僕の山木屋インターン

僕の山木屋インターン
永井祐介
川俣インターンに参加した動機
僕がこの川俣インターンに参加した理由は主に二つあります。
僕は高校まで、地元である広島で生活を送ってきました。広島は東京などの都市部からみれば、比較的
田舎で、農村や自然もたくさんあると思います。しかしながら、生まれてこのかた農作業体験というものをし
たことはありません。畜産の世話をしたこともありません。このような体験は社会人になれば農家にでもなら
ない限り、二度と体験できないと思います。そんな折、地域づくりインターンという組織をたまたま知りまし
た。農村に学生を派遣して、そこで様々な体験をさせてもらえるという事を知り、ぜひ参加してみたいとい
う思いが強くなりました。他の地域よりも農作業体験がたくさんできるというのも、川俣を選んだ理由の一つ
です。
もう一つの理由に、就職活動を間近にひかえ、今一度自分自身を見つめ直さなければならない時期だ
と感じていたからです。農村で沢山の体験をして、いろんな人達と話し交流する中で、自分のむき・不む
き、得意な事・不得意な事、いままで知らなかった自分を発見できるのではないかと思ったからです。これ
からやらなければならない人生選びの、「きっかけ」を探していました。それが見つけられるのではないか
と、いや絶対見つけてやるという思いのもと川俣インターンに参加することを決意しました。
インターンの感想
川俣に来て最初の 1 週間は本当に長く感じました。農作業体験が主になる事は承知していましたが、
お世話になる夢農園がお花の栽培をしているとは思いもよらず最初の2・3日はとまどいがありました。な
かでも花のつぼみを取りのぞいたり、出荷用の箱の小さな穴にひもを通すような細かい作業は、手先が不
器用な僕にとって精神的に疲れる仕事でした。
それでも何日かこなしていくうちに、少しずつ慣れてきて今まであまり興味のなかった花に親近感を覚える
ようになりました。花が好きになりました。
夢農園以外での作業として、一番長く仕事させていただいたのは菅野源勝さん家でした。源勝さん家で
の主な仕事は養鶏でした。鶏を手でつかむのは生まれて初めてだし、それを 6 羽ずつ箱につめる作業と
聞いたときは絶対無理だと思いました。作業の後、源勝さんに言われた「家畜をかわいそうと思うな」という
言葉が心に残っています。かわいそうでも鶏を食べないことには僕ら人間は生きてはいけない。鶏の出荷
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作業を通して「かわいそうと思ったらだめだ」というより「かわいそうと思う事自体が間違っている」と思えるよ
うになりました。そしてありきたりだけど、必要以上に生き物を殺す事は絶対にやめようと思いました。僕ら
は地球上のあらゆる生き物に生かされているんだという事を体験を通して実感しました。
最近ニュースなどでよく子供の虐待や自分の親を殺す事件などを、みることが多くなったと感じます。命を
軽くみる人が多くなっているように思います。こういった作業体験をしたり、理解することで命をないがしろ
にするような行為はなくなるのではないでしょうか…。
鴫原光一さんのお宅では、葉たばこのお手伝いをしました。たばこがどのようにして作られているかまっ
たく知らず、驚きがたくさんありました。普段自動販売機に当たり前にならんでいるたばこがいろいろと手
間がかかっている事が分かりびっくりしました。光一さんのご家族はみなさん明るく、おもしろい方々でちょ
うど作業続きでつかれていた時に、大変癒されました。
すぎたやさんは電気機器を扱っていたり、雑貨・食料品を売っていたりと、山木屋という山奥でこんな仕
事をされている人もいるんだとびっくりしました。夜遅くまですぎたやの社長、紺野希予司さんと奥様、まり
子さんとお話しました。希予司さんの言葉で印象深かったのは、「山木屋の人達はそれぞれがいいものを
持ってはいるけれど、それらが相互に結びついているとは言いがたい。山木屋の人達がもっとつながれ
ば、もっと大きなパワーを生み出せるはずなのに。」とおっしゃっていた事でした。これは山木屋の一つの
課題だと思います。人々を結びつけるきっかけというか、新しい風が必要なのだと思います。山木屋に新
しい風をふかせる人材をいかにして呼び込むかというのが、過疎化の問題も含めて山木屋、しいては川
