2015 年度事業および決算報告について

2016 年 8 月 30 日
2015 年度事業および決算報告について
全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会 代表理事理事長:中世古 廣司)は、2016 年 8 月 30 日(火)、
全労済ホール/スペース・ゼロ(東京都渋谷区)におきまして、「第 123 回通常総会」を開催し、
2015 年度計画経過報告、および 2016 年度計画設定などの諸議案を採択し決定いたしました。
つきましては、2015 年度事業・決算の概要について報告いたします。
Ⅰ.2015 年度の取り組みの概要
1.はじめに
2015 年度は、第 118 回通常総会(2014 年 8 月 27 日開催)において決定した「Zetwork-60」
(2014
年度~2017 年度中期経営政策)にもとづき取り組みをすすめました。
「Zetwork-60」の位置付け
と最重点目標は、次のとおりです。
「Zetwork-60」の位置付けと最重点目標
<位置付け>
「2009 年度~2013 年度中期経営政策」の達成状況と全労済を取り巻く環境を踏まえ、
「健全
な事業基盤を確立し、常に組合員から信頼され、安心を提供できる組織」であり続けるための
中期的な経営方針として位置付ける。
<最重点目標>
2017 年に 60 周年を迎える全労済は、
「Zetwork-60」の最重点目標として、「事業の回復」と
「常に健全な事業基盤の確立」を掲げ「事業構造改革」
「組織改革」
「意識改革」を前例にとら
われない強い意思で確実に実行し、<60 周年の全労済の姿>を確立する。
2.「平成 28 年熊本地震」への対応
2016 年 4 月 14 日および 16 日に発生した「平成 28 年熊本地震」の対応として、発生後、直ちに
災害対策本部を立ち上げ、全国から役職員を現地に派遣し、被災された組合員の皆さまの一日も早
い生活再建のため、迅速な共済金支払いを最優先課題として総力をあげて取り組んできました。
●共済金・見舞金の支払い状況(2016 年 8 月 3 日現在)
件数
金額
火災共済(地震等災害見舞金)
16,271件
3億162万円
自然災害共済
14,593件
110億3,639万円
2,748件
1億3,076万円
33,612件
114億6,877万円
慶弔共済※
共済金・見舞金合計
※慶弔共済には、地震等災害見舞金が含まれています。
-1-
3.「Zetwork-60」における 2015 年度の取り組み
2014 年度の取り組み結果を踏まえ、3つの改革「事業構造改革」
「組織改革」
「意識改革」とし
て、主に次の取り組みをすすめました。
<事業構造改革>
(1)マイカー共済について、組合員に永続的に制度を提供するため、事業の収支改善・健全
化を目的に制度改定を行いました(2016 年 2 月)
。
(2)2014 年度に制度改定をした「全労済の住まいる共済」の推進を強化し、類焼損害保障特
約、個人賠償責任共済などの特約の付帯数が大幅に増加しました。
(3)全国統一テーマによる推進を展開するなど、協力団体と一体となった事業推進活動を展
開しました。
(4)さらなる組合員の利便性向上に向けて、
「次世代システム化開発実施計画」を策定しました。
(5)常に健全で安定した事業運営・事業基盤の確立に向けて、
「財務基本計画」にもとづく責
任準備金等の積み立てを行いました。
<組織改革>
第 122 回通常総会(2015 年 8 月 27 日開催)で確認された「Zetwork-60」組織改革プランに
もとづき、組織改革実行に向けた詳細計画として、「Zetwork-60」組織改革実行プログラムを
策定しました。
<意識改革>
(1)
「Zetwork-60」の最重点目標達成に向けて、PDCA サイクルを実行するマネジメントシステ
ム(
「Zetwork-60 推進・進捗管理システム」
)の運用を開始しました。
(2)組合員・協力団体の期待に応える人材育成に向けて、「Zetwork-60 人事政策・戦略マッ
プ」を策定しました。
Ⅱ.事業および決算の概況
1.事業の概況
契約高は 765 兆円、受入共済掛金は 5,908 億円、契約件数は 3,262 万件となりました。
なお、契約件数については、「全労済の住まいる共済」の推進強化により、自然災害共済が増
加したほか、自賠責共済についても代理店の拡大などにより増加しました。
一方、こくみん共済、交通災害共済、団体生命共済などが減少しました。
2.損益の概況
(1)経常収益
経常収益は、6,927 億円(前期比 86 億円減)となりました。このうち共済掛金等収入は 6,007
億円(同 46 億円減)
、資産運用収益は 539 億円(同 7 億円減)となりました。
(2)経常費用
経常費用は、6,108 億円(前期比 6 億円増)となりました。このうち支払共済金は 3,229 億
円(同 12 億円増)となりました。
-2-
