当日配布資料(589KB)

細胞内3次元微細構造
観察のための
細胞把持・回転観察機構
名古屋工業大学
大学院工学研究科 機能工学専攻
教 授
松 本
健 郎
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研究背景
細胞は生体組織を構成している最小単位
Microtubule
Actin filament
・物質輸送のレール
・細胞内で圧縮
・1.9 GPa*1
・細胞の形を決定
・細胞内で張力
・1.3-2.5 GPa*1
Nucleus
・遺伝情報を格納
・細胞を補強
・~5 kPa (細胞質 0.5 kPa)*2
細胞小器官の位置関係
機械的特性
細胞の活動
*1Subra
空間的にどのように配置しているか
詳細に知ることが重要
Suresh, Biomechanics and biophysics of cancer cells, Acta Biomaterialia, 3, pp. 413-438, 2007.
*2Nathalie
Caille et al., Contribution of the nucleus to the mechanical properties of endothelial cells, Journal of Biomechanics, 35, pp. 177-187, 2002.
2
現状: 細胞内3次元微細構造の観察
厚み方向分解能(約0.5µm) < 焦点面内分解能(約0.2µm)
各断層画像の重ね合わせ
Objective lens
共焦点レーザ顕微鏡
断層画像の撮影
3次元再構築
断層画像間の情報の欠落
鮮明な3次元再構築像が得られず
3
共焦点レーザ顕微鏡観察の例
QuickTimeý Dz
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平面像
再構築像
平面像
再構築像
ラット胸大動脈単離平滑筋細胞のアクチンフィラメント像
Digital Eclipse C1, Nikon (60x, NA1.40)使用, deconvolution 処理済
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技術内容紹介:回転観察法
回転観察装置を
顕微鏡に設置
θ0
すべての方向において
分解能が等しい
θ1
回転観察法
θ2
鮮明に3次元再構築が可能
Objective lens
顕微鏡の機能の向上
様々な方向から観察
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従来の細胞把持・回転観察装置概要
ガラスピペットで細胞表面を吸引把持,顕微鏡下で回転.回転に伴う細胞
の位置ずれは,画像処理信号を元に3軸位置決め装置で修正.
顕微鏡・CCDカメラ
画像処理装置
Y
Y
X, 一定
回 転
X
X, Z
X
X
Z, 面積最小化
Z
細胞
ガラスピペット
Z
モータ
3軸位置決め装置
コンピュータ
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従来の細胞把持・回転観察装置:側面
回転軸
ピペット先端
芯出し機構
ピペット
ベルト
&プーリ
支柱
x
y
z
ピペット先端
位置決め機構(微動)
ステッピング
モータ
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従来の細胞把持・回転観察装置:正面
X-Yステージ
位置調節
z
y
x
−12ε
Zステージ
位置調節
Lever
レバー式
mechanisms
微動機構
ε
ステンレス
ピエゾ素子
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従来のピペット芯出し機構
自動調芯滑り
軸受を使用,
回転軸の弾性
変形により,
ピペット先端
を回転軸中心
に合せる
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従来技術とその問題点
軸受のガタのためピペット先端が移動
ピペット先端の画像情報を利用して位置制御
・回転軸方向に顕著に移動
・暗視野での観察が困難
・制御が不安定で回転時間に制約
ピペット芯出し機構の操作性が悪い
ピペット先端を回転軸に厳密に合わせることが困難
細胞を同一位置に保つことが難しい
リアルタイムの回転観察が困難
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新技術の特徴・従来技術との比較
従来技術
の欠点
1. 軸受のガタのためX,Y方向に先端が移動
2. ピペット先端芯出し機構の操作性が悪い
3. 細胞把持操作時に細胞が脱落
新技術の
解決法
新技術の
特徴
1.
新たな軸受の導入
2.
新たな芯出し機構の導入
3.
新たな傾斜機構の導入
操作性の向上により
回転観察法の適用範囲を広げる
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想定される用途
• 顕微鏡の機能向上
– 既存の顕微鏡に取り付け,リアルタイムの3次元
観察が可能
– 比較的安価に3次元観察が可能(試作費用100
万円弱)⇔共焦点顕微鏡は数1000万円
• 顕微鏡下のマニピュレーション
– 顕微授精,核移植,細胞内手術
– 細胞のねじり試験装置
– 微細部品の形状チェック
など
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想定される業界
• 想定されるユーザー
– 顕微鏡を使用する研究室・工場
– 細胞関係の研究室
– 顕微(人工)授精実施施設
• 想定される市場規模
– 使用施設数400、導入費用250万円と想定
→10億円の市場規模
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実用化に向けた課題
• 現在,回転時のピペット先端のブレを回転軸と
直交する方向に±0.5μm以下,回転軸方向
に±0.1μm以下にすることに成功.
• しかし,作業の最初にピペット先端を回転軸中
心に合せる芯出し作業に熟練が必要
• 今後,ピペット芯出し機構に作業を容易にする
ための更なる改良が必要(改良中)
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企業への期待
• 当方との共同研究を通じ,
• 使い勝手の向上と価格の低減を進め,
• 細胞回転観察装置の製品化を目指し
て頂ければ,と期待しております.
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本技術に関する知的財産権
•
•
•
•
発明の名称 :細胞把持・回転観察装置
出願番号 :特願2008-043987
出願人
:名古屋工業大学
発明者
:松本 健郎,大原 大典
長山 和亮
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お問い合わせ先
名古屋工業大学
産学官連携センター 企画・管理部門
TEL 052-735-5627
FAX 052-735-5542
e-mail c-socc.all@ml.nitech.ac.jp
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松本研Webサイト
http://bio.mech.nitech.ac.jp/top.html
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