞こえてきたのはドカンっ、という衝撃音と、男の悲鳴声だった。
﹁ぐあああああああ︳︳
!
そりゃ、転生してここきたからだよ、なんていえるわけないしな。てか、ここに人間
!
!
﹁いや、何者って、普通の人間だけど﹂
プロローグⅡ
10
いちゃいけないの
ってことはこいつら何者だよ。
﹂
!
てみるか、
﹂
掌に意識を集中させ、
﹁千鳥
﹂
で、できた。よし、これを相手にあてる。
﹁ぐああああああああああ︳︳︳
!
体が硬直し、全く動かなくなる。あれ、大丈夫だよな
﹂
﹂
死んでないよな
?
!
﹁な、なにをした
?
?
やっぱり、そうなるか。雷切ができたということは、アレもできるはず、よし、やっ
男の合図により2人の男が俺に襲いかかってくる。
﹁な、なんだと貴様
てめぇらやれ
﹁そんなことより、複数の男が女性1人にって恥ずかしくないの
まあ、いいや、今はそれより、
?
!
?
11
﹂
今の攻撃に怖気づいたのか、顔を真っ青にし質問してくる男。
﹁ただの雷撃をあてただけだ。それで、あんたら、まだやるの
?
﹂
残りの2人がお互いの顔を見て、何を考えたのか、汚い笑みを浮かべ、
﹁おい、この女がどうなってもいいのか
くっそ、汚ねぇぞあいつら。
﹁これで、貴様も攻撃できんぞ
これはヤバイな、どうする
﹂
そう女性の首の前に刃物のようなものを向ける男。
?
確かこんな技もあったよな。
すると、頭の中であるイメージが浮かぶ。
!
そう思い、手に留めた千鳥を針状に形態変化させる。名前は確か⋮⋮
﹂
!
でも、これで終わりだ。そう思い、彼女に近づく。
か、かわいそうだな。
あたった男たちはビクビクと痙攣をしている。人の痙攣って初めて見たけど、なん
注意を払った。
幾つもの雷撃を帯びた針が彼らを襲う。もちろん女性には当たらないように細心の
﹁千鳥千本
プロローグⅡ
12
グレイフィアside
私はその戦いを呆然と見ていた。
そんな事を考えていると、
雷撃みたいなものをあてたり、それを針状にしてみたりと、凄い戦いだった。
﹂
年齢は高校生くらいだろうか
﹁ええっと、大丈夫ですか
?
て手に緑色の光がまとわり、私の負傷した右足首の傷へとその光をあてる。とても温か
そういうと、ちょっと待ってて、と言い、なにやら手に意識を集中させている。そし
﹁え、ええ、おかげさまで助かりました﹂
よく見るととても綺麗な顔立ちをしていた。いわゆる美形というやつだ。
心配そうな顔で私の顔を覗き込む。
?
13
﹂
く、優しい光が私の足首を包みこみ、みるみる私の傷が治っていく。私は驚きを禁じえ
なかった。
すると彼は、
﹁こ、これは⋮⋮﹂
優しい口調で言う。
﹁医療忍術っていう忍術の1種かな。⋮⋮よし、完治した。他には怪我はないですか
﹁い、いえ、他は大丈夫です﹂
すると、今度は私の頭に手をのせる。すると体全身が軽くなるのを感じる。
﹁これでもう大丈夫かな﹂
そう言うとこの場を去ろうとする。
せめて、名前だけでも、そう思い、
﹂
あなたの名前をお聞かせください﹂
すると少年はこちらを向き、
﹁あ、あの、待ってください
﹁私の名前はグレイフィアです﹂
?
﹁グレイフィアさんか。うん、覚えた。じゃあグレイフィアさん、また会いましょう﹂
?
!
﹁清宮悠太です。俺も聞いてもいいですか
プロローグⅡ
14
そういうと森のほうへと向かっていった。
そう期待を込めて、彼の後姿を眺めていた。
﹁また、会えますよね⋮⋮﹂
﹁清宮悠人さん⋮⋮ですか⋮⋮﹂
15
プロローグⅢ
あれからグレイフィアさんと別れてから5分もしないうちに、意識がまた途絶えた。
気がつくと、あの真っ白な空間にいた。
﹁清宮悠太さん﹂
名前を呼ばれ、振り向くと、そこにいたのは﹃転生﹄をした張本人、アマテラスさん
がいた。
﹁す み ま せ ん。私 の 手 違 い で、時 間 軸 が ず れ て し ま い ま し た。な ん と お 詫 び を し た ら
⋮⋮﹂
そう謝罪をしてくるアマテラスさん。
﹁⋮⋮や、やはりあなた様はずるいです﹂
そう笑顔で言うと、
﹁別に気にしてませんよ。それに、実践訓練もできたし、楽しかったです﹂
プロローグⅢ
16
﹂
小声で何かを呟くアマテラスさん。
﹁あの、アマテラスさん
そう思い、辺りを見回す。特にこれといって目立つものはなく、部屋を出て、下の階
﹁ここが俺の家になるのかな﹂
天井だった。
気がつくと、家のベッドで寝ていた。いっそ夢だった思いたいが、生憎全く知らない
そう言われ、意識が途絶える。
﹁では、原作のちゃんとした時間軸でご案内します﹂
ため息をつき、すこし呆れた顔をするアマテラスさん。なんなんださっきから。
﹁はあ、なるほど、そういうことですか﹂
そう慌てるように顔を赤くしながら言う。何で慌ててるんだろう。
﹁な、なんでもありません﹂
?
17
へと下りていく。どうやら普通のごく一般的な家のようだ。
リビングに着くと、テーブルの上に紙が置いてあった。
読んでみると、アマテラスさんからだった。
そして財布をポッケにしまい玄関を後にする。
えっと、あった。俺の財布だよなこれ。中身は⋮⋮2000円ある。
よし、コンビに弁当にしよう。
料理できないからなぁ、
そう思い時刻を確認する。現在時刻は午後の7時、夕飯の支度をする時間だ。でも俺
まぁ使うときになってからでいいか。
この黒いカードのことか。でも使うってどうやって使うんだよ。
ださい﹂
はあるのでお金の心配はいりません。もし、何かありましたら、このカードを使ってく
生で、制服は部屋のクローゼットに入っています。資金のほうは一生暮らせるだけの額
園に通ってもらいます。転校生という形で明日から登校してもらいます。学年は二年
般的な家庭ということになっています。次に学校なのですが、この地域にある、駒王学
﹃清宮悠太さん。あなたの住まいはこの家です。1人暮らしで両親は海外出張という一
プロローグⅢ
18
19
コンビニ弁当を買い、家まで帰ろうとしたが、学校まで道確認も含めていってみよう
と思い、駒王学園まで足を運ぶ。
15分位ふらふら歩き、ようやく自分の通う学校を見つける。
けっこう大きな学校だなここは、そう思い、校舎を眺めていると、少しボロい校舎の
どういうことだ
なんで人がいるんだ
?
方から人の気配を数人感じる。これも恐らく見聞色の覇気のおかげだろうか。手に取
ってかいま夜だよな
?
るようにわかる。
あれ
消えた
?
そう考えていたら、突如気配が消えた。
?
怪奇現象でも見たような気持ちで帰路に着く。
どうなってんだ一体。
もう一度探ってみても、やはり人の気配が感じ取れない。
?
旧校舎のディアボロス
Episode1│1
ジリリリリ。
仕掛けていた目覚まし時計が鳴り響き、意識を覚醒させる。微睡みながらも、右手で
それを止め、意識を徐々に覚醒させていく。
実際これが初めての高校生活なため、若干テンションを上げつつ、家を出る。
ある制服へと着替える。
これから先がめんどうだなぁ、そう思いながら朝食を食べ終わり、歯を磨き、自室に
どくさく、料理はかなり苦戦している。
簡単な朝食を作り、テレビをつけながら食事を取る。1人暮らしは思ってたよりめん
寝ぼけた頭で、下へと降り、リビングへ向かう。
﹁もう、朝か⋮⋮﹂
Episode1─1
20
﹂
学校に着き、職員室へと向かう。まずは職員室探さないとな、そう思い、一番近くに
いた女子生徒に声をかける。
﹁あの、ちょっといいですか
﹂
﹁あ、あっちです﹂
﹁えっと職員室ってどこにあるんですか
?
﹂
そう言って先生が教室へと入っていく。
﹁じゃあ、ここでまっててくれ﹂
川という名前の担任に従って教室まで移動する。
そして、ようやく職員室まで着いた。職員室に入ると一人の男性が迎えてくれた。西
すると、その女子生徒は凄い勢いで去っていった。マジで俺何したんだよ。
﹁そっか、ありがとね﹂
?
﹁な、なんですか
てないぞ。もしかしていきなり嫌われたのかな。
すると、俺の顔を見るなり顔を赤くして俯いてしまう。いや、まってくれ。俺何もし
?
21
﹁おし、みんないるな。実はな今日は転校生が1人きてるぞ。しかもかなりのイケメン
だぞ﹂
そう言うと、きゃーーー、と女子の悲鳴が教室に響く。
おい、待ってくれ先生。もうこれ絶対に俺が入ったらしらけて終わるよね。終わった
な⋮俺の高校生活。
﹁おい、じゃあ入ってきてくれ﹂
そう言われ覚悟を決める。そして、扉を開け、教室に入ると、さっきまで五月蝿かっ
たはずの教室が一気に静まり返る。
この空気でですか
先生の顔を見ると、はやくしろ見たいな顔をしてる。
思ってたよりダメージくるなこれは。
え
﹁では、自己紹介を頼む﹂
?
