学総目ファイルから抽出した特定機関所蔵目録作成の試み 一日本経済統計情報センター所蔵雑誌ファイル作成の場合一 田口照美・大久保恒治 1. はじめに 造等は別に公表してある2)。 近年,欧米の図書館界では,アメリカのOCLC このSTATIONSは,通常単行書扱いにされる (Online Computer Library Center)をはじめ, ことの多い逐次刊行物と,雑誌扱いにされる原則 Utlas (University of Toronto Library Autom− として年2回以上発行の逐次刊行物とに大きく分 ation Systems)など,さまざまな書誌ユーティ かれている。後者は「STATIONS雑誌書誌ファ リティー(Bibliographic Utility)力彫成されて, イル」3)と呼び,この部分については,前記のよ オンライン目録が稼働している。このような標準 うに「学総目ファイル」を利用した箇所もある。 化されたデータを自機関独自の目録データベース その点に力点をおいて,筆者が担当したその作業 に変換利用することは,各所でなされていること の大要を述べることとする。 であろう。 最初に,STATIONSの対象範囲について略述 わが国においても国内の学術図書館を結ぶオン しよう。当センターは設立以来,日本経済に関す ライン目録システムや,国産データベースなどの る各種統計資料の収集・整備を,主要な業務とし 開発が活発に行われている。 てきた。そこで収集した統計資料には,印刷物形 学術情報センターの『学術雑誌総合目録 和文 態のものとして①一般単行書,②統計書〔単発物 編』のデータベース(以下「学総目ファイル」と 略称)もまた,そのようなそれぞれあ機関の自家 (一回限りの調査の報告書),継続物(周期的調査 用目録データベースに変換して使用することが可 調査員必携・手引等の俗にいうマニュアル類,ま 能である。本稿では「学総目ファイル」から特定 た文書資料としては①調査個票4),②集計原表 の報告書)〕③雑誌〔統計雑誌,非統計雑誌〕,④ 主題部分を抽出して,自機関独自の目録データベー (写し)等がある。印刷物以外の媒体としては, スを作成した手法について略述する。 ①印刷物や文書等のマイクロ・フィルム(MF), ②磁気テープ(MT),③CD−ROM等がある。こ 2. 作業の目的と問題点の所在 れら種々の資料群のうちから,統計関連資料を集 日本経済統計情報センターでは,昭和38年の めてその書誌事項の記録を構成したものがSTAT センター設立以来(設立当初は日本経済統計文献 IONSである。(図1参照) センター),さまざまな統計情報の計算機による 現在,斜線部分に当たる統計資料のファイルが 検索システムの編成実験を行ってきたが’),昭和 完成しており,その他の部分については,今後順 59年度からオーガナイザー松田芳郎教授のもと 次ファイル化していく予定である。 にプロジェクトを編成し,統計資料の書誌・所在 当センターで作成した雑誌書誌ファイルには, 情報を中心とする「統計情報データ・ステーショ ン」を構築中である。現在は,この「データ・ス 前述の「STATIONS雑誌書誌ファイル」(以下 「STATIONSファイル」と略称)と,ハウスキー テーション」の中核をなす,当センター独自の目 ピング用としての「雑誌事務用ファイル」(以下 録記述様式による統計情報データベースSTATIO 「事務用ファイル」と略称)とがある。前者は雑 NS(STATistical InformatiON Systemの略称) 誌扱い資料のうち統計関連雑誌のみで構成されて の作成を行っている。その中核部分の書誌ファイ おり,後者は非統計雑誌も含めたセンター所蔵の ルについては,第二次世界大戦後の統計調査報告 全雑誌を取り込んでいる。 書について一応の完成を見て,そのファイルの構 今回「事務用ファイル」を作成するに当たって, 26 大学図書館研究XXXVII(1991,3) る項目と,書誌レコードID(BID)やISSNのよ マイムロコフィルム マイクロ。フィッシュ 磁気媒体 印刷物 M 叩… N S O T A T S 事務用ファイル 雑 誌 幽一〇.