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三菱 UFJ 信託銀行株式会社
「日本版スチュワードシップ・コード」の受入れ
※スチュワードシップ活動の状況については、弊社ホームページ「弊社のスチュワードシ
ップ活動の状況について」をご参照下さい。
「責任ある機関投資家」の諸原則
≪日本版スチュワードシップ・コード≫の受入れ
日本版スチュワードシップ・コード(以下、本コードといいます)は、機関投資家が、建
設的な「目的を持った対話」などを通じて、投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を
促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的として、
金融庁により策定されたものです。
三菱UFJ信託銀行受託財産部門は、責任ある機関投資家として本コードの趣旨に賛同し、
2014 年 3 月、これを受け入れることを表明致しました。
本コードの趣旨に沿ったスチュワードシップ責任を果たすためには、フィデューシャリ
ー・デューティへの取り組みが不可欠と考えております。弊社は、あらゆる業務において
フィデューシャリー・デューティを果たす取り組みを全役職員をあげて実施しております。
※弊社フィデューシャリー・デューティーについては、弊社ホームページ「三菱 UFJ 信託
銀行の Fiduciary Duty(フィデューシャリー・デューティー)」をご参照下さい。
本コードではスチュワードシップ責任を果たすに当たり有用と考えられる7つの原則が示
されていますが、これらの原則に対する三菱UFJ信託銀行の対応方針は以下のとおりで
す。
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原則1.
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針
を策定し、これを公表すべきである。
三菱UFJ信託銀行は、受託財産の運用に際して、受託者責任の観点から、専ら受益者の
利益のために忠実に職務を遂行しています。お客様の大切な資産を受託する運用機関に相
応しい能力・専門的な知識をもって投資先企業と中長期的視点から持続的成長を促すこと
を目的とした対話を行うことは、企業の成長を通じ、受益者の中長期的な投資リターンの
向上に繋がるものと考えます。
弊社では、アクティブ運用からパッシブ運用までフルラインで商品を提供しています。ア
クティブ運用における弊社運用戦略に基づくリターンの向上のみならず、パッシブ運用に
おけるインデックスリターンの底上げを目的としてスチュワードシップ責任を果たしてい
く方針です。具体的には、「アナリスト・ファンドマネージャー」と「議決権行使の専門部
署」とが、各々の専門性を発揮しながら企業の把握と対話を行っています。その特徴は次
のとおりです。
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【企業の状況把握・対話における特徴】
アナリスト・ファンドマネージャー
議決権行使の専門部署
全保有銘柄(網羅的)
対
・アクティブ運用の投資対象銘柄
象
・アクティブ運用の投資対象銘柄に係わ
らず、資本効率やガバナンス等におい
て弊社が考える懸念があり、企業規模
や市場への影響度、改善期待値の高さ
等を勘案してインデックスに与える影
響が大きいと考えられる銘柄
視
投資判断
議決権行使判断
・アクティブ運用の対象銘柄の投資リタ
インデックスリターンの底上げ
点
目
的
ーン向上
・インデックスリターンの底上げ
・コーポレートガバナンスの観点
対
・アクティブ運用の対象銘柄の投資リタ
話
ーン向上を目的として、業績成長を伴
・必要以上の金融資産を保有し、資本効
内
う企業価値向上及び持続的な業績成長
率を悪化させている懸念がある場合
容
の促進のための対話を実施
等、企業価値向上の観点から問題があ
・インデックスリターンの底上げを目的
として、弊社が考える懸念を要因とし
て株価が低迷している企業に企業価値
向上を促すための対話を実施
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る場合にも実施
「アナリスト・ファンドマネージャー」と「議決権行使の専門部署」が実施した企業との
対話の内容は、「エンゲージメント会議」において組織的に共有されます。議決権行使は、
「議決権行使の専門部署」で検討の後、最終的に「議決権行使会議」にて審議し担当常務
役員が決定します。個別議案の行使判断に当たっては、企業との対話の結果も活用されま
す。弊社は、原則として全ての保有株式について議決権の行使を行います。(利益相反管理
の観点からの不行使は、原則2をご参照ください。)
また、議決権行使結果はホームペー
ジ上で一般に公開されます。(詳細は、原則5をご参照ください。)
弊社は、機関投資家として、これまでも顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を
図ることを目的としてさまざまな活動を行ってきましたが、これらは、本コードの趣旨と
全く相違することなく、本コードの受入れをもって、これまで以上に企業の持続的成長を
推進し、企業価値の向上に繋げ、受益者の利益に繋がるように行動して参ります。
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原則2.
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利
益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
三菱UFJ信託銀行は、受託財産の運用に際して、受託者責任の観点から、専ら受益者の
利益のために忠実に職務を遂行しています。
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ及びその傘下子会社等を含めた企業グルー
プは、利益相反管理方針を定めており、弊社では、このグループ方針に基づき、スチュワ
ードシップ責任を果たす上で想定し得る利益相反について、これを防止するための体制と
ルールを整備しています。
(株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの利益相反管理方針から抜粋)
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ及びその傘下子会社等を含めた企業グルー
プ(以下、総称して「当グループ」といいます。
)は、次のとおり利益相反管理方針を定め、
役職員一同がこれを遵守することによって、お客さまの利益を不当に害することがないよ
う、万全をつくしてまいります。
利益相反とは、お客さまの利益と当グループの利益、又は当グループが義務を負っている
複数のお客さま間の利益が、競合・対立する状況等をいいます。
こうした利益相反は金融コングロマリット化の進展や多種多様な金融取引によって日常的
に生じておりますが、当グループ内の利益相反による弊害を防止するため、適切な経営管
理態勢やコンプライアンス態勢を構築してまいります。
※利益相反管理方針については、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループのホーム
ページ「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの利益相反管理方針」をご参照下
さい。
スチュワードシップ活動においては、弊社の親会社等資本関係のある企業、及び弊社と営
業関係を有する企業と受益者の利益相反が想定されますが、議決権行使を含む機関投資家
としての活動は、受託者責任の観点から、専ら受益者の利益のために行われるべきものと
考えます。
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弊社では