はぁ、もうやるしかないか。
?
?
﹁お、じゃあ桐生﹂
﹁清宮君は彼女っていますか
﹂
そう言うと、1人の女子が手を上げた。
﹁よし、じゃあ何か質問あるやつはいるか
﹂
﹁えっと、清宮悠太です。よろしくお願いします﹂
Episode1─1
22
?
その質問により場の空気が凍る。女子からの鋭い目線が飛んでくる。
この質問ってそんなに重要なのか。そんな事を考えながら
内心友達ができるか不安だった俺は正直イッセーと話せてホッとした。
﹁俺のほうも悠太でいいよ﹂
なかなか友好的な態度で接してくれるイッセー。とても明るそうな男の子だ。
イッセーでいいぜ﹂
﹁くっ、まさかイケメンが隣なのはむかつくが、俺のほうこそよろしくな。俺のことは
そう俺が兵藤に話しかけると、
﹁えっと、よろしくな﹂
そう言われ、兵藤の隣に座る。
﹁席は、兵藤の隣が空いてるから、そこに座ってくれ﹂
見てくる。なんか男子からも凄い殺気を感じるんだけど、
そう言うと女子一同が少し嬉しそうな顔をし、今度は獲物を見るかのような目で俺を
﹁いえ、いませんよ﹂
23
放課後になり、イッセーたちと帰る事になった。たちとは同じクラスの松田と元浜も
一緒だ。何しろ三人はいつも一緒にいるらしい。
しかし、放課後になるまでは凄かった。なんか一日中やたらと女子からの視線を感じ
た。そんなに珍しいのかね転校生は。その視線を避けるため昼休みに屋上へ行ったら、
赤髪で少し大人びた女子と、ポニーテイルでどこか大和撫子を思わせるようなそんな雰
囲気の女子がいた。
先約がいることがわかり、教室に戻ったが、一誠によると、彼女たちは、この学園の
二大お姉さまといわれているらしい。
名前は赤髪の女性がリアス・グレモリー先輩、ポニーテイルの女性が姫島朱乃先輩だ。
チラッとしか見てないけど、彼女らがそう呼ばれているのは凄く納得がいった。2人と
も凄くきれいだったしね。
そんなこんなで学校のことについて、いろいろとイッセーに教えてもらい、普段から
中の良い彼らとも一緒に帰る事になったのだ。
﹂
?
﹂
?
﹁今ちょうど剣道部が着替えてる。おっぱいが俺たちを待ってるんだ﹂
﹁覗きって更衣室でか
﹁なあ、悠太よ。俺たち今から覗きに行くんだが一緒に行かないか
Episode1─1
24
なにわけわからないこと力説してるんだよコイツは。今日1日イッセーと一緒にい
て思ったことがある。それはコイツとんでもないオープンスケベなんだよな。普通に
学校にエロビデオ持ってくるし。浜中と松田も同じような感じで、3人でエロトーク
ばっかりしてる。まぁ、俺も思春期だし、興味ないことはないよ。でも、さすがに学校
じゃねぇ⋮
舎が見えてきた。やっぱり人の気配を感じるな。誰かいるのか。そう考えていると、
学校見学ということで校舎やら校庭やらを見て歩いていると、昨日見た少しボロい校
そう思いながら、彼らの後姿を見ていた。
大丈夫かよアイツら。
一誠を筆頭に剣道部の場所へと進んでいく彼ら。
﹁よし、いくか﹂
そう松田が言ってくる。ノリって一応犯罪だからな覗きは。捕まるぞこいつら。
﹁なんだよ、ノリが悪いぜ悠人よ﹂
転向早々覗きとか普通にやばいでしょ。
﹁3人で行ってこいよ。俺は行かないから﹂
25
﹁こら
﹂
兵藤ーーーーーーー
待ちなさーーーい
待ちなさい
﹁この変態三人組
!!
!
﹂
!!
助けてくれ
﹂
!
⋮⋮﹂
﹁とうとう追い詰めたわよあなた達⋮⋮え
んだけど。
⋮⋮﹂
﹂
そう言って物凄い勢いで部室へと戻っていく2人。なんか物凄いデジャヴを感じる
﹁は、はい、ぶ、部活に戻りますね﹂
?
止められるかも。
もしかして3人を追いかけてたところを見られて恥ずかしがってるのか。これなら
追いかけてた女子2人が俺の顔を見るなり目を見開き、顔を真っ赤にし、俯きだす。
﹁引導を渡してやるわ⋮⋮え
?
?
﹁だから、覗きなんてしなきゃ良かったんだ。完全に自業自得だろ﹂
俺を見つけるや否や助けを求める一誠。いや、自業自得だろ。
﹁あ、悠太
!
る。てか、変態三人組って嫌な肩書きついたな。
案の定、覗きがばれて追い回されてるんだろう。こっちに向かって全力疾走してい
!
!
﹁えっと、コイツらには俺も言っとくから、見逃してあげてくれないか
Episode1─1
26
﹁いやあ、助かったぜ悠太。サンキューな﹂
そうお礼を言う一誠。
いいやつなのかもな、そう思いながら帰宅へと足を運ぶ。
こいつ等は普段はエロいが、転向初日の日からこうして話しかけてきてくれる。実は
﹁はいはい。じゃあ帰ろう﹂
27
Episode 1│2
俺が転校してから3日が経った。
クラスの人達も最初は緊張して俺に話しかけられなかったらしいが、桐生さんのお陰
で少しずつだが話しかけてくれるようになった。一誠達は相変わらずの変態っぷりで、
いつもおっぱい連呼してるけど、やっぱり思ってた通り、優しいやつだとわかった。本
人曰く、ハーレムを目指しているらしいが、エロ要素なければ普通にコイツモテると思
うんだけどな。
特典の方も、鏡の前で写輪眼をイメージしてたら本当にできた。ちなみになぜか輪廻
眼もできてた。ほんとチートだよね。
そして放課後、一誠と帰ろうとした時、1人の黒髪の美少女が一誠に歩み寄り、
え
マジで
?
しかも校門で出待ちしてかよ。
そう、一誠に告白してきた。
﹁兵藤一誠くん。私と付き合ってください﹂
Episode 1─2
28
?
当の本人もポカンとしてるし、
﹁あ、あの⋮⋮﹂
告白して返事もなく、不安になったのか一誠の顔色を伺う黒髪美少女。
﹁え、えっと、こちらこそよろしく﹂
戸惑いながらも返事をする一誠。
俺ついに彼女ができたんだよ
﹂
おい、一誠、何を寝ぼけたこと言ってんだよ﹂
そして一誠に彼女ができた。
﹁は
﹁本当なんだって
!
そう松田に少し残念な目で見られる一誠。
?
昼休みになり、松田と浜中にそう言って自分の携帯をイジリ、携帯に保存してある写
!
29
可愛いだろ
﹂
?
真を見せる。
﹁ほら、この子が俺の彼女。夕麻ちゃんって言うんだぜ
﹂
そう自慢げに松田と浜中に言う一誠。
﹁う、嘘⋮だろ
!
ことこの上ない。
一誠に先越されたな⋮
﹁今度の日曜日デートに行くんだ﹂
!?
﹁はっはっは、すまんな友よ。お先に登ってくるぜ﹂
そういってゲスい笑顔で何か妄想しているイッセー。
くっそ、俺もはやく登りたいぜ。
﹂
わかる。気持ちはすごいわかるぞ。こんな可愛い子を彼女にできるなんて羨ましい
あまりの事実に顔面蒼白の2人。
﹁こ、こんな可愛い子がイッセーの⋮彼女⋮だと﹂
?
﹁い、イッセーお、お前、まさか大人の階段へと登る気か
Episode 1─2
30
31
そして、イッセーの初デートの日。
俺は買い物をしにデパートへと向かい、洋服やら食料やらを買って楽しんでいた。
俺にデー
銀行にはすごい額のお金があるため、この程度の買い物は負担にならない。いや、ホ
ント天照さんには感謝しかないな。
買い物を終え、気づけば辺りは夕暮れ時だった。
そして、俺は買い物中に少し気になっていたことを思い出す。それは
イッセーのデートだ。
実はイッセーのデートプランは俺が立てたのだ。前日に電話が来て﹃頼む
﹄なんて言ってきたのだ。デートなんてしたことないから断っ
うだ、と言ったら気に入ったらしく、俺の意見が採用された。
というわけで、少なからず俺にも責任はあるわけで、気にはしていた。
少し休憩するかな、そう思いその公園へと近づき、入り口まで行くと、待っていたの
少し歩った先に公園があることを発見する。
成功したのかなあいつ、そんなことを思いつつ帰っていると、
!
﹄そう何度もお願いしてきたので、自信は無いけどこれならど
頼む
トプランをたててくれ
!
たら﹃お願いだ
!
!
は、黒い翼を生やした女性と、彼女の手に持つ槍みたいなものに腹を貫かれていた、イッ
﹂
セーの姿だった。
﹁は
﹁イッセー
くっそ
出血がひどい、でも、俺なら⋮﹂
!
﹂
そりゃ驚くよな。あの傷をほんの数秒で治しちゃうんだから。
驚愕の顔を浮かべるイッセーの彼女。
﹁あなた⋮⋮どうやって⋮⋮﹂
なりあるらしく、イッセーの傷も少しずつ、塞がっていく。
そういって俺は、貫かれた腹に医療忍術で回復させる。俺はどうやらチャクラ量がか
!!