俣全体の課題ではと感じました。
夢農園の社長、菅野英夫さんはスケールの大きな方でした。社長さんとお酒を交え話すことで、自分の
足りない物、考えて行動することの大切さなど自分自身を見つめなおす、きっかけをいただきました。社長
さんの「なりふりかまわず人にぶつかっていけ」、そして多美枝さんの「人にもう一歩踏み込んでいけ」とい
う言葉が忘れられません。お二人のおかげで最高の 1 ヶ月を過ごすことができました。この場をかりてお礼
申し上げます。
自分の一押し
源勝さんの奥さん、章子さんの手料理です。どれも畑でとれた新鮮な素材をふんだんに使っていて、都
会では食べる事ができないものばかりでした。たらふくごちそうになりました。特におすすめが秘伝「ゆず
みそ」です。これは何につけてもおいしく食べる事ができ、ご飯をたくさんおかわりしました。作り方を教え
て欲しいとお願いしたのですが秘密ということでした。
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最後に
今回インターン期間中お世話になった方々、本当にありがとうございました。
この1ヶ月間の活動を通して、これからの生き方の指針がみえてきた気がします。見ず知らずの僕らに、
毎回のように食事を用意してくださったり、野菜や果物をくださったみなさま。なにもできない素人の僕ら
に農作業を教えてくださったみなさま。都市部では失いつつある、心の温かさをお腹いっぱいいただきま
した。満腹です。本当にありがとうございました。
また会いにきます!その時はよろしくお願いします!
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僕の山木屋インターン
古波蔵嵩幸
インターンの動機
物心ついたころからコンクリートに囲まれた生活をしてきました。それでこのインターンでそのすっかり当たり前になった都
市生活を全部置いて、田舎に 1 ヶ月暮らしたらどうなるのか、これまで見えなかったものが見えてくるのではないか、そういう
気持ちがありました。
この山木屋に滞在して約 3 週間、本当にいろんなことがあり、あっと
いう間に終わってしまった感があります。最初は慣れるのに大変でした
が夢農園をはじめとして山木屋のみなさんのサポートがあり、なんとか
ここまで来れました!
山木屋ではほんとうにたくさんのことを学びました。汗水流すことの
大切さ。汗を流して頑張ること、達成感、爽快感が得られることに気づ
かされました。
汗を流すことが好きになりました!!!
ここでの食べ物は本当においしかった!
素材の生かし方を山木屋の人たちは知っているというか、その素材の
最もおいしい食べ方で食べている気がしました。僕が印象に残っている
食べ方で源勝さんの家で食べた「しめもち」があるんですが、非常にお
いしかったのを覚えています。しかし、しめもちは大変手間がかかると
いうことで最近ではあまり見かけなくなっていると聞き、ちょっと残念。
手間がかかるからこそおいしいのが出来上がるんですね!
菅野源勝さん、章子さん
源勝さんと知り合ったのは山木屋の盆踊りでした。僕に気さくに話し
かけてくれたのを覚えています。後日、鶏の出荷をお手伝いしました。
正直大変でした。
「家畜というのは食事も、排泄もすべて同じところで行
われているから、においが本当にきつい。」「家畜をかわいそうだと思っ
てはこの作業はできないから、かわいそうだと思うことを捨てなさい。
」
とおっしゃってました。
その通りでした。僕はこれまで、何気なく鶏を食べてきました。食べ
ること、生きることって、実はすごくすさまじい事なんだと思い、可哀
想という言葉では簡単に片付けられない。なぜなら、僕らはそうしない
ことには生きてゆけないのだから。
このとき、思ったことは、今でも心に留めています。
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夢農園社長
菅野英夫さん
夢農園の社長さんと最初に出会ったのは橋本さんと買出しに行った最
初の日でした。見ず知らずの僕らのためにバーベキューをしていただき
熱烈な歓迎を受けたのはまるで昨日のことのように覚えています。
(何度
かバーベキューに参加しましたがどれも楽しかった!)
