27 第4章 国内における子供の人体寸法計測に関連した調査研究 4

27
第4章
国内における子供の人体寸法計測に関連した調査研究
4-1.
「乳幼児身体計測報告書(昭和 48 年)
」製品安全協会
乳幼児用の製品設計、安全基準作成に係わる 21 項目を、0 歳から 6 歳の
男女 774 名について計測した。
調査目的
乳幼児用器具類の設計のために必要な身体各部の寸法を計測し、実態を把
握するとともに、安全基準作成のための資料とすることを目的とする。
実施者
下記調査委員を委嘱して行った。実際の測定は専修大学社会体育研究所の
阿久津邦男教授を代表とする時岡醇、中原伸記、石黒弘、三沢幸雄らのグルー
プと、慈恵医科大学小児科の岡部武史医員を代表とする富田有祐らのグループ
が行った。
調査委員
内藤
寿七郎
愛育病院長
浅野
秀二
国立小児病院副院長
知久
篤
日本人間工学会常任理事
国分
義行
慈恵医科大学教授
阿久津邦男
専修大学教授
調査期間
1973(昭和 48)年 7 月 12 日∼8 月 23 日
調査対象
東京都およびその近郊の中都市における 12 団体を無作為に抽出した。年齢
別被験者数を表4-1に示す。
計測姿勢
立位姿勢:背すじを緊張することなく伸ばし、肩の力をぬいて上肢を自然
に下垂する。頭部は耳眼面水平位を保ち、前方を注視する。
28
座位姿勢:背すじを自然に伸ばした姿勢で、耳眼面水平位を保ち、前方を
注視する。左右の大腿はほぼ平行にし、膝の角度はほぼ直角とする。
表4-1.年齢別被験者数
年・月齢
男子 女子 計
0歳 1∼3
11
10
21
0歳 3∼6
53
41
94
0歳 6∼9
18
16
34
0歳 9∼12
10
7
17
1 歳 0∼6
14
10
24
1 歳 6∼12
6
9
15
2 歳 0∼6
6
8
14
2 歳 6∼12 18
9
27
3 歳 0∼6
14
10
24
3 歳 6∼12 14
8
22
4 歳 0∼6
18
25
43
4 歳 6∼12 48
55 103
5 歳 0∼6
48
57 105
5 歳 6∼12 79
66 145
6 歳 0∼5
35
51
86
合計
392
382
774
※ たとえば月齢の 1∼3 月の表示は生後 1 ヶ月以上 3 ヶ月未満を示す
計測項目
乳幼児のための保健・育児用器具などの設計のために必要と考えられる 21
項目を選んだ。計測法を表4-2に示す。1歳未満の乳児の測定は臥位姿勢で行
った。胸囲の計測法は、更に検討の余地があるため、報告書に統計量が出てい
ない。
29
表4-2.計測項目と定義
計測項目
1
2
3
4
方法
身長※
体重
座高
座面高※
立位で床面から頭頂点までの垂直距離
10g まで。原則としてパンツのみ着用
座位で座面から頭頂点までの垂直距離
座位で下腿を自然に下垂させ、足関節をほぼ直角にした際の座面上縁から
足底部までの垂直距離
5 肩峰高※
立位で床面から肩峰点までの垂直距離
6 肩幅
上肢か下垂した状態で、左右の三角筋部の肩の外側面間の幅。桿状計と皮
膚の接点間で求める
7 座位殿幅※
座位姿勢(座高参照)で左右殿部の最膨隆部位間の幅
8 胸囲
立位で右乳頭点を通る水平周長
9 胸厚さ
立位で乳頭位における胸部前後の最大突出部位間の矢状面に平行な水平
直線距離
10 腹厚さ
立位で腸骨稜点の位置における腹部前後の最大突出部位間の矢状面に平
行な水平直線距離
11 殿-膝蓋間長※ 椅子座位での、殿部後縁から膝蓋骨前縁までの水平直線距離
12 座位下肢長
座位で、下肢をできるだけ水平前方に伸ばし、足関節を直角にした状態で
の殿部後縁から踵部前縁までの直線距離
13 頭幅※
左右の側頭点間の直線距離
14 頭長※
眉間点から後頭点までの直線距離
15 全頭高※
頭部を耳眼面水平位にしたときの、頭頂点からオトガイ点までの垂直距離
16 上肢長※
立位で肩峰点から中指尖端までの垂直距離。手指は原則として前腕の延長
上に自然に伸ばす
17 手長※
橈骨茎突点と尺骨茎突点を結ぶ掌面の線の中点から指先点までの直線距
離
18 手幅※
橈側中手点から尺側中手点までの直線距離
19 股下高※
立位で、床面から会陰点までの高さ
20 足長※
立位で、踵点から足先点までの直線距離
21 足幅※
立位で脛側中足点から腓側中足点までの直線距離
※:1 歳未満の乳児は臥位姿勢で計測
文献
製品安全協会、昭和 48 年:乳幼児身体計測報告書
30
4-2.