その泣き声を聞き、おれは咄嗟にイッセーの元まで駆け寄る。
﹁本当に⋮ごめんなさい⋮⋮でも、私には⋮こうするしか⋮⋮﹂
彼女の泣き声が聞こえてくる。
そう思い、彼女に向かって自身の力を振るおうとした時、
自然と怒りが込み上げてくる。ふざけんなよ。
な、何が起きてんだよ。なんでイッセーが殺されてんだよ。
?
﹁お前⋮⋮何でこんな事をしたんだ
?
Episode 1─2
32
そう怒気を込め彼女に聞く。もし、彼女の泣き声が聞こえてこなかったら恐らく俺は
彼女を殺していたかもしれない。
﹂
!!
現れたのは、なんとリアス・グレモリー先輩だった。
その時、突如近くに魔法陣みたいなものが浮かび上がる。
意喪失したのか、ペタンと地面に座り込んでしまった。
そんなに驚くことなのか。すっごい簡単に砕けちゃったけど。これを見た彼女は戦
﹁そ、そんな⋮⋮嘘⋮⋮﹂
そして俺は、彼女の槍を武装色を使い砕く。
そう怒ったような声で言う彼女。
﹁な、なんで、なんで当たらないのよ
迷いのある彼女の攻撃を避けるなど、簡単なことだった。
たくないのかもしれない。
そう冷静に努めて言おうとする彼女。でも、明らかに動揺していた。本当は誰も殺し
﹁私の姿を見たのだから、ここで死になさい﹂
そういって手に槍みたいな物をつくる。
﹁そ、それは、人間のあなたには関係無いことよ。﹂
33
﹁あなたね、私を呼んだのわ⋮⋮どういう状況かしら、これは﹂
そう、少し混乱したような顔でこちらを見てくる。
どう説明したもんか、そう考えながら、イッセーと夕麻という彼女に目を向ける。
すると、グレモリー先輩は、
るわね﹂
みたいなものを溜める。
﹁あら、御機嫌よう。堕天使さん。私の管轄する町で人を殺そうだなんて、いい度胸して
そういって、手に魔法
﹂
俺はイッセーの彼女の前まで走り、彼女を庇うように前に立つ。
あぁ、もう、
そういって彼女に魔力弾を放とうとする。
﹁あら、よく分かったわね。正解よ。では、死になさい﹂
﹁⋮⋮グレモリー一族ね。あなた⋮⋮﹂
?
!
﹁飛雷神の術﹂
そう言いイッセーの彼女の手をとり、
これは後で説明しないとだな、でも、今はやるべき事をやらないと、
少し怒気を込めて俺に言ってくるグレモリー先輩。
﹁あなた、そこをどいて頂戴
Episode 1─2
34
そういって彼女とともに家へと帰宅する。
夕麻side
私は本当は誰も殺したくはなかった。イッセー君だって本当は⋮⋮
でも、殺すしかなった。だから、殺して、それで終わるはずだった。彼が来るまでは。
彼は来るなり一瞬で傷を治し、挙げ句の果てには私の槍まで壊した。
私はただ驚いた。そして、状況はさらに悪化する。
グレモリー家まできたのだ。彼女は魔力弾を私に当てようとしていた。
そっか、もう、終わるのね。
そう思った時、彼が私の前に現れた。私を庇うようにして。
そして、私の手を握り、一瞬でどこかの家まで飛ばされた。
着いた先はリビングだった。彼は私に座るように促したが、訳も分からず、ただ、私
は突っ立っていた。 私には分からなかった。どうしてあの場で彼が私を助けたのか。
﹁⋮⋮どうして﹂
35
﹁え
﹂
﹁⋮⋮どうして私を助けたの
すると彼は、
﹂
﹁だって、本当は殺したくなかったんだろ
そう言われ、目を丸くする私。
﹁ど、どうしてそんなことを⋮⋮﹂
﹂
?
え
﹂
すると、私は優しく温かい温もりが身体中を包み込むのを感じる。
くやしい、でも、それ以上に情けない。私の力が無いばかりにこんな事に⋮⋮
あいつのせいで、カラワーナもミッテルトも⋮⋮
に、あいつは恐ろしい。関わったら彼まで殺されてしまう。
間、そして私は堕天使、こちらの世界にこれ以上踏み込ませるわけにはいかない。それ
そう聞いてくる。でも、私は答えなかった。いや、答えたくなかった。彼は恐らく人
﹁なんでさ、あんなことをしたの
そっか⋮⋮この人には見破られちゃったのか。
してたから﹂
﹁泣いてたから。イッセーを刺した時。それに、俺を殺そうとした時も悲しそうな顔を
?
?
?
?
Episode 1─2
36
私は困惑した。何が起きたのか一瞬分からなかった。
これって⋮⋮
そう、彼が私を優しく抱きしめてくれたのだ。
でも、私は混乱したままだった。
すると、彼が、
もう、我慢しなくていいよね。
そんな私を彼は優しく抱きしめてくれる。
なかった。だから、私はずっと1人で生きてきた。
私はずっと力が無いばかりに周りから馬鹿にされてきた。頼れる人なんて1人もい
そう耳元で優しく呟かれる。
受け止めるから﹂
﹁何があったかは知らないけど、もう、我慢しなくていいから。俺が聞くから、しっかり
37
何分経ったかわからないが、私は彼の温もりに体を預け、泣き続けた。
悠太side
あれから、彼女も落ち着きを取り戻し、リビングのテーブルに座らせ、向かい合って
いる状況だ。
正直言うと物凄く気まずい。あんなに悲しい顔してたからつい抱きしめちゃったけ
ど、他の手段もあったんじゃねってつくづく思う。
彼女なんてさっきから顔真っ赤にして俯いてばかりだし、かくいう俺も多分顔が赤
い。
と、とにかく、話を振らないと、
何があった
?
そう言うと首を縦に振り、ゆっくりと彼女が話し始める。
のか、何であんな事をしたのか﹂
﹁えっと、それで夕麻さん⋮だよね。もし良かったら、話してみてくれない
Episode 1─2
38
彼女が話し終わる頃には8時過ぎになっていた。話しの内容だけど、正直辛すぎると
思った。
同時に、そのリーダーとやらに怒りが湧いた。こんな可愛い子に殺しをさせるなんて
そう聞いてみたら、ない、とのことだ。でも、話を聞いて
な。しかも殺さないと自分が殺されるって最低だな。
俺にできることはないか
くれて、助けてくれてありがとうとお礼を言われた。
?
﹂
やっぱりこの子は守らないとな、そう思い彼女にネックレスをプレゼントする。
﹁こ、これは
お守りだよ﹂
?
そして、彼女は自分の居場所へと帰って行った。
そう言って彼女の首にかける。
﹁ん
?
39
Episode 1│3
次の日の放課後、普通に家に帰ろうとするとなにやら教室が騒がしくなる。
何事だよ、そう思い、そちらに目を向けると、
木場
﹂
かなりのイケメンな男の子が誰かを探していた。
﹁げっ
!
そうイッセーが不機嫌そうに彼に話すが、彼は相変わらずイケメンスマイルで、
﹁で、何のようだよ﹂
そういうとこっちまで歩いてくる。
﹁あ、ここにいたんだねイッセー君﹂
!
﹁ああ、空いてるよ﹂
﹁清宮君、今日の放課後は空いてるかい
﹂
そう俺にもキラースマイルを向けてくる木場。
﹁君が清宮悠太君だよね。僕の名前は木場祐斗。よろしくね﹂
そういい、そして今度は俺のほうを向き、
﹁一緒に部活に行こうと思ってね﹂
Episode 1─3
40
?
﹁なら、僕についてきて欲しい﹂
そういうと、イッセーも立ち上がり、木場の後について行く。
木場の後についてきながら向かった先は旧校舎だった。外見は木造で古いが、ガラス
とかは一枚も割れてなく、そこまで酷い所ではなかった。
部長
誰のことだ
そう告げる木場。
ん
?
?
あれ、何か聞き覚えのある声がするな、そんな事を思いながら、木場に続いて入ると、
木場が中に確認をとると、部長らしき人が﹁ええ、入ってちょうだい﹂と返事をする。
﹁部長、連れてきました﹂
オカルト研究部って随分とぶっそうだな。
﹃オカルト研究部﹄
俺は戸にかけてあるプレートを見て驚いた。
そんな事を考えていると、木場が目的の場所に着いたのか足を止める。
?
﹁ここに部長がいるんだよ﹂
41
俺は唖然とした。室内、至るところに謎の文字が書き込まれていた。そして一番特徴
的なのは中央の円陣。教室の大半を占める巨大な魔方陣らしきものだ。
なんか凄い不気味さと異質さを最上級に感じるんだが。
さらに、周りを見渡すと、ソファーに小柄な女の子が羊羹を食べて座っていた。
木場が紹介してくれる。
﹁こちら、清宮悠太くん﹂
﹁えっと、よろしく﹂
するとその子はぺこりと頭を下げ、それが終わると、また黙々と羊羹を食べ始める。
無口な子なのかな、そんな事を思っていると、
ここ一応学校だよね
なんでシャワーなんかあるんだよ。
シャー、と部屋の奥から、シャワーの音が聞こえてくる。
え
?
俺は咄嗟に目を逸らし、煩悩を払う。
しかもなんかカーテン越しに女性と思われる肢体の陰影が映っている。
?
ん
朱乃
?
おい、まさか⋮⋮この奥にいる人達って、
﹁ありがとう、朱乃﹂
そして、もう1人の女性の声がカーテン越しに聞こえる。
﹁部長、これを﹂
Episode 1─3
42
?