り貸 書物① 試織 継続 1続② l② 一 一 ハ単行書 ililii kl’ ti”’ DR.x” 9ハ︶逐 非 計 一・一・一 うにそのまま用いる項目とがある。 i’畝T 統 計 他方,「事務用ファイル」と「学総目ファイル」 の項目編成の相違により,利用しない項目も多々 ある。 「学総目ファイル」の項目の中には,各種の利 用に対応できるよう,同じデータが書式を異にし ていくつか存在するが,それは,同種のデータを 一緒にまとめて持っていたり個々ばらばらに持っ ていたりするためである。たとえば,TR(本標 題及び責任表示画面)とTRG.TRS(本表題・そ の他の標題情報・責任表示)とTRG.TRR(本標 非統計 題の読み)があるが,この場合には,雑誌名と責 グ げ ク その ノ グ の の の び 二:1・マニュアル1ゴ 1:ニニニ::::;・i;;::1③:: ①→次期入力の予定 ②→次々期入力の予定 ③→いずれ入力の予定 任表示にはTRG.TRSの方が利用しやすいのでこ ちらを用い,雑誌名のカタカナ読みにはTRG. TRRを用いるなどして, TRは利用しなかった。 また,刊行頻度についていえば,「STATIONS ファイル」では,刊行頻度が変わるごとに新しく 集計原票: 心血 ニニニ個 票1: レコードを立てて、その刊行頻度が続く期間中の 初巻次と終巻二等を記述する。そのために,「学 総目ファイル」のデータを用いることはできなかっ た。 彫ニニニニi二男二: 上記の「学総目ファイル」「事務用ファイル」 図1 STATIONSの位置づけ および「STATIONSファイル」の三者間の諸項 目対応関係は,図2に示した。また,それぞれの ファイル内容の一例は,図3に示した。 「学術雑誌総合目録 和文編 1985年版』に収録 . されている雑誌については,「学総目ファイル」 3.2機械変換処理とその問題点 から必要な項目データを抽出して,原データに適 (1)漢字の内部コードの異種間変換 切な変換処理を施して利用する方法をとった。た 「学総目ファイル」は漢字コードとしてNVT だし,機械変換よりもエディタを使用して手修正 コードを使用しているが,「事務用ファイル」と を行ったほうが容易な場合には,そのような方法 「STATIONSファイル」 はともにKEISコード をとった。 (日立漢字コード)を使用している。そのため, 3.「学総目ファイル」から「事務用ファイル」 NVTコードをKEISコードに変換する作業が必 要となる。NVTコードとKEISコードはともに へ置換編成する方法および「STATIONSファ JIS規格の変形であるため,比較的問題はない。 イル」編成手順 「事務用ファイル」に取り込むべき情報項目が それは,現在のところ「事務用ファイル」も 「STATIONSファイル」も入力雑誌の対象時点を 戦後としているので,JIS第一・第二水準に含ま 「学総目ファイル」に存在する場合には,「学総目 れていない,いわゆる外字に関する問題は殆ど起 3.1利用する項目と利用しない項目 ファイル」の書誌データと所蔵データの双方から, こらなかったためである。ただし戦前の資料が入っ 必要な項目を抽出して用いた。ただし,この場合, てくると,外字処理の問題が起こってくる。 雑誌名や責任表示(TRG.TRS)5)などのように, (2)SAS利用の理由 全角と半角相互のコード変換処理をした上で用い 「事務用ファイル」「STATIONSファイル」は 27 学総目ファイルから抽出した特定機関所蔵目録作成の試み 事務用ファイル 学総目ファイル 〆対応MARCレコードm(琳RCN) < 利用しない STATIONSファイル 項目(学総 一般資料種別コード〔GMm 目のみにあ 標題及び責任表示形式画面(TR) る項目) 事務用ファイル (雑誌書誌データより) にのみ利用 綜純激Rード1D〔田D) 〉学総目書誌ID(Eタの した項目 ISSNqSSN) рPSS唄Rタグ) 前/後誌標題(BHNTG. BHNTS) 竃 一→ p続前/後引(Jタの 変遷タイプ(BHNTG.BHNm 事務用ファイル 本標題等の読み〔TRG. TRR} とSTATIONS 本標題・責任表示(TRG. TRS) ファイルに利用 出版者等表示(PUBG. PUBN》 した項目 注記(NOT日 