計画(PDF)

国別援助方針 別紙
対ヨルダン・ハシェミット王国 事業展開計画
2016年 4月 現在
基本方針
(大目標)
重点分野1
(中目標)
安定の維持と産業基盤の育成
自立的・持続的な経済成長の後押し
【現状と課題】
ヨルダンに成熟産業は多くなく,依然として海外への出稼ぎ労働者からの送金及びドナー国からの支援に依存す
る傾向が強い。ヨルダンの失業率は12.6%(2013年時点)と高く,特に人口の約70%を占める29歳以下の若年層の
雇用が大きな課題となっている。このため,ヨルダン政府は労働行政分野に関し,「失業率の低下」,「人的資源
開発の質的改善:教育システムと労働者ニーズとの整合性の確保」及び「産業開発を通した雇用創出」を主な政策
課題として掲げている。
この中で観光産業については,貴重な外貨収入が見込まれるとともに,多くの雇用を創出する観点から,ヨルダ
ン政府の期待は大きい。
また,成熟産業の僅少等の内的要因と莫大な数のシリア難民の国内への流入等の外的要因が相まって,近年ヨル
ダン政府は毎年多額の財政赤字を抱えており,公的債務が増嵩している。
【開発課題への対応方針】
産業界のニーズに合った質の高い人材の育成,係る人材の就業支援,労働市場のマッチン
グ機能の向上等の取組を拡充する。
また,雇用吸収効果が高いと見込まれ,産業としてポテンシャルの高い観光産業等の振興
にも重点的に取り組む。
さらに,自立的かつ持続的な経済成長による財政赤字の解消を図るとともに,適切な公的
債務管理を促進する。
実施期間
協力プログラム名
案件名
協力プログラム概要
産業界のニーズに即した人材の育成,
就業支援及び労働市場とのマッチング キャリアガイダンス/雇用システム能力向上プロジェクト
の強化を図るとともに,雇用吸収効果
及び外貨収入が見込まれる観光産業等
若年層へのキャリアガイダンス能力向上プロジェクト
への支援を行う。
労働安全衛生センター機能強化プロジェクト
民間セクター開発および労働・雇用分野の課題別研修他
開発課題1-1
(小目標)
自立的かつ持続的
な産業振興及び雇
経済成長の基盤整 用機会拡充プログ
備
ラム
スキーム
支援額
備考
2015
年度
以前
2016
年度
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
(億円)
技プロ
技プロ
技プロ
課題別研修他
産業人材育成雇用拡充
遺跡観光開発アドバイザー
観光促進支援
サルト市における持続可能な観光開発プロジェクト
ペトラ博物館建設計画
ペトラ地域総合開発プロジェクト
JOCV/SV
個別専門家
JOCV/SV
技プロ
3.09
一般文化
7.83
技プロ
4.47
自立的かつ持続的な経済成長による財
政赤字の解消を図るとともに,適切な 人材育成・社会インフラ改善計画
公的債務管理が行われるよう支援を行
う。
有償
人材育成・社会インフラ改善事業実施支援
財政管理の適正化
に資する開発政策
立案・実施支援プ
ログラム
122.34
個別専門家
財政強化型開発政策借款
有償
120.00
財政・公的サービス改革開発政策借款
有償
240.00
個別専門家
財政管理
【現状と課題】
ヨルダンの国土は,気候変動の影響を比較的受けやすい乾燥地又は半乾燥地に分類される。国土の90%以上が年
間降水量200mm以下であり,国民一人当たりの年間水資源量は129m3と極めて少ない。このため,水資源の開発と有
効・公平な利用がヨルダンにおいて最も重要な課題の一つとなっている。また,標高約900mに位置する首都アンマ
ンの水源の多くは標高-300mのヨルダン渓谷にあるなど水資源確保のために大量のエネルギーが必要となっている。
一次エネルギーの97%以上を外国からの輸入に頼っている中で,2011年にシナイ半島からのガス供給パイプライ
ンが幾度にわたり爆破され,エジプトからの安価な天然ガスに代わる他の比較的高価な代替エネルギーを調達せざ
るを得なくなり,これが政府の財政を圧迫している。また,シリアを始めとする近隣諸国からの難民・避難民の流
入に伴う水及びエネルギーの需要増加に対応する必要がある。
【開発課題への対応方針】
気候変動対策並びに資源の効率的・持続的な利用及び管理の促進を図るため,主に水資源
及びエネルギー分野において協力を実施する。
水資源分野については,難民・避難民の流入等による人口増加に対応した水供給計画の策