そして出てきたのは、案の定、姫島先輩とグレモリー先輩だった。
﹁話しですか
﹂
﹁えっと、一体何の話をしているんですか
﹂
﹁とぼけてもだめよ。現にあなたは昨日堕天使を逃がしたじゃない。なにかあの堕天使
?
剣な口調に周りの人も少し顔を強張らせる。
そう怪しむように、何かを見定めるような視線を俺に向けるグレモリー先輩。その真
?
?
﹁そうよ、単刀直入に聞くわ。あなたの目的は何かしら
﹂
﹁これ全員そろったわね。清宮悠太くん。いえ、悠太。私はあなたに話があるの﹂
お互い挨拶を済ませると、グレモリー先輩が﹁うん﹂と確認し、
﹁清宮悠太です。こちらこそよろしくお願いします﹂
姫島先輩のあとに、続けて挨拶をするグレモリー先輩。一応俺も挨拶しとかないと。
﹁私はリアス・グレモリーよ。よろしくね﹂
そう、ニコニコ顔で丁寧な挨拶をする。なんかうっとりしてしまうような声音だな。
﹁あらあら。はじめまして、私、姫島朱乃と申します。どうぞ、以後、お見知りおきを﹂
﹁い、いえ別に大丈夫です﹂
﹁ゴメンなさい。お待たせしてしまったかしら﹂
43
と繋がりがあるのではなくて
﹂
﹂
﹂
﹂
そう焦ったような口調でいう。
﹁あ、あなた堕天使を知らないの
﹂
するとグレモリー先輩がどこか呆けたような表情をした。
﹁堕天使ってなんですか
﹁あら、なにかしら
﹁あの、1ついいですか
一体何を勘違いしてるんだグレモリー先輩は。というか、
?
どこか脱力したように言うグレモリー先輩。
﹁⋮⋮そう、そういうことね﹂
?
神器
初めて聞くな。
?
﹂
?
﹁はい。一応﹂
﹁ちょ、ちょっと待ちなさい。あなたがイッセーの傷を回復させたの
そして俺は昨日の出来事を話す。すると、
﹂
﹁はい。だからさっきから何の話をしているのかさっぱりで⋮⋮﹂
?
﹁じゃ、じゃあ、あなたは神器使いなの
ん
?
﹂
?
?
?
?
﹁わかったわ。じゃあ、あなたはなぜあの場にいたの
Episode 1─3
44
﹁いえ、これは治癒魔法みたいなものです﹂
さらに驚いた顔をするグレモリー先輩。
重い
そんなに大罪だったのか
﹁まあ、まず、この話をする前に﹂
?
少しは理解できたかしら
﹂
?
﹁どう
?
判断され、イッセーは狙われたらしい。
そうだ。﹃神器﹄と呼ばれるものの説明もしてくれた。その神器を宿してるから危険と
り、
﹃天使﹄はその二つをまとめて滅ぼそうとしているらしい。大昔から争いを続けてた
そう言って彼女は俺にいろいろ説明してくれた。﹃悪魔﹄と﹃堕天使﹄は敵対関係であ
﹁私たちはね悠太、悪魔なの﹂
そう言って立ち上がり、背中から翼を出すグレモリー先輩。
?
﹁そう、わかったわ。でも、彼女を逃がした罪は重いわよ﹂
なんか最後ボソッと言ってたような気がするんだけど、小さすぎて聞こえなかった。
﹁あ、あなた魔法が使えるのね⋮⋮これは好都合ね﹂
45
﹁まあ、一応、じゃあ、俺が堕天使を逃がしたのって結構まずかったんですね﹂
﹁ええ、そうよ﹂
でも、自然と後悔はしていなかった。
俺もですか
﹂
﹁だから、悠太には、悪魔になってもらうわ﹂
﹁え
?
あれ
これって成功なのか
どういうこと
﹂
そして結局俺は悪魔にはなれなかった。
!?
?
入っていく。だが、駒が自然と俺の中から出てくる。
そういい、駒を取りだし、詠唱を開始するグレモリー先輩。すると駒が俺の中へと
﹁そう、わかったわ。じゃあ、あなたは﹁僧侶﹂ね﹂
﹁わかりました。悪魔になります﹂
悪魔かあ、ま、なるだけなってみるか
﹁ええ、正直あなたの力が欲しいわ。﹂
?
そう言いながら慌てる先輩。
!?
?
﹁こ、駒を受け付けない
Episode 1─3
46
47
微妙な空気の中、今日はお開きという形になった。
Episode1│4
あれから二日経ち、いつものように学校から帰っていると、
﹂
﹂
?
﹂
シスターって本当にいるんだな。初めて見たよ俺。
ヴェールを拾い、彼女に手渡す。
瞳をしていた。顔も整っていてかなりの美少女だ。
ヴェールが飛んだことで彼女の顔全体があらわになる。綺麗な金髪でグリーン色の
く。
手を引いて起き上がらせる。すると風で彼女が身に着けていたヴェールが飛んでい
﹁あうぅ。また転んでしまいました⋮⋮すみません。ありがとうございますぅ﹂
俺はシスターに近寄り、起き上がれるように手を差し伸べた。
﹁あの、だいじょうぶですか
かも凄く間抜けな転び方してるぞ。
後方から突然声が聞こえてくる。振り向くと、そこにはシスターが転がっていた。し
﹁はわう
!
﹁もしかしてこの辺の教会に赴任でもしてるの
Episode1─4
48
?
﹁はい。あそこの教会に3日前から赴任することになりました。アーシア・アルジェン
トと申します﹂
そう丁寧に自己紹介までしてくれる彼女。
そんなことを考えているうちに子供の傷は完治していた。
?
﹁⋮⋮その力⋮⋮﹂
気味に思ったのか、子供を連れて去っていってしまった。
子供が﹁ありがとう﹂と彼女に言うが、側にいたお母さんらしき人は、彼女の力を不
さか神器か
あれって俺の医療忍術みたいなものだよな。でも、医療忍術は使えないはずだし、ま
次の瞬間、シスターの手のひらから淡い緑色の光が発せられ、子供の膝を照らしてる。
当てる。
するとアルジェントさんがその子の近くに寄り、そして自身の手を子供が負った膝へ
子供の泣き声が聞こえてくる。どうやら道端で転んだようだ。
﹁うわぁぁぁぁん﹂
お互い自己紹介が終わり、たわいない会話をしていると、
﹁俺は駒王学園に通ってる清宮悠太だ。よろしくね﹂
49
﹁はい。治癒の力です。神様からいただいた素敵なものなんですよ﹂
よくがんばったな﹂
そう微笑む彼女。でもどこか寂しげに感じた。今の力を持つことで相当な苦労した
んだろう。だから俺は、
﹁苦労したんだな。いままで辛かったろ
﹂
しかし、周りからの視線が痛いな。ここは移動しとこう。
﹁す、すいません⋮⋮よくがんばった、なんて初めて言われたので、つい⋮⋮﹂
と、
ちょ、まじでか。もしかして気に障っちゃったのかな。慌てながら彼女の方を見る
そう彼女の頭を撫でながら言う。すると、彼女は目を見開き、涙を流し始めた。
?
?
だしてしまった。
は八歳の頃。だが、負傷した犬を治すところを目撃されてしまい、彼女の人生は変わり
両親から生まれてすぐに捨てられ、孤児院で育てられた。そして彼女の力が宿ったの
た。
ベンチに座り、少し落ち着いたところで、アルジェントさんが自分の過去を話し始め
そう提案すると、彼女もうなずき、公園のベンチまで移動する。
﹁とりあえず、あそこの公園のベンチまで行かない
Episode1─4
50
どんな傷でも治す。この噂が瞬く間に広がり、いつしか﹃聖女﹄として崇められるよ
うになる。彼女の意思など関係なしに。
でも、彼女は不満ではなかった。人を治すのは嫌いではないし、自身の力が役立つの
が嬉しかった。
だけど、友達と呼べる人がいなくて、少し寂しい気持ちもあった。
そんなある日、たまたま近くに現れた悪魔を治療したら、教会の人達は彼女を異端視
し、悪魔を治した﹃魔女﹄として追放されたのだ。
神様は助けてくれなかった。神への祈りを忘れたこともない。でも、捨てられた。
なにより、彼女を庇ってくれる人が1人もいなかった。
彼女に味方は1人もいなかったのだ。
を待ってたんだな。
どんなに辛くても、苦しくても、ずっと自分の意思を心の奥に引っ込めて、神の加護
涙をこらえ、自分に言い聞かせる彼女。
然だめなシスターですから。だから今は我慢のときです﹂
﹁⋮⋮きっと私の祈りが足りなかったんです。だから主が試練を与えたんです。私、全
51
﹂
﹁ならさ、今は我慢する必要ないんじゃないか
﹁え
﹂
?
俺は彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。
﹁そっか﹂
くて⋮⋮﹂
﹁ずっと⋮⋮辛かったです。⋮⋮寂しかったです⋮⋮誰も⋮⋮私に⋮⋮味方が⋮⋮いな
今まで我慢してきた涙を溢れさせ、
﹁我慢なんてしなくていいよ﹂
彼女の頭にそっと手を置き、
﹁少なくとも今は俺しか見てないから。だからさ、アルジェントさん﹂
?
?
