(平成28年度第1回)(PDF:2615KB)

長期派遣研修レポート
在ラオス日本国大使館
経済・経済協力班 林田 陽介
1.研修(業務)の紹介
サバイディー(こんにちは)。みなさんは「ラオス」と聞いて、どこにあるどのような国
か、すぐに思い浮かべることはできるでしょうか。近年、日本とラオスの関係はこれまで
になく活発になっており、昨年の日ラオス外交関係樹立 60 周年に続き、本年はラオスが
ASEAN 議長国を務めていることもあり、日本でもニュース等でラオスの名前を目にする機
会も増えているかと思います。しかしながら、私自身、ラオスに赴任することが決まった
時、まずは世界地図を確認するところから始めた、というのが正直なところです。そこで、
まずは簡単にラオスについて紹介したいと思います。
ラオスは東南アジアの中央部、インドシナ半島に位置する内陸国で、周辺6ヶ国(北は中
国、東はベトナム、南はカンボジア、タイ、西はミャンマー)と国境を接しています。面
積は約 24 万 k ㎡、人口は約 650 万人で、本州と同じくらいの面積に、埼玉県と千葉県の中
間程度の人口が住んでいるイメージです。国土は縦長で、北から南をメコン川が縦断して
おり、面積の約 80%を高原や山岳地帯が占め、豊かな自然に恵まれています。気候はモン
スーンの影響で雨季(5~10 月)と乾季(11~4 月)に分かれており、一部の時期を除いて、
寒さを感じることはあまりありません。宗教は主に仏教(国民の約 75%)であり、生活の
節目節目に仏教行事が行われ、首都であるビエンチャンにおいても毎朝の托鉢が行われて
いる等、ラオス人にとって仏教は非常に身近で重要な存在です。また、ラオスの人々は温
厚で、気配りと思いやりにあふれ、素朴ながらも厚い
おもてなしの心を持っています。控え目で謙虚なとこ
ろ等、日本人と共通する点も多いと感じています。さ
らに、特筆すべきラオス人の精神性として、
「ボーペン
ニャン」という言葉があります。英語でいえば「no
problem」、宮崎弁で言えば「いっちゃが」 にあたり、
「問題ないよ、大丈夫だよ」といった意味ですが、い
ろいろな場面で使用されます。例えば、待ち合わせに
遅刻した場合、遅刻された側ではなく、遅刻した側が
使うこともあるそうです(幸い私はまだ使われたこと
はありませんが)。近年、ビエンチャンの経済発展は著
しく、車の増加に伴い、渋滞も加速しています。ただ、
中心から車で 20~30 分も走ると、一気に建物は少なく
なり、畑や平地が広がっています。
盛大に開催されるタートルアン祭り
私の所属する経済・経済協力班は、ラオスの経済情勢の情報収集・分析、政府開発援助
(ODA)を活用した開発援助、当地に進出する日系企業の支援等を通し、ラオスの社会経
済開発を支援しています。現在、ラオス政府は 2020 年までの「後発開発途上国(Least
Developed Country : LDC)」脱却、2030 年までの「持続可能な開発目標(Sustainable
Development Goals : SDGs)
」達成を掲げ
ており、日本としても、これら政策課題を
達成するための支援を実施していきます。
私は主に当地の保健、教育分野を担当しな
がら、ODA の一種である無償資金協力(開
発途上国に返済義務を課さずに資金を供与
するもの。発展のために必要な資材や機材、
設備などを購入する資金として使用される)
を通し、ラオスの地方に学校、ヘルスセン
ター(小規模な診療施設)
、給水施設等を整
備する支援を行っています。
ボリカムサイ県ポーシー中学校引渡式
(後列左から4番目が筆者)
2.研修を通じての成果、体験談、所感
前述のとおり、本年はラオスが ASEAN 議長国を務めており、その関係で、ハイレベル
の国際会議が数多く開催され、日本からも多くの要人が来訪されています。ここでは、直
近に開催された ASEAN 関連外相会議について紹介いたします。
本年 7 月 24 日から 26 日、ASEAN 関連外相会議がビエンチャンで開催されました。日本
からは岸田外務大臣が来訪され、期間中、日・ASEAN 外相会議、ASEAN+3 会議等のマル
チ(他国間)の国際会議に出席するとともに、ラオス、ブルネイ、中国、韓国等とのバイ
(二国間)会議を行いました。本会議に際し、私はプレス関連業務の一環として、プレス
ロジを担当しました。プレス業務といっても最初はあまりイメージが湧きませんでしたが、
こうした国際会議の際は、日本からも多くの記者の方々が当地を訪れ、現場で取材し、そ
の内容を即座に日本に送り、それがニュース番組等で放送されます。プレス業務の肝は、
記者の方々の現場での取材を調整・支援し、いかに早く正確にその内容を日本に伝えても
らうか、であり、プレスロジはそのためのいわば環境整備を担うものです。慣れない業務
に戸惑いや苦労ももちろんありましたが、数時間前に行われた会議の内容が映像とともに
日本で報道されている様子を目の当たりにすると、自分はいま外交の現場の最前線にいる
のだ、ということを改めて実感しました。
引き続き、9 月には ASEAN 関連首脳会議が当地で開催され、安倍総理を始め、アメリカ
のオバマ大統領、各国の首脳が来訪する予定となっています。規模も格段に大きくなり、
世界中の注目を集める会議となることから、大使館としても、全館態勢で本会議の準備に
臨みたいと思います。