この部分の項目は 事務用ファイルと 前/後誌レコードID(BHNTG. BID} 一 ,誌面読み(Rタグ,Kタの 同じ 雑誌名(¥タの 一→ メ者等(Hタの 高高〔Nタの 巻次年月次(VLYR) (雑誌所蔵データより) 所蔵・巻号・発行年月等(Eタの 所蔵巻号次(llLV} 所蔵通し年次(HLYR) ら創刊年・終刊年(Eタの 受入継続表示(CONT》 ノ 事務用ファイルと 誌名/編者ローマ字読み(Rタの この部分の項目は STATIONSファイル 学総目収録コード(¥タの, 事務用ファイルと に追加した 資料種別コード〔¥タの 同じ @ 項目 統計調査名(#夕の STATiONSファイルのみ 調査対象年〔Tタの に追加した項目 刊行頻度〔Qタク) r 製本コード(E夕の く 受人コード(Eタの 事務用ファイ1レのみ に追加した項目 1 孕STATIO閥Sファ仙の 一時保存コード(Eタの これらの項目は、 研究所所蔵コード(Eタグ) 時間的制約のため 会計処理コード〔E夕の 実際には初期入力 k 納入者コード(Eタの した。 図2 三ファイル対応表 ともにデータベースとして機能することが肝要で タベースとして疑似的にでも利用できる理由で ある。このシステム編成時においては,計算機の SASシステムを利用することとした。また,ファ 容量等の制約条件もあり,また統計情報データベー イル作成過程でSASを利用することによって, スを稼働させるに十分で,しかも将来他機種への データ処理が容易にできる点が大きな副産物となっ 移植の可能性を持った適切な既存のDBMSはな く,小規模DBMSを自前で編成する人的資源も ている。 ㈲「学総目ファイル」からの抽出および変換 ないため,ファイル作成に当たっては,当面デー 作業フロー 28 大学図書館研究XXXVII(1991.3) (1)学総目ファイル 42SBOOO1590 ObOOOOO 42SBooOIS90 OOOOooO 42SBOOO1590 OOOOOOO 42SBOOOIS90 OOOOOOO 42sBoeolsgo oooeooo 4ZSBOOO1590 OOOOOOO 42SBOOOIS90 OOOOOOO 42SBOOO1590 OOOOOOO 42SBOOO1590 OOooOOO 42sBooelsgo ooooooo 42SBOOOIS90 OOOOOOO 42SBOOO1590SHOOOOOOI 42SBOOO1590SHOOOOOOI 42SBOOOIS90SHOOOOOOI 42SBOOO1590SHOOOOOOI 42SBOOO1590SHOOOOOOI 42SBOOO1590SHOOOOOOI 42SBooO1590SHOOOOOOI OOOOOOO OOOOOOOBID OOI OOOOOOO OOOOOOOCDATEOOI OOOOOOO OOOOOOOCNTRYOOI OOOOOOO OOOOOOOTTLL OOI OOOOOOO OOOOOOONDLCNOOI ooeoooo oooooooupLN ool OOOOOOIOANOOj610]9 00000008198508]O ooooooo2ja OOOOOOO OOOOOOO丁R OOI OOOOOOO OOOOOOO丁RG OOITRS 00000164フ’レnr住宅・住宅設備1=りト統計四半期報/通商産業大臣官房調査銃計部 )’bi、ア OOIOOO78アレ1、ブ住宅・住宅設備1ニリト統計四半期報/通商産業大臣官房調査統計部 OOOOOOO]JM OOOOOOO52T786 000000100S61790000 00100082フ・レhフ鴨 シ量ユウP7.シ購ユウ9ク セツヒ. 1ニリト トウft 4J、ン#ウ / ワウショウ V)1・ヨウ 7’tン’, カコホ」ウ チ OOOOOOO OOOOOOOTRG OOITRR OOOOOOO6東京 OOOOOOO OOOOOOOPUB OOi OOOOOOO OOOOOOOPUB6001PUBP OOIOOOO6東京 OOOOOO12CBOOO792696S OOOOOOO OOOOOOOHID OOI oooooeo ooooooocDATEool OOOOOOO OOOOOOOBID OOI OOOOOOO OOOOOOOLID OOI OOOOOOO OOOOOOOLNpttEOOI OOOOOOO OOOOOOOHLU OOI OOOOOOO OOOOOOOHLYR OOI OOOOOOO819850]29 00000010aNOO]610]9 00000008FAOO2054 00000008一橋統 OOOOOOO820−24.29 000000091979−1981 *「学総目ファイル」は紙幅の関係上, 147バイトで打切って 出力した。 ② 事務用ファイル ¥ &Sプレハブ住宅・住宅設備ユニット統計四半期報 R¥ PREFABJUTAKUJUTAKUSETSUB工UNITTOKE工SHIHANKIHO K¥ フ。bhフ“b“ユウ7ク.シ輪ユウ7クセツ亡vユニ,y卜トウケT4J):,キホウ H〈20> 通商産業省・大臣官房・調査統計部・化学工業統計調査室 H〈45> 通商産業省・大臣官房・調査統計部・鉄鋼化学統計調査室 RH TSUSHOSANGYOSHO DA工JINKAMBO CHOSATOKEI8U TEKKOKAGAKUTOKEICHOSASHITSU E 16600 Y4 〈20>,SS4.04−06,S54.11 +””一””一一一””一一””一.一一一 * ”.一... B 一一一. ANOO361039 (3)STATIONSファイル ¥166⑤0&Sプレノ、ブ住宅・住宅設備ユニット統計四半期報 eeEFABJUTAKUJUTAKUSETSUBIUNITTOKEISHIHANKIHO R H el 通商産業省・大臣官房・調査統計部・化学工業統計調査室 〈20>,S54.04−06,S54.11 〈44>.S60.04−06,S60.09 村02 通商産業省・大臣官房・調査統計部・鉄鋼化学統計調査室 A 02 〈45>,S60.07−09.S60.12 Q Y4 E 〈20>,S54.04−06,SS4.11 * A ei 〈20>.S54.04−06,S54.11 躍 694 プレハブ住宅及び住宅設備ユニット統計調査 1 S54.04−06 図3 三ファイル内容例 「学総目ファイル」には, 「事務用ファイル」の作業のフローは,図4に示 ①マスターファイル(学術情報センター所蔵) した。また,「STATIONSファイル」編成につい ②自大学用ファイル(マスターファイルより ては,「学総目ファイル」に収録されているかど 自大学分のみを抽出) ③自館用ファイル(マスターファイル又は自 うかの情報を項目に加えて初期入力した。 (4)ファイル作成の基本ステップ 大学用ファイルより自働分を抽出) 「学総目ファイル」は,一つのレコード中に全 の3種のファイルの利用が考えられるが,今回の 角文字と半角文字の両方を使用する方式をとって 作業には,学術情報センターのマスターファイル いる。しかしこの方式は,印刷物とする場合には から一橋大学分を取り出したもの,即ち②のファ 便利であっても,検索システムに載せるには,機 イルを用いた。従って,そのファイルから当セン 能コードが含まれるためにあまり効率的とはいえ ター分を抽出するという作業がひとつ加わった。 ない。一方,「事務用ファイル」「STATIONSファ 29 学総目ファイルから抽出した特定機関所蔵目録作成の試み すなわち,統計雑誌の場合は通常の雑誌と異なっ START て,編者等が官公庁等の機関であり,しかも,統 計調査の報告書の一種として刊行されていること 緊難 が多い。それ故,編者名は機関の統廃合などで変 わることがあるため,その変遷を的確にとらえる 必要がある。一方,その機関が実施する統計調査 センター分の抽出 は様々なものがあり,統計調査名,調査項目,調 査周期等が変更することもある。それに伴って, 二黒 その報告書の書名も変更することがあり,雑誌名 もその名称の変遷をたどる必要がある。 NVT−KEIS コード変換 当センターでは雑誌の配架に当たっては,山名 のローマ字読み順で配列されている。従って,配 KEts版 図3{1)に対応 架記号を兼ねているため,その情報をとりこんで おくことも必要であり,後でカタカナに変換する SASデータセット作成 カタカナ→ローマ字変換 のも容易である。 