「幼児身体計測報告書(昭和 54 年)」製品安全協会
乳幼児用の製品設計、安全基準作成に係わる 25 項目を、2 歳から 6 歳の
男女 486 名について計測した。
調査目的
「乳幼児身体計測報告書(昭和 48 年)製品安全協会」の資料を参考にして
いたが、乳幼児の発育の変化や工場や製品の複雑化に対応してより詳細で科学
的なデータに基づいた製品設計が強く求められるに至ったため、乳幼児の人体
各部位の寸法を系統的に計測し、設計改善や安全基準作成のために資料とする
ことを目的とする。
計測者
阿久津 邦夫
専修大学教授
現専修大学名誉教授(健康科学論)
石黒
弘
高千穂商科大学助教授
時岡
醇
慈恵医科大学講師
三沢
幸雄
高千穂商科大学助教授
今野
広隆
高千穂商科大学講師
現高千穂大学教授
現高千穂大学教授
現高千穂大学教授
計測期間と場所
1979(昭和 54)年 7 月 12 日∼11 月 5 日
無作為に抽出した東京都およびその近郊の中都市にある幼稚園、保育園 8
団体
計測対象
生後 2 年∼6 年 6 ヵ月までの幼児。男子 267 名、女子 219 名(計 486 名)。
表4-3参照。
計測姿勢
昭和 48 年の計測に準じる
正立位:背すじを過度に緊張することなく伸ばし、肩の力を抜いて上肢を自然
に下垂した自然な立位姿勢。頭部は耳眼面水平位に保ち、前方を注視する。
座位:自然ないす座位。大腿部は平行にして、膝関節はほぼ直角に曲げる。頭
31
部は耳眼面水平位を保ち、前方を注視。
表4-3.月齢別被験者数
年・月齢
2歳
3歳
3歳
4歳
4歳
5歳
5歳
6歳
0∼11
0∼5
6∼11
0∼5
6∼11
0∼5
6∼11
0∼5
合計
男子 女子
計
6
10
27
45
46
31
66
36
8
13
28
33
33
30
31
43
14
23
55
78
79
61
97
79
267
219
486
計測項目
乳幼児のための保険・育児用器具などの設計の基礎資料を得るためのもの
であるため、設計上必要と考えられる 25 項目を選んだ。この他に、体重と皮下
脂肪の相関性を検討するために、上腕、背部、腹部の3ケ所についての皮下脂
肪厚を計測した。表4-4参照。
文献
製品安全協会、昭和 54 年:幼児身体計測報告書
32
表4-4.計測項目
計測項目
計測器
方法
1 身長
2 体重
3 胸囲
身長計
体重計
巻尺
4 座高
5 上肢長
身長計
杆状計
6 胸部厚径
杆状計
7 腹部厚径
杆状計
8 胸幅
触角計
立位で床面から頭頂点までの垂直距離
10g まで。原則としてパンツのみ着用
立位で右乳頭点を通る水平周長。呼気と吸気の中間位
で測定
座位で座面から頭頂点までの垂直距離
立位で肩峰点から中指尖端までの垂直距離。手指は原
則として前腕の延長上に自然に伸ばす
立位で乳頭位における胸部前後の最大突出部位間の矢
状面に平行な水平直線距離。呼気と吸気の中間位で測
定
腸骨稜点の位置における腹部前後の最大突出部位間の
矢状面に平行な水平直線距離
乳頭点位における胸部の最外突出部位間の水平距離。
呼気と吸気の中間位で測定
立位での殿部の左右最外突出部位間の水平直線距離
座位姿勢での殿部の左右最膨隆部位間の横方向の水
平直線距離
座面から、手掌を内側に向けて前腕を水平にしたとき
の、肘の下端までの距離(肘頭下端高)
足底から座面までの垂直距離。下腿を自然に下垂させ、
足関節を直角にする
いす座位で、下肢をできるだけ水平前方に伸ばし、足関
節を直角にした状態での、殿部後縁から踵部前縁までの
直線距離
いす座位で上腕を自然に下垂し、手掌を内側に向けて前
腕を水平にしたときの、肩峰点から肘頭下縁までの垂直
距離
三角筋部位における上腕の最外突出部位間の横方向の
水平直線距離。Bideltoid breadth
左右の側頭点間の直線距離
眉間点から後頭点までの直線距離
第2指の爪の近位端位における指の幅
第2指の爪の近位端位における指の厚み
第2指つけねにある掌側屈曲線の中点から第2先端まで
の直線距離
橈側中手点から尺側中手点までの直線距離
橈骨茎突点と尺骨茎突点を結ぶ掌面の線の中点から指
先点までの直線距離
立位(両足均等荷重)で、踵点から足先点までの直線距
離
立位(両足均等荷重)で脛側中足点から腓側中足点まで
の直線距離
床面から第1指指節間関節上縁までの高さ
9 立位殿幅
10 座位殿幅
杆状計
杆状計
11 座面・肘頭距離
上体反し器
12 下腿高(座面
高)
13 座位下肢長
下腿高測定器
身長計
14 肩峰・肘頭距離
杆状計
15 肩幅(最大腕外
幅)
16 頭幅
17 頭長
18 第Ⅱ指幅
19 第Ⅱ指厚
20 第Ⅱ指掌側長
杆状計
触角計
触角計
滑動計
滑動計
滑動計
21 手幅
22 手長
滑動計
滑動計
23 足長
杆状計
24 足幅
滑動計
25 足指高
滑動計
33
4-3.