「賢く生きろ!」
これが僕が社長からもらったメッセージでした。社長はこの一言を最
後の夜におしゃっていました。この言葉の意味をずっと考えていました。
ただぼーっと生きるのではなく、自分は何がしたいのか、どうなりたい
のか、つまり目標を持ち、それを達成するために何ができるのかを必死
で考えた上で行動する。ということなんじゃないか。今ではそう思って
ます。
なぜそう思うことが出来たのか―夢農園で花をお手伝いしたからだと
思います。あの体験は単に都会人が田舎にきて農業体験をするというこ
と以上の意味があったのです!
そうです、花の手伝いをしたために、社長さんがおっしゃったことが
わかるような気がしたのです。この体験がなければ、社長さんの言って
ることがわからなかったのではないか。となると、この川俣インターン
の基本スタンス「農作業を地元の人とともに体験して地元の人の視線に
立って考えてもらうこのインターン。
」当たりです!!大当たりです!!
僕が花のお手伝いをして、そして社長から言葉をもらい考えたことを
整理すると、美しい花を育てるのにも、様々な工夫、その過程があると
いうこと。一つ一つの作業過程に意味があるということ。例えば、花を
より大きく美しく育てるためには、あまりに早く花が咲いてしまっては、
そこで花の成長が止まってしまいます。そこでもっと、大きく育てるた
めに、花のつぼみを何回か取ります。これにより、花はより大きく成長
します。
つまり、花一つ育てるにも花を大きく美しくするという目標のもとで、
その目標を成し遂げるための様々な工夫、そしてその工夫を集積した過
程があり、その過程のどれをとっても意味があるものです。そして、工
夫とはいろんなことを闇雲にするのではなく、花を大きく、美しくする
ということに的を絞ってきちんと考え、行動に移した結果がその花卉栽
培のための過程になっていると思います。それは花に限ったことではな
いのかも知れません。
いい花になるためにはどうすればいいか、そのことを考えて動く。
心に留めたいと思います。
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すぎたやさん
すぎたやさんのところには僕は初めに 1 人で言って製作所のほうを少
し手伝い、後日インターン生 4 人で行き、畑仕事を手伝いました。
「山木屋の人たちはそれぞれすごいものを持っている。しかし、そのこ
とが知られていないのが非常に残念。だから山木屋で会社を営むことに
は意味がある!山木屋でも会社は起こせるのだ!」とすぎたやの社長。
山木屋には農業だけでなく、あらゆる可能性がある、その可能性に挑戦
している姿がカッコよかった。
鴫原光一さん
光一さんの所には 1 日だけと少なかったのですが、お手伝いさせてい
ただきました。葉タバコの畑を見るのも初めてで、最初は戸惑いました。
ヤニが服につかないようにつなぎを用意しててその気遣いに都会にはな
いものを感じ、ここの人の温かさが身に染みました(涙、涙。。
)
たばこはこういう風に作られていることを知り、色々手が加わってや
っと 1 本のタバコになるということ。
(大変だ――)
葉タバコは見かけ以上に体力を使う仕事。こんな大変な仕事をしていて
もみんな明るくてとてもよくしてくれて、僕にとっては居心地がいい、
安心できる場所でした。
夢農園の子供たち
最初、航輝君、昴君のエネルギーに
圧倒されっぱなしでした(笑)
でも!!一緒に遊んで本当に楽しかった。
(子供に戻ってはしゃぎました)
次はスケートでもしましょう!
そのときも一緒に遊んでください。
そしてお姉ちゃんのエレクトーンも帰りに弾いてもらい
感動でした!!