3.その他(海外での暮らしぶり)
当地に赴任してから早や 1 年 3 ヶ月が経ち、生活にもすっかり慣れたところです。生活環
境、治安、物価等から考えても、ラオスはかなり生活しやすい国であると思います。ビエ
ンチャンでもほとんどの生活必需品は揃いますし、日本食品を扱う店や、日本食レストラ
ンも多くあります。ラオスの主食はもち米、麺類であり、素材の味を生かした、かつ手間
暇かけた料理は日本人の舌にもなじみやすく、
おいしくいただいています(ただし、辛いも
のも多いので、ボーペッ(辛くしないで)は
必須です)
。また、国内に世界遺産を 2 ヶ所有
しており、豊かな自然を生かしたネイチャー
リゾート、長期滞在型観光地として欧米人に
も人気を集めています。
ラオスでの任期も残すところ約 9 ヶ月とな
りましたが、当地の発展に微力ながら貢献で
きるよう、日々の業務に取り組みたいと思い
ます。
代表的なラオス料理屋、クアラオにて
長期派遣研修レポート
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課
法人経営指導係
柳田 琢摩
現在、厚生労働省にて長期派遣研修中の柳田と申します。宮崎を離れ、東京という地で
日々貴重な経験をさせていただいております。こちらでの研修の概要について、簡単では
ございますが、御報告させていただきます。
1
研修先で行っている業務の内容
厚生労働省は、すべての国民が、生まれてから生涯を終えるまでの間においてよりよ
い生活を送ることができるような制度の設計及びその運営を行う機関です。
その中で、私が所属している社会・援護局福祉基盤課法人経営指導係は、高齢者や障
害のある方、児童等のための福祉事業を行うことを目的として設立される「社会福祉法
人」に関する制度設計や指導等の業務を担当しております。
社会福祉に対する関心が高まっている今般において、社会福祉法人が社会から求めら
れている役割や責務は広がっており、それらを果たすことができるように、現在、大幅
な制度改革を進めているところで、その導入部分や具体的な運営方法についての検討を
日々行っております。
2
研修を通じての成果、所感
日によってはコールセンターのように電話が鳴ります。いま変革期にある社会福祉法
人制度は、全国の2万を超える社会福祉法人、そこで雇用されている方、法人を所轄す
る自治体、社会福祉法人との取引業者、施設
利用者等と、その影響の及ぶ範囲が非常に広
く、日々、様々な角度から、そして様々な想
定で御相談や御質問、御意見をお受けしてお
り、ひとつひとつ対応し、頭を悩ませながら、
同時に、来年度施行というリミット付きの新
体制整備も進めなければならず、慌ただしい
日々を過ごしています。
新たな制度を作るという仕事は、影響の対
象の広さとも相まって、慎重な議論が必要で
ノートの消費量が異常です。
あり、その一方で早急性も求められ、その重
圧の中での業務経験は自身にとって非常に実り多いものとなっております。
また、ひとつの作業に対して、その対象が全国の自治体であることが多く、作業工程
の順番がひとつ違うだけで、その後の業務量が大きく変わるため、常に先を読み、どの
方法が最も効率的か配慮することが重要です。その上、判断を早急に下して短い時間で
成果品まで仕上げることも求められます。これらのことを念頭に日々の業務に当たるこ
ともまた、自身の大きな成長の機会となっております。
3
東京での生活について
大学生時代振りの東京生活ですが、当時は東京都に住民票があるだけのなんちゃって
都民だったなと思うくらいに、
東京にはまだまだ自分の知らな
い世界、場所がたくさんあって、
週末は、場所のえり好みをせず、
とにかく出かけるようにしてい
ます。こちらでの業務に一生懸
命になることは当然ですが、宮
崎に無いものを見て、そして宮崎で
レインボーブリッジ、フジテレビにて
はできない経験をし、そこから得た
ものを、今後の宮崎県庁での業務に生かすことで県に還元することも、今回の東京勤務
という機会を与えていただいた私の責務だと考えております。
4
最後に
自身の長期研修を構成するものとして、そこ
に関わる県の職員の皆さんや、受け入れ先で日
頃お世話になっている方々の労力、時間、そし
て貴重な財源等があります。そのことを念頭に
おいて、このような機会を与えていただいたこ
とに感謝しながら、より多くのことを得て帰る
ことができるよう、1日も無駄にせず、最後ま
で全力で研修期間を過ごしてまいります。
長期研修中の同期と。(筆者は左奥)
長期派遣研修レポート
総務省自治財政局財政課企画係
猿渡 康詞
1
研修(業務)の紹介
皆さん、突然ですが、
「地方交付税」をご存じでしょうか。地方交付税とは、「地方団体
が行政サービスを実施する上で、地方税と共に重要な財源であり、その原資は、所得税、
法人税、酒税、消費税及びたばこ税の国税5税の一定割合」です。そして「地方交付税の
総額の94%が普通交付税で、残り6%が特別交付税」となっています。
前置きが長くなりましたが、私の係では、最後にあった「特別交付税」を担当していま
す。普通交付税と特別交付税の違いとしては、普通交付税が、全国的・普遍的な需要が算
定(私の業務として、隣の交付税課が担当している普通交付税の「たばこ税」や「特別支
援学校」の費目を担当したりもしています)されるのに対し、特別交付税は、普通交付税
