お 客 さ ま 訪 問 まろき湯の宿 湯元 原舘さま

お客さま訪問
まろき湯の宿 湯元 原舘さま
伊勢神宮にお参りする際、心身を清める湯ご
りの地・榊原温泉。中でも、次々と新しい企画
で旅人を楽しませる個性あふれた話題の宿があ
る。今回のお客さま訪問は「湯元 原舘」。温
泉と体の関係について、興味深いお話をうかが
うことができた。
伊勢自動車道の久居 I.Cを降りて西へ約20分。
榊原川沿いにいくつもの温泉宿が立ち並んでい
た。湯元 原舘 取締役の前田諭人(さとし)さ
んは「日本人は温泉に浸かることで、日々のス
トレスや疲れを癒してきました。ですが、温泉
が本当に体に良い作用があるのかどうかは、そ
の人にしかわからない。そこで、ストレスの解
消度合いを数値化できないかと考えたのです」
と特別プランが生み出された経緯を語る。
ロビーに置かれているのは、だ液から酸化還
大 浴 場﹁ も え ぎ ﹂。 奥 に は 源 泉 か
け流し風呂がある 湯元 原舘外観
展望露天風呂﹁天雅﹂
元電位を測る機器。この数値で体の酸化状態を
測定し、ストレスチェックのひとつの指標とし
ている。酸化還元電位は温泉の品質を測るため
の基準にも用いられていて、
「当館の温泉はマ
イナス 225mV で、抗酸化作用が強いといわれ
ています」。
「温泉力魅せます」
プランは、
チェッ
クインとチェックアウト時で、どれくらい数値
が変化したかを測定し、その差の値に応じて
キャッシュバック。体内の抗酸化力がつけばつ
くほどトクをするという、他にはないユニーク
な企画だ。
さらに温泉効果への追求は続く。
「笑いとス
トレスの関係を研究されている大阪大学大学院
医学系研究科の大平哲也准教授(当時)と共同
で、温泉と笑いによる抗酸化作用の実験を行っ
たのです。このときは温泉と笑いヨガを組み合
わせました」
。笑いヨガというのは、体操とヨ
ガの呼吸法を取り入れたもの。「これによって、
大きなリラクゼーション効果を得ることができ
たのです」と前田さん。現在、湯元 原舘では
月に 1 回、笑いヨガ教室(大浴場の入浴がつい
4
電気と保安 2016.9・10
特別レディースルーム 温泉を使い、
旬の野菜などを蒸した﹁温泉野菜蒸し﹂。
美 と 健 康 を テ ー マ に、 趣 向 を こ ら し た
食事を提供する湯元 原舘
㊦モダンな雰囲気のダイニング「厨草子」。
て 2000 円)を開催する。
「 当 館 の 源 泉 は、 湯
量も豊富でシャワーに
も温泉を使っていま
す。源泉かけ流しのお
湯は 31.2℃と少し低め
なのですが、その分長
くお湯に浸かっていら
れ、温泉をじっくり楽
しんでいただけます」。
取締役 前田諭人さん
他にも、山々を眺めら
れ、夜にはかがり火が幻想的な展望露天風呂がお
すすめだ。
「貸切風呂では、車椅子のお客さまに
対応したお風呂もご用意しています」。また、バ
リアフリーの客室や車椅子対応の送迎車など、優
しい配慮がたっぷり。
ダイニング「厨草子」で供される「温泉野菜蒸し」
は、旬の野菜や果物を温泉水で蒸したもの。外か
ら内から、体をより健康へと導いてくれるという
車いすでも安心して利用できる露
天風呂 バリアフリーの客室 温泉
水を配合した化粧品「まろみ」など
オリジナル商品も販売
のがうれしい。
旅館は、お客さまが快適に過ごして
いただく場所。省エネが難しい部分もあるが、電
力使用量の削減にどのように取り組まれているか
を、
管理部長の村田雄(たけし)さんにうかがう。
「昨年、夢の館の客室と廊下の一部をLED に代え
ました。空調設備も更新時には省エネタイプに変
更。設備費はかなりかかりますが、長い目で見れ
ば得になると思います。また、電力デマンド監視シ
ステムも入っていて、事務室にモニターが設置して
あります。警報が鳴ったら、すぐにスタッフが休憩
室のエアコンを切るなどの対応をしています。」と村
田さん。こまめな取り組みが大きな成果となり、デ
マンド値を約 2 割弱下げることができたという。
最後に、前田さんがとっておきの場所を紹介し
てくれた。
「湯元 原舘から歩いて 10 分ほどのと
ころにある『射山(いやま)神社』は、若い女性
に人気急上昇中のスポットなんです」。訪ねてみ
ると、小さな森に囲まれたひんやりとした静かな
場所。鳥居の奥に大黒様が鎮座し、その小づちに
触れると恋のパワーがもらえ
るそうだ。古くは「七栗の湯」
と呼ばれ、清少納言が「枕草
子」で「湯はななくりの湯…」
と称賛した榊原温泉。そんな
歴史に思いをはせて、のんび
りとお湯に浸かれば、
「身も
パワースポットの射山神社
心も健康」になれるかも。
湯元 原舘 TEL059-252-0206 三重県津市榊原町5970
HP http://www.yumoto-sakaki.co.jp
電気と保安 2016.9・10
5