また聴きにきます。
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私の山木屋インターン
天野牧子
インターンが終えて2ヶ月以上経った今でも思うのが、24年間生きて生活してきて、あれほど自分という存
在を肯定し、又、否定したのは初めてだったのではないか?ということである。
自分が生まれ育った環境とは勝手が違い、また考えや価値観も違うのだ、という先入観もありました。そも
そも「農家」というのを、少し・・・言い方が悪いですが「ダサイ」「誰にでも出来る」と思っていました、そんな
私でこのインターン、始まりました。
「家族」
このインターン中、「家族」についての皆さんの考え方に感銘驚きをうけました。
私がこのインターンで一番心に残っている、と言っても過言ではありません。
私の家もサラリーマンではく、事業をやっていたので、農家の方の考えと近いのかとばっかり思っていた
のですが、菅野さんのおじいちゃんに「家族みんなで頑張るんだよ」といわれた時、「え?子供も?」と思
わず聞いてしまいました。そんな目を丸くして聞いてしまった私におじいちゃんは「あたりめぇだぁ∼」とサ
ラリ。
おじいちゃんおばあちゃんは、おうちのリビングの真ん中にある、外からも内からもオープンな和室に居ま
す。それは、外からも人の存在を感じます。安心します。
お孫さんたちも、多美枝さんにとってもそこは、宿題する場、家族団らんの場でもあって、また、お客さん
もが通されるゲストルームにもなる、不思議な間なのである。
そんなおじいちゃんおばあちゃんから・・・
「家のローンも皆で協力する、ご飯も皆で食べる、忙しいときは皆で頑張る
美味しいものは皆で食べる、それが家族」
と・・・。
親のやっている仕事に子供が入ってくるべきではない、それが私の育った環境でしたので、びっくりしま
した。が、それは決して私が育った環境が間違っている、という解釈ではなく、「家族の在り方」の違いな
のだと、思いながらも・・・文字ばかりの「家族」を、自分が都合良いように喉を通し音にしていただけだっ
たと思う。
おじいちゃんの言葉を機に「家族」の中身、意味を考える事が出来た。インターンに参加しなかったら絶
対に自分では思いもしないし、気付きもしなかっただろう。絶対にこういう事を考えるのって大切なんだっ
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て今でも思う。
通称山木屋銀座に御住まいの「すぎたや」さん社長とお酒の杯を交わした晩、社長から
「原点は家族!家族は人生のオアシスだ!」
と、教えていただきました。「原点が家族」・・・菅野さんのおじいちゃんに教えて頂いた言葉とリンクしてい
る気がした。
「自分がいての家族」でなく、「家族あっての自分」、「家族に支えられている」そういう事なのかなと思っ
た。
そして山木屋盆踊りで知り合ったひろこさんに「幸せ」について伺った時
「幸せは気付かない位平凡に暮らせること」
と、おっしゃっていた。そういえば、すぎた屋さんの奥様も
「幸せは・・ゴミと金はないほうがいい、あっはっはは・・・」
とおっしゃっていた。都会は凄く現実的なのだ、お金がないと不便なことが多い・・いや、不便だと感じて
しまっているだけなのだと思う、もっとも本来はその不便が当たり前なのかもしれないと思うと、人は楽な方
へ、便利なほうへいくものなのだと思った。私も今やパソコンや携帯は当たり前で、駅で切符を買うこと、
お財布からお金を出すことすら面倒と思う時がる。そしてその便利を使うにはお金が必要で、そのお金が
あると幸せで、何でも思ったとおりに出来る。しかし、人間がかつて時間や手間をかけて生きてきたこと、
それが今の私たちに繋がっている事を思うと、人間本来の、気持ち、考え、幸せだと思う事って、そう変わ
るものではないのではないかな?って・・・。
私はこのインターン中で身をもってたくさんの方たちからの気持ちで、自分の中に「嬉しい」を感じた、何
故嬉しいと思ったのか???そこに私は着眼しながらインターンを続けた。
「約束」
「約束」は、最初、ここに来たとき菅野社長から「約束は守れ!」と教えて頂いた、漠然と「はい」って言っ
た・・・。何故なら「約束は守るものだから」って思っていたから。しかし、ここ、山木屋でとんでもない「約
束」の重大さ、大きさを知ることになる。
それは8月15日のこと、菅野社長一家は夫人の御実家へ行かれるとのことで、あの敷地には、おじいち
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ゃんおばあちゃん、夢農園のスタッフの方たち、そして私たちだけである。私たちは、おじいちゃんおばあ
ちゃんが居る「不思議の間」へ行ってお話しをさせていただくことにした。
話をしているとき、私はリビングに大きなパズルの箱を見つけた。何故なら、私は入院患者以上にパズル
が大好きだからである。箱を開けてみると、まだ買いたてホヤホヤかと思うほど、何も進んでいない。「おじ
いちゃん!これやっていい??」「いいよ∼」。
早速パズル開始!