定,水資源の効率的な利用のための施設整備や運営維持管理・配水管理能力の向上に取り組
む。
エネルギー分野については,電力分野において長期的な電力源の調達の在り方も含めた最
適電源構成・送電計画の整備,再生可能エネルギー等の新たなエネルギーの開発,省エネ推
進のための計画策定支援及び制度整備並びにボランティアによる活動等を通じた人材育成を
支援する。
実施期間
協力プログラム名
案件名
協力プログラム概要
気候変動対策及び資源の効率的・持続
的な利用・管理の促進を図るため,主 南部地域給水改善計画
に水資源及びエネルギー分野において
協力を実施する。
開発課題1-2
(小目標)
上水道エネルギー効率改善計画
気候変動対策・資
源の効率的・持続
的な利用・管理
スキーム
支援額
備考
2015
年度
以前
2016
年度
無償
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
(億円)
19.11
無償
11.32
バルカ県送配水網改善・拡張計画
気候変動対策及び
資源の効率的・持
続的な利用・管理
プログラム
無償
水分野の課題別研修他
課題別研修他
電力政策アドバイザー
個別専門家
電力セクターマスタープラン策定プロジェクト
開発計画
電力分野の課題別研修他
課題別研修他
環境分野の課題別研修他
課題別研修他
環境教育分野の青年海外協力隊
JOCV
22.38
重点分野2
(中目標)
貧困削減・社会的格差の是正
【現状と課題】
ヨルダンでは国内の経済格差が拡大しており,また,パレスチナ難民,障害者,女性等の社会的弱者の社会進出
が進んでいない。ヨルダンは不安定な地域の要衝にあり,多様な民族を国内に受け入れながらも,安定した社会秩
序を維持してきた。しかしながら,当該格差を放置することは,国内の不安定化や過激派の台頭につながる危険性
を孕んでいる。地域の安定化のためにも,ヨルダンの安定の維持が重要であることから,ヨルダンが抱えている
様々な格差の是正を図る必要がある。
【開発課題への対応方針】
パレスチナ難民,障害者,女性等の社会的弱者を支援するための福祉制度の構築・強化を
支援することにより,社会的格差を是正し,ヨルダン社会の安定化を目指す。
これまで南部地域で実施した地域コミュニティの意識改善・行動変容,家族計画の促進及
び母子保健サービスの改善といった女性のエンパワメントに係る成果に基づき,他地域への
展開を目指す。
実施期間
協力プログラム名
案件名
協力プログラム概要
パレスチナ難民キャンプ内の難民の就
業や経済活動,生活改善への支援,障 パレスチナ難民生計向上のための能力開発プロジェクトフェーズ2
害者の自立と社会参加支援,ジェン
ダーに配慮した保健分野の改善支援な
ど,貧困削減・社会的格差是正のため パレスチナ難民生計向上のための能力開発プロジェクトフェーズ3
の支援を行う。
開発課題2
(小目標)
情操教育分野の青年海外協力隊
社会的弱者のエン
パワメント
障害問題アドバイザー
スキーム
支援額
備考
2015
年度
以前
2016
年度
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
(億円)
個別専門家
個別専門家
JOCV
個別専門家
障害者の経済的エンパワメント及び社会参加促進プロジェクト
貧困削減・社会的
格差の是正プログ
ラム
障害者支援分野の課題別研修他
障害者支援分野の青年海外協力隊
幼児教育分野の課題別研修他
幼児教育分野の青年海外協力隊
技プロ
課題別研修他
JOCV
課題別研修他
JOCV
医療・保健分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力
草の根無償
0.32
教育研究分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力
草の根無償
0.09
重点分野3
(中目標)
平和創出に向けた地域間交流
【現状と課題】
ヨルダンは,政情や治安が不安定な中東地域にあって,アラブ諸国のみならず欧米やイスラエルとも交渉のチャ
ンネルを持ち,中東和平に向けて建設的な役割を担う国の一つとして,我が国の中東政策において,地政学的な観
点から重要である。また,地域の中で比較的安定している国であり,周辺国からの難民の流入を一貫して受け入れ
