世界 規模の間違 い(http://st-nagaya.jp/) > 第二部 > 12 物理法則 の不変基礎 12 物理法則の不変基礎 相対性原理は物理法則と表裏一体で抽象、数学化され、物理法則は座標変換に対 し不変(共変)であることを要請する。ここで、ニュートンの運動法則が成り立つ 場合をガリレイの相対性原理、それを電磁現象(光学現象を含む)にまで拡張した ものがアインシュタインの特殊相対性原理である。尚、アインシュタインの特殊相 対性理論はマクスウェルの電磁気の法則を満たしていて、その方程式はローレンツ 変換に対し不変である。そして、アインシュタインの運動学は光速度に対して十分 に小さい運動を扱う場合はニュートンの運動学と一致するものであり、ニュートン の運動学を拡張したものと見なすことが出来る。更に、物理法則は加速度系におい ても同一としたのが一般相対性理論である。 この論文の目的は、物理法則の不変基礎について考え、従来の物理学の見直しを はかるものである。その為、次の様に言葉や意味などを整理して定めておく。 1:「相対性原理」とは、相対的に慣性運動している全ての系において同じ 物理法則が成り立つことをいう。 2:物体を扱うのがガリレイの相対性原理であり、光を扱うのがアインシュ タインの相対性原理である。ここで、物体と光に関し、それぞれ相対性 原理が成り立つ為の原理的証明がなければならない。 3:物理学においては単なる静止や運動の言葉を使ってはならない。「相対 静止、絶対静止」か「相対運動、絶対運動」の表現しかできない。 物体の相対性原理について ◇慣性運動の定義 宇宙船Aにボールaを相対静止させた系と、別の宇宙船Bにボールbを相対静止 させた系を用意し、両系は互いに運動しているとする。簡単には、物体Aと物体a が相対静止している組み、物体Bと物体bが相対静止している組みがあって、この 二つの組みが相対運動している状態である。このとき、物体Aと物体a、或いは物 体Bと物体bは「完全並進運動」してるという推論が成り立つ。さもなければ物体 同士の相対静止は実現されないからである。従って、それぞれの物体は等速度で直 進運動をしているという結論に達し、これを【慣性運動】の定義とする。 ◇物体における物理法則の不変基礎と慣性配分の原理 ガリレイの相対性原理は「慣性運動している船や列車など全ての系において物体 は鉛直落下する」ことを物理法則の不変基礎としている。しかしこれは間違いであ る。何故なら、物体の鉛直落下は物体と物体の間に働く重力(引力)の相互作用で あるからである。簡単に言えば、一定の速度で直進的に北極近辺から南下する船上 において、途中のどの地点においても物体の鉛直落下は実現できるが、それら落下 は全て地球の中心に向いているのである。すなわち、ガリレイの相対性原理は近似 - 1 - 世界 規模の間違 い(http://st-nagaya.jp/) > 第二部 > 12 物理法則 の不変基礎 や局所の概念(便法)により、慣性運動もしくは鉛直落下の原理的破壊となってい るのである。 では、宇宙空間における相互作用を除いた理想的な条件下で、物体の物理法則の 不変基礎を考えてみよう。慣性航行中の宇宙船の床に対してボールを直角に投げつ けてやると、そのボールは床と天井のそれぞれ一点の間で往復運動を繰り返すこと になるであろう。ここで注意せよ。この実験が成り立つ為には、予め宇宙船にボー ルを静止させなければならない。何故なら、一般に、ボールは宇宙船の床に対し直 角に運動していることはないからである。そこでボールを掴まえ宇宙船に押し付け てやる。すると、ボールと宇宙船の間で質と量に応じた慣性が配分され、相対静止 が実現する。これを【慣性配分の原理】と呼ぶことにする。すなわち、慣性配分の 原理は、宇宙の何処でも地球上と同じ物理法則が通用するという考え方に我々を導 く。勿論、物体を鉛直落下させる場合も、予め慣性配分が行われていなければなら ない。 ◇物体の現象制御系と傍観系 床と天井のそれぞれ一点の間でボールが往復運動する実験を行っている宇宙船の 系を【現象制御系】と呼んでおく。一方、現象制御系で行なわれている実験を見て いるロケットの系を【傍観系】と呼ぶことにする。これら呼称の理由は次の通りで ある。 現象制御系では必要に応じて実験を制御できるが、その実験を傍観系からは制御 できない。現象制御系は傍観系の有無に関係なく成り立つが、傍観系は現象制御系 がなければ成り立たない。また、一つの現象制御系に対し、傍観系は同時に複数の 設定が可能である。そして、現象制御系ではボールが同一経路を辿って往復運動を 繰り返すが、傍観系ではボールのジグザグ運動が観測され、現象制御系と傍観系の 間の速度が変わればジグザグ運動も変わってくる。これらの事実により【現象制御 系と傍観系は因果関係にある】と結論される。 ◇相対性原理の破綻 ここで注意せよ。上記の現象制御系と傍観系の区別および因果関係の証明、そし て前証明の慣性運動や鉛直落下の原理的破壊に拠り、ガリレイの相対性原理は破綻 する。