これは海と星空のパズルで究極に難しい・・・しかも1000ピース。全部同じピースに見える。当たり前だが、
お昼までに終わるわけがない、そのとき「二晩で完成させる」とおじいちゃんと約束をしてしまったのである。
もう一度言うと、これは星と海のパズルで1000ピースである。
当たり前だが、二晩では無理だった。そして帰郷するまでに延期してもらった。
私は正直このパズルが出来なくてもいっか・・・って心のどこかで思っていたと思う。
インターン後半戦、菅野社長、夫人、そして橋本さんに色々アドバイスをして頂き「インターンとは何か?」
「何をすればいいのか?」「私は何がしたいのか」そんな壁にぶちあたっていた。そして社長に「天野・・・
やりたいことを、やりたいようにやれ!」と言って頂いたとき、今まで荷と感じていたのを剥ぎ取ることができ、
楽になった。
そして毎日やりたいことをやった、自分なりの「働(どう)」で、すごしたかった。
パズルは忘れていた訳ではない。しかし、やると朝がキツイ。
しかし、それを言い訳にどんどん日は過ぎていった。
帰郷まであと1週間くらいの時、スタッフの方が、私が食べた
い食べたいと言っていた茄子のてんぷらを作ってきてくれた。
これを作るのに朝いつもより早く起きたのだと思うと「ぐっっ」と
きた。家事もある、仕事もある、そんな私より忙しい方が約束を
覚えて、しかも守ってくれた。それだけではない、インターン生
にTシャツを譲ってくださる約束をしたスタッフの方は、忘れず
にTシャツを持ってきて、譲ってくださった。
また、タバコの奥様と「いつでも風呂入れてやっから∼」と話をしていた後日「今日ってお風呂頂いていい
ですか?」と聞くと、
「当たり前だべー「いつでも」って言ったべー」と・・。
人の事をこれほどまでに考えて、それを行動する。「約束」の持つパワーって凄い!っと思ったとき、おじ
いちゃんとの約束を思い出した。「あ・・・パズル」。
山木屋で私が「約束」を学んだ証として、パズルで証明しよう!と決めた。
佐野さんや、OBの方もすこしずつ手伝ってくれて、31日の報告会開始直前に完成した。
まだ、のりが乾いていない、生々しいパズルだったが、私はおじいちゃんに渡すことが出来た。
そして「やる!ってちゃんと思ってさぁ∼」と言って頂いたとき、凄く嬉しかった。
きっと「約束」も「嬉」も「幸」も繋がっているのだと思うと、人間の根本から生まれた、元は1つのものだった
のではないだろうか?と思う。
「約束」の大切さを、身をもって、教えてくださった山木屋の方々、そして信じてくれていたおじいちゃんに
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心から「ありがと」と、そして、学んだ事を絶対に忘れずに、自分の中で育てていきたいと思います。
「インターンに参加した動機」
周りの人たちとのきっかけと、それをチャンス、機会だと思った事と、建築を学んでいても、学校でも地域
や街づくりなどに参加することもあって、インターンを決めました。
なかなか学生でないと出来ない事、そして24才の時にしか出来ない事を思いっきり自分で考え行動した
いな、と思いました
「私の一押し」
私の一押しは、山木屋地区内で行われる「天体観測」です。これは、山木屋の子供、小学生から高校生
までが一緒に夜学校に集まって夜空を見る、そして一緒に朝まで過ごす。縦の関係、横の関係が築けて
いいな、と思いました。
川俣町長と
自転車で山をのぼった日々
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私の山木屋インターン
佐野裕子
参加動機
一番大きな動機は農業への興味です。私の家の周りに
は田んぼや畑がたくさんありますが、今まで農業を体験し
たことはありませんでした。汗を流して働くことをしてみたい
と以前から思っていました。
二つ目ははまちづくりの勉強です。まちづくりの現場で、
実際のまちづくりを肌で感じたいと思いました。
もうひとつは自分を見つめなおすことです。
農
のうぎょう
今回、農作業として花卉栽培・養鶏・葉たばこ・野菜作りなどを体験しました。どの作業も重労働で、特
に日中の暑い時間帯での仕事はとても大変でした。初めて使う道具やトラクターなどの農業用機械の操
作に戸惑ったり、花の扱いに神経を使ったりと、朝早くから日が落ちるまで汗を流して働くことの大変さを
知りました。
作業を体験させていただいている間に聞いた話で印象に残っている言葉が2つあります。