るなど,重要な役割を担っている。このため,ヨルダン自身が安定を維持し,健全に発展するとともに,ヨルダン
と近隣諸国との関係を強化し,地域の安定化に更に貢献することが期待される。
加えて,ヨルダンは,中東地域の中では教育・技術レベルが比較的高い上,日本の技術協力の成果により蓄積さ
れた知見を近隣諸国に普及することができるため,ヨルダンが擁する人材を活かして,近隣諸国の開発に貢献する
ことも期待される。
【開発課題への対応方針】
「平和と繁栄の回廊」構想の一環として,ヨルダンを通じてパレスチナの経済的自立を促
すなどの支援を行う。
2004年に結ばれた「日・ヨルダン・パートナーシップ・プログラム」に基づき,パレスチ
ナ,イラク,イエメン等で人材を育成するためにヨルダンで研修事業を行うこととし,これ
を通じて各国との信頼醸成を推進する。
ヨルダンの政情や治安の安定化を図るための支援を行う。
シリア難民及びシリア難民を受け入れているホストコミュニティへの支援を行う。
実施期間
協力プログラム名
「平和と繁栄の回
廊」構想プログラ
ム
案件名
協力プログラム概要
スキーム
「平和と繁栄の回廊」構想の実現に向
ヨルダン・日本・イスラエル三角協力:第2フェーズ ヨルダン先進農業技術の導入計
けた支援を行う。
画プロジェクト
技プロ
ヨルダン・日本・イスラエル三角協力:ヨルダン先進農業技術の導入計画プロジェクト
フェーズ3
技プロ
パレスチナ向け農業研究開発の能力向上フェーズ2
第三国研修
パレスチナ向け農産品貿易促進のための食品安全及び検疫分野の能力開発
第三国研修
「日・ヨルダン・パートナーシップ・
プログラム」に基づき,近隣諸国の人 パレスチナ向け「電力」フェーズ2
材を育成するためにヨルダンで研修事
業を行うこととし,これを通じて各国
との信頼醸成を推進するとともに,ヨ パレスチナ向け「気象分野人材能力向上」
ルダンの政情や治安の安定化を図る。
2015
年度
以前
支援額
備考
2016
年度
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
(億円)
第三国研修
第三国研修
イエメン向け「電力分野人材能力向上」
第三国研修
イラク向け警察分野人材能力向上
第三国研修
イラク向け警察分野人材能力向上フェーズ2
第三国研修
イラク向け電力分野における組織制度改善人材能力向上フェーズ3
第三国研修
イラク向け近代的農業技術普及フェーズ2
第三国研修
イラク向け近代的農業技術普及フェーズ3
第三国研修
イラク及び周辺国向け農業及び水管理の能力向上
第三国研修
イラク向け「保健分野人材能力向上」
第三国研修
アフガニスタン等向け「農業分野人材育成向上」
第三国研修
周辺地域の安定化
促進プログラム
アル・カラマ国境治安対策強化計画
無償
5.42
気象観測分野の無償資金協力
無償
2.00
ガバナンス分野の課題別研修他
開発課題3
(小目標)
課題別研修他
ヨルダンの気象観測分
野の取組に資する我が
国中小企業製品の調達
シリア難民及びシリア難民を受け入れ
ているホストコミュニティへの支援を 青少年活動等
行うことにより,ヨルダンの安定に寄
与する。
開発課題3
(小目標)
開発計画
6.60
技プロ
1.90
北部地域シリア難民受入コミュニティ水セクター緊急改善計画
無償
25.10
医療分野の無償資金協力
無償
10.00
ヨルダン政府の財政負
担の軽減等に資する我
が国医療機材の調達
地方分野の無償資金協力
無償
10.00
ヨルダン政府の財政負
担の軽減等に資する我
が国地方産機材の調達
経済社会開発計画
無償
18.50
日本NGO
0.34
シリア難民ホストコミュニティ緊急給水計画策定プロジェクト
シリア難民ホストコミュニティにおける村落保健センターRH/FPサービス向上プロジェ
クト
周辺地域の安定化
促進
ヨルダンにおけるシリア難民内戦負傷者・障害者支援事業
シリア難民及びホ
ストコミュニティ
支援プログラム
JOCV
ジェンダー平等と女性エ
イルビド及びザルカにおける女性の経済的エンパワメント及び保護イニシアティブを通
じた社会的連帯の促進
マルチ
シリア危機に依拠する経済危機の影響を受ける脆弱なヨルダン人の食料不足への支
援
マルチ
2.00百万 USD
シリア危機の影響を受けたヨルダン,イラク,トルコ,エジプトに滞在するシリア難民へ
の食料支援
マルチ
6.00百万 USD WFP
ヨルダン全土におけるシリア難民に対する保護及び支援