社内規定にて他部門との情報遮断を行う体制(チャイニーズウォール)を構築して
いること

議決権の行使判断は、受託財産運用部署内に設けた「議決権行使会議」において審
議し、担当常務役員が最終決定を行う仕組みとしており、受託財産運用部署内で完
結していること

行使判断の全ての根拠について記録・保存を行い、客観性を担保していること
により、利益相反を排除しています。
なお、特に利益相反の生じる懸念の高い弊社の親会社等株式については、議決権行使を原
則不行使としています。
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原則3.
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシッ
プ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきで
ある。
三菱UFJ信託銀行では、「アナリスト・ファンドマネージャー」と「議決権行使の専門部
署」とが、各々の専門性を発揮しながら相互に連携し、投資先企業の状況を把握していま
す。
【アナリスト・ファンドマネージャーによる状況把握】
アクティブ運用の投資対象銘柄である約 800 銘柄(時価総額で東証 1 部の約 90%をカバー)
を調査の対象としており、これらの企業について詳細に企業の状況について把握、分析し
ています。株価は短期的な業績変動の影響も受けますが、企業価値を見極めるためには、
中長期的視点に立ったリサーチが不可欠です。中長期的視点から把握する内容は、財務面
のみならず非財務面の事項など多岐に亘りますが、これらは特に企業との対話を通じて、
継続的に把握することが大切であると認識しています。
また、アクティブ運用の投資対象銘柄に係わらず、資本効率やガバナンス等において弊社
が考える懸念があり、企業規模や市場への影響度、改善期待値の高さ等を勘案してインデ
ックスに与える影響が大きいと考えられる銘柄についても、同様に企業の状況について把
握、分析しています。
【議決権行使の専門部署における状況把握】
保有している全ての銘柄を対象に、網羅的に企業の業績や財務状況、コーポレートガバナ
ンスの状況等について把握を行います。「議決権行使の専門部署」においても企業との対話
を重視しており、特にガバナンス体制等に関する状況把握に努めています。
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原則4.
機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通
じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努め
るべきである。
三菱UFJ信託銀行は、投資先企業との企業価値及び資本効率を高めることを目的とした
対話を積極的に行います。
この企業との対話においても、投資先企業を熟知している「アナリスト・ファンドマネー
ジャー」と、全投資先企業を網羅的に把握している「議決権行使の専門部署」とが、各々
の専門性を発揮しながら相互に連携し実施します。
【アナリスト・ファンドマネージャーが行う対話】
アクティブ運用の対象銘柄の投資リターン向上、及びインデックスリターンの底上げを目
的として、企業の状況に応じて、以下のような観点から対話を行い、投資先企業と認識の
共有を図っています。

