要望書 - ブラック企業対策プロジェクト

2016 年 8 月 29 日
一般社団法人 日本経済団体連合会 御中
ブラック企業対策プロジェクト
要望書
ブラック企業対策プロジェクトより日本経済団体連合会に対し、以下の対応を求めます。
1.会員企業に対し、2017年度入社の大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等(短
期大学及び高等専門学校卒業予定者を含む)の採用選考に際しては、
(卒業・修了年度
の10月1日以降の)正式な内定日までに採用時の労働条件を明示する書面を交付させ
るように、積極的に周知啓発してください。
2.会員企業に対し、2017年度入社の大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の
採用選考及び前年度の採用選考について、それぞれの年度の正式な内定日までに採用時
の労働条件を明示する書面を交付したか否かについて、アンケート調査を実施して、そ
の調査結果を公開してください。
【各項目について】
1.会員企業に対し、2017年度入社の大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等(短
期大学及び高等専門学校卒業予定者を含む)の採用選考に際しては、
(卒業・修了年度
の10月1日以降の)正式な内定日までに採用時の労働条件を明示する書面を交付させ
るように、積極的に周知啓発してください。
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賃金等の労働条件がいかなる内容であるかは、労働者にとって、最大の関心事の一つで
あり、これから新たに就労を開始する学生にとっても同様です。
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他方で、募集要項には大まかな労働条件しか示されておらず、実際の労働条件について
は、採用選考過程や正式な内定の前後にも、書面で示されないケースも多いのが実情です。
賃金等の労働条件を示すものとして交付される書面には、労働条件通知書、雇用契約書な
ど様々な名称のものがありますが、これらの書面が交付される時期も、実際に入社してか
らになることは多く、ひどいケースになると、これらの書面が交付すらされないこともあ
ります。
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内定時に自らの賃金等の労働条件を正確に知ることすらできないような現状では、学生
は不安な気持ちのまま就職先を決めなければなりません。場合によっては、就労を開始し
てから初めて、自らの希望と合致していないことを知ることになります。
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現在、就職・転職いずれの局面においても、実際の労働条件が募集要項の内容よりも劣
悪であるというトラブルが多発し、
「求人詐欺」として深刻な社会問題となっております。
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多くの当事者は、就労を開始してから募集要項と実際の労働条件の相違点に気がついて
も、①速やかに退職する、②我慢して働き続ける、のいずれかを選択せざるをえず、仮に
退職しても再就職先をみつけることが難しいのが実情です。
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このような「求人詐欺」は、個々の求職者に被害をもたらすにとどまらず、社会全体に
も悪影響を与えるものです。
「求人詐欺」が横行し、劣悪な労働条件を隠して好待遇であ
るかのように装って採用選考をする企業が得をして、適正な労働条件を提示して採用選考
をする企業が損をする状態が放置され続ければ、労働市場は不公正な競争にさらされるこ
とになり、労働生産性の低下、経済活動の停滞をもたらす要因ともなるのです。
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労働市場に対して悪影響を与えるこのような社会問題は、一刻も早く是正されなければ
なりません。そこで、賃金等の採用時の労働条件は、遅くとも(卒業・修了年度の10月
1日以降の)正式な内定日までに、明示する書面を交付させなければなりません。これは
労働基準法15条1項が「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働
時間その他の労働条件を明示しなければならない。
」と定める趣旨にも合致するものです。
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労働市場を健全化し、公正な競争を実現するためにも、貴会より会員企業に対し、
(卒
業・修了年度の10月1日以降の)正式な内定日までに採用時の労働条件を明示する書面
を交付させるように、積極的に周知啓発してください。
2.会員企業に対し、2017年度入社の大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の
採用選考及び前年度の採用選考について、それぞれの年度の正式な内定日までに採用時
の労働条件を明示する書面を交付したか否かについて、アンケート調査を実施して、そ
の調査結果を公開してください。
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貴会による周知啓発を受けて、会員企業が2017年度入社の大学卒業予定者・大学院
修士課程修了予定者等の採用選考について、正式な内定日までに採用時の労働条件を明示
する書面を交付したか否かについて、会員企業に対するアンケート調査を実施して、公開
してください。
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また、貴会による周知啓発の結果を分析するためにも、前年度の大学卒業予定者・大学
院修士課程修了予定者等の採用選考について、正式な内定日までに採用時の労働条件を明
示する書面を交付したか否かについて、会員企業に対するアンケート調査を実施して、上
記の2017年度入社者に関する状況と比較する形で公開してください。
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