では捕捉されなかった、地域的に偏りがあるなど、一部の地方団体に特有である特別で特
殊な需要が算定されるというイメージです。例として、
「重要文化財の保存等に要する経費」
や「地方バス路線の運行維持に要する経費」などが挙げられます。特別交付税の交付決定
は12月と3月の2回に分けて行われます。当係では、12月の交付決定に向けて、各担
当が調査した各費目の経費を取りまとめ、各自治体の特別交付税の交付額を算定していき
ます。
普通交付税の担当費目の算定、特別交付税の担当費目の算定及び総括、国会対応による
資料作成、この3つが私の主な業務となります。
2
研修を通じての成果、体験談、所感
今の職場に配属されて、まず、1番感じるのは、皆さんタフだ!ということです。
基本は終電ですが、終電過ぎても作業をされていたり、更にはそれから始発まで飲みに
出かけたりしています。隣の交付税課は、6月が普通交付税算定のピークでした。交付税
課の方がパソコンを打つ姿をみながら私は帰路についたのですが、次の日出勤すると、そ
の方が全く同じ姿のままパソコンを打っていました。それを3日間連続で目撃した時には
大変驚きました(話しかけるとなんとか元気とのことだったので、ホッとしました)
。私た
ちの係が担当する特別交付税の算定は、秋から始まります。このようなやりがいある仕事
ができることに感謝し、気合いも入り武者震いしているところです。
また、総務省には、日々、国会議員の方や自治体の職員さん、新聞やテレビなどのマス
メディアの方から質問の電話があります。県職員であれば、国に聞くことができますが、
総務省の方は、自分で答えるしかありません。それ故、担当業務については自分がプロフ
ェッショナルでなければならないという自覚があり、強い責任感をもって仕事に取り組ま
れています。その姿勢に大変刺激を受けています。
そして、総務省には、全国の県庁職員や市町村職員が、研修生として派遣されています。
皆さんとても優秀で、自分も負けていられない!がんばらなければ!と仕事のモチベーシ
ョンが上がっています。
ここでしか出会うことができない職員の方々から多くのことを学ぶことができ、たくさ
んのつながりを作れることは、今後に活かすことのできるとても貴重な経験になると考え
ています。
3
その他(暮らしぶり等)
宮崎県職員寮は、千代田区の市ヶ谷駅の近くにあります。職場のある桜田門駅までは、
地下鉄で3駅(乗車時間約7分)と抜群の立地であり、職場に1番最初に着くことができ
ます。
7月末には、交付税課と財政課で、毎年恒例の富士山登山がありました。登っている最
中はとてもとてもつらかったですが、登頂からの眺めと下山後のお風呂とビールは最高で
した。
その他、同期の研修生と出かけたり、テレビでしか見ることのない最高裁判所や国会議
事堂の頂上部分などを眺めながら皇居ランをしたり、某百貨店で、スーツを買おうとして
値段が一桁違うことに気づき、必死で退散したりなど、東京でしかできないような経験を
楽しんでおります。また、東京は公共交通機関が発達しているので、都外に足を伸ばして
みようという気になります。横浜で野球観戦をしながらビールを飲むことを覚えたり、長
野県では同県出身の同僚に案内してもらったりなど色々なところに出かけています。9月
には、宮城県出身の同僚に同県を案内してもらう予定です。
このように、積極的に足を運び、宮崎県に戻った際は、これらの経験から仕事の着想を
得たりなど、県政に還元したいと考えています。
研修も残り8ヶ月となりました。たくさんの方々のサポートがあって、この貴重な研修
を受けさせてもらえることに感謝をしながら、1日1日を大事に過ごしたいと思います。
富士山登山。頂上からの眺めは最高でした。
(下段右から2番目が筆者)
長期派遣研修レポート
農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課
食肉需給対策室鶏卵食鳥班
1
田中雅生
研修(業務)の紹介
生産局畜産部食肉鶏卵課は、国民への動物性タンパク質の安定供給を図るため、食
肉・鶏卵の需給調整や流通改善等に関する業務を所管しており、本課及び食肉需給対
策室から構成されています。
私が在籍する食肉需給対策室の
鶏卵食鳥班(班長1名+畜産専門
官1名+係長2名計4名)は、鶏
肉・鶏卵の需給安定や流通改善、
輸出促進等に関する各種施策の企
画立案に関する業務を行っていま
す。その中で、鶏卵の価格と需給
安定対策が私の中心的な業務で
(農林水産省の正面から撮影)
あり、関連する施策として、昭和50年から始まった鶏卵価格安定対策事業(現在は
「鶏卵生産者経営安定対策事業」)の制度設計や予算措置等を担当しています。
鶏卵については、畜産物の中でも自給率が極めて高く(直近では96%)、毎日の
食卓には欠かすことのできないタンパク源でありますが、需給バランスのわずかなズ
レにより価格が大きく変動する特性を有しており、農家経営の安定と鶏卵の需給改善
を図る観点から、当施策は重要な役割を果たしています。
また、昨年10月に大筋合意されたTPP(環太平洋パートナーシップ)協定にお
いては、鶏肉・鶏卵は重要5品目ではないものの、長期的には関税撤廃されることか
ら、輸入品との競争力強化や国産品の需要拡大に資するための様々な施策の検討を進
めています。
まさに、当レポートを作成している今、平成28年度補正予算、平成29年度当初予算
