2015年度 民間住宅ローン借換の追加実態調査 調査の概要 1 調査方法 インターネット調査 インターネット調査会社のモニター184万件のうち2の調査対象の要件を満たす方に対し、インターネットによるアンケート調査を実施し、先着順に 回答があった民間住宅ローン借換者259件を調査対象とした。 2 調査対象 現在、民間住宅ローンを借入されている方で、2015年11月から2016年3月までに借換された方 n=259 ・全国の20歳以上70歳未満の方(学生の方及び無職の方を除く。) ※民間住宅ローンの借換(フラット35を含む。)を対象 3 調査時期 2016年6・7月 4 調査項目 民間住宅ローンを借入されている方の借換による金利タイプの変化など 2016年9月 独立行政法人 住宅金融支援機構 調査部 1 1-1.借換による金利タイプの変化(構成比変化) ○ 借換前後における金利タイプごとの構成比の差をみると、 「全期間固定型」と「固定期間選択型」でマイナス となり、「変動型」がプラスとなっている。 55.4 (単位:%) 借換前 53.8 借換後 差 50 40 33.3 28.3 30 20 16.2 12.9 10 5.0 0 全期間固定型 -3.3 -1.7 固定期間選択型 変動型 (注)金利タイプと金融機関業態との関係で集計可能となった回答(n = 240)について集計(以下16ページまでにおいて同じ。) 2 1-2.借換による金利タイプの変化(全体に占める割合) ○ 借換前後の金利タイプの変化の組合せが全体に占める割合は、 「固定期間選択型 → 固定期間選択型」が 最も高く、41.2%となっている。 (図の見方) 左上の数値「7.5」は「借換前:全期間 固定型→借換後:全期間固定型」となっ た方の借換全体に占める割合を、その 右の数値「4.6」は「借換前:全期間固定 型→借換後:固定期間選択型」となった 方の借換全体に占める割合を、それぞ れ示している。以下同じ。 (注)図中の数値は、全体の推移件数を100とした場合の各推移区分の割合を示している。 3 1-3.借換による金利タイプの変化(借換後全期間固定型内訳) ○ 借換前に「全期間固定型」であったものでは、借換後も「全期間固定型」となるものが多い。 4 (注)図中の数値は、全体の推移件数を100とした場合の各推移区分の割合を示している。割合が1%未満の場合は、数値の表示を割愛した。 1-4.借換による金利タイプの変化(借換後固定期間選択型内訳) ○ 借換後に「固定期間選択型」となったもののうち、固定期間が長いものが選ばれる割合は特に高いわけでは なく、固定期間「3年」や固定期間「5年」など、比較的短い固定期間の住宅ローンも選ばれている。 (注)図中の数値は、全体の推移件数を100とした場合の各推移区分の割合を示している。割合が1%未満の場合は、数値の表示を割愛した。 なお、上段左から3番目の破線は、当該区分の割合が0%であることを示している。 5 1-5.借換による金利タイプの変化(純増減件数変化) ○ 借換前後における金利タイプ(詳細内訳)ごとの純増減件数(借換前件数-借換後件数)をみると、 「変動型」 と「固定期間5年」などが純増となり、「固定期間20年超」などが純減となっている。 (単位:件数) 15 12 11 10 5 5 3 2 1 0 -1 -5 -7 -7 -8 -10 -11 -15 変動 2年 3年 5年 その他 10年以内 10年 固定期間選択型 15年 以内 20年 以内 20年超 フラット35 フラット 以外 全期間固定型 6 1-6.借換による金利タイプの変化(ネットワーク分析) ○ 借換前後の金利タイプの推移をネットワークとしてグラフ化すると、「変動型 → 変動型」と「固定期間10年 → 固定期間10年」では頂点の外側にある円形の辺が太くなっており、自己回帰するものの件数が多いことがわかる。 グラフの見方 変動 フラット35以外 頂点(ノード):円の大きさで借換後の件数の多少を表す。 2年 3年 フラット35 20年超 ・辺(エッジ):線の太さで矢印の方向における借換前後の 金利タイプの変化の多少を表す。 ・ノードの外側にありそのノード自身へ戻る(自己回帰する) 円形の矢印(エッジ)は、借換前後で金利タイプが同じもの を表す。 ※エッジの色は、次のようにして定めた。 1.上(変動型)から時計回りに各金利タイプに番号を割り振る。 2.その番号において昇順の番号のノードへの推移は薄青色で、自己回帰と 降順の番号のノードへの推移は赤色で表示した。 5年 その他10年未満 20年以内 15年以内 10年 7 2.借換後の金利タイプに影響を与える各要因の影響度分析 ○ 借換後の金利タイプに与える各要因の影響度は、「借換後金融機関」の影響が最も大きく、「借換前金利タイプ」 がそれに次いでいる。一方、「世帯年収」、「年齢」、「職業」といった属人的な要因の影響は小さい。 借換後金融機関 借換前金利タイプ 差引返済額 借換後返済期間 借換前返済額 都市圏 世帯年収 借換年月 年齢 職業 0 5 10 15 20 MeanDecreaseGini (注)ランダムフォレストという統計手法により、各要因から借換後の金利タイプを推定した結果である。数値が大きい(●印が右にある)ほど影響度が 大きいことを表している。なお、金利タイプは借換後金利によってほぼ一意に決定されるため、意図的に借換後金利を影響を与えるであろう各要因か ら除外して推定を行った。 8 3.借換後の金利タイプ(借換時期別) ○ 借換後の金利タイプ別利用割合の借換時期ごとの推移をみると、「変動型」と「全期間固定型」の利用割合が ほぼ逆相関の関係で推移している。 (単位:%) 48.5 50 42.1 40 固定期間選択型 53.8 40.8 41.9 39.2 36.1 38.9 33.2 33.3 変動型 30 24.9 21.8 全期間固定型 20.0 20 2014/11-2015/1 n = 202 2015/2-2015/4 n = 301 2015/5-2015/7 n = 240 調査時期 12.7 12.9 2015/8-2015/10 n = 229 2015/11-2016/3 n = 240 9 4-1.借換による金融機関業態の変化(構成比変化) ○ 借換前後における金融機関業態ごとの構成比の差をみると、 「機構/公庫(直接融資)」と「都銀・信託」で マイナスとなり、「地銀・第二地銀等(ネット銀行などを含む。)」と「信用金庫等」がプラスとなっている。 45.4 (単位:%) 40 借換前 借換後 差 37.9 30 27.5 23.8 22.5 20 10 11.2 10.8 9.6 11.2 12.5 5.0 0 0.0 -0.4 -7.5 -9.6 機構/公庫 フラット35 都銀・信託 地銀・第二地銀等 信用金庫等 10 4-2.借換による金融機関業態の変化(純増減件数変化) ○ 借換前後における金融機関業態ごとの純増減件数(借換前件数-借換後件数)をみると、 「機構/公庫」と 「都銀・信託」が純減となり、「地銀・第二地銀等(ネット銀行などを含む。)」と「信用金庫等」が純増となっている。 (単位:件数) 30 30 20 12 10 0 -1 -10 -18 -20 -23 -30 機構/公庫 フラット35 都銀・信託 地銀・第二地銀等 信用金庫等 11 4-3.借換による金融機関業態の変化(全体) ○ 借換前後の金融機関業態の変化の組合せが全体に占める割合は、 「都銀・信託 → 都銀・信託」が 最も高く、30.4%となっている。 (注)図中の数値は、全体の推移件数を100とした場合の各推移区分の割合を示している。割合が1%未満の場合は、数値の表示を割愛した。 なお、4行1列目の破線は、当該区分の割合が0%であることを示している。 12 5.借換までの経過年数 ○ 借換までの経過年数は、すべての金利タイプで経過期間「 5年以下」と比較的早期の借換が最も多い。 借換前の金利タイプ:全期間固定型:n = 39 46.2 30.8 12.8 10.3 借換前の金利タイプ:固定期間選択型:n = 133 (構成比:%) 43.6 32.3 9.8 14.3 借換前の金利タイプ:変動型:n = 68 47.1 25.0 14.7 13.2 0 5 10 15 20 借換までの経過年数 25 30 13 6.借換による金利タイプ(年齢層別) ○ 年齢層別にみると、借換後の金利タイプが「全期間固定型」の場合は「50歳代以上」の割合が大幅に低く なっているのに対し、「変動型」の場合は年齢層ごとにほぼ同じ割合となっている。 