ちなみに、物体の物理法則の不変基礎は「慣性配分の原理」において保証さ れている。 ◇速度の合成 物理学は、現象制御系の現象と、その現象を観測してい傍観系、これら二つの系 の観測結果を一度に記述する方法を要請する。 先ず、現象制御系と傍観系の違いを明確にする必要がある。そこで、他の系の存 - 2 - 世界 規模の間違 い(http://st-nagaya.jp/) > 第二部 > 12 物理法則 の不変基礎 在に関係なく成り立つ現象制御系を「孤立系」として扱い、境界条件で囲むことに する。そして、境界条件の外側に階層的(入れ子構造)に傍観系を配置する。この 両系の因果関係に基づき、【因果律の速度合成則】とすることにする。 光の相対性原理について ◇マイケルソン&モーレィの実験とフーコーの実験 宇宙船の天井と床のそれぞれ一点の間を、光が同一経路を辿って往復する。これ が光の現象制御系である。マイケルソン&モーレィは光の干渉計を考案し、地球上 で光の現象系に相当する実験を行った。光の干渉計は、二方向に分けた光を一つに 戻し、地球の公転運動(速度)の影響によって生じるであろう光速度の変化(光の 干渉縞のズレ)を検証する装置である。そして検証の際、干渉計の方向を変えて地 球の公転運動の方向に対するいわば向かい風と追い風の状態を造るのである。この 光の干渉計の精度は極めて高く、精密実験の模範とされた。ところが、光の干渉縞 のズレは確認されなかった。そして、その結果は後に「光速度一定の原理の実験的 基礎(アインシュタイン)」とみなされることになる。 補足である。マイケルソン&モーレィが光の実験を行う30年程前、フーコーは 振子を使って地球の自転運動を検証している。つまり、地球は自転運動しながら公 転運動をしているのである。従って、地球の公転運動に対する向かい風と追い風の 状態を造る為に光の干渉計の方向を変える必要は全くない。つまり、マイケルソン &モーレィはフーコーの実験を見逃していたのである。そして、地球の赤道付近と 北極(または南極)付近では自転による地表速度が大きく違っている。赤道付近で は約460メートル毎秒であり、極地ではゼロという違いがある。従って、赤道付 近の地表速度の光速度への影響は、逆方向も考慮すれば約920メートル毎秒が見 込まれる。ここで、長さの国際単位1メートルは1秒の299792458分の1 の時間に光が真空中を進む距離として1983年に国際度量衡総会(CGPM)で再定義 されている。そして、光速度の最大相対誤差は4×10-9とされている。すると上 記の地球という一つの系における約920メートル毎秒と、ゼロという速度幅にお ける光速度との関係を、どのように考えるのであろうか…?。 ◇相対性理論の終末 以下に、光速度一定の原理によるアインシュタインの特殊相対性原理(光に関す る物理法則の不変基礎)を解析してみよう。 宇宙空間で互いに慣性航行している宇宙船の系とロケットの系を用意する。宇宙 船の系には天井と床に鏡が設置されており、各鏡の一点の間で同一経路を辿って光 が往復運動する実験を行っている(光時計の設定)。そして他方、ロケットの系で は、宇宙船の光時計の実験を見ており、その光の経路をジグザグ運動として捉えて いる。このとき、両系間の相対速度が変われば、ロケットの系における光のジグザ - 3 - 世界 規模の間違 い(http://st-nagaya.jp/) > 第二部 > 12 物理法則 の不変基礎 グ運動の角度も変化する。これが特殊相対性理論の設定である。すなわち、宇宙船 の系が現象制御系であり、ロケットの系が傍観系であって、両系は因果関係にある ことは既に議論を重ねてきた通りである。 上記の議論と結論を考えあわせれば、鏡が設置されていないロケットの傍観系で ジグザグに進む光は現実本物でないことが判明する。従って、「傍観系でのジグザ グに進む光に対して光速度一定の原理は適用できない」と結論される。ここで注意 せよ。アインシュタインは「光の物理法則の不変基礎」を主張する為に、傍観系に も光速度一定の原理を適用しなければならなかったのである。結果、現象制御系と 傍観系の因果関係の破壊に陥ってしまったのである。 まとめ 原理・原則の考察が重要なことは[思考原理と時間の正体][観量性理論]にお いても十分に議論してきた。原理・原則の考察の重要性に気付いたのであろうウィ キペディア百科事典は、近年、 【この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です】 の断り書きを「運動」「直交座標系」「慣性系」「自由落下」「距離」「ガリレイ 変換」などの基本事項に張り付けている(20件以上)。これらを照合しながら各 論文を読み進まれたい。 目次へ戻る 第三部へ - 4 -
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