の概算要求に向け、省内での詰めの作業を行っているところです。
2
研修を通しての成果、体験談、所感
当課に赴任して1年4ヶ月が経過しましたが、最初に衝撃を受けた「仕事のスピー
ド」にも慣れ、霞ヶ関独特な風習や言い回しにも順応できました。その中で、県庁と
は違う「仕事のやり方」についていくつかご紹介します。
①
指揮系統の明確化
課内のほとんどの業務は、課の連絡調整を担当する「総括班」の指示に基づき実
行されています。他課からの作業依頼についても必ず当班を通じて課内に割り振ら
れますが、事前に業務の重要度・緊急度を考慮したプライオリティが決められてい
るため、実務班は安心して効率的に仕事を進めることができます。
また、機密性の高い情報を除き、課内の業務や畜産部内の共通課題等の情報共有
が徹底されており、畜産の全体像を俯瞰しながら担当業務の位置づけを把握できる
ため、適時適切な対応をとることができます。
②
事前準備の徹底
霞ヶ関の仕事は国会対応がほとんどを占めます。国会答弁や議員レク、予算の根
回し等々、その対応にはかなり神経を使い、特にショート(短い期限)で求められま
す。そのため、想定される質問等に対する回答や資料は事前に整理しておくことが
ルールとなっています。また、議員レク等で何か問われた場合に即答できるよう、
議員の関心事項など周辺情報も幅広くリサーチしておくことが鉄則となっています。
③
説明・交渉
役所の仕事は基本的に文書主義でありますが、それまでの過程においては、激し
い論戦が繰り広げられます。県庁時代とは比べものにならないほど、ロジカルな面
ではずば抜けています。霞ヶ関では、常に「ファクト」が重要視されるため、事実
に基づいた定量的で簡潔な説明が求められます。逆に、主観的な説明では上司の理
解は得られず、いくら情熱があっても仕事を前に進めることができません。
3
その他(県外での暮らしぶり等)
横浜市港南区にある国家公務員宿舎に単身で暮らしています。通勤については、最
寄りの京浜東北線港南台駅から霞ヶ関駅まで1時間40分程度要しますが、読書や睡
眠?にたっぷり充てることができるので、非常に有意義な時間を過ごすことができて
います。
また、7月に次女が生まれたため、週末には宮崎に帰省して子育てに奮闘していま
す。金銭的にはかなり厳しいですが、このような経験は二度とできないものですので、
前向きに捉えてがんばっています。
残りの期間(8ヶ月)も悔いのないよう精一杯務めさせていただきます!!
長期派遣研修レポート
国土交通省
企画部
九州地方整備局
技術管理課
検査係
三浦
正大
1.業務の紹介
私の配属された企画部技術管理課では、土木工事等に係る標準歩掛や単価等の積算基
準に関することや土木工事等共通仕様書などの基準に関すること、公共工事の品質確保の
促進や総合評価に関することなどの業務を行っています。
その中で私の係では、土木工事等共通仕様書
や土木施工管理基準・土木施工管理の手引きな
どの工事を進めていく上で必要となる基準類の
改定及び管理、工事の発注後に生じる課題・問
題についての対応(基準の考え方や粗雑工事など)、
検査に関すること(検査職員の任命等)、成績評
定に関すること(成績評定結果の通知や成績評
定表の改定等)、九州地方整備局発注の工事・
業務において、優れた企業・技術者を表彰する
国土交通行政功労表彰や工事成績の優秀な企業
を認定する工事成績優秀企業の認定等について
担当しております。
また、九州地方整備局では、公共工事の円滑
な執行、早期に安全で良質な公共施設を利用者
(住民)へ提供できるように、適切な施工条件
整備局で出展したブースの前での一枚
の明示やワンデーレスポンス、工事監理連絡会、
工事書類の簡素化等の施策を一体的に推進する『いきいき現場づくり』に取り組んでお
り、この取り組みを私の係が担当しております。
2.研修を通じての成果、体験談、所感
派遣されて驚いたことがメールの多さでした。最近はある程度慣れてきたので、そこ
まで苦にならなくなりましたが、こちらに来たばかりの頃は、あまりのメールの多さに
確認するだけで一苦労でした。特に来たばかりの頃は、自分が担当する業務の内容も十
分に理解できていない状況であったため、メールに書かれている内容を確認し理解する
だけでも時間が掛かっており、その後の作業や事務所への依頼等が遅れることもあり、
直属の課長補佐や係長、また事務所の職員の方々に迷惑を掛けてしまいました。
また、今年は、4月に発生した「熊本地震」の対応がとても大変で、約4ヶ月たった
現在も復旧・復興に向けての対応が続いている状況です。
私が所属している技術管理課の災害時の役割は、災害情報等の収集、災害対策の支援
等を行うために国土交通省から地方公共団体に派遣される「リエゾン」(災害対策現地情
報連絡員)との連絡窓口です。具体的には、リエゾンから報告される災害情報を収集し、
その内容を必要な担当部局へ伝達したり、逆に担当部局が必要としている情報をリエゾ
ンを通じ収集する作業を担当しております。
今回の地震で実際に被災地へ行くことはありませんでしたが、リエゾンや各事務所・
地方公共団体から寄せられる情報や、九州地方整備局が保有しているヘリコプターから
送られてく映像などで、改めて地震の凄まじさ・恐ろしさを痛感させられました。
また、今回の地震(災害)は、ほとんどの職員がこれまで経験したことのない規模の災