「幼児の行動領域についての調査研究報告書」製品安全協会
調査目的
幼児の上肢、下肢の行動領域を測定することにより、手の届く範囲と動作
や作業ができるスペースと空間やモノとの関係を分析し、寸法の適合性を検討
する。また、幼児の行動領域を計測し、安全性について考察する。
首班
坂田
種男(千葉大学)
調査期間
1982(昭和 57)年 6 月∼1983(昭和 58)年 2 月
調査1:手の届く範囲
計測対象と場所
3 歳∼5 歳の男女、約 150 名。3 カ所の保育園。
調査方法
5cm 間隔のグリッドを描いた測定板の前に被験者を立たせ、正面(約 7m)
、
側面(約 7m)、上方(約 12m)の距離から 100mm 望遠レンズを用いて写真撮影を
行った。各方向からの写真を、以下の姿勢をとらせた状態で撮影した。このと
きの、頭頂部、両手と両足の先端の位置を座標値として表した。座標系は頭頂
点を通る上下方向が X 軸、床面で左右方向が Y 軸。撮影条件による拡大は補正
した。
立位正面:1)通常の姿勢、2)両手を左右に広げた姿勢、3)両手を上に挙
げた姿勢、4)両手を左右に広げ、両足を開いた姿勢、5)両手を上に挙
げて、両足を開いた姿勢。
座位正面:座面高 28cm のいすにすわり、6)両手を左右に広げた姿勢、7)両
手をかるく上に挙げた姿勢、8)両手を思いきって上に挙げた姿勢
立位側面:9)両手を肩の高さまで前方に挙げた姿勢
座位側面:座面高 28cm のいすにすわり、10)手を肩の高さまで前方に挙げた
姿勢
34
調査2:作業面上の作業領域
計測対象と場所
3 歳 24 名、4 歳 24 名、5 歳 25 名、合計 73 名。都内の保育園1カ所。
調査方法
90cm×120cm の黒板に 5cm のグリッドを入れたものを机面とする測定台の
前においた椅子に幼児をすわらせる。幼児は両手にチョークを持ち、両手をで
きるだけ伸ばし、さらに上体も曲げて、チョークが最も遠くに届く点を求める。
それから両手を次第に広げながら身体を前方にかがませ、最終的には測定台上
に両手をいっぱいに広げた姿勢までチョークで画ける範囲を求める。
次に通常の姿勢に戻し、ごく自然な姿勢を保たせながら、5 歳児には自分
の名前を、3-4 歳児で自分の名前を書けない者には△や○などの記号を書かせ、
その測定台に対する位置を求めた。
調査3:行動域と屋内保育スペース
写真撮影とスケッチにより、一斉保育(全員が同じことをする)、自由保育
(各人が自由に行動)での個体の広がりを調べた。対象は 3-5 歳児 101 名。
調査4:行動域と屋外保育スペース
遊びに必要な空間を定量的に調べることを目的とする。
対象は 3-5 歳児 101
名(3 歳 1 名、4 歳 45 名、5 歳 55 名)。
広場、砂場、低鉄棒、雲梯、滑り台+太鼓橋、多目的遊具における、一人
当たり占有空間は、広場>低鉄棒>滑り台+太鼓橋>雲梯>多目的遊具>砂場。
文献
製品安全協会、昭和58年:幼児の行動領域についての調査研究報告書
35
4-4.日本人の体格調査報告書―既製衣料の寸法基準作成のための−(1978 年∼
1981 年)
調査目的
既製衣服のサイズ規格作成のための基礎データを取得する。この調査では
約 46,000 人を対象に計測をしたが、うち 30,549 人は 18 歳以下の子供である。
計測者
全国の被服構成学関連の大学教員
調査期間と場所
1978-81 年。全国
計測対象
全計測対象者約 46,000 人のうち、0∼2 歳の幼児が 2,954 名、2∼18 歳の子
供が 27,595 名(表4-5)。
計測姿勢
2 歳以下の乳幼児は仰臥位。その他は正立位、すなわち、左右のかかとを
そろえ、背すじを自然に伸ばし、耳眼面を水平に保持する。肩の力をぬき、上
肢を自然に下垂する。
計測項目
乳幼児は基本 15 項目、および余裕があれば測る 4 項目の、合計 19 項目(表
4-6)。幼稚園児は 26 項目(表4-7)。小学生以上は成人と同じ(表4-8)。
すなわち、男女共通項目 49、女性のみの項目 8、男性のみの項目 6(女性 57、
男性 55)。目的が衣服サイズ規格作成であるため、アパレルの項目が大部分。
基準線の定義は以下のとおり:
胸囲線:右乳頭点を通る水平位
胴囲線(男)
:右側面における腸骨稜の直上部に胴囲線用ベルトをまわして水平
位を決める
胴囲線(女)
:体幹部の最も細い位置にベルトをまわし、ベルトが自然におちつ
36
く位置。必ずしも水平ではない。
腹囲線:側面から見て腹部の最突出部における水平位