以上の観点から,ファイルは雑誌名毎の階層構 SAS ローマ字修正 造にした。ファイル構造として,編者の変遷は当 該雑誌の同一誌名中で記述する。誌名が変われば データ セット 外部ファイル作成 新しい雑誌名とみなし,新旧誌名の変換をコネク 外部ファイル 以下,順に,書誌事項としてファイルに記述し タで記述する。 作成項目の抽出 データ修正 ている編者名の変遷,所蔵情報等の主要項目を解 説する。 作業用 外部 ファイル 外部 図3〔2) ファイル に対応 雑誌名については,「二二:目ファイル」と同様 に,わずかでも変化があれば雑誌名の変遷とみて 半角→全角,全角→半角 コード変換 (1)雑誌名レコード(¥タグ) END 新しく誌名をおこすという個別誌名方式を採用 しているため,「学総目ファイル」の項目TRG. 図4 「事務用ファイル」作成フローチャート TRSの標題を雑誌名として記述した。 ② 編者名等レコード(Hタグ) イル」は,ともにタグ部分を除き全角文字レコー 編者名は「学総目ファイル」の責任表示に当た ドと半角文字レコードは区分して統一している。 るため,TRG.TRSの責任表示を記述した。また そのため,「事務用ファイル」では全角文字レコー 責任表示のない場合には,PUBG.RUBNの出版 ドである雑誌名,編者名,継続誌名,注記の各レ 者名を記述した。 コードのデータは,「学総目ファイル」データの 編者に変遷のある場合には,複数のHタグが 半角文字を全角文字に変換することを必要とする。 出現することとなる。その場合は,NOTEの また,半角文字レコードに入るデータである所蔵 「責任表示変更」「団体名変更」または「出版者変 巻次や創刊年月等は,全角文字から半角文字に変 更」のデータからも編者をとることが必要である 換しなければならない。(例:1巻1号→1<1>, が,これは件数が少ないために手作業で行った。 昭42.4→S42.04)。 更に,当該編者が担当する期間の情報をも記述し た。 4. 外部ファイル作成のための手続き ㈲ 雑誌名および編者二等ローマ字読みレコー 「事務用ファイル」「STATIONSファイル」の ド(Rタグ) 両外部ファイルのファイル構造は類似させている。 雑誌名のローマ字読みは,TRG.TRRの雑誌名 30 大学図書館研究XXXVII(1991.3) のカタカナ読みを半角ローマ字に計算機変換して 行った。 記述し,その後,当センターのローマナイズ方式6) ②年月次 に従って修正(手作業)を加えた。更に,ISSN 1)HLYR(所蔵通し年次)の初めの年次を記 からISSN番号を半角文字にて記述した。 述した。月次は調査して手入力した。 編者名等のローマ字読みは,TRG.TRRの責任 2)HLVの記述が巻号表示でなく年月次表示 の場合は,HLVに表示してある最初の情報 表示読みを半角文字に計算機変換して記述し,雑 誌名と同様に修正した。 (4)所蔵初巻下等レコード(Eタグ) を例示のように修正して,リスト形式の2項 目めに記述した。この場合,第1項目めには このレコードには(i)所蔵情報等および(li) アスタリスク「*」を入れた。 創刊年・終刊年などの半角文字情報を集めた。 (例:HLVの情報が「1975(7−12),1976− (i)所蔵情報等 1980(1−10)」の時は→「*,1975.07,*」 センターで所蔵している初号。終号の巻次等 となる。) を「リスト形式」で記述した。 ③発行年月 「リスト形式」とは, 1)創刊号を所蔵している場合はHLVの() ①巻次(巻次がない時は回次) ②年月次(○○年○月号,○○年○月分) 内の年月を記述した。その際,元号を示す全 ③発行年月 「T」に,「昭」は「S」にそれぞれ変換し, 以上の優先順位で,この3項目の内判明してい 月数は2ケタに変換した。 る2項目をリスト形式によって記述する。その 2)創刊号を所蔵していない場合には,HLYR 場合それぞれ何項目めの情報であるかを明らか の初めの年次を,半角の元号表示に変換して にするために,データを入力しない項目には アスタリスク「*」を入力して,必ず3項目と 記述した。月次は調査して手入力した。 も入力することとした。 