害であったにも関わらず、職員一人一人が、自分のしなければならない作業を迅速に判断
・対応していたことや他の地方整備局と連携し災害対応にあたっていたこと、また、国土
交通省の情報収集力にもはとても驚かされれました。
今後、宮崎県でも大規模な地震が発生する可能性あると予測されていることから、今回
経験したことを活かした災害対応・復旧に取り組めればと考えております。
3.その他(県外での暮らし)
整備局には、各県・市町村などから私のように派遣されている出向者で構成された、
「出
稼ぎ会」という組織や、局内・福岡県内の事務所に勤務する宮崎県出身者で構成される
「宮崎県人会」という組織があるなど、他部局・他事務所の方々と知り会える機会があ
ります。出稼ぎ会や宮崎県人会を通じ、他部局・他事務所の業務内容や現状を知れたり、
仕事以外の楽しい情報を得ることができ、非常にありがたく感じています。
また、昨年末から職場の上司・先輩の
勧めでジョギングをするようになり、今
年の3月には福岡県内のハーフマラソン
大会にも参加し、無事に完走することが
できました。今年の11月に開催される
福岡マラソンにも出場することとなり、
完走できるように、日々練習に取り組ん
でいるところです。
他にも登山、自転車、野球観戦など、
宮崎県にいた頃にはしなかった(できな
かった)ことにも挑戦しており、充実し
た毎日を過ごしております。
野球観戦前に撮影(ヤフオクドーム)
長期派遣研修レポート
地方公共団体金融機構(JFM)
融資部融資管理課
1
川﨑 和真
研修先の紹介
地方公共団体金融機構(以下、「機構」という。)は、地方債資金の共同調
達機関として全都道府県・市区町村の出資により平成 20 年に設立され、同年
10 月 1 日に旧公営企業金融公庫の資産・債務を引き継いで業務を開始してい
ます。また、平成 21 年 6 月 1 日の改組により、公営企業への貸付だけでなく、
地方公共団体の一般会計も広く貸付対象となりました。(平成 27 年度末で貸
付残高を有する都道府県・市区町村数は、1,788 団体中 1,782 団体で全都道府
県・市区町村の 99.7%となっています。)
【貸付・資金調達業の流れ】
2
業務の紹介
機構の主な業務は、
「貸付業務」、
「地方支援業務」、
「債券発行業務」、
「公庫
債権管理業務」となっています。私は、融資管理課の配属となり業務内容と
しては、①貸付業務((株)日本政策金融公庫から委託を受けて行う公有林整
備及び草地開発のための「受託貸付」)と②貸付後の債権管理業務を行ってい
ます。担当内で都道府県を3ブロックに分けて割り当てられ、私は①の業務
が石川県から島根県の県域で、②が青森県から静岡県の県域が担当です。現
在は、借り入れた資金の全部又は一部を繰り上げて償還する繰上償還の業務
を行っています。また、機構が地方公共団体等へ貸し付けた資金が適正に使
用されているかを調査する地方金融状況調査の担当をしています。7月から
12月にかけて実際に貸付け先の団体へ行き、貸付金の使途状況調査や財政
状況ヒアリング等を行います。
3
研修を通じての成果、体験談、所感
・機構には約90名の職員が在席しています。職員の構成は、機構採用のプ
ロパー職員、総務省の職員、地方公共団体からの割愛職員と派遣職員となっ
ており、職員の多くが2年間で異動するので入れ替わりが早いです。
・異動当初は、集計するデータ量が大きくて、作業している時にパソコンの
画面が真っ白になり、「これはやってしまったなぁ」と思い焦りました。
・研修制度も充実しており、地方債制度の基礎的な研修から資格取得の支援
もあります。業務終了後に資格取得の講座に参加し、とても勉強になってい
ます。
4
その他(東京での生活など)
私は、横浜市青葉区にある機構の宿舎
から東急田園都市線で通勤しています。
満員電車は覚悟していましたが、異動当
初は最寄り駅に着いた電車を見て、唖然
とし何本か見送ったのを覚えています。
今まで、都内をじっくりと歩くことはな
かったので、仕事帰りには少し遠回りを
して帰る時もあり、いい運動になっていま
(川崎大師平間寺)
す。
休日もできる限り外へ出るようにして
ます。少し早起きをして、朝ご飯を食べ
に築地に行ったりしています。まだ、関
東近辺しか行けていませんが、今後は上
高地や富士山へ挑戦したり、東北の方へ
も足を伸ばしていこうと思います。
今回の貴重な機会をいただいたことに
感謝するとともに、全国からの職員と切
磋琢磨する機会を増やし、横のつながりを
大切にして、一生懸命頑張ろうと思います。
(江の島)
長期派遣研修レポート
(一財)自治体国際化協会シンガポール事務所 押川 麻子
1 今年度シンガポール事務所に宮崎市職員が加わりました。
(一財)自治体国際化協会(以下、クレア)は、日本の地方自治体の国際化を支援する目的で
地方自治体の共同組織として設立されました。海外に7つの事務所を持ち、その中の一つがシン
ガポール事務所になります。シンガポール事務所は、今年度職員が3名増え、自治体からの派遣
職員 21 名、現地職員5名の計 26 名体制となりました。近年、自治体からの派遣職員の数は増
加傾向にあり、海外事務所の中でも最も多くの職員数を誇ることから、自治体の東南アジアへの
注目が伺えます。また、新たに宮崎市職員が加わり、初めて宮崎県、宮崎市体制が実現しました。
外国人観光客誘致や宮崎産品の販路開拓等、より充実した情報共有、連携が可能になりました。