腰囲線:右転子点(大転子の外側面における中心点)を通る水平位
頚付根線:背面では頚椎点、側面では頚側点、前面では鎖骨内側端の上縁を通
る。頚付根線用チェーンを用いると決めやすい。
腕付根線:肩部から上腕部に移行する境界線で、前面では上腕骨頭のほぼ中央
を通り、後面では肩峰に沿う位置となる。腕付根線用ゴムテープを用いる
と決めやすい。
肩縫目線:肩先点と頚側点を結ぶ線で、僧帽筋上部前縁に沿う位置となる
表4-5.18 歳以下の被験者数
年齢
年 月
男
女
0
0
0
1
0
1
11 12
0
2
17 14
0
3
60 55
0 4∼6 148 153
0 7∼9 206 210
0 10∼12 220 221
1 1∼4 258 240
1 5∼8 297 283
1 9∼12 270 278
2
2
3
4
5
6
1∼6
7∼12
1∼6
合計
小計
1
23
31
115
301
416
441
498
580
548
2,954
7,762
421
462
494
880
763
940
392
433
457
843
744
933
813
895
951
1,723
1,507
1,873
7
8
9
10
11
12
855
825
834
812
849
893
805
841
850
799
807
892
1,660
1,666
1,684
1,611
1,656
1,785 10,062
13
14
15
768 773
842 812
843 831
1,541
1,654
1,674
4,869
16
17
18
833 845
804 828
792 800
1,678
1,632
1,592
4,902
合計
30,549
37
表4-6.乳幼児の計測項目
項目名
測定器
具
1 臥位身長
アント
ロポメ
ータ
巻尺
2 臥位股の高さ*
3 臥位右上前腸骨棘
高
4 右足長
アント
ロポメ
ータ
触角計
5
6
7
8
9
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
頭囲
乳頭位胸囲
臍位腹囲
腰囲 b
胴縦囲
10 頸付根囲
巻尺
11 右上腕最大囲
巻尺
12 右手くび囲*
13 右掌囲*
巻尺
巻尺
14 右大腿最大囲
15 右下腿最大囲*
巻尺
巻尺
16 臥位総丈
巻尺
17 右袖丈
巻尺
18 背肩幅
19 体重
*:余裕があったら測る
巻尺
体重計
計測方法*
両足の足底を圧着した垂直板から頭頂点までの垂直距離
両足の足底を圧着した垂直板から股の右側上端までの垂直
距離
両足の足底を圧着した垂直板から右腸棘点までの垂直距離
足底を垂直板につけた状態での踵点から足先点までの直線
距離
姿勢を問わない。眉間点と後頭点を通る周長
左右の乳頭を通る断面の周長
臍点を通る断面の周長
殿部の最後方突出部を通る断面の周長
右肩二等分の位置と股の間に巻尺をまわし、体幹部の縦方
向の周長を測る
だっこした姿勢で、頚窩点と頚椎点を通る周長を測る。頚
側点は考慮しなくてもよい
姿勢を問わない。上腕二頭筋の最もふくらんだ位置におけ
る腕の周長を、上腕の長軸の直交するように測る
姿勢を問わない。右手首点(尺骨頭の中央)を通る周長
姿勢を問わない。親指を除く掌の周長。4 本の指をそろえ
て測る
右大腿の最大周長を、大腿の長軸の直交するように測る
前方から見て幅が最も広い部位で、下腿の長軸に直交する
ように測る
横臥位で測る。背面正中線における頚椎点から腹囲線、腰
囲線までは体表にそわせ、ここから足底を圧着した垂直板
までは垂直に巻尺を伸ばす
姿勢を問わない。肩先点から上腕外側にそって肘までは腕
幅の中央を通り、ここから右手くび点(尺骨頭のふくらみ
の中央)まで
だっこした姿勢で、左右の肩先点間の体表にそった長さ
38
表4-7.幼稚園児の計測項目
項目名
1 身長
2 臍高
3 股の高さ
4 右上前腸骨棘高
5 右膝関節高
6 右下腿最大囲の
高さ
7 右外果高
8
9
10
11
12
13
右足長
頭囲
乳頭位胸囲
臍位腹囲
腰囲 b
胴縦囲
測定器具
アントロ
ポメータ
アントロ
ポメータ
巻尺
アントロ
ポメータ
アントロ
ポメータ
ものさし
ものさし
触角計
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
14 頸付根囲
15 右上腕最大囲
巻尺
巻尺
16 右手くび囲
17 右掌囲
18 右大腿最大囲
巻尺
巻尺
巻尺
19 右下腿最大囲
巻尺
20 臍位背丈
巻尺