俺に言ってくれ。できる限り力になるから﹂
﹁⋮⋮どうしてそこまで優しくしてくれるんですか
﹂
﹁いや、気にすんなよ。これからもしさ、辛いこと、苦しいことがあったらさ、迷わずに
感じだ。今までずっと溜め込んでたんだ。はきだすくらい神様も許してくれるだろう。
そう少し恥ずかしげに言うアルジェントさん。でも顔色は少しスッキリしたような
﹁す、すいません、お恥ずかしいところを見せてしまって⋮﹂
Episode1─4
52
﹁だって俺たち、もう友達だろ
﹁はい
﹂
﹂
すると彼女は少し驚いたような顔をしたが、
?
くっそ、あのやろう
!
そして、槍を羽の生えた男に向けられ、殺されそうになっている夕麻さん。
アルジェントさんが磔にされていた。
う思い、協会に入ると、そこには驚きの光景が待っていた。
見た目は少しボロイが大きな協会だった。ここにアルジェントさんがいるのか。そ
それから二日後、約束どおり、協会に訪れることにした。
けた。いつ行こうかな、そう思いながら帰宅した。
その後、彼女とは別れた。別れる際に、
﹃今度協会に遊びに来て下さい﹄とお誘いを受
そう満面の笑みで応えてくれた。
!
53
レイナーレside
そうドナーシークが私に命令する。
﹁さあ、はやくコイツから神器を抜き取れ﹂
﹁⋮⋮レイナーレ様⋮⋮﹂
そう磔られたアーシアが助けを求めて私の名を呼ぶ。
その声により私が少し躊躇っていると、
私は、どうしたら⋮⋮
つまり、アーシアを殺せと言っているようなものだ。
でも、神器を抜くと、その人が死ぬ。
に入れようと今回の計画をたてた。
のこと。ありとあらゆる傷を治すことができる珍しい神器で、それをドナーシークは手
彼が言う神器とはアーシアが持っている﹃聖母の微笑︵トワイライト・ヒーリング︶﹄
先ほどとは違い少し怒気を込めて言うドナーシーク。
﹁おい、レイナーレ、さっさと抜け﹂
Episode1─4
54
﹁おい、レイナーレ、貴様俺に歯向かうつもりか
なんの力もないお前が﹂
?
私は咄嗟に目を瞑った。
でも、痛みがくることはなかった。
﹁ぐあああああああああああああああっっ
﹂
そう、私には何の力もない。だから彼女を逃がしてあげることすらできない。
でも、それでもやっぱり⋮⋮
﹂
﹁⋮⋮できません﹂
﹁なに
﹂
!
そう槍を私に向け貫こうとする。
﹁じゃあ、死ね
そう言うと手に槍を作り、
﹁⋮⋮そうか﹂
﹁私にはできません﹂
!?
﹁マーキングしといて正解だな﹂
!!
55
目を開けるとそこにいたのは、あの優しい彼だった。
悠太side
いやあ、あのネックレスにマーキングしといて正解だったね。おかげで間に合った
よ。飛雷神の術ってほんと便利だね。
﹂
そう夕麻さんが俺に聞いてくる。
﹁あなた⋮⋮どうして⋮﹂
まあ、それはそうだよね。急に現れたし。
アルジェントさんが驚いたのか、信じられないような目で俺を見てくる。
﹁⋮⋮清宮さん
?
﹂
!
瞬で来れたんだよね﹂
殺されるわ
﹂
﹁そ、そんな仕掛けが⋮⋮ってそうじゃなくて、はやく逃げなさい
﹁アイツってそこにいるやつ
?
!
さもないとあいつに
﹁いやね、実はそのネックレスにある特殊な仕掛けがしてあるんだ。それでここまで一
Episode1─4
56
そう言って俺は入り口付近の壁にめり込んでいる彼を指差す。
少しやりすぎたかな。けっこう軽く吹き飛ばしたつもりなんだけどね。なんか凄い
勢いで飛んでったからな彼。
ええ⋮⋮あれ
どうなってるの
﹂
でも、今の話だと彼女を苦しめていたのは彼らしいし、天罰が下ったということにし
﹁とりあえず、他のやつらも片付けるか﹂
そう言って俺はドナーシークと思われる男の方を向く。
実は敵はドナーシークだけじゃない。ドアを開けたとき、100人くらいの仲間
?
するためと、敵を一箇所に集めるため。人質とかにされたらやりづらいしね。それに広
もある。ドナーシークを入り口付近にわざわざ吹き飛ばしたのも、彼女らの安全を確保
飛雷神の術をしたのも、彼らを相手にして間に合わないのが嫌だったからという理由
たいなのが入り口付近に何かの儀式を見守るようにずらっと並んで座ってた。
み
そりゃ慌てるよね。さっきまで君を殺そうとしてた人だし。まあ、そんなことより、
?
とこう。
﹁え
?
そう慌てたように言う。
?
57
範囲の攻撃の方が楽だし。
でも、彼らバカだよね。こんなことしてるなら扉に鍵掛けとけば良かったのに。すん
なり入れちゃったよ俺。
さて、そろそろ片付けよう。そうだ、ここはひとつ、新しいのでいこう。幸いという
か何と言うか、蹴り飛ばした影響か知らないけど敵の数減ってるし、皆そろって呆然と
俺のこと見てるし、やるなら今だよな。
そして俺は意識を集中させる。
﹂
俺の足元に魔法式が現れる。俺が使う魔法は広域振動減速魔法、
﹁ニブルヘイム
そのため教会内は極寒となり、敵はあっという間に凍り付いてしまった。
俺が使ってるのは後者の方だ。
ダストにドライアイス粒子、さらに液体窒素の霧すら生むことができる。
本来この魔法は全ての物質を均等に冷却する魔法。使い方によってはダイヤモンド
発動により突如彼らに冷気が押し寄せてくる。
!
そうアルジェントさんが呟く。どうやら2人とも目の前で起こっているダイヤモン
﹁⋮⋮きれいです⋮⋮﹂
Episode1─4
58
ドダストだったりに目を奪われているらしい。
たしかにきれいだけど、人凍ってるし、あまり幻想的には見えないかも⋮⋮
悠太さん
﹂
と、取りあえずアルジェントさんの縄解かないとな。
﹁ありがとうございます
!
え
頭を撫でろってこと
﹁アーシアァァァァァァ
助けに来た⋮⋮ってなんじゃこりゃ
そんな事を考えていると、
?
2人とも震えてるし、そう思い、冷気を消す。
寒いって、あ、そうだ、この冷気なんとかしないと。
遅れて入ってきた木場も驚いてる。
﹁こ、これは一体⋮⋮さ、さむい﹂
俺だったら目を疑うね。
になってるし。
﹂
それもそうだ。入ったら景色は一面氷の世界。しかも何十人もの人も一緒に氷付け
扉を壊し勢いよく入ってくるイッセーだが、教会内の光景に驚愕を浮かべる。
!!
?
女の頭を撫でると、羨ましそうにこちらを夕麻さんが見ていた。
そう笑顔で言うアルジェントさん。やっぱり彼女には笑顔が似合うな。そう思い、彼
!
!
59
﹁こ、これはどういうことかしら﹂
﹁あらあら、これは一体﹂
そうグレモリー先輩と姫島先輩も入ってくる。
取りあえず、彼女らに説明しないと。
外に出て、取りあえず報告をする俺。
﹂
﹁なるほどね。つまりあなたが対処したのね。ご苦労様﹂
﹁それで、そのドナーシークはどこにいるの
?
どこいった
そう思い、皆で入り口付近に行くと、案の定彼はいた。おそらく
そう言われ入り口付近を指すが彼の姿が見当たらない。
あれ
?
んな。
でも、よく見ると、下半身だけが凍ってる。これじゃ逃げれないよな、なんか、ごめ
イッセーが扉と一緒に壁を壊したせいで壁から抜けれたのだろう。
?
﹁とりあえず、後処理はこちらでするわ。だから貴方達は帰ってもいいわよ﹂
Episode1─4
60
そう俺とアルジェントさんと夕麻さんに言う
夕麻さんにも
﹂
?
ん
﹁わたしも⋮⋮
?
そう言うと、どこかに連絡を入れる先輩。
﹁だ、だめ
﹂
?
﹂
でも、協会はこんなんだし、彼女たちどこで一晩過ごすんだ
﹁えっと、そういうことだけど⋮2人ともどうするの
そう言うと、
﹁それは⋮⋮﹂
俺の家
何か夕麻さんが期待の眼差しを向けてくる。
え
?
﹁で、でも家狭いし⋮⋮﹂
?
?
?
﹁ええ、そうよ。今日のところは見逃すわ。時間も遅いし、話は明日伺うわ﹂
?
61
そう上目遣いで聞いてくる夕麻さん。
くっ、可愛い。不覚にもそう思ってしまった。
﹂
そ う 言 う と 嬉 し そ う な 顔 を す る 夕 麻 さ ん。な ん か ア ル ジ ェ ン ト さ ん か ら も 視 線 が
﹁わ、わかった﹂
まぁ一晩だけならいいか。そう思い一緒に我が自宅まで帰る。
?
⋮⋮
﹁えっと、アルジェントさんもくる
恐る恐る聞くと、
﹂
!
そう笑顔で答えてくる。
﹁はい
Episode1─4
62
Episode1│5
次の日の放課後、俺たちはオカルト研究部の部室へと集まった。
が先輩だ。
﹂
﹁それでこれは提案なんだけど、あなたたち、悪魔になってみない
﹁悪魔⋮⋮ですか
?
もらうほうがよっぽどいい
この提案は正直俺も賛成だ。またあんなのに狙われるならグレモリー先輩に守って
を狙う輩が現れるかもしれない。でも、私の眷属になればあなたを守れるわ﹂
﹁ええ、そうよ。アーシア、あなたの神器はとても貴重な力よ。だからまたあなたの神器
?