45.2 借換後の金利タイプ:全期間固定型:n = 31 41.9 12.9 (構成比:%) 借換後の金利タイプ:固定期間選択型:n = 129 36.4 34.1 29.5 借換後の金利タイプ:変動型:n = 80 32.5 33.8 33.8 30歳代以下 40歳代 50歳代以上 年齢層 14 7.借換による金利タイプ(世帯年収層別) ○ 世帯年収層別にみると、借換後の金利タイプが「全期間固定型」の場合は世帯年収が高くなるほど 「全期間固定型」の割合が高くなっているが、「固定期間選択型」の場合はそれほど明確ではない。 借換後の金利タイプ:全期間固定型:n = 31 41.9 32.3 25.8 (構成比:%) 借換後の金利タイプ:固定期間選択型:n = 129 37.2 31.0 31.8 借換後の金利タイプ:変動型:n = 80 40.0 32.5 600万円以下 27.5 800万円以下 世帯年収層 800万円超 15 8.借換による金利タイプ(借換後の融資額別) ○ 借換後の融資額別にみると、借換後の金利タイプが「全期間固定型」の場合は1000万円以下の割合が 10%以下と少ないが、「固定期間選択型」と「変動型」では10%を超えている。 借換後の金利タイプ:全期間固定型:n = 31 22.6 22.6 25.8 16.1 6.5 6.5 (構成比:%) 借換後の金利タイプ:固定期間選択型:n = 129 30.2 17.8 17.8 13.2 8.5 12.4 借換後の金利タイプ:変動型:n = 80 31.2 13.8 1000 万円以下 17.5 15.0 12.5 1500 万円以下 10.0 2000 万円以下 3000 万円以下 借換後融資額 4000 万円以下 4000 万円超 16 9.借換による適用金利の変化 ○ 借換によって金利が低下した方は全体の82.6%であり、「~1.0%低下(0.5%超1.0%以下低下)」した方が 21.6%と最も多い。 (単位:構成比%) 金利が低下した方の構成比の合計 = 82.6 % 21.6 20.8 20 17.4 15.1 15 12.0 10 7.7 5.4 5 0 金利は上昇 金利変化無し (注)集計件数(n = 259)。以下同じ。 ~ 0.2%低下 ~ 0.5%低下 ~ 1.0%低下 ~ 2.0%低下 2.0%超低下 17 10.借換による返済期間の変化 ○ 借換によって返済期間が短期化した方は全体の65.6%であり、「~5年以下短期化(0年超5年以下短期化)」 した方が31.3%と最も多い。 (単位:構成比%) 返済期間が短期化した方の構成比の合計 = 65.6 % 31.3 30 24.3 25 20.1 20 15 10 10.0 7.3 6.9 ~ 15年以下 短期化 15年超 短期化 5 0 返済期間 長期化 返済期間 変化無し ~ 5年以下 短期化 ~ 10年以下 短期化 18 11.借換による毎月返済額の変化 ○ 借換によって毎月返済額が減少した方は全体の66.0%であり、「~1万円以下減少(5千円超1万円以下 減少)」した方が21.2%と最も多い。 (単位:構成比%) 毎月返済額が減少した方の構成比の合計 = 66.0 % 21.2 20 17.8 16.2 15.8 15.1 15 13.9 10 5 0 返済額 増加 返済額 変化無し ~ 5千円以下 減少 ~ 1万円以下 減少 ~ 2万円以下 減少 2万円超 減少 19 12-1.毎月返済額減少分の使途(単純集計) ○ 借換による毎月返済額減少分の使途は、「生活費」に充てる割合が最も高く、「貯蓄」がそれに次ぐ。 (単位:構成比%) 40 38.6 【具体的な選択肢:複数回答】 生活費に充てた 貯蓄(特に目的はない) 31.0 教育資金に充てた 貯蓄(住宅のリフォーム資金に充てる予定) 30 自動車等の住宅関連以外の購入等に充てた 家具等の住宅関連の商品購入に充てた 株等で資産運用に充てている その他 20 n = 171 (借換により毎月返済額が減少した方) 14.0 10 8.8 8.8 8.2 7.0 2.3 0 生活費 貯蓄 教育費 リフォーム資金 自動車等 家具等 資産運用 その他 20 12-2.