21 総丈
巻尺
22 右袖丈
巻尺
23 背肩幅
24 背部皮下脂肪厚
巻尺
皮脂厚計
25 上腕部皮下脂肪
厚
26 体重
皮脂厚計
体重計
計測方法
床面から頭頂点までの垂直距離
床面から臍点までの垂直距離
床面から股の右側の上端までの垂直距離
床面から右腸棘点までの垂直距離
床面から右脛骨点までの垂直距離
床面から下腿最大囲位置までの垂直距離
床面から右外果点(外果)の最も側方に突出している点)ま
での垂直距離
踵点から足先点までの直線距離
眉間点と後頭点を通る周長
右乳頭点を通る水平周長
臍点を通る水平周長
殿部の最後方突出部を通る水平周長
右肩二等分の位置と、股の間に巻尺をまわし、体幹部の縦方
向の周長を測る
頚窩点、頚側点、頚椎点を通る頚付根の周長を
上腕二頭筋の最もふくらんだ位置における腕の周長を、上腕
の長軸の直交するように測る
右手首点(尺骨頭の中央)を通る周長
親指を除く掌の周長。4 本の指をそろえて測る。
右殿部直下での筋肉が最も強く内側に突出した位置で、大腿
の長軸に直角に巻尺を当てて周長を測る
前方から見て幅が最も広い部位で、下腿の長軸に直交するよ
うに測る
頚椎点から、背面正中線上につけた臍点と同じレベルの点ま
でを、肩甲骨の突出を考慮して測る。肩甲骨が突出している
場合は、セルロイド板を背面のシルエットに沿うようにあて
て計測する
背面正中線における頚椎点から腹囲線、腰囲線までは体表に
そわせ、ここから床面までは垂直に巻尺を伸ばす
肩先点から上腕外側にそって肘までは腕幅の中央を通り、こ
こから右手くび点(尺骨頭のふくらみの中央)まで
左右の肩先点間の体表にそった長さ
肩甲骨下端直下の皮下脂肪厚を測る。皮膚をつまむ位置は計
測位置の1cm 上。右上がり 45 度に、つまんだひだの両面が
平行になるようにつまむ
上腕三頭筋付着部の皮下脂肪厚を測る。皮膚をつまむ位置は
計測位置の1cm 上。つまむ方向は上腕の長軸と直角にする
39
表4-8.小学生以上の子供の計測項目(成人と同じ)
計測方法
項目名
測定器具
身長
頚椎高
右乳頭高
右肩先の高さ
右腕付根の高さ
後胴高(女性)
前胴高(女性)
中胴高(男性)
下胴高(男性)
股の高さ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
11 右上前腸骨棘高
12 右膝関節高
13 右大腿最大囲の
高さ
14 右下腿最大囲の
高さ
15 右外果高
アントロポメータ
アントロポメータ
アントロポメータ
床面から頭頂点までの垂直距離
床面から頚椎点までの垂直距離
床面から右乳頭点までの垂直距離
床面から右肩先点までの垂直距離
床面から右腕付根点までの垂直距離
床面から胴囲線と後正中線の交点までの垂直距離
床面から胴囲線と前正中線の交点までの垂直距離
床面から中胴囲線と前正中線の交点までの垂直距離
床面から下胴囲線と前正中線の交点までの垂直距離
床面から股の右側の上端に接する様にさしこんだ補助板
の上縁までの垂直距離
床面から右腸棘点までの垂直距離
床面から右脛骨点までの垂直距離
床面から下右大腿最大囲位置までの垂直距離
アントロポメータ
床面から右下腿最大囲位置までの垂直距離
床面から右外果点(外果の最も側方に突出している点)ま
での垂直距離
16 全頭高
17 胸部矢状径
18 胴部矢状径
アントロポメータ
または 10cm もの
さし
桿状計
桿状計
桿状計
19 腰部矢状径
桿状計
20 乳頭間幅(女性)
21 乳房の深さ(女
性)
22 右腕付根前後径
23 右手長
24 右足長
巻尺
10cm ものさし
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
右足幅
頭囲
乳頭位胸囲
上部胸囲(男性)
下部胸囲(女性)
胴囲
中胴囲(男性)
下胴囲(男性)
腹囲
腰囲 a
腰囲 b
胴縦囲
桿状計
桿状計
桿状計
桿状計
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
頭頂点とオトガイ点の間の投影距離。耳眼面に垂直
胸囲線における厚径(正しくは胸部厚径)
胴囲線における前後径。胴囲線が水平でない場合は前
後に傾く(正しくは胴部厚径)
腰囲線における厚径。胴囲線が水平でない場合は前後
に傾く(正しくは腰部厚径)
左右の乳頭点間の直線距離
前正中線と胸囲線の交点から左右の乳頭点を結ぶ直線
までの鉛直距離。胸囲に巻尺を当てた状態で測る
右腕付根における前後径
右手の茎突点から指先点までの投影距離