宮崎県関係者の皆さまには、ぜひこの機会にクレアシンガポール事務所をご活用いただけますと
幸いです。
2 東南アジアが熱い!自治体の販路開拓事業
シンガポール事務所に赴任して驚いたことの一つに、シンガポールの至るところで日本食フェ
アが開催されていることです。自治体主催のフェアも多く、自治体の首長が店頭に立ち特産品を
PR する姿も珍しくありません。
(私たちは、知事や市長等自治体関係者が来星した際の視察先へ
のアポ取りや随行等の支援も行っています。
)
2015 年は、シンガポールで 27 回日本食フェアが開催されました。(JETRO シンガポール調
べ)その代表的なものとして、九州フェアが8回、北海道フェアが6回開催されました。その内
ISETAN で行われた九州フェアには、宮崎県の事業者も出展しました。シンガポールでは糖尿
病り患者の急増を受け、健康志向が高まっており、ヘルシーな日本食に人気が集まっています。
日本食人気は、ASEAN 諸国にも広がっており、今年で4回目を迎えるクレア主催の「日本ふ
るさと名産食品展 in バンコク」も好評を博しています。タイでの日本人気はシンガポールを凌
ぐ勢いがあり、2015 年のタイ人の訪日旅行客は約 80 万人と ASEAN 諸国の中でトップとなっ
ています。日本食レストランも増加の一途を辿っており、寿司や天ぷらといった一般的な日本食
が食べられる日本食レストランからラーメンやカレーの専門店まで約 2,700 店の日本食レスト
ランがあります。日本や日本食に慣れているタイ人が多いことから、日本食品への要求も高く、
昨年度の日本ふるさと名産食品展では、
「日本に行った際、食べた○○は売っていないのか」、
「ま
だ、タイで売っていない日本食品はどれか」など、日本食品+αの価値を求められているなと感
じました。地方に眠っている日本食品をタイ人に紹介するべく、11 月 25 日(金)からの開催に
向けて、出展事業者集めや会場との交渉など、ただいま調整の真っ最中です。
3 日本の経験が ASEAN 諸国で役に立つ??
また、昨年はタイの地方公務員向け、クレア主催の地方行政セミナーの運営に携わったり、マ
レーシアのクアラルンプール市役所の職員を前に、日本の自治体の先進事例を英語でプレゼンす
る機会がありました。タイでは、現在、民政復帰に向けて憲法の草案を作成中ですが、憲法改正
後は地方自治制度の見直しをはかるということ
で、タイ内務省のリクエストを受け、日本の市
町村合併や地方財政について専門家に講演して
いただきました。クアラルンプール市では、日
本の地方自治体の先進事例として、住民参加や
自治体の PPP の事例等を紹介しました。
クアラルンプール市役所の職員とクレア職員
現在、急速な発展を遂げる ASEAN 諸国ですが、各国が直面している地方行政における課題の
多くは、日本が過去に経験してきた問題でもあります。日本がどのようにその課題を解決したの
か、経験し、蓄積したノウハウが ASEAN 諸国の自治体に求められていることを強く実感しまし
た。観光客誘致や県産品の販路開拓事業以外にも自治体と ASEAN 諸国をつなぐ糸口がここにあ
るように感じています。
4 刺激的な毎日に、心ときめいています。
シンガポール生活も2年目を迎え、やっと日常生活に慣れてきました。職場以外にも日本人の
友達ができ、女子会を定期的に開催したり、週末は朝活と称してマリーナベイ周辺をランニング
したりと「私、リア充かな?」と錯覚するような充実した日々を送っています。
特に、私の刺激となっているのが、今年の5月から英語教室に通い始めたことです。週2回文
法と会話のコースに通っており、8人制のグループレッスンを受けています。生徒は韓国人、中
国人、台湾人、マレーシア人、日本人で、アメリカと南アフリカ出身の教師に習っています。各
国の生徒たちは、文法が間違っていても、答えが間違っていても、皆気にせず、しゃべる、しゃ
べる、しゃべりまくります。それには教師や日本人が戸惑うことも多々あります。そんな授業中
は自分の会話力の無さをまざまざと見せつけられ、初めは落ち込むこともありました。しかし、
彼らからは英語を話したいという熱い思いが強く伝
わってくるため、私も触発され“英会話”に真剣に向
き合うようになりました。英語は単なるツールだと言
われますが、その通りで文法が間違っていることは会
話をする上で大きな問題ではありません。「自分の言
いたいことをいかに相手に伝えられるか」が重要だと
いうことを日々学んでいます。
英語教室(右から2番目が筆者)
シンガポール事務所に赴任して、多くの方に出会いました。宮崎県を初めとする自治体職員、
ASEAN 諸国の自治体職員、日系企業の皆さま、シンガポール人、全ての方との出会いに多くの
気付きや学びがありました。大変貴重な機会を与えていただいていることに改めて感謝申し上げ、
残りの赴任期間も様々なことに精一杯取り組んでまいりたいと思います。
長期派遣研修レポート
奈良県
地域振興部
文化資源活用課
記紀万葉プロジェクト推進係
松浦つくし
昨年の4月から奈良県へ派遣され、1年と数ヶ月が過ぎました。奈良県での業務や生活
を通じて学んだこと、感じたことをご報告させていただきます。
1.研修(業務)の紹介
昨年度は、観光局の「ならの魅力創造課」の記紀万葉プロジェクト推進係に所属してお