(3)資産運用
資産運用純益は 519 億円(前期比 15 億円減)で、運用利回りは 1.61%(同 0.09 ポイント減)
となりました。
(4)経常剰余
経常剰余は、819 億円(前期比 92 億円減)となり、過去三番目に高い剰余水準となりました。
特別損失として、将来の保有資産の価格変動に備えるための価格変動準備金を 75 億円計上
したほか、
「平成 28 年熊本地震」による地震等災害見舞金や臨時費用の 9 億円を計上したこと
などから、税引前当期剰余金は 731 億円(同 79 億円減)となりました。
(5)割戻金
組合員(契約者)への割戻金の総額は、385 億円(前期比 10 億円増)となりました。
3.財務の概況
(1)総資産
総資産は、3 兆 6,136 億円(前期比 985 億円増)となりました。このうち運用資産は、3 兆
3,035 億円(同 840 億円増)となりました。
(2)負債
負債合計は、3 兆 2,265 億円(前期比 727 億円増)となりました。このうち、共済契約準備
金は、追加責任準備金の積み増しを行ったことなどにより 3 兆 806 億円(同 679 億円増)、価
格変動準備金は 500 億円(同 75 億円増)となりました。
(3)純資産
純資産合計は、3,870 億円(前期比 258 億円増)となりました。このうち会員資本は、3,615
億円(同 250 億円増)となりました。
4.主な経営指標について
(1)修正自己資本
支払保証資力は、自己資本が 261 億円増加したことに加え、価格変動準備金や異常危険準備金の
増加により、
修正自己資本は 603 億円増加し 7,898 億円、修正自己資本比率は 21.9%となりました。
(2)基礎利益
基礎利益は、危険差益が増加したことにより、前期比 32 億円増加して 1,436 億円となりました。
(3)支払余力比率
リスクの合計額は、一般共済リスクや巨大災害リスク等の減少により 7 億円減少し、責任準備金
や価格変動準備金の積立等により支払余力総額が 660 億円増加したため、支払余力比率は、
1,536.7%と前期比 102.0 ポイント増加しました。
(4)実質純資産額
実質純資産額は、1 兆 6,443 億円となりました。追加責任準備金など(資本性を有する負債)の
増加により、実質純資産は 3,291 億円増加し、資産超過で良好な状態にあります。
<本件に関する問い合わせ先>
全労済
経営企画部
広報渉外課
TEL: 03-3299-1468 /
Email: [email protected]
No.432
-3-
別添資料
2015年度 事業と経営の概況
※本資料の数値は、
四捨五入して表記しています。
I.契約高は765兆円となりました
■ 契約件数の状況
契約高は765兆円、受入共済掛金は5,908億円、契約件数は
3,262万件となりました。
なお、契約件数については、
「全労済の住まいる共済」の推進
強化により、
自然災害共済が増加したほか、
自賠責共済について
も代理店の拡大などにより増加しました。
一方、
こくみん共済、交通災害共済、団体生命共済などが減
個人長期生命共済 103万件
火 災 共 済
442万件
自然災害共済
交通災害共済
団体生命共済
552万件
火災再共済
18万件
こくみん共済
613万件
慶弔再共済
442万件
11万件
自動車再共済
2万件
マイカー共済
214万件
受 託 事 業
自賠責共済
20万件
団体生命移行共済
少しました。
(2016年5月31日現在)
205万件
ね ん き ん 共 済 新 団 体 年 金 共 済等
81万件
301万件
終 身 共 済
42万件
総契約件数
■ 契約高の推移
■ 受入共済掛金の推移
(年度)
(年度)
2015
765.0兆円
2015
2014
767.0兆円
2014
2013
768.0兆円
2013
0
400
500
600
700
5,908億円
5,959億円
6,005億円
0
800(兆円)
216万件
3,262万件
4,500
5,000
5,500
6,000
6,500(億円)
Ⅱ.共済金は3,229億円お支払いし、組合員の皆さまにお役立ていただきました
2015年度の共済金は、前期比で12億円増加した3,229億円をお支払いし、組合員の皆さまにお役立ていただきました。
■ 共済金支払いの推移
(億円)200.9万件
204.5万件
3,500
■ 共済金支払額の内訳
(万件)
220
207.9万件
210
200
190
180
170
160
3,000
2,500
2,000
3,309
億円
3,217
億円
1,500
0
2013
2014
金額
(左目盛)
3,229
億円
個人賠償責任共済 1億円
自動車再共済 7億円
火災共済 145億円
慶弔再共済 36億円
自然災害共済 133億円
終身共済 130億円
ねんきん・
新団体年金共済等
775億円
交通災害共済 43億円
マイカー共済
558億円
150
140