右足の踵点と第2指先端を結ぶ線を足軸として、踵点か
ら足先点までの投影長
右足の内・外側突出点間の投影距離
眉間点と後頭点を通る周長
右乳頭点を通る水平周長
男子の腕付根点を通る水平周長
女子の乳房直下部の水平周長
女子の胴部の最も細い部位の周長。水平とは限らない
男子の胴部の最も細い部位の水平周長
男子の腸骨稜直上における水平周長
側方から見て腹部の突出部における水平周長
腰囲線における周長。前面に計測補助板を当てて測る
殿部の最後方突出部を通る水平周長
右肩二等分の位置と股の間に巻尺をまわし、体幹部の縦
方向の周長を測る
40
37 頚囲(男性)
巻尺
38 頸付根囲
39 右腕付根囲
40 右上腕最大囲
巻尺
巻尺
巻尺
41
42
43
44
右前腕最大囲
右手くび囲
右掌囲
右大腿最大囲
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺
45
46
47
48
右膝囲
右下腿最大囲
右下腿最小囲
腕付根の深さ
巻尺
巻尺
巻尺
巻尺、計測補助
板
巻尺、計測補助
板
巻尺、計測補助
板
巻尺
49 背丈
50 総丈
51 B.N.P.→右 B.P.
(女性)
52 B.N.P.→右 B.P.
→W.K.(女性)
53 右肘丈
巻尺
54 右袖丈
巻尺
55 右肩幅
56 背肩幅
57 背幅
巻尺
巻尺
巻尺
58 胸幅
巻尺
59 W.L.→座面
巻尺
60 W.L.→H.L.
61 背部皮下脂肪厚
巻尺
皮脂厚計
62 上腕部皮下脂肪
厚
皮脂厚計
63 右肩傾斜角
64 体重
角度計
体重計
巻尺
男子の、喉頭隆起の直下における周長。後面では自然に
おちつく位置に巻尺をまわして測る
頚窩点、頚側点、頚椎点を通る頚付根の周長
右腕付根の周長。上肢下垂姿勢で測る
上腕二頭筋の最もふくらんだ位置における腕の周長を、
上腕の長軸の直交するように測る
右前腕の最大周長
右手首点(尺骨頭の中央)を通る周長
親指を除く掌の周長。4 本の指をそろえて測る。
右殿部直下での筋肉が最も強く内側に突出した位置で、
大腿の長軸に直角に巻尺を当てて周長を測る
右膝蓋骨の中央を通る膝の水平周長
右下腿の最大周長
右下腿の最小周長
頚椎点から右腕付根の位置(正中線上)までの長さ。計
測補助板を使う
頚椎点から胴囲線までの、背面のシルエットにそった長さ
背面正中線における頚椎点から腹囲線、腰囲線までは体
表にそわせ、ここから床面までは垂直に巻尺を伸ばす
右頸椎点から右頚側点を通り、右乳頭点まで
右頸椎点から右頚側点、右乳頭点を経て直下の胴囲線
まで
右肩先点から右肘点(肘頭の最外側突出点)までの体表
長
肩先点から上腕外側にそって肘までは腕幅の中央を通
り、ここから右手くび点(尺骨頭のふくらみの中央)まで
右頚側点から右肩先点までの長さ
左右の肩先点間の体表にそった長さ
背面における左右の腕付根間の長さ。右肩先点から腕付
根点までの体表長の中点の位置で測る
前面における左右の腕付根間の長さ。背幅と同じ高さで
測る
座位で、右体側における胴囲線から座面までの長さ。腰
の最突出部までは巻尺を体側に沿わせ、それより下方は
垂直におろす
立位で、右体側における胴囲線から腰囲線までの長さ
肩甲骨下端直下の皮下脂肪厚を測る。皮膚をつまむ位
置は、計測位置の1cm 上。右上がり 45 度に、つまんだひ
だの両面が平行になるようにつまむ
上腕三頭筋付着部の皮下脂肪厚を測る。皮膚をつまむ
位置は、計測位置の1cm 上。つまむ方向は上腕の長軸と
直角にする
右肩の傾斜角。角度計を右肩に軽くのせる
41
文献
日本規格協会編、1984:日本人の体格調査報告書―既製衣料の寸法基準作成のた
めのー(1978 年∼1981 年)、日本規格協会。
42
4-5.建築安全計画のための乳幼児寸法計測:八藤後他、2002,2003
乳幼児の安全性を考慮した生活環境の研究は十分でない。乳幼児の家庭内
事故を防止するためには建築的配慮が必要だが、必要な乳幼児のデータがない
ことから、計測装置の開発と 7 歳以下の子供について人体寸法および動作寸法
を計測した。
調査-1
目的
乳幼児の人体寸法および発達段階に応じた動作寸法を計測するための装置
を開発し、事故発生要因に関係する乳幼児の人体寸法、動作寸法を計測する。
被験者と計測場所
1歳∼6歳の子供、273 名(男子 148 名、女子 125 名)
。表4-9に年齢別被
験者数を示す。東京都内の保育所で計測。
表4-9.年齢別有効被験者数(男女こみ)
年齢
1 歳児
2 歳児
3 歳児
4 歳児