りましたが、組織改正により「ならの魅力創造課」が無くなり、係ごと地域振興部の「文
化資源活用課」に異動となりました。基本的な業務内容は変わりませんが、事業実施の目
的が誘客から地域振興へシフトした点は、大きな変化です。昨年度と同じ事業を実施する
場合でも、地域振興に繋がるよう意識を変えて事業に取り組んでいます。
私が所属する記紀万葉プロジェクト推進係は、奈良県で編纂された『古事記』と『日本
書紀』や、奈良県にゆかりの深い『万葉集』に代表される歴史素材を活用した施策を進め
ています。現在は、『日本書紀』編纂 1300 年にあたる平成 32 年(2020 年)に向けて、『日
本書紀』を中心素材とした事業に取り組んでいるところです。
昨年度、私は「日本書紀を語る講演会」という県内 11 会場での連続講演会開催業務を主
に担当したのですが、どの会場も申込開始から半月程度で定員が埋まり、奈良県民の歴史
に対する関心の高さに驚きました。また、1月には宮崎県立図書館で奈良県のパネル展を
行い、せんとくんと一緒に奈良をPRしました。私が宮崎で奈良をPRするのは不思議な
感覚でしたが、宮崎と奈良の人事交流があったからこそ、このような体験をさせていただ
けたのだと嬉しく思います。
今年度は、若い女性をメインターゲットとして
首都圏で行う「なら記紀・万葉 ヤマトナデシコ塾」
や、小学生を対象とした「日本書紀こども塾」、古
事記の朗唱大会やこども古事記かるた大会を行う
「古事記のまつり」などのイベント開催業務を主
に担当しています。昨年度は担当業務をこなすだ
けで精一杯でしたが、2年目となり奈良県の仕事
の進め方にも慣れ、関係市町村や業者との関係性
も構築されて仕事が進めやすくなりました。昨年
度の反省を活かしてより良い事業が実施できるよ
う、効果的に事業を進めていきたいと思います。
宮崎県立図書館にて、
せんとくんと一緒に奈良を PR!
遊びに来てくれた子どもに
せんとくんグッズを渡しているところです。
2.研修を通じての成果、体験談、所感
業務を進める上での奈良県と宮崎県の違いは昨年度の研修レポートで報告させていただ
いたので、郷土愛という観点で感じた違いをご紹介します。奈良県は、京都府や大阪府か
らのアクセスが良いため、京都や大阪から通勤されている県職員も多いです。私が知って
いる範囲では、県外から通勤している宮崎県職員は聞いたことがないので(もしかしたら
いるかもしれませんが・・・)最初は驚きました。また、宮崎県では地元紙の宮崎日日新
聞が圧倒的シェアを占めていますが、奈良県では全国紙の占める割合が高く、地元紙であ
る奈良新聞のシェアが低いそうです。このような背景もあり、宮崎県民は奈良県民に比べ
ると郷土愛が高いな、と感じました。実際の統計結果でも、そのようなデータが出ていま
す。もちろん私も宮崎が好きですが、子どもの頃に郷土愛を育むような特別な教育を受け
た記憶はありません。
そこで改めて何が郷土愛を育んだのかと考えると、温暖な気候や美味しい食べ物、温厚
な県民性など、複合的な要素によって自然に育まれたのではないかな、との結論に至りま
した。特に「食」は生きていくうえで欠かせない要素なので、豊かな食は宮崎の最大の強
みだと思います。私が今所属している文化資源活用課では、歴史文化を通じて郷土愛を育
む取組を進めています。歴史文化という奈良県の強みを活かして郷土愛を育む取組は、非
常に効果的であると考えます。宮崎には食だけでなく神話などの歴史文化も残っているの
で、奈良での取組を手本にして、宮崎でもそのような取組を実施してみたいです。
余談ですが、今年の3月に「みやざきゲンキTV」に出演して奈良のPRをさせていた
だき、宮崎に住む多くの友人や知り合いから「テレビ見たよ!」と連絡をもらいました。
その際、奈良県職員の方から、県政番組を見ている人がそんなにたくさんいるのがすごい
と言われました。奈良県は民放が多く映ることもあり、県政番組を見る県民が少ないそう
です。民放のチャンネルが少ないことはマイナスと考えていましたが、民放のチャンネル
が少ないことが、宮崎県民の郷土愛を育む一助になっているのかもしれません。
奈良県に派遣されたことによって、宮崎では当たり前だと思っていたことが、特別であ
ったと気付くことができました。これまで一度も宮崎県から出たことがない人は、是非他
県での長期派遣研修に参加して、視野を広げてほしいと思います。
3.奈良での暮らしぶり
奈良の冬はとても寒いです。去年初めて奈良の冬を経験し、予想以上の寒さに驚い てし
まったのですが、奈良の人からすれば去年は暖冬だったそうです。宮崎の温暖な気候のあ
りがたみを改めて感じました。昨年度末には寒さと忙しさで体調を崩してしまい、職場の
方々にも迷惑をかけてしまったため、丈夫な体づくりのため
今年の5月からジャズダンスを習っています。普段デスクワ
ークで凝り固まった体をストレッチでほぐし、踊って汗をか
くと清々しい気持ちになります。また、奈良は相撲発祥の地
(『日本書紀』にその記述があります!)ということで、相
撲関連のイベントが色々と開催されており、相撲好きの私と
しては嬉しい限りです。名古屋、大阪、東京と、相撲観戦に
もたくさん行きました。宮崎だとなかなか行けない場所に行
っておこうと思い、精力的に出かけているのでお金が全然貯
浅香山親方(元・大関魁皇)と筆者。
3月の大阪場所前に奈良県内で合宿
をされており、見学に行きました。
とても気さくで優しい方でした!