130
120
110
100
0
2015 (年度)
共済金支払額
3,229億円
個人長期生命共済
414億円
件数
(右目盛)
1
自賠責共済
13億円
団体生命共済
406億円
こくみん共済
(団体生命移行共済含む)
569億円
Ⅲ.組合員への共済金、割戻金の合計は3,614億円になりました
経常剰余は819億円に
■ 損益の状況
(1)受入共済掛金、資産運用収益が減少したことなど
から、経常収益は86億円減少して6,927億円となりま
した。
(2)支払共済金、
資産運用費用が増加したことなどから、
経常費用は6億円増加して6,108億円となりました。
(3)その結 果 、経 常 剰 余は、前 期 比 9 2 億 円 減 少の
819億円(過去三番目の剰余水準)
となりました。
(4)特別損失として、価格変動準備金を75億円計上し
たほか、
「 平成28年熊本地震」による地震等災害見
舞金や臨時費用の9億円を計上したことなどから、
税引前当期剰余金は731億円となりました。
収益
費用
共済掛金等収入
6,007億円
共済金等支払額
4,195億円
(うち受入共済掛金 : 5,908億円)
(うち受入再共済金 :
83億円)
(うち支払共済金 : 3,229億円)
(うち支払再共済掛金 : 211億円)
共済契約準備金繰入額
663億円
組合員への割戻金について
資産運用費用
組合員(契約者)への割戻金の総額は385億円となり
ました。今後も将来のリスクに備えた内部留保とのバラン
スをはかりながら、安定的な還元を目指していきます。
共済契約準備金戻入額
369億円
■ 割戻金の推移
20億円
事業経費 1,227億円
その他経常費用 4億円
特別損失 88億円
(年度)
385億円
2015
375億円
2014
379億円
2013
0
300
320
340
360
380
資産運用収益 539億円
その他経常収益等 13億円 経常収益計
経常費用計
経常剰余
6,927億円
6,108億円
819億円
400(億円)
税引前当期剰余金 731億円
法人税等
(注)
割戻準備金繰入額
当期剰余金
当期首繰越剰余金・任意積立金取崩額
当期未処分剰余金
101億円
385億円
245億円
91億円
337億円
(注)
法人税等と法人税等調整額との相殺額
IV.総資産は3兆6,136億円になり、将来に備えた積み立てを実施しました
総資産は前期比985億円増加
■ 資産と負債の状況
(1)総資産は3兆6,136億円となり、前期比985億円
資産の部
(2.8%)増加しました。
3兆6,136億円
(2)負債の合計は3兆2,265億円となり、前期比727億円
負債・純資産の部
3兆6,136億円
(2.3%)
増加しました。
このうち、共済契約準備金の合計は、将来生じうる
共済金の支払いに備えた追加責任準備金の積み
増しを行ったことなどにより、3兆806億円となり、
現金及び預金 1,901 億円
金銭の信託等 3,756 億円
前期比679億円増加しました。
(3)純資産の合計は3,870億円となりました。出資金が
5億円増加したほか、法定準備金等によって構成さ
有価証券 2 兆 6,031 億円
れる剰余金が245億円増加しました。
貸付金 56 億円
(年度)
運用不動産 18 億円
3兆6,136億円
3兆5,151億円
2014
(支払備金:934億円)
(責任準備金:2兆9,372億円)
●
未経過共済掛金:1,029億円
●
異常危険準備金:3,540億円
●
共済掛金積立金:2兆4,803億円
(割戻準備金:501億円)
その他の負債 959 億円
■ 総資産の推移
2015
共済契約準備金
3 兆 806 億円
その他の運用資産
1,272 億円
その他の資産 1,073 億円
(うち業務用固定資産 : 635 億円)
価格変動準備金 500 億円
(出資金:1,817億円)
(法定準備金:479億円)
(任意積立金:982億円)
(当期未処分剰余金:337億円)
(評価・換算差額等:255億円)
繰延税金資産 2,028 億円
3兆3,995億円
2013
0
2.5
3.0
3.5
純資産 3,870 億円
4.0(兆円)
2
V.公社債を中心とした資産運用により、資産運用純益は519億円となりました
組合員
(契約者)
の皆さまからお預かりしている共済掛
金は、
将来の共済金などの支払いに備え、
堅実な資産運
用を基本として運用しています。
資産運用にあたっては、
総合的なリスク管理のもと公社
債を中心に利息収入を安定的に確保したうえで、
外国証
券などによる運用をあわせて行い、収益性の向上を目指
しています。
■ 運用資産の状況
運用不動産 18億円
(0.1%)
その他の運用資産 1,272億円
(3.8%)
株式
16億円
(0.0%)
現預金 1,901億円
(5.8%)
金銭債権 1,460億円
(4.4%)
外国証券
2,455億円
(7.4%)
資産運用概況
(1)2015年度の運用環境は、