5 歳児
6 歳児
合計
人数
40
42
50
43
48
49
272
計測項目
人体寸法 15 項目、動作項目 3 項目を計測(表4-10)。
表4-10.計測項目
項目
計測方法
人体寸法
1
2
3
4
体重
身長
重心高
肩峰高
幼児向け体重計を使用
幼児向け身長計を使用
2つの体重計とベッドを用いて計測
模造紙の前に立ってもらい、肩峰高に印をつけ、スケールで
計測
43
5
6
頭幅
腕の長さ
7
8
9
10
11
12
13
14
15
にぎり内径
第2指厚
第2指幅
小指厚
小指幅
足の親指厚
足の親指幅
足の小指厚
足の小指幅
コルク素材を用いた大型ノギスを作成し、計測
肩峰高から、肩峰高と同じ方法で測った中指端高を引いて算
出
円錐を握り、親指と示指の指先が離れる直前を計測
市販のノギスを使用
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
動作寸法
1
2
3
垂直距離到達範囲 壁面にパネルを取り付け、腕を伸ばしてできるだけ高い位置
にシールをはり付けさせ、シールの高さを計測。背伸びをして
もよい
水平距離到達範囲 40∼90cm の8段階に高さが変化するテーブルにスライドレー
ルを作り、レール上の人形をできるだけ遠くに押しやり、スライ
ドさせる
押す力・引く力
50・70・90cm の 3 段階に高さが変化するバーを水平に押す・
引くことで、テコの原理により力を垂直に体重計に伝えて計測
調査-2
目的
幼児の墜落事故事例を見ると、一般に想定している幼児の運動能力を超え
た状況で柵を越え、墜落に至っている。そこで、柵状部位について幼児の墜落
を防止できる条件を明らかにすることを目的とする。
被験者と計測場所
4歳∼5歳の男女 90 名(表4-11)。東京都内の幼稚園にて計測。
表4-11.被験者
年齢
男 女 合計
4 歳児 20 19
5 歳児 13 13
6 歳児 12 13
39
26
25
合計
90
45 45
44
計測項目
転落事故について、(1)台などによじのぼって柵を乗り越える、(2)足
がかり(窓枠の敷居部分)によじのぼって柵をのりこえる、
(3)離れたところ
から柵を乗り越える、という3つの状況を設定し、以下3つの実験を行った:
(1)台のぼり実験:高さ 40∼70cm を 10cm 間隔で高さ可変、台表面の面積2
種(90cm×120cm、および 30cm×70cm)を用いて、高さ何 cm の台によじの
ぼれるかを調べる
(2)足がかりよじのぼり実験:てすり条件(高さ 110cm の手すり子柵(たて
格子のはまった柵で手がかりあり)、および同じ高さの無開口柵(板状で
手がかりなし)の2種)、足がかりの高さ(5cm、10cm、20cm、30cm、40cm、
50cm、60cm、65cm、70cm の9種)、足がかりの厚み(5cm、7.5cm、10cm、
15cm の4種、および板状で手がかりなしの柵のみ 1cm、2.5cm を追加)
、
を変えて、どの条件のときに乗り越えられるか調べる
(3)柵乗り越え実験:つま先先端からベランダ柵までの水平距離(0∼60cm)
と相対柵高さ(台上面から柵上面までの高さ:40cm∼90cm)を変えて、
のりこえられる条件を調べる
結果
被験者を、身長 105cm 未満(33名、ほぼ4歳児)
、105cm 以上 115cm 未満
(45名、ほぼ5歳児)、115cm 以上(12名)に分けた。
(1)台のぼり実験:全員が 60cm にのぼることができた。70cm では低身長群で
よじ上れない子供がいるが、台大で 88%が、台小で 82%がよじのぼること
ができた。
(2)足がかりよじのぼり実験:手すり子柵では、中身長群、高身長群の全員
が、最ものぼりにくい条件(足がかりの高さ 70cm、厚さ 5cm)でも、手
すりにつかまり、足がかりに足をかけて柵を乗り越えることができた。
低身長群でも、足がかり高さが 65cm ならば、厚み 5cm でも 97%が乗り越
える事ができた。無開口柵では、最ものぼりにくい条件(足がかりの高
さ 70cm、厚さ 1cm)で柵を乗り越えることができたのは高身長群の 92%、
中身長群の 84%であった。足がかり厚が 2.5cm になると、100%が乗り越え
ることができた。低身長群では最もよじのぼりにくい条件下での成功率
は 42%だが、足がかりの高さが減少すると、成功率は急激に高くなった。
45
(3)柵乗り越え実験:相対柵高さ 50cm の場合、高身長群は、柵からの距離が