﹂
これを聞き内心ホッとする俺。さすがに重い罪ならどうしようかと考えたけど、さす
なったわ﹂
﹁じゃあ、話を始めるわね。まず、レイナーレ、あなたのことなんだけど、お咎めなしに
いされたからだ。
全員とはアーシアもレイナーレも含まれている。呼び方が変わってるのは昨日お願
﹁これで全員そろったわね﹂
63
﹁いいんじゃないか
アーシア、レイナーレ﹂
﹁よろしくお願いしますね。イッセーさん﹂
﹁よろしくな。アーシア、夕麻ちゃん﹂
﹁これであなたたちは今日から私の眷属ね﹂
だ。
そして俺と同じように詠唱し、彼女らの体に駒が入り込む。どうやら成功したみたい
﹁ありがとう、そうね、アーシアには﹃僧侶﹄、レイナーレには﹃兵士﹄かしらね﹂
﹁私もなるわ﹂
﹁悠太さんがそういうなら⋮⋮はい、悪魔になります。﹂
?
﹁大丈夫だよ夕麻ちゃん。俺はもう気にしてないから。それに夕麻ちゃんの事情は悠太
イッセーもそのことを察したのか、
恐らくイッセーを刺したことだろう。
そうレイナーレが気まずそうに何かをイッセーに言おうとする。
﹁⋮⋮イッセー君⋮⋮その⋮⋮﹂
Episode1─5
64
から聞いたしね﹂
そう、実は事前にイッセーにだけはレイナーレのことを話していたのだ。イッセーに
は知っとくべきだと思ったからね。
?
﹂
?
なんか、一生懸命勉強して入った人がかわいそうだな。俺も人のこと言えないけど。
そう少し自慢げに言うグレモリー先輩。
﹁問題ないわ。私のお兄様がここの理事長なの。だから大丈夫よ﹂
それは俺も思った。手続きやら試験はどうすんだろ。
﹁私たちが学校に入れるの
﹂
もちろん悠太もね。学年は、そうねえ、悠太達と同じで構わないわよね
﹁あと、2人には学校に通ってもらうわ。そしてオカルト研究部に入部してもらうわ。
﹁うん。よろしくねイッセー君﹂
65
﹁あとは家ね。このまま協会に暮らすのは問題あるし⋮⋮﹂
そう言って少し考え込み、何かを思いついたのか、俺のほうを見てくる。
おい、ちょとまて、まさか⋮⋮
やっぱりかよ。でも俺は断るぞ。こんな美少女達と暮らせるなんて夢のようなこと
﹁悠太、このまま2人を住まわせてあげてちょうだい﹂
だけど、俺だって普通の高校生なんだ。性欲だってイッセーほどではないがある。間違
いが起きないとは限らない。
第一彼女たちだって年頃の女の子なんだから男と、しかも俺なんかと暮らすなんて嫌
なはずだ。
そう思い、彼女たちの方を見ると、なんか凄く目をきらきらさせてる。
これはもう結果が見えてる気が⋮⋮
こうして俺は彼女たちと住むことになった。
﹁お願いね、悠太﹂
Episode1─5
66
あの後、リアス先輩が用意してくれたケーキを食べ、二人の歓迎会をした。リアス先
輩と呼ぶのは彼女に言われたからだ。
歓迎会では子猫ちゃんが物凄い勢いでケーキを食べていた。前も羊羹食べてたし、甘
いものが好きなのだろう。
途中で、リアス先輩が、今回のご褒美ということで、イッセーにあーんをしていた。
そしたら、それを見た姫島先輩が、物凄く悪そうな笑みを浮かべ、なんと俺にあーん
をしてきた。今度はそれを見たアーシアとレイナーレが畳み掛けるように俺にしてき
た。もうホント心臓に悪い。
特 に 姫 島 先 輩。あ の 人 俺 の 反 応 が 面 白 い の か 何 度 も 俺 の 近 く に 来 て 密 着 し て く る。
その度にアーシアとレイナーレから妙な視線を感じるし、それを姫島先輩がニコニコし
ながら見てる。もう絶対Sだろあの人。
そんなこんなで歓迎会も盛り上がり、夜の7時頃にお開きという形になった。
悪魔になったこと﹂
帰り道、アーシアとレイナーレに、
﹁2人は後悔してないか
?
67
そう聞いてみた。
実は歓迎会中にアーシアは癖なのか何度も手を合わせてお祈りポーズをし、﹁あうっ
﹂と頭を抱えていた。幼い頃から神様に祈ることをずっとしてきた彼女が、悪魔に
せです﹂
﹁いいえ、後悔していません。どんな形でもこうして悠太さんと一緒にいられるのが幸
すると、アーシアが、
なったことでそれが突然できなくなったのだ。
!
そう心の中で決意し、帰るのであった。
なら俺も、彼女たちの笑顔を守れるようがんばらないとな。
そう迷いなく笑顔で言う彼女たち。
﹁私も後悔してないわ。だから、これからもよろしくね悠太くん﹂
Episode1─5
68
戦闘校舎のフェニックス
最初言われた時は断ろうとしたんだけどね。だって武術とか全く知らない素人だか
い﹄とのことで、あの出来事からすぐに一緒に夕方、近くの公園で鍛錬をしている。
基礎鍛錬と言えば、レイナーレ、学校では夕麻と名乗っているが、俺に﹃鍛えて下さ
る。
うだ。木場もいるのでは、と言うと朝の稽古で忙しいとのこと。完全に巻き添えであ
ちなみに俺もやっているのは、競う相手がいた方がモチベーションが上がるからだそ
い﹂とのことで、2週間も前からこうして基礎鍛錬をすることになったのだ。
なぜこうなったかと言うと、リアス先輩曰く、
﹁私の下僕が弱いなんてことは許されな
後ろには、鬼教官ことリアス先輩が、自転車に乗りながら、遠慮なく気合を入れてくる。
早朝、俺は今隣で﹁ぜーはーぜーはー﹂言ってるイッセーと住宅街を走り込んでいた。
﹁くっそ、何で俺まで⋮﹂
﹁ほら、しっかり走りなさい。悠太もよ﹂
Episode2│1
69
らな俺は。でも、あまりにも必死な彼女を見て、ついOKを出してしまった。
でも、問題は何を教えるかだけど悩んだ末に、見聞色の覇気を試しに教えることにし
たら、まさかの二週間で習得しちゃうっていうね。あまり良いアドバイスできなかった
はずなんだけどな。鬼才の域だよ彼女。彼女曰く、人の気配などを感じ取るのは得意ら
しい。
そして、これを見ていたアーシアもまさかの修行したいとのことで、今必死に神器の
使い方をマスターしようと頑張ってる。その頑張りの成果は少しずつ現れてきて、以前
より回復力が格段に上がっている。でも、アーシアには弱点がある。リアス先輩も言っ
てたけど、体力もそうだが、自分を守る手段がないのだ。回復役はとても重要なポジ
ションだ。その存在によっては戦況を大きく変えるだろう。だから、自身を守る手段が
1つは欲しい。そのため、リアス先輩と姫島先輩と相談しながらその手段を考案中だ。
おっと、こんなことを考えてる間にゴール地点である公園に着いたな。
そう死の宣告をする先輩。
﹁お疲れ様。さて、ダッシュ行くわよ﹂
楽になる。これでやっと家に帰れるな。
そう息を切らしながら地面に倒れ込むイッセー。俺も終わったことで少し気持ちが
﹁はぁはぁ⋮⋮﹂
Episode2─1
70
その笑顔は眩しいくらいに輝いていた。
もう、勘弁してよ。
俺はというと⋮⋮
﹁ゆ、悠太さん、大丈夫ですか
?
﹁重いなんて言ったら怒るからね﹂
﹁あ、ああ、大丈夫﹂
﹂
リアス先輩はイッセーの背中に座っている。
ていた。
朝のマラソンとダッシュを終えた俺たちは公園で筋トレメニューの腕立て伏せをし
﹁ういっス⋮⋮六十五⋮⋮﹂
﹁あなたの能力は基礎が高ければ高いほど意味があるのよ﹂
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レ イ ナ ー レ と ア ー シ ア が 背 中 に 座 っ て い る。ア ー シ ア な ん か も う ほ ぼ 俺 の お 尻 に
座っている。
ぶっちゃけ練習メニューはさほどきつくなかったが、精神的にかなり疲労していた。
なんせ2人のお尻の感触が背中越しに伝わってくるんだ。もうほぼ俺の場合肉体的と
いうより精神的な訓練になっていた。
!
に参戦してきて、今は一緒に作っている。
途中でレイナーレが、
﹃私も負けてられない﹄と何に競ってるのか知らないけど、料理
何度癒されたことか。
料理旨かったよと伝えると、
﹃ありがとうございます ﹄と物凄く輝く笑顔で言われ、
に。
なんせアーシアの料理は絶品。物凄くうまい。もうお店に出せるレベルってくらい
たり、食事を作ってくれたりとかなり助かっている。
実際家でも、俺とレイナーレが特訓から帰ってきたときには、お風呂沸かしてくれて
は気が利くよな。
アーシアの持参した水筒に入ってるお茶で、水分補給をする俺たち。本当にアーシア
﹁悠太さん、イッセーさん、お茶です﹂
Episode2─1
72
しかし、最初のレイナーレの料理は凄かった。
初めて料理をする、ということでまずは簡単な卵焼きを作ろうってことになったんだ
﹄なんて言われたけど、そんな顔されたら食べる
けど、出来上がったのは、焦げまくった卵焼きだった。もう木炭と変わらないくらいの
色してたなあれ。
もし悩みがあるなら言ってくださいね。お力になれるよう頑張りま
あ、ああ悪い考え事してた﹂
すから﹂
﹁そうなんですか
?