二文字「明」は半角の「M」に,「大」は 〈終号の巻次等〉 ①巻次 (例:①,②,*) 1)その雑誌が受入中止の場合,即ち「学総目 ただし,継続受入中の雑誌については,継続 ファイル」のCONT(受入継続表示)に 受入コード「+」を置き,〈終号の巻次数〉の 「+」の表示のない場合は,HLVの最後の巻 リスト形式の記述はブランクとする。 次を計算機処理により記述した。その際の修 〈初号の巻次等〉 正は,前述の初号巻次をHLVから記述した ①巻次 時と同様の手順で行った。 1)創刊号を所蔵している場合,即ち,「学総 2)継続受入中,即ちCONTに「+」の表示 目ファイル」のHLV(所蔵巻号次)が1で がある場合は,入力データ無しとなり,この 始まっている場合は,VLYR(巻次年月次) 項目はブランクとなる。 に表示してある最初の巻次を記述した。記述 ②年月次 に際しては,1巻1号は1<1>に,1号は 1)受入中止の場合は,初号の時と同じ手順で 〈1>に計算機変換した。 HLYRおよびHLVに表示してある最後の情 2)創刊号を所蔵していない場合,即ちHLV が1以外のときは,HLVの最初の巻次を記 報を修正してリスト形式2項目めに記述した。 述した。この際に問題となるのは,「学総目 めブランクとなる。 ファイル」の所蔵データは完全巻か不完全巻 かを示す「巻レベル」の表示であって,「号 2)継続受入中の場合は,入力データなしのた ③発行年月 10号なのか,完全巻としての10巻なのか不 1)終刊号を所蔵している場合,即ちHLVの 最後の巻号とVLYRの最後の二号が同じ場 合はVLYRの最後の( )内の年月を記述 分明な点である。従って,個々に現物を確認 した。元号に関しての処理は初号の場合と同 のうえ〈10>か10〈1>かに手作業で修正を じ。 レベル」の表示がないため,HLVの10は 31 学総目ファイルから抽出した特定機関所蔵目録作成の試み 2)終巻号を所蔵していない場合,即ちHLV とVLYRの巻号が異なる場合は, HLYRの とのできないデータ項目として追加しなければな 終わりの年次を初号と同じく元号に変換して 刊行頻度の場合も一般雑誌と異なり,統計資料 らない。 記述した。月次は調査して手入力した。 の刊行頻度は統計調査周期と連動していることが 3)CONTに「+」の表示のある場合は,入 多いたあ,刊行頻度の変更は重要な要素となる。 力データなしのためブランクとした。 そこで「STATIONSファイル」では,刊行頻度 (li)創刊年・終刊年 が変わるたびに新しくレコードを起こして,その く創刊年> 該当刊行頻度の巻次・年月次を記述した。 1)創刊号を所蔵している時は,VLYRの初 めの()内の年月を半角の元号表示に変換 次に,編者について考えてみよう。「STATIONS して記述した。 表示とは多少性格を異にしている。統計資料の場 2)創刊号を所蔵していない時,又はセンター 合は,報告書の編者が統計調査機関と同一の場合 で所蔵しているものが創刊号かどうかが不分 が多いからである。しかも,統計調査結果の問い 明の場合は,アスタリスク「*」を置いた。 合わせには,部局ではなく担当課・係にまで及ば 〈終刊年> なければ,十分な回答が得られないことが多い。 ファイル」の編者は,「学総目ファイル」の責任 1)終刊号を所蔵している時は,VLYRの終 したがって,「STATIONSファイル」の編者は, わりの()内の年月を半角の元号に変換し 部局を表示するに留まらず,担当の課・室又は係 て記述した。 まで記述した。編者の変遷についても同様で,省 2)終刊号を所蔵していない時,又は所蔵のも 庁内における部局の統廃合による名称変更も変遷 のが終刊号かどうか不分明の場合は,アスタ とみなして,その都度新しいレコードを起こして, リスク「*」を置いた。 当該編者による期間を巻次・年月次で示した。 3)CONTに「+」の表示のある場合は,入 力データなしでブランクとした。 6. おわりに (5)継続雑誌名レコード(Jタグ) 書誌ユーティリティー「学総目ファイル」から 雑誌名に変遷のある場合は,その継続二二名ま 抽出,コード変換等の処理を行って自機関の目録 たは継続胡兵名を,「学総目ファイル」のBHNTG. データベースの構築を試みたが,その過程で上記 BHNTS(前/後標題)から雑誌名を記述した。 