会員 寄稿 - 新潟県医師会

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会員
寄稿
カリフォルニアの化石の森
山
﨑
芳
彦
硅化木(Petrified Wood)は、木が莫大な年月
どの巨木の茂っていた森が埋もれて、数千年の時
を経て化石化したもので、世界中でみられ、日本
を経て化石となった(写真1)
。Redwood は、今
でもあちこちで発掘されている。樹木が火山の爆
は北カリフォルニアの海岸沿いに多く、世界一の
発や洪水、崖崩れなどで土砂に埋もれ、そこにケ
高さを誇る巨木もここにあり、
レッドウッド国立・
イ酸を含んだ水が流れ込み、
巨大な圧力が加わり、
州立公園として、多くの人を集めている。北カリ
その形態をとどめたまま二酸化ケイ素に変化して
フォルニアの化石の森は内陸部にあり、現在、周
化石化したもので、石炭といっしょに発掘される
囲には巨木が見られるわけではないが、かつては
ことも多いという。年輪までくっきりと残ってい
内陸部も巨木で覆われていたことが示唆され、こ
ることもあり、多くは観賞用に利用されるが、ブ
れらから太古の森の形態を伺うことができるとい
レスレット、数珠玉などに加工されることもあり、
う。ここには、直径4m、長さ26メートルに及ぶ
高値で取引されるという。
大木の化石がそのままの姿をとどめて横たわって
これらの硅化木が多数埋もれている場所が化石
おり
(写真2)
、
長さ42メートルのものも見られる。
の森(Petrified forest)と呼ばれ、米国アリゾナ
このような化石が地中から掘り出され、あちこち
州の砂漠の中にも広い産地があり、周囲の砂漠地
に数多く転がっている。木の皮も年輪もそのまま
帯も含めて国立公園になっている。
一方、
カリフォ
化石になって残っており、巨大なワニが横たわっ
ルニア州サンフランシスコから US101号線を北
ているようにもみえる(写真3)
。直接手で触れ
に90km 走り、サンタローサの街から10km 内陸
ることができるものもあり、叩いてみると確かに
側に入ると、ソノマバレーの山中にもここに劣ら
石である。ここの硅化木は、大きさではアリゾナ
ない大きな化石の森がある。1870年に発見され、
州のものをしのいで、世界最大であるという。日
私有地の中にあるが、一般に公開され、いつでも
本でも小さなものは時々掘り出されて、一部は国
見学することができる。ここは340万年前に、近
の天然記念物に指定されており、これ自体は特に
くのセントヘレナ山の爆発により、Redwood な
珍しいものではない。訪れた時は12月下旬で、北
写真1 硅化木が多く重なってみられる
写真2 巨大な硅化木が横たわっている
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しかし、ここに佇むと、当時の地球の様子はどう
だったのだろうか、どんな生き物がこの森をあち
こち動きまわっていたのだろうかとの思いがめぐ
り、そのスケールの巨大さに悠久のロマンが伝
わってくる。
辺りは、日本人も多く入植したサンタローサ近
くで、アプリコット、ブドウ、リンゴ、桃などの
広大な農場が見られ、畑の前には作物の名前が書
かれている。さぞや花の季節は見事であろう。こ
こは、カリフォルニアワインの一大産地であるソ
写真3 巨大なワニが潜んでいるように見える硅化木
ノマバレーのなかにあり、ナパバレーも近くて有
名ワイナリーが多く、ワイン好きにはたまらない
カリフォルニアの空は暗く、訪れる観光客もまば
場所だが、ここを訪れたらついでに足を延ばして
らであったが、米国に住んでいるという日本人の
みてはいかがであろう。
中年カップルにたまたま出会った。
“こんなとこ
(白根大通病院)
ろに来る物好きは日本人位だね”
、と笑っていた。
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