マルチ
10.93百万 USD
国連難民高等弁務官
事務所(UNHCR)
アンマン市に居住する登録シリア難民の生活・厚生向上
マルチ
0.15百万 USD
国際赤十字赤新月社
連盟(IFRC)
脆弱なシリア難民とヨルダンのホストコミュニティのヨルダン人との平和的共存及び生
活の向上並びにレジリエンス強化
マルチ
0.61百万 USD IFRC
ヨルダンにおける最も脆弱な子供,若者及び女性に対するセクター横断的緊急支援
マルチ
8.00百万 USD
国連児童基金
(UNICEF)
ヨルダン北部と中部のシリア難民を受け入れているホストコミュニティにおける雇用創
出及び食の安全保障向上
マルチ
1.89百万 USD
国連工業開発機関
(UNIDO)
ヨルダンにおける対テロリズム,安定化,脱過激派支援
マルチ
12.65百万 USD
国連開発計画
(UNDP)
北部ヨルダンにおけるシリア難民への救急医療サービス拡大
マルチ
国連プロジェクト・
0.88百万 USD サービス機関
(UNOPS)
ヨルダン国内の難民キャンプにおけるシリア難民の安全確保・治安対策向上
マルチ
1.50百万 USD UNOPS
アズラックキャンプ内のシリア難民に対する家族計画と性及び性別に基づく暴力への
介入
マルチ
1.58百万 USD
国連人口基金
(UNFPA)
ヨルダンにおける対テロ法制の強化
マルチ
0.50百万 USD
国連薬物犯罪事務所
(UNODC)
ヨルダンにおけるテロ及び組織犯罪に対する捜査能力及び国際連携の強化
マルチ
0.92百万 USD UNODC
ヨルダン地方部の女性の食の安全保障支援
マルチ
1.26百万 USD UNWOMEN
イラク・シリア難民・国内避難民支援
マルチ
5.65百万 USD
脆弱なシリア難民とヨルダンのホストコミュニティのヨルダン人との平和的共存及び生
活の向上並びにレジリエンス強化
マルチ
1.00百万 USD 国際移住機関(IOM)
穏健派支援及び過激派対策のための能力向上
マルチ
3.79百万 USD UNOPS
1.76百万 USD ンパワーメントのための
国連機関(UNWOMEN)
国連世界食糧計画
(WFP)
ジャパン・プラット
フォーム
シリア難民及びホ
ストコミュニティ
支援プログラム
シリア難民危機対応のための安全保障・治安対策向上
マルチ
5.17百万 USD UNOPS
寒波により影響を受けたシリア難民及び国内避難民等に対する緊急無償資金協力
マルチ
1.75百万 USD WFP等
【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査)、「詳細設計」(=詳細設計)、「技プロ」(=技術協力プロジェクト)、「開発計画」(=開発計画調査型技術協力)、「個別専門家」、「個別機材」、「国別研修」、「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研修)、「JOCV」(=青年海外協力
隊)、「SV」(=シニア海外ボランティア)、「第三国専門家」、「第三国研修」、「現地国内研修」、「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型))、「草の根技協」(=草の根技術協力)、「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実施している技術
協力)、「民間提案型技協」(=開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)、「無償」(=以下に特記するサブ・スキームを除く全ての無償資金協力)、「水産無償」(=水産無償資金協力)、「食糧援助」(=食糧援助)、「一般文化」(=一般文化無償資金協力)、「草の根文
化」(=草の根文化無償資金協力)、「緊急無償」(=緊急無償資金協力)、「日本NGO」(=日本NGO連携無償資金協力)、「草の根無償」(=草の根・人間の安全保障無償資金協力)、「有償」(=円借款、海外投融資)、「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム)、「中小企業
支援」(=中小企業海外展開支援事業「基礎調査」、「案件化調査」及び「普及・実証事業」、並びに中小企業連携促進基礎調査)、実線「―――」(=実施期間)、破線「- - - -」(=実施予定期間)