のように様々な問題点が提起された。ただ,結論 また,BHNTG.BHNTT(変遷タイプ)のデー としては,当初の目的を満足する結果を得たと思 タから,CF(継続前誌)およびAF(吸収前半) われる。「事務用ファイル」や「STATIONSファ は「B」に,CS(継続後誌)およびAS(吸収後 イル」を最初からパンチ入力することを考えれば, 誌)は「A」に変換して記述した。 経費の面でも人的資源の面でも,かなりの節減に なった。今回の試みが,他機関におけるデータベー 5. 統計資料特有の問題点 スの拡張,あるいは関連するデータベースのシス 「STATIONSファイル」「事務用ファイル」に テム構築に参考となれば幸いである。 収録されている統計資料には,現行の中央官庁に よる統計調査の結果報告書として公表されたもの 謝辞 が多く含まれている。これらの統計資料を,他の 本稿は,日本経済統計情報センターのプロジェクト 一般雑誌や単行書と比べてみると,いくつかの特 の一環としてなされたものであり,プロジェクト・オー 色を持っているため,「学総目ファイル」には無 ガナイザーの他に,本プロジェクトに参加した周防節 雄(関西大学経済学部助教授)ほか当センター職員に い項目を新たに追加することが必要となる。 第一に,統計調査の結果報告書である統計資料 負うところも多い。大久保恒治は,文部省科学研究費 試験研究(2)江口英一研究代表者「日本の社会経済系デー は,当然のこととして,統計調査そのものと密接 タベース情報の体系的整理とデータベース・ディレク な関係にあるのであるから,「STATIONSファイ トリーの編成」の分担研究者として援助を受けた。 ル」には,統計調査名と調査の対象年を,欠くこ 32 大学図書館研究XXXVII(1991.3) 注 61301084) 1)参考文献2),7)を参照。 4)松田芳郎・周防節雄・大久保恒治編『政府統計報 2)参考文献4),6),8)を刊行している。 告書統合督誌情報データベースの編成』国立市, 3)ファイル構造やその他詳細については,周防節雄・ 一橋大学経済研究所日本経済統計情報センター, 大久保恒治・田口照美“統計雑誌の書誌情報デー 1990.(統計資料シリーズNO.35) タベースの構築”〔参考文献4),pp.125−147〕を 5)内藤衛亮他「学術情報システムにおける総合目録 参照されたい。 の機能と運用に関する研究』東京,学術情報セン 4)戦後官庁の統計調査は,「統計法」等の制約で永久 保存されることは少ない。 5)これら「学総目ファイル」のタグについては〔(参 考文献1),pp.180−182〕を参照。 6)ヘボン式を基本としているが,排列その他の関係 で、若干の変更を加えている。 ター,1988.(研究課題番号61580019) 6)大久保恒治『現行政府統計調査データベース編成 技法一「統計調査総覧」ファイルによる」国立市, 一橋大学経済研究所日本経済統計情報センター, 1989.(統計資料シリーズNO.33) 7)小野二郎・伊大知良太郎・藤川正信・浜田宗雄 “社会科学のデータ”『社会科学ドクメンテーショ 参考文献 1)学術情報センター『目録所在情報サービス利用の 手引』東京,学術情報センター,1986. ン』(伊大知良太郎他編),東京,丸善株式会社, 1968, pp.23−66. 8)周防節雄「可塑的刊行形態の逐次刊行物目録デー 2)細谷新治“機械化の実情と問題点一日本経済統計 タベース編成技法』国立市,一橋大学経済研究所 文献センターのばあい”「文部省主催第5回ドキュ 日本経済統計情報センター,1987.(統計資料シリー メンテーション講習会一テキスト』(文部省大学学 ズNO.32) 術情報図書館課編),東京,日本学術振興会,1966, pp.97−101. 3)猪瀬 博他『学術情報ネットワークにおける密結 合型図書館システムの諸機能の高度化とその応用』 東京,学術情報センター,1988.(研究課題番号 〈2,12,3受理たぐち・てるみ一橋大学経済研究所 日本経済統計情報センター,おおくぼ・つねはる 福井工業大学工学部経営工学科講師〉
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