まりません。残り数ヶ月の派遣期間、奈良県のために少しで
も役に立ち、学んだことを宮崎県に持ち帰れるよう仕事もプ
ライベートも充実させていきたいと思います。
長期派遣研修レポート(鹿児島県)
鹿児島県危機管理局危機管理防災課
内田 祥太
(1) 研修(業務)の紹介
平成 27 年度から、鹿児島県の危機管理防災課に配属された内田祥太(平成 22 年度入
庁)です。鹿児島県での勤務も 2 年目となり、桜島の火山灰にも、ファミリーマートだ
らけなことにも、課長から「うっだくん」と鹿児島弁で呼ばれることにもすっかり慣れ
ました。
私の所属する危機管理防災課の業務内容について、「平時」と「災害発生時」に分け
て簡単に紹介します。
まず平時は、災害等発生時の対応に向けて、各機関の役割等を定める計画を策定し,
その計画の実効性を訓練で検証後、計画の見直し等を行うことや、市町村や住民の方々
への普及啓発、研修等の実施がメインです(あとは、消防庁から山のように照会案件が
来ます笑)
。
そして、いざ災害が発生した際には、被害状況等のとりまとめや、現地に職員を派遣
しての情報収集等を行い、市町村だけでは対応できないような事案の場合は、自衛隊等
各機関への応援要請を行うなどしています。
鹿児島県の危機管理防災課では,「自然災害」を防災係が担い、「その他の危機事象」
を危機管理係が担当するよう整理されており、私は、危機管理係に所属しています。メ
インは「国民保護」という制度ですが、今年度の私の大きな業務としては,市町村の業
務継続計画(BCP)策定の支援,桜島火山爆発総合防災訓練の実施などで、防災係との
垣根はそこまで明確ではなく、一つのチームという感じで仕事をこなしています。
概ね宮崎県の危機管理課と同様の業務内容かと思いますが、鹿児島県の特色としては、
活火山が多いこと、離島が多いこと、それから原発があることが挙げられます。
しんどい職場ながら元気な方ばかりなので、いつも賑やかなのがうちの課の特徴です。
(2) 研修を通じての成果、体験談、所感
平成 27 年 5 月の口永良部島新岳噴火、全国初の噴火警戒レベル 5 発表に始まり、平
成 27 年 8 月の桜島噴火警戒レベル 4 発表、そして平成 28 年 4 月の熊本地震と昨年度か
ら大きな自然災害を経験しています。
なかでもやはり印象的だったのは、多くの人的・物的被害を伴った熊本地震でした。
宮崎県からもたくさんの方が熊本での支援業務に従事したかと思いますが、私も 4 月
18 日から熊本県に向かい、災害対策本部での業務支援や、鹿児島県のカウンターパー
トである宇城市と甲佐町へ派遣する人材の調整等を行いました。
現地では益城町なども回りましたが、東日本大震災後に福島へ派遣された際の光景と
オーバーラップして、人工的に形成された現代社会にとって、自然はどうしようもなく
巨大で、ハード対策で被害を食い止めることは本当に難しいと改めて感じました。
話は変わりますが、先日、市町村長向けに実施した講演会で、「正常性バイアス」と
いう言葉を耳にしました。これは、災害心理学などで使用される用語で、「心理的な負
担を軽減するために、自分にとって都合の悪い情報を無視・過小評価してしまう人間の
特性」とのことです。
防災においては、当事者意識をもつことが大切ですが、このバイアスが「まぁ自分だ
けは大丈夫だろう」と本能的に思わせてしまうため、教育によって災害と正面から向き
合える、向き合っても負けない準備をしておき、いざ災害が起きたときに命を守るため
に行動できるようにすべきだとの話でした。
本県でも、南海トラフ対策を実施していますが、防災部署に身を置かない人たちも当
事者意識を持って、いざという時に率先して動けるようにすることが重要なのだろうな
と、講師の話を聞きながら感じました。
偉そうで真面目な感じになりましたが、鹿児島県でどっぷりと危機管理に浸かってい
ます笑。
(3) その他(県外での暮らしぶり)
県外と言いつつ隣県なので、「今私は鹿児島にいるのだ!」と実感することはそこま
で多くありません。土地柄でのギャップ以上に、危機管理という業務内容の特殊さに戸
惑うことの方がどちらかというと多いです。
プライベートでは、隔週水曜日に活動する温泉同好会(会員数 2 名)を発足し、まっ
たりと疲れをとっています。また今年は、明治維新 150 周年記念とのことで、鹿児島県
ではイベントがいくつかあるようです。正直あまり得意な分野ではないのですが、司馬
遼太郎の小説を読んで雰囲気に浸ってみようかなと思っているところです。
夏祭りも終わり、これから台風シーズンがやってきますが、おはら祭りなど楽しいイ
ベントもまだまだ盛りだくさんなので、楽しみながら県外生活を満喫したいと思いま
す!鹿児島県にお越しの際は、ぜひ内田へご連絡くださいませ(^^)
海上自衛隊鹿屋航空基地にて P3C 体験搭乗時
(左:同所属の新規職員、右:筆者)