やっぱり気が利く。ほんとに彼女は良いお嫁さんになるよ。
?
﹁え
アーシアの声により考える思考をやめる。
﹁⋮⋮たさん⋮⋮悠太さん﹂
用ながらに一生懸命やるところが可愛いよな。
アに教わったのか、普通に料理できるようになっている。なんかこうレイナーレは不器
しかないだろ。そう思って結局全部お茶で流し込んで食べた。今はもう普通にアーシ
﹃む、無理に食べなくてもいいからね
!
73
﹁部長、そろそろ帰りましょう。じゃないと遅刻しますよ﹂
トレーニングを終え、帰宅を促すイッセー。
﹂
だが、肝心のリアス部長はボーっとしたまま、あらぬ方向を見ていた。
﹁部長
するとイッセーの顔が視界に入ったのか、ハッと我に返った。
?
﹁ご、ごめんなさい。少しボーッとしてたわ。それでなにかしら
﹁いや、そろそろ帰りましょうって﹂
﹂
そう言うと立ち上がり、公園を去っていった。
﹁なぁ悠太、最近の部長変じゃないか
?
﹂
不思議に思ったのか、イッセーが部長の顔を覗き込むようにして言う。
?
﹁え、ええ、そうね﹂
Episode2─1
74
そう俺に聞いてくるイッセー。
どうやらイッセーも気づいていたらしい。
ここ一週間のリアス先輩はずっとあんな感じだ。どこかボーッとしていて、深いため
息もよくついている。なにかあったのか
?
そう4人で部長の後姿を見ていた。その後姿はどこか悲しげにも見えた。
﹁同感ね。私もよ﹂
﹁私も少し変だと思います﹂
75
次の日の朝、
顔をしていた。何かあったんだろう
﹂
セーが来なかったのだ。それを問い詰めようとしたら、目にクマがあり、ゲッソリした
そう俺が通学路でイッセーに聞く。実は今日の朝トレーニングにリアス先輩とイッ
﹁お、おいイッセー、どうしたんだよそのクマは。何かあったのか
?
﹂
こいつ。とうとう頭狂ったのか。いや、元からか。
﹁ぶ、部長のおっぱいが﹂
?
何言ってんだ
?
﹁は
Episode2─1
76
﹁す、すまん、端折りすぎた﹂
そういうわけで、昨晩あったことを話してもらった。
なんと、あのリアス先輩がイッセーに夜這いを仕掛けたらしい。そしたらクールな銀
髪メイドさんがきて、それを阻止、彼女と一緒に帰って言ったらしい。
それでなぜイッセーがこんな顔をしているかというと、銀髪のメイドさんが来る前
﹂
に、リアス先輩の全裸を見てしまい、それが頭に残り、朝まで1人で自分を慰めたんだ
そうだ。
もうなんか、心配して損した。
俺が哀れんだ目で見てると、
興奮しないほうがおかしい
﹂
!
﹁だ、だってしょうがないだろ 部長の生おっぱいだぞ
うわ、こいつ開き直りやがったな。
﹁お前だって夕麻ちゃんの裸見たら絶対そうなるからな
なんでここでレイナーレ出てくるんだよ。
!
!
!
77
でも、レイナーレの裸か。
そ し て 俺 は 少 し 想 像 し て み た。彼 女 の 裸 を ⋮⋮ い や、や め よ う。こ れ 以 上 は よ く な
い。
俺は煩悩を全力で振り払い、イッセーから聞いた話を頭の中で整理し始めた。
問題はなぜわざわざリアス先輩がそんな事をしたか、だな。俺から見た限りでは、リ
アス先輩がそんことをする人間には見えない。好きな人には別だが。そして急に現れ
ってかなんで処女あげる相手がイッセーなんだ
た、ということは何か急いでたんだよな。急いで人に処女をあげるようなことってなん
だ
?
﹂
そう耳元で俺に言ってきた。それは俺も感じていた。しかも、かなり強い力を持つ人
?
う途中、
放課後、俺とアーシアとイッセーとレイナーレと途中で合流した木場で、部室に向か
ま、じきにわかるだろ。そう思い、教室へと入っていく。
そんなことを考えてるうちに俺たちは学校に着いた。
?
﹁ねえ、悠太君。部室に誰かいない
Episode2─1
78
のようだ。でも、どこかで感じたことがあるような気がするな。
部室の扉の前に到着したとき、ようやく木場が気づいたのか、目を細め、顔を強張ら
せる。
イッセーは気づいていないらしく、すんなりとドアを開ける。
中にいたのは、リアス先輩、姫島先輩、子猫ちゃん、そして︳︳︳イッセーの言って
いた銀髪メイドだった。
?
でもあの姿、どこかでみたことあるような⋮⋮
﹂
すると、銀髪メイドが振り向き⋮⋮ってあれ、え
もしかして⋮⋮
﹁ぐ、グレイフィアさん
?
そう恐る恐る俺に聞いてくる。
﹁ゆ、悠太様⋮ですか
﹂
そして俺の顔を見た彼女は驚いた顔をし、
?
79
﹁はい。久しぶりですね﹂
﹂
そう笑顔で言うと、彼女は突然涙を流し
ぐ、グレイフィアさん
そして俺に抱きついてきた。
﹁ちょっ
なぜ抱きつかれたのかわからず慌てる俺。
!?
﹂
そう言って泣きながら俺の胸に顔を擦り寄せるグレイフィアさん。
!
!?
﹁ずっと⋮⋮ずっと⋮お会いしとうこざいました⋮
Episode2─1
80
81
周りはこの光景に、ただただ固まるのだった。
Episode2│2
﹁なるほどね。そうしてあなたたちは知り合ったのね﹂
とりあえず話せる範囲で事のいきさつを説明する。
しかし、まさかグレイフィアさんと再会するなんてな。しかも彼女はグレモリー家の
メイド長をやっているようだ。
そう意地の悪い笑みを浮かべ、グレイフィアさんを見るリアス部長。
﹁しかし、あのグレイフィアがあんなに取り乱すなんてねぇ﹂
そう上機嫌になるリアス先輩。
﹁ふふ、まあいいわ﹂
そうきれいなお辞儀をするグレイフィアさん。その動作は凄く洗礼されていた。
﹁すみませんお嬢様。取り乱したこと深く謝罪いたします﹂
Episode2─2
82
昨日のこと、根に持ってるんですね。
﹂
﹁⋮⋮なんで﹂
﹁ん
﹂
もう着々とハーレム築いてるじゃねーか
んな綺麗なメイドさんとも知り合いだし、羨ましすぎるだろぉぉぉ
﹁なんでいっつも悠太ばっかりなんだよ
あ
!!
?
いからな
フェニックス
不死鳥のか
?
そして魔方陣から人影が姿を現す。
?
近くにいた木場がそう呟いた。
﹁︳︳︳フェニックス﹂
別の知らない形へと変わった。
すると、突如床に描かれた魔法陣が光りだす。そしてそれがグレモリー家の模様から
ってかまた羊羹食べてるんだな。好きだね甘いもの。
そうバッサリと言う子猫ちゃん。
﹁⋮⋮普段の行いが悪いからです﹂
?
そう俺にキレてくるイッセー。いや、まってくれ、そもそもハーレムなんて築いてな
!!
!!
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魔方陣から炎が巻き起こり、室内を熱気が包み込む。
俺は咄嗟に室内を冷気で満たし、調和する。
﹁ふう、人間界は久しぶりだな﹂
出てきたのは赤いスーツを着た1人の男性だった。
スーツを着崩しているせいか、ネクタイもせず、胸までシャツをワイルドに開けてい
た。なんかホストみたいな男だな。
そして彼はリアス部長を見つけ、馴れ馴れしく腕を触ったりしている。
低く迫力のある声でリアス先輩は男の手を振り払った。もう絶対怒ってるよリアス
﹁⋮⋮放してちょうだい、ライザー﹂
先輩。
そして、俺の隣にいたイッセーが我慢できなくなったのか、
?
﹁あ、誰、お前
﹂
そうあのホスト男に物申すイッセー。
﹁おい、あんた。部長に対して無礼だぞ﹂
Episode2─2
84
兵藤一誠だ
﹂
対してホスト男は、道端のゴミを見るような目で不機嫌そうに言う。
﹁俺はリアス・グレモリーさまの悪魔眷属
そう自慢げに言うイッセー。
!
﹁つーか、あんた誰だよ﹂
﹁リアス、俺のこと説明していないのか
?
なんかことごとく嫌われてるなあの人。
そう間髪いれず言うリアス先輩。
﹁話す必要がないから話してないだけよ﹂
﹂
そっけない態度をとられて若干ショックを受けてる。
しかし、ホスト男は興味なさそうな反応を見せ、リアス先輩の方を向く。イッセーは
﹁ふーん。あっそ﹂
!
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﹁こちらはライザー・フェニックスさま。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェ
ニックス家のご三男であらせられます﹂
そうグレイフィアさんが紹介してくれる。
﹂
﹁そしてリアスお嬢様とご婚約されておられるのです﹂
﹁えええええええええええええええええッッ
そうか、だからリアス先輩は最近この事で悩んでたのか。結婚するのが嫌で。
てな。
イッセーが絶叫するのもわかる。まさかこんなやつと結婚しなくちゃならないなん
!!