中長期的な事業戦略: 事業戦略の具体的な施策等

財務戦略: 資本効率向上に向けた施策等

コーポレートガバナンス: コーポレートガバナンス強化に対する取組み等

情報開示姿勢: 企業価値向上のために必要な情報開示項目、方法等
【議決権行使の専門部署が行う対話】
主にコーポレートガバナンスの観点から対話を行います。加えて、インデックスリターン
の底上げを目的として、内部留保として必要以上の金融資産を保有し資本効率を悪化させ
る懸念がある場合や不祥事の発生等、企業価値向上の観点から特に問題があると考えられ
る企業とは、資本の効率活用やコンプライアンス体制などについての対話を行い、投資先
企業と認識の共有を図っています。
このような対話を行い認識を共有することは、弊社の投資判断・議決権行使判断における
重要な判断材料となるだけでなく、企業にとっても問題の改善に繋がり、企業の持続的成
長に資するものとして、積極的に取り組んでいます。
なお、弊社では、企業との対話において未公表の重要事実を受領することは一切求めませ
ん。しかしながら、万一、未公表の重要事実を受領した場合には、社内規定に則り、厳格
に情報を管理致します。
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原則5.
機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針
を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断
基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するもの
となるよう工夫すべきである。
三菱UFJ信託銀行は、受託財産の運用に際して、専ら受益者のために投資収益の増大を
はかることを目的として、原則として全ての保有株式について議決権の行使を行います。
(原則2に記載したとおり、弊社の親会社等株式については、原則不行使とします。)
弊社では、議決権行使を行うための判断基準として「議決権行使に係るガイドライン」を
定めており、その内容をホームページに公表しています。
※議決権行使の考え方については、弊社ホームページ「受託財産の運用における株式議決
権行使」をご参照下さい。
このガイドラインが投資先企業の企業価値向上に資するものとなるよう、ガイドラインは
定期的に、少なくとも年に 1 回は見直しを実施することとしています。また個別議案の行
使判断に当たっては、企業との対話の結果等も活用します。
ガイドラインの見直し、及び個別議案の行使方針は、受託財産運用部署内に設けた「議決
権行使会議」において審議し、担当常務役員が最終決定を行う仕組みとしています。
このように、議決権の行使にあたっては、議決権行使助言会社は利用せず、独自に定めた
ガイドラインに則り、また企業との対話の結果も活用して、自らの責任と判断のもと行使
しています。
また、議決権の行使結果は、議案の主な種類ごとに整理・集計して、ホームページに公表
しています。
※議決権行使の状況については、弊社ホームページ「受託財産の運用における株式議決権
行使」をご参照下さい。
なお、貸株取引を行う場合、品貸料の収益を確保することが目的であるため、議決権に係
わる権利確定日を跨ぐ貸株取引を行うことがあります。
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原則6.
機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をど
のように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に
対して定期的に報告を行うべきである。
三菱UFJ信託銀行は、受益者に信頼していただきながら運用を行うには、情報の開示が
重要と考えます。
弊社は、お客様に対して、議決権の行使結果を含むスチュワードシップ責任をどのように
果たしているかについて、定期的に報告致します。
※スチュワードシップ活動の状況については、弊社ホームページ「弊社のスチュワードシ
ップ活動の状況について」をご参照下さい。
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原則7.
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業
やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話や
スチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備え
るべきである。
三菱UFJ信託銀行は、投資先企業との対話を建設的なものとし、かつ当該企業の持続的
成長に資する有益なものとしていくために、スチュワードシップ活動を適切に行うための
実力を備えていることが重要であると考えます。
弊社では、議決権行使の重要性に鑑み 2002 年 7 月に(旧三菱信託銀行において)「議決権
行使の専門部署」を設置しております。企業を熟知した「アナリスト・ファンドマネージ
ャー」と、この「議決権行使の専門部署」が、それぞれ専門性を発揮しながら、相互に連
携する体制としています。
「アナリスト・ファンドマネージャー」と「議決権行使の専門部署」が実施した企業との
対話の内容は、「エンゲージメント会議」において内容・成果が報告され、報告内容を会議
構成員で評価することにより、実効性の振り返りおよび以後のエンゲージメント方針の決
定を行い、組織的なエンゲージメント力強化に繋げています。
また、弊社は、2011 年から企業との対話を重視した「サスティナブル成長銘柄投資型ファ
ンド」を運営してきました。今後も、こうした企業との対話に関する実績・経験を活かし
ながら、本コードの趣旨にもとづく中長期的な企業価値向上を目的とした対話を積極的に
推進することで、機関投資家としての責任を果たしていきます。
加えて、各々の担当者が日々研鑽を積み、能力向上に努めることで、スチュワードシップ
活動に伴う判断を適切に行うための実力を高めるよう努めます。
(平成 28 年 8 月改定)
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