ひとつは、「農業は競争ではない」というものです。これは、いろいろな作業
のスピードに関しての言葉ですが、私はせっかちに作業してすぐ飽きてしまう
ほうなので印象に残っています。丁寧に正確にやることが大切だと思いました。
もうひとつは「農業に休日はない」というものです。今日の分の仕事が終わって
も、明日もあさっても毎日やることがある地道な仕事なんだということを感じさせ
られた言葉でした。植物でも動物でも、生き物と向き合い、天候に気を使い、
地道に、継続して、丁寧に手をかけてやることは本当に大変なことだと思いま
した。そうして咲いたトルコキキョウの花はとてもきれいだし、除草したあとの畑
や、田んぼはとても美しく、野菜は今まで食べた中で一番おいしいと感じまし
た。食べ物を生産する体験をして改めて食べ物のありがたみがわかった気が
しました。
また、いろいろな体験をしていくうち、自分たちの手伝っているこの作業は一
年のうちのほんの数日で、一年中続く農業という仕事にはまだまだたくさんの
苦労や知らないことがたくさんあるのだろうと感じるようになってきました。
汗をかいて体を動かして働くことはとても楽しかったです。いろんなおうちの
トマトを食べくらべましたが、どれもとってもおいしかったです。湧き出る水も冷
たくておいしかったです。休憩中に吹く風が気持ちよかったです。プロの技に
は驚かされっぱなしでした。
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繋
つながり
今回のインターンで一番学んだことは人と人とのつながりのことです。山木屋の人
間関係は自分がそれまで経験してきたところよりも密度が濃く、自分でもどこまで踏
み込んでいいのか、どこまでは失礼でないのかの境界線のことでかなり悩みました。
行く先々で人付き合いの話を伺いました。「問題は自分の中にある。」「遠慮をするな、
積極的になれ。」結局、自分の中にある境界線は自分の都合であって新しいところ
へ入ったら深く考えずに飛び込んでみることが大切なんだと思いました。
夢農園、源勝さん、光一さん、すぎたやさんの皆さんには仕事を丁寧に教
えてもらい、おいしいご飯を食べさせていただきました。盆踊りで声をかけてれ
た山川さん、仕事を早く切り上げてオートキャンプ場に連れて行ってくれた吉
村さん、太鼓を教えてくれた遠藤さん、遊んでくれた子供たち、本を貸してくれ
た校長先生、地域のことを教えてくれた公民館の館長さん、いつも声をかけて
くれた駐在さん、他にも川俣で出会ったすべての人が親切にしてくれました。
それは、皆さんの優しさに加えて、山木屋の人たちのお互いの信頼関係と、去
年までのインターン生が築き上げてきた山木屋との信頼関係のおかげだと思
っています。
山木屋にもともと住んでいる人同士はもちろん、新しくほかの土地から来た
人もみんなすごいエネルギーを持っていて、地元の人の中に溶け込み、また
山木屋の人たちもしっかり受け入れて良い人間関係を作っていました。また、山木屋のみなさんは以前イ
ンターンで来た派遣学生のことをちゃんと覚えていて、今でも毎年何人か帰ってきていました。そうやって
街に新しい風を入れるには、飛び込んでいく人と受け入れる人がしっかり良いつながり、信頼関係を作れ
ることが必要だということを思い知らされました。
派遣前ははっきり言ってインターン中に何をすればいいのかいまひとつわかっていませんでしたが、人
間関係を作っていくことが大切だと今は思っています。まちづくりは人づくりということがよくありますが、人
づくりはつながりづくりだと実感しました。
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最後に…
期間中、農作業体験や地域の盆踊りや太鼓や子供たちとの交流など今までにない経験をたくさんさせ
ていただきました。また、それとともに人とのかかわり方や自分らしさとは何か、というようなことを考えるきっ
かけをもらえたと思います。期間中は消極的な部分など成長できずあまり優秀なインターン生ではなかっ
たかもしれませんが、自分はたくさんのことを学びました。笑ったり、泣いたり、起こったり、本気で走ったり
遊んだり食べたり、親切にしてもらう喜びや、料理を作って人に喜んでもらう幸せを味わったり、とても人間
らしい 4 週間だったと思います。自分のことで精一杯で、「地域づくりインターン」という活動にもかかわら
ず地域のためにできたことはほとんどなかったように思いますが、長い時間をかけて地域に恩返ししてい
きたいと思います。
ありがとうございました。