姫島先輩のお茶を褒めるホストやろう。彼女もニコニコしてるけど、いつもの笑顔
﹁痛み入りますわ﹂
﹁いやー、リアスの﹁女王﹂が淹れてくれたお茶はおいしいものだ﹂
Episode2─2
86
じゃないなあれは。絶対不機嫌になってるよ姫島先輩。
そしてホストやろうはというと、リアス先輩と同じソファーに座り、肩を抱いたりし
ている。
﹂
私はあなたと結婚しないわ﹂
それにうんざりきたのか、リアス先輩の我慢は限度を超え、
﹁いい加減にしてちょうだい
以前にも言ったはずよ
室内に彼女の激昂が響き渡る。
﹁ライザー
!
戦で純血の悪魔はかなり希少となった。キミだってそのことは理解しているだろう
リアス先輩の言葉を聞き、ライザーは満面の笑みを浮かべる。
﹁私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ﹂
のは当然だ。それともキミは長く続いたグレモリー家を潰す気かい
﹂
ましてやキミの家は跡取りがリアスしかいない。そうなってくると早急に結婚させる
?
﹁ああ、以前も聞いたよ。だが、リアス、君の御家事情は切羽詰まってるはずだ。先の大
!
!
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?
﹁おおっ、さすがリアス。じゃあさっそく俺と︳︳︳﹂
そうバッサリとライザーの言葉を遮り言うリアス先輩。
﹁でもあなたとは結婚しないわライザー。私は私が良いと思った人と結婚する﹂
するとライザーは不機嫌になり、
﹁⋮⋮俺もな、リアス。家の看板背負ってる悪魔なんだよ。この名前に泥を塗るわけに
はいかないんだよ﹂
そう言うと、ボワッとライザーの周囲を炎が駆け巡る。
﹁なら、俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界につれて帰るぞ﹂
室内に殺意と敵意が全体に広がる。
リアス先輩もライザーと対立し、紅い魔力のオーラを全身から薄く発し始める。
2人の放つプレッシャーに、隣でアーシアが震えながら腕に抱きついてきた。レイ
ナーレと子猫ちゃんと木場は震えてこそいないが、臨戦態勢に入ってもおかしくない空
気を作り出していた。
その中で俺以外に取り乱さず、冷静に介入するものがいた︳︳グレイフィアさんだ
﹁お嬢様、ライザー様、落ち着いて下さい。これ以上やるのでしたら、私も黙ってみるわ
Episode2─2
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けには行かなくなります。サーゼクス様の名誉のためにも遠慮しないつもりです﹂
そう静かで迫力のある言葉をグレイフィアさんが口にすると、部長もライザーも表情
を強張らせた。
挑戦的な物言いホスト男が口元をにやけさせる。
﹁いいわ、こんな好機もうないもの。ゲームで決着をつけましょう、ライザー﹂
お願いしてみようかな。
へえ、なるほどね。それは面白そうだな。俺も出たいな。あとでグレイフィアさんに
として、お二方には﹃レーティングゲーム﹄にて決着をつけてもらいます﹂
﹁こうなることは旦那さまもフェニックス家の方々も予想済みです。ですから最終手段
そう言って臨戦態勢を解いた。
サーゼクス様の眷属とは絶対に相対したくないからな﹂
﹁⋮⋮最強の﹃女王﹄と称されるあなたにそんなことをいわれたら、俺もさすがに怖いよ。
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﹁へー受けちゃうのか。俺は成熟してるし何度もこのゲームを体験している。しかも全
勝だ。それでもやるのか、リアス﹂
﹂
ホスト男はさらに挑発的な態度でリアス先輩に返す。
﹁やるわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる
睨み合う両者。激しい眼光をぶつけ合っている。
﹁承知いたしました。ご両家の皆様には私からお伝えします﹂
確認したグレイフィアさんはぺこりと頭を下げた。
すると、ライザーが、
?
そう言って俺に馬鹿にしたような視線を向けてくる。なんか腹立つな。俺はそっと
るし﹂
しかもなぜか人間までい
﹁いいだろう。そちらが勝てば好きにすれば良い。俺が勝てば即結婚だ﹂
!
﹁なあ、リアス。まさか、ここにいる面子がキミの下僕なのか
Episode2─2
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﹂
目を写輪眼に変え、あいつと目を合わす。
﹁だとしたらどうなの
?
お前何してんだよほんと。部長も困り顔で額に手を当てていた。
﹁お、おい、リアス⋮⋮この下僕君、俺を見て大号泣してるんだが﹂
質じゃなく、数できたか。
っ て か 全 員 女 の 子 な ん だ な。し か も ほ と ん ど の 子 が た い し た 力 を 持 っ て い な い な。
属悪魔らしき者達が集結した。
そう言いながら、ライザーが指をパチンと鳴らすと、魔法陣が現れ、総勢十五名の眷
俺の可愛い下僕に対抗できそうにないな﹂
﹁これじゃ、話にならないんじゃないか
キミの﹃女王﹄である﹃雷の巫女﹄ぐらいしか
部長の答えにクククとおもしろおかしそうに笑い出し、
?
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﹁その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕たちを見て感動したんだわ﹂
﹁きもーい﹂
そして彼は1人の女の子に歩み寄り、濃厚なディープキスをした⋮⋮はずだった。
なんかやるらしいなアイツ。やるなら今だな。
ろう﹂
﹁そう言うな、俺の可愛いお前たち。そうだ、ここは1つあいつらに良いものを見せてや
Episode2─2
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﹁あなた⋮⋮なにしてるの
?
﹂
そう言ってもう一度その子を見ようとしたとき、彼の視界に入ってのは、
﹁は
何って俺は今子のこと⋮⋮⋮﹂
リアス先輩がこいつ頭大丈夫かみたいな目で彼を見る。
?
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イッセー。
﹂
?
﹁は
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95
そう。彼はイッセーと突然キスを始めたのだ。
この出来事にライザーの眷属は唖然としている。
あまりに突然キスをされたイッセーは見事に固まってる。しかもライザーにディー
プで。
すまないイッセー。キミの犠牲は無駄にはしない。
リアス先輩と子猫ちゃんなんか汚いものを見る目で彼を見ている。
グレイフィアさんと姫島先輩は肩を震わせていた。恐らく笑いを堪えているんだろ
う。
﹁ど、どうなってんだ
これは
﹂
!?
﹁ち、違うんだこれは
﹁えっと⋮⋮ライザー
﹂
うんうん。混乱してるね。これはネタバレしないほうが面白いな。
⋮⋮どうなってんだ一体⋮⋮﹂
少しかわいそうなものを見る目で眷属が彼を見ている。
﹁ら、ライザー様⋮⋮﹂
1人で混乱するライザー。
!?
!
?
Episode2─2
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一応念のため大丈夫か確認するリアス部長。
あ、あれ
なんか、彼が可愛そうになってきたな。少しやりすぎたかな。
﹁はははは、そうだ、これは夢だ。夢の中だ。いやーひどい夢だったよほんと、まさかラ
ライザーが帰った後から数分後、ようやくイッセーは正気に戻り、
眷族と彼の距離が見事に離れていた。終わったなライザー。
そうグレイフィアさんが告げ、彼らは帰っていった。
﹁で、では十日後に行います﹂
?
﹁あ、ああ。だ、大丈夫だ﹂
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イザーとディープキスするなんてな。危うく俺のファーストキスが奪われるとこだっ
たぜ。﹂
そう目に涙をためながら現実逃避をするイッセー。
﹁え、ええ、そうね﹂
現実を突きつけるのがあまりにも可愛そうだと思ったのか、その話に乗るリアス部
長。
﹂
な、なんかまずいな。ばれたら殺されるかもしれん。
そう思い、帰ろうとしたら、
そうグレイフィアさんに呼ばれた。
﹁あれは悠太様が何かされたのですか
?
﹁悠太様﹂
Episode2─2
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ちょっとまて、まさかグレイフィアさん気づいてたのか
そう俺に聞いてきた。
﹁私は幻術とは一言も申しておりませんよ﹂
し、しまった。墓穴掘った。
くそ、こうなれば強行突破だ。なんとしても家に帰る。
そう思い逃げようとしたら、
!
﹂
ガシッ
﹁え
?
?
え
?
﹁え、いや、俺が幻術なんてかけるわけないじゃないですか﹂
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恐る恐る振り返ると、
﹂
姫島先輩がなんともいい笑顔で俺の手を掴んでいた。
﹁あらあら、どこに行くおつもりですか
﹁い、いや、ちょっとトイレに⋮⋮﹂
そう、お得意の悪い笑みを浮かべながら俺に言う姫島先輩。
?
いた。なんだろう。なんか後ろに赤いドラゴンがみえるんですけど。
とんでもないオーラを放ちながらイッセーがゆっくりと俺のほうに歩み寄ってきて
名前を呼ばれ恐る恐るそっちを向くと、
﹁なぁ、悠太⋮⋮﹂
Episode2─2
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﹁おまえが⋮やったのか
﹁裁判長。判決を﹂
﹂
﹁ま、まってくれ。俺は無罪だ﹂
て、
そうぷくっと頬を膨らませ言うアーシア。怒ってても可愛いアーシア。っじゃなく
﹁悠太さん。嘘はいけません﹂
まずい、子猫ちゃんまで敵にまわってしまった。
﹁⋮⋮そういう人ほど犯人﹂
﹁そ、そんなわけないだろ。第一証拠がないぞ﹂
?
そうレイナーレがイッセーに促す。お前もそっちの味方かよ
!
101
その判決とともに俺の死が確定した。
﹁お前は⋮⋮⋮死刑﹂
Episode2─2
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