日本銀行の金融緩和策の
浸透により国内金利が低下基調で推移し、
マイナス金
利政策決定後はさらなる金利低下がすすみました。
海外金利は、2015年12月に米国での利上げが決定
されたものの、
その後原油価格の下落や新興国の景
気減速懸念から追加利上げに慎重姿勢が示された
ため、
低下基調で推移しました。
為替(円/米ドル)
は、米国の追加利上げ観測の後退
により円高がすすみ、
日経平均株価は、
円高進行によ
る企業業績の下振れ懸念を受けて下落しました。
(2)2015年度の資産運用は、国内金利の低位推移を鑑
み、公社債の積み増しを抑制する一方、為替リスクに
留意しながら、相対的に利回りの高い外国証券を取
得しました。
(3)運用資産は、前期比840億円増加して3兆3,035億円
となり、構成率は運用の中核である公社債が78.0%、
外国証券7.4%、
現預金5.8%となりました。
(4)資産運用純益は、前期比15億円減少の519億円、運
用利回りは1.61%となりました。
長期貸付金 56億円
(0.2%)
その他の証券
86億円
(0.3%)
運用資産
3兆3,035億円
公社債
2兆5,771億円
(78.0%)
(注)
百分率
(%)
は、
運用資産に対する割合を示しています。
■ 運用環境(2015年5月∼2016年5月)
(円)
130
(%)
0.8
0.6
円/米ドル
(右目盛)
0.4
新発10年国債利回り
(左目盛)
0.2
120
110
0.0
−0.2
2015年
5月
8月
100
2016年
2月
11月
5月
VI.組合員の信頼に応えられる充分な保障力を確保しています
7,898
修正自己資本比率21.9
摘 要
億円
修正自己資本
%
支払保証資力として、充分な自己資本を保有しています。
支払保証資力は、
右表のとおりで、
自己資本が261億円増加し
たことに加え、
価格変動準備金や異常危険準備金の増加により、
修正自己資本は603億円増加し7,898億円、修正自己資本比率
は21.9%となりました。
基礎利益
1,436
摘 要
基礎利益
(うち費差損益)
(うち利差損益)
(うち危険差損益)
億円
1,536.7
3兆5,151億円
−
2015年度
金 額
比 率
3,603億円
10.0%
255億円
0.7%
3,858億円
10.7%
3,540億円
9.8%
500億円
1.4%
7,898億円
21.9%
3兆6,136億円
2014年度
1,404億円
(11億円)
(15億円)
(1,377億円)
摘 要
支払余力総額
(A)
リスクの合計額
(B)
支払余力比率
(A)
/
{(B)
×
(1/2)}
×100
%
−
2015年度
1,436億円
(4億円)
(13億円)
(1,420億円)
2014年度
9,999億円
1,394億円
2015年度
1兆660億円
1,387億円
1,434.7%
1,536.7%
(注1)
消費生活協同組合法施行規則ならびに同法施行規程にもとづいて算出しています。
(注2)
生命共済事業と損害共済事業の両方を実施しているため、生命保険会社または損害保
険会社のソルベンシー・マージン比率と単純に比較できません。
1 6,443
実質純資産比率 45.5
兆
2014年度
金 額
比 率
3,349億円
9.5%
248億円
0.7%
3,597億円
10.2%
3,273億円
9.3%
425億円
1.2%
7,295億円
20.8%
(注1)
基礎利益は、経常剰余から有価証券売却損益等の「キャピタル損益」
と異常危険準備
金繰入額等の「臨時損益」
を控除した額です。
(注2)
2015年度から貸借対照表の任意積立金の取崩しにより支出する費用については、基
礎利益の費差損益から除いて算出する方法に変更しています。
リスクの合計額は一般共済リスクや巨大災害リスク等の減少
により7億円減少し、責任準備金や価格変動準備金の積立等に
より支払余力総額が660億円増加したため、支払余力比率は、
1,536.7%と前期比102.0ポイント増加しました。
実質純資産額
会員資本
評価・換算差額等
小 計
異常危険準備金 価格変動準備金 合 計
総資産額
共済事業として充分な経営水準を維持しています。
基礎利益は危険差益が増加したことにより、前期比32億円増
加して1,436億円となりました。
支払余力比率
自己資本
修正自己資本
億円
摘 要
実質純資産額
実質純資産比率
%
実質純資産額は1兆6,443億円となりました。追加責任準備金
など
(資本性を有する負債)
の増加により、
実質純資産は3,291億
円増加し、
資産超過で良好な状態にあります。
2014年度
1兆3,152億円
37.4%
2015年度
1兆6,443億円
45.5%
(注)
実質純資産額とは、異常危険準備金等を含んだ広義の「自己資本」に「含み損益」
を加
算した額です。言い換えると、時価ベースの総資産額から負債
(異常危険準備金等の資
本性を有する負債を除く)
を引いた額です。
3