東京都の企画で、パラリンピック競技の魅力を伝える

6月2日、リオパラリンピックを目前に控え、神奈川県内にてパラ卓球の広告撮影が行
われた。今回のプロジェクトは都営大江戸線内の駅をパラスポーツの広告や展示で埋め、
リオパラリンピックを盛り上げていこうとするものだ。東京都の主催で行われたこの企画
に、世界ランキング7位の別所キミヱ選手、パラリンピック初出場となる吉田信一選手、
大躍進を続ける21歳、岩渕幸洋選手の3名が参加した。
「スタジオ感覚で写真を撮られるのは初めてだったので緊張もあったが、楽しくやらせ
ていただいた」(吉田)。ライティング機材が並ぶ中行われたのは、PVやポスターの撮
影。別所と吉田は素振りをしている姿を、岩渕は実際にボールを打っている姿を、カメラ
がさまざまな角度から追いかける。3選手ともこのような撮影は初めてだったそうで、は
じめは緊張した表情も見受けられた。しかし、徐々に笑顔も見られ、撮影自体を楽しんで
いるようだった。初対面の私たちにも気さくに話しかけてくれ、思わず声を上げて笑って
しまうほど話が弾んだ。障がいというハンデを抱えながらも、それを感じさせない明るく
真摯な対応に、周りにいる私たちまでパワーをもらえる。「障がいのある人もここまで頑
張っているということを分かってほしい。でも特別な人間じゃないのよ、普通の人間だか
らね」(別所)。実際に選手の生の声を聞くと、一つ一つの言葉に考えさせられる。イン
タビューでは、普段のトレーニングからプライベートな部分まで、多方面にわたってお話
をさせていただいた。テレビを見ながらでもトレーニングはできるということを教えてく
れた吉田。それぞれの選手に自分なりのスキルアップ術があるのだろう。卓球に対する前
向きな姿勢と、普段のお茶目な一面に、私たちもすぐにファンになった。「ポスターがで
きたら大江戸線の駅に見に行くと思う」と笑顔で語った岩渕。3選手とも完成を楽しみに
しているようだ。
映像制作会社のプロデューサーによると、撮影する角度へのこだわりがあったようだ。例
えば岩渕は左足に障がいがあるため、「卓球のアングルとしては珍しいかもしれないが、後
ろから狙ってみることなどを意識して撮影している」という。パラ競技独自の視点を意識し
ながらさまざまな競技を撮影している。撮影する側も、いろいろな試みをしていることが分
かった。
今回の取材を通して選手やスタッフの、もっと多くの人にパラリンピックに対する関心
を持ってほしいという気持ちが強く感じられた。また実際に岩渕の動きを見て、その迫力に
圧倒された。スポーツとしての魅力は申し分なく、力強いプレーは人々を夢中にさせること
だろう。このプロモーション活動によって、東京都民をはじめさらに多くの人がパラスポー
ツに注目し、パラリンピックが盛り上がることを心から期待したい。
(記事 田中佑茉、越智万里子)