私の一押し
一押しは農業!自分の植えた苗が育ったり、草取りした畑がきれいだったり、とったトマトがおいしかっ
たり…、幸せな気持ちをたくさんもらいました。それから、暑かったり、重かったり、におったり、腰が痛かっ
たり、汚れたり…、大変なこともありました。でもやっぱり楽しかったです。
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提案
山木屋インターン
地域への提案
正直に言えば、可能性はふんだんに感じたが、具体的な提案らしいものは思い浮かばなかった。しか
し、地域づくりや活性化を考える時に、一番重要となるのは、その地域の住民の方々が、その地域でどう
いった暮らしがしたいのか、何を大切にしているのか、こういった地域内で生活している人達の思いを膨ら
ましていくことではないだろうかと思う。そのためには、町内外の人との交流は欠かせない。これには二つ
の方向があると思う。
一つは、町内に外来の人を招くこと重要である。山木屋で 1 ヶ月間暮らして、山木屋太鼓クラブの遠藤
さんや夢農園の多美枝さんをみてそう感じた。2人とも外からやってきた方だ。今回の地域づくりインター
ン事業のようなことが行われているが、それだけでは不十分だと感じる。もっと外の人達を呼び寄せる提
案をしていかなければならないと思う。1つ考えたのは、これから高齢者が多くなる社会になる。それを利
用して山木屋で農業を指導したり、老後に農業をできる環境を与えてあげるというのはいかがだろうか。全
国の高齢者の中には老後は田舎でのんびりと農業がしてみたい。だけどそのやり方がわからないし、場
所もないという人達が結構いるのではないだろうか。
どういった提案・事業を行うにしても役場とそこに住む人達との協力なしには、なすことは難しいと思う。
行政と地域住民が密にコミュニケーションをとれる環境づくりもこれから重要だろうと思う。
もう一つは、町内の人が積極的に町外へ出て行くこと。町の外を体験し、知るということは住民自らが自
分の地域を客観的にとらえる視点を持つことにつながる気がする。夢農園の社長も若いころ外の世界を
見てきた人だ。そのせいか山木屋のなかでもとりわけ異彩を放っていると感じた。積極的に町外での交流
事業などに参加してみるのもいいかもしれない。一度町外の暮らしを体験することも、ものを考える際の視
野を広げることにつながる。
こういった二方向からの外との交流が、地域を変えていく力になると思う。短期間に不特定多数の人が
出入りする交流より、徐々に地域住民それぞれの意識が変わっていく交流の方が大切のような気がする。
時間はかかると思うが、そういったことによって、地域は自然と“活性力”が備わるのではないだろうかと思
う。(永井)
提案というより疑問に近いのですがインターン期間を通して感じたことのひとつに、川俣の中心市街地
と山木屋とのギャップがあります。公民館で見せていただいた川俣町周辺の観光案内パンフレット(結の)
にも、山木屋のことはあまり載っていなかったのを覚えています。4 週間過ごした感覚として、川俣インター
ンというより山木屋インターンだな、という感じです。中心地と山木屋の交流はもっとあってもよいのではな
いかと思いました。(佐野)
私の提案は、私の一押しで挙げた「天体観測」です。せっかく色々な関係が築けるので、山木屋だけで
はなく、川俣内全体でこのような企画が出来たら、川俣のイベントも盛り上がって、それこそ人から人へ繋
がってくことがあるのではないかな、と思いました。(天野)
インターン事業への提案
今回、インターン担当者の橋本さんとあまり関われなかったのが非常に残念でした。次回のインターン
からは、なるべく、関われるようにしたらよいと思います。また、今回、立命館大学のほうからもインターン生
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が来ていました。僕が思うに川俣の中心市街地のインターン、山木屋の農村のインターンと分ける必然性
はあるのでしょうか?この際、一緒にすることは出来ないのでしょうか。趣旨が違うと言ったらそれまでです
が、あえて分けることにどれだけの意味があるのか、僕にはイマイチその真意が掴めませんでした。(古波
蔵)
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終しまい
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