毎月返済額減少分の使途のネットワーク・クラスター分析 ○ 返済額減少分の使途は、複数回答によるものであるため、どの選択肢とどの選択肢が一緒に選択される 傾向が強いかを調べることにより、選択肢相互の関係から回答者のグルーピングを行うことができる。 ○ それに基づいて行ったグルーピングの一例では、「生活費」など消費に結びついた選択肢が上側のグルー プを、「貯蓄」や「資産運用」など消費に直接関連しない選択肢が下側のグループを構成している。 グラフの見方 ・頂点(ノード):円の大きさでその選択肢が選ばれた数の 多少を表す。 ・属するグループ(コミュニティ)に応じて色分けされている。 ・辺(エッジ):線で結ばれた選択肢が同時に選ばれたこと を表す。 ・線の太さで同時に選択された場合の多少を表す。 ・グループ内の同時選択とグループ間の同時選択とで 色分けされている。 (注) グルーピングの結果は、採用したクラスタリング・アルゴリズムによって 異なることがある。ここでは、「最適化アルゴリズム」に基づいたクラスタリング による結果を採用した。 最適化とは、より密な関係にある成員からなる各コミュニティへの分割と 全くランダムな分割との差(modularity)を最大化するアルゴリズムによる ものである。 21 【参考】回答者の基本属性 借換 n=259 項目 サンプル数 構成比 年齢 世帯年収 地域(注) 20歳代 12 4.6% 30歳代 87 33.6% 40歳代 89 34.4% 50歳代 53 20.5% 60歳代 18 6.9% 400万円以下 20 7.7% 400万円超~600万円以下 65 25.1% 600万円超~800万円以下 80 30.9% 800万円超~1000万円以下 58 22.4% 1000万円超~1500万円以下 24 9.3% 1500万円超 12 4.6% 首都圏 101 39.0% 東海圏 39 15.1% 近畿圏 35 13.5% その他 84 32.4% 注:首都圏:千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県 東海圏:岐阜県、愛知県、静岡県、三重県 近畿圏:滋賀県、京都府、兵庫県、大阪府、奈良県、和歌山県 その他:首都圏、東海圏、近畿圏以外 22 【参考文献等】 ・R Core Team (2016). R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. URL https://www.R-project.org/. ・Butts C (2015). network: Classes for Relational Data. The Statnet Project (http://statnet.org). R package version 1.13.0, http://CRAN.R-project.org/package=network. ・Butts C (2008). “network: a Package for Managing Relational Data in R.” Journal of Statistical Software, 24(2). http://www.jstatsoft.org/v24/i02/paper. ・A. Liaw and M. Wiener (2002). Classification and Regression by randomForest. R News 2(3), 18--22. ・Sarkar, Deepayan (2008) Lattice: Multivariate Data Visualization with R. Springer, New York. ISBN 978-0-387-75968-5 ・Csardi G, Nepusz T: The igraph software package for complex network research, InterJournal, Complex Systems 1695. 2006. http://igraph.org ・外山信夫・辻谷将明(2015)「実践 R 統計分析」。オーム社 23
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