第 7回 大 学 院 文 学 研 究 科 共 同 研 究 会 テーマ「明治論」 日 時 : 201 6 年 10月 17 日 ( 月 ) 1 6: 3 0~ 1 8 :00 会 場 : 板 橋 キ ャ ン パ ス 2号 館 2階 ◇研究発表 16:30 2 - 022 1 会 議 室 16:30~ 17:30 森鷗外とオクトーバーフェスト ( 日 本 文 学 専 攻 )美 留 町 義 雄 オクトーバーフェストといえば、ドイツ発祥の盛大で陽気なビール祭りとして、一般に知ら れている。意外なことだが、森鷗外がミュンヘンに滞在していた折、オクトーバーフェストを 訪れていたことは、あまり知られていない。研究者の間でも、このことは特に注目されて来な かったようだ。南ドイツの田舎風の収穫祭、あるいは、ビール好きの酔客でごった返す大宴会 という催しの性格が、学問的対象としてふさわしくない印象を与えるのかもしれない。 し か し 、オ ク ト ー バ ー フ ェ ス ト に つ い て 知 れ ば 知 る ほ ど 、こ れ が 単 な る ビ ー ル 祭 り で は な く 、 ド イ ツ の 歴 史 と 政 治 に 深 く 根 ざ し た 祭 事 で あ る こ と が 明 ら か に な る 。そ し て 、鷗 外 と の 関 連 も 、 単なる祭り見物に留まるわけでもなさそうだ。本発表では、オクトーバーフェストに関するド イツの史的文献を踏まえ、この行事の発祥や推移、また社会的役割を可能な限り詳しく紹介す る。それを通じて、鷗外が実際に目にした祭りの模様を再現すると同時に、その光景の背後に 潜む歴史・政治的イデオロギーを検証し、それが鷗外や彼のテクストに及ぼした影響を考えた い。 16:50 夏目漱石の書画蒐集 ( 書 道 学 専 攻 )髙 橋 利 郎 漱石の蔵書や書簡、自筆の書画などについては、各種の全集や書画集などにまとめられ、そ のアウトラインを知ることができる。 一方で、これまで、漱石が所蔵した書画骨董を集成した研究は見あたらないようである。漱 石が自ら道具屋に赴いたり、人づてに依頼したりしながら書画骨董を蒐集したことは、日記や 夫人の回顧録などから確認することができる。所蔵する「石鼓文」の拓をベースに『こゝろ』 の装幀を自ら手がけたことがよく知られている通り、こうした蒐集は漱石の書画制作に大きな 影響を与え、小説の装置として登場する機会も少なくない。 また、良寛や明月など、漱石以前の江戸・東京では紹介される機会の少なかった人物の書に 積極的な評価を与えたことで、書道史的な視野に広がりが生まれたことも事実である。 今回の発表では、漱石が蒐集した書画について、売立て目録や日記などから具体的な例を紹 介し、その蒐集過程の一部を明らかにしたい。 17:10 明 治 時 代 ( 1 8 6 8 -1 9 1 2 ) に お け る ラ フ カ デ ィ オ・ハ ー ン の 活 躍 ― 夏 目 漱 石 の 目 を 通 し て ― (英文学専攻)里見繁美 一般の人にとってラフカディオ・ハーン(小泉八雲)といえば、日本の怪談話「雪おんな」 や 「 む じ な 」、「 耳 な し 芳 一 」 に よ っ て 知 ら れ る 人 物 で あ る 。 と こ ろ が 、 ハ ー ン は い ろ い ろ な 点 において先駆者であり、また日本の偉大な人物により尊敬された人でもあった。そこでハーン に関係する顕著な出来事の中から、特筆すべきものを二つ取り上げて解説してみたい。先ず一 つ は ア メ リ カ 時 代 の 新 聞 記 者 と し て の 業 績 で あ り 、残 り の 一 つ は 日 本 に お け る 教 育 者 お よ び 文 学者としての側面である。アメリカでの新聞記者時代に、ハーンは活字だらけの新聞を、イラ ス ト 入 り で か つ 大 小 の ヘ ッ ド ラ イ ン を 大 々 的 に 取 り 入 れ た 紙 面 構 成 に 変 え て 、今 日 の 新 聞 に 近 づ け た の で あ る ( 1 8 7 4 年 11 月 9 日 )。 ま た 日 本 時 代 ( 1 8 9 0 - 1 9 0 4 ) に は 、 教 育 者 と し て 夏 目 漱石に尊敬される人物となっていったのである。こうしたことに触れたいと思う。 ◇質疑応答 17:30~ 18:00 司会(日本文学専攻)冨樫純一 各 発 表 者 を 囲 ん で FDの 観 点 も 採 り 入 れ た 意 見 交 換 を お こ な い ま す 。 他学部・研究科教員の来聴、大学院生の来聴、歓迎します 主催:大東文化大学大学院文学研究科 問 合 せ 先 : 大 学 院 事 務 室 ( 1号 館 2階 ) 電 話 03-5399-7344
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