最大(60cm)でも全員が柵を乗り越えた。相対柵高さ 90cm、柵からの距
離が最大(60cm)でも、高身長群の 40%が柵を乗り越えた。
(4)足がかりおよび柵越えの複合条件達成率:幼児が手すり子柵を乗り越え
転落する状況を、(1)足がかりに足をかけ、(2)そのまま手すりにつかま
って柵を乗り越える、という二段階に分け、両方が達成できる率を調べ
た。手すり子柵で最も乗り越え難い足がかり厚 5cm のとき、低身長群で
は足がかりから手すり上部までの相対てすり高さが 70cm までは、複合達
成率がほぼ 80%以上だが、80cm で 65%程度、90cm で 40%弱となる。中
身長群では、足がかり高さの違いによる達成率の差は小さく、相対柵高
さが 70cm までは、100%近くが達成した。高身長群では、どの条件でも
ほぼ 100%が達成した。無開口柵では、低身長群では足がかり厚さが 1cm
のとき、足がかり高さによる達成率の差が大きいが、足がかり厚さが
2.5cm 以上では足がかり高さによる差が小さい。足がかり厚さが 5cm の場
合、相対柵高さが 70cm 以下ではほぼ 80%以上が達成した。中身長群では
足がかり厚さの違いによる達成率の差が低身長群より小さく、足がかり
厚さ 5cm の場合、相対柵高さが 70cm 以下ではほぼ 100%が達成した。
以上から、柵の有効高さは足がかりからの相対高さと考えるべきである。
文献
八藤後猛・田中賢・中村孝之・野村歡、2002:幼児を対象とした人体および動
作計測装置の開発と計測による建築安全計画への考察−−乳幼児の家庭内
事故防止に関する研究
その1――。日本建築学会計画系論文集、562:
187-192.
八藤後猛・野村歡・田中賢、2003:幼児の手すり柵乗り越えによる墜落防止に
関する実験研究と建築安全計画のための考察。−−乳幼児の家庭内事故防止
に関する研究
その2――。日本建築学会計画系論文集、572:67-73.
46
4-6.人体の機械的特性:Yokoi et al., 1986
加速度が大きな影響をもたらす自動車事故などでは、人体寸法よりも体節
ごとの重心位置や慣性モーメントなどの身体部分係数が重要である。日本人の
子供について、これらのデータを取得した。
目的
3∼15 歳について身体部分係数を取得し、これらを実用的に算出できるよ
うにすること
被験者
3∼15 歳の男女 255 名(表4-12)。
表4-12.被験者
年齢
男
女
合計
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
5
13
26
9
10
11
7
8
6
14
9
11
3
2
9
29
7
9
9
9
8
8
9
16
8
0
7
22
55
16
19
20
16
16
14
23
25
19
3
合計 132 123
255
方法
身体を各部分の密度が均一な 14 の体節から成る剛体リンクモデルとみな
して、各体節の重心と慣性モーメントを計算している。200mm の望遠レンズを使
って 2 台のカメラで前方と側方から被験者の写真を同時に撮影する。身体を高
さ 2cm の楕円盤の積層体と見なし、体密度データを用いて楕円盤ごとに重心位
置、体積、慣性モーメントを計算する。この結果に基づいて体節ごとの重心位
置、体積、慣性モーメントを計算する。密度データは、Clauser et al. (1969)
47
の値を用いた。
結果
算出された身体部分係数は、年齢、性別、体形により異なっていた。全身
の質量に対する質量比は、頭部では年齢とともに減少し、上腕、大腿、下腿で
は年齢とともに増大した。性差は 9 歳以後、大腿節の質量%(女>男)、大体節
と下腿節の重心位置(男の方が高い)現れた。
年齢、性別、体形により、3∼15 歳の子供を 18 群に分け、群ごとの代表値
を求めた。
29 名の被験者を使い、様々な姿勢をとらせたときの重心位置を床反力計で
計測し、取得した身体部分係数を用いて計算した推定値を評価した。推定誤差
は 3%で、成人の身体部分係数を用いた場合よりも小さかった。
文献
Yokoi,T., K. Shibukawa, and M. Ae, 1986: Body segment parameters of Japanese
children. Japanese Journal of Physical Education, 31:53-66. (横井孝志・渋川侃
二・阿江通良、1986:日本人幼少年の身体部分係数。体育学研究、31:53-66.)