農業振興地域の農地の利用等に関する意向調査結果の概要 1 ■調査の概要について 1 調査の目的 平成28年度に計画の見直しを予定している農業振興地域整備計画の策定に向け た基礎資料とするため、市内農家の営農状況や今後の農業振興、農業のあり方 についての意見を把握することを目的とする。 2 調査の方法 (1) 調査対象:厚木市内に30a以上の農地を所有する農家 (2) 調 査 数:1,368戸 (3) 調査方法:郵送による配布・回収 (4) 調査期間:平成27年9月18日∼平成27年10月31日 3 回収状況 (1) 標本数:1,368票 (2) 回収数: 968票 (3) 回収率: 70.8% 2 ■回答者の属性について 無回答 0.8% 【性別】 ・男性の回答者が約9割を占め、女性よりも圧倒 的に高くなっています。 女 性 10.4% 男 性 88.8% 【年齢別】 ・60歳以上が全体の8割を占め、農業従事者の高 齢化が進行していることがうかがわれます。 30歳代 0.3% 20歳代 0.3% 無回答 0.7% 40歳代 3.0% 50歳代 10.1% 80歳以上 26.3% 60歳代 30.1% 70歳代 29.2% 3 ■回答者の属性について 無回答 0.9% 【世帯構成人数】 ・2∼3人が全体の5割を占め、農業従事者の高 齢化等とともに、核家族化の進行がうかがわれ ます。 ・世帯の中での農業従事者は、1∼2人が全体の 8割を超えています。 6人以上 13.9% 1人 6.0% 2人 26.9% 5人 11.4% 4人 16.5% 3人 24.4% 【世帯人数】 6人以上 0.3% 0人 2.3% 無回答 3.8% 5人 0.3% 4人 2.0% 3人 9.3% 1人 41.7% 2人 40.3% 【農業従事者数】 4 ■回答者の属性について 【農業従事者の中での兼業】 ・農業従事者の中で男性で6割、女性で 約4割が兼業となっています。 無回答 28.4% 1人 31.1% 1人 52.2% 無回答 51.9% 0人 8.8% 6人以上 0.1% 2人 4.6% 0人 11.5% 2人 9.3% 3人 0.8% 6人以上 0.1% 3人 1.2% 【男性】 【兼業における仕事の形態や勤務場所】 ・会社員等でほぼ毎日勤務が約4割、自 営兼業が約3割となっています。 0.0% 【女性】 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 会社員等ほぼ毎日勤務 38.9% 27.6% 自営兼業 8.8% 日雇・臨時雇 出稼ぎ 無回答 5 0.1% 35.2% 50.0% ■農業経営形態について 300a以上 0.9% 【農家の所有する経営耕地面積】 ・経営耕地面積では7割の農家が100a (1ha)未満の規模となっています。 無回答 12.6% 200a以上∼ 300a未満 0.9% 150a以上∼ 200a未満 2.9% 100a以上∼ 150a未満 7.9% 【農家形態】 ・第2種兼業が6割を占め、第1種兼業をあわせ て全体の7割となっています。 50a未満 41.1% 50a以上∼ 100a未満 33.7% 無回答 10.1% 第2種 兼業農家 64.5% 6 専業農家 17.9% 第1種 兼業農家 7.5% ■農業経営形態について 【主な作物】 ・路地野菜が約7割、米が約6割を占 め、本市の主要な農産物となってい ます。 0% 10% 20% 4.1% 3.1% 12.7% 果樹 畜産 その他 50% 60% 70% 66.1% 露地野菜 花き・観葉 40% 57.7% 米 施設野菜 30% 1.3% 5.2% 9.8% 無回答 7 80% 90% 100% ■農業経営形態について その他 4.0% 【農業経営における後継者】 ・6割が将来の農業後継者の確保がされていない 状況となっています。 ・ 「現在もしくは将来的に就農する」は約3割 となっており、農業後継者の不足が懸念されま す。 無回答 7.1% すでに農業に ついている 10.5% 今は農業に ついていない が、 いずれ就農 する 16.4% 農業を継が せたい者が いない 21.0% 農業を継ぐか わからない 40.9% 【今後の農業経営や耕作面積】 ・現状を維持したいとする人が約6割を占めてい る一方で、3割は「縮小」または「農業をやめ ている」としており、農業従事者の高齢化や後 継者不足等により、積極的な農業経営への意欲 は低下傾向にあります。 無回答 5.7% その他 3.6% 農業をやめて いる 13.1% 経営規模を 縮小する 18.8% 経営規模を 拡大する 2.8% 8 現状を維持 する 56.0% ■農業経営形態について 無回答 4.2% 【縮小・やめているとする人の今後の農地】 ・3割が宅地や駐車場、太陽光パネルなどの農地 以外に転用した土地利用を考えています。 ・一方で、約3割が現段階では「どうするか考え ていない」となっています。 耕作してもら える 担い手や営農 組織が あれば耕作し てほしい 17.2% その他 2.5% まだ、どうする か 考えていない 28.3% 遊休化して荒 らしても 仕方がない 8.0% 宅地や駐車場 など、 農地以外に転 用したい 34.1% 市民などが市 民農園として 使いたい希望 が あれば使って もらう 5.7% 【現段階では耕作放棄地や荒地等は少ないが、 将来的に増えてきた場合での問題解消策】 ・3割が農地の借り手・買い手の仲介を進めて農 地・耕地としての維持を図っていくことが良い と考えています。 ・一方で、2割を超える人が農地以外の転用を 図っていくことも必要と考えています。 その他 5.1% 無回答 9.0% 農地以外に転 用する 24.0% 市民農園 として利用す る 10.5% 9 農地の借り 手・買い手の 仲介をする 30.7% 有害鳥獣対策 を充実する 12.5% ほ場整備など の土地基盤整 備をする 8.2% ■農業経営形態について 【現在の農業に携わっていくうえでの問題】 ・農業用機材や資材等の費用がかかること、農業後継者がいないこと、農産物価格の低迷により採算があ わないこと等が主な課題として挙げられています。 0% 経営規模を拡大したいが農地を 貸して(売って)くれる人がいない 経営規模を拡大したいが 労働力が足りない 10% 20% 30% 40% 2.2% 3.5% 39.5% 農業後継者がいない 農地を貸したり、農作業を 委託したいが引き受け手がいない 10.3% 12.3% 耕作放棄地が発生している 都市化により生産環境が 悪化している 栽培技術や経営の相談が 十分に受けられない 17.3% 3.4% 今後、何を作っていけば 良いかわからない 11.0% 農業用機械や資材等に 費用がかかりすぎ 46.3% 14.0% 生産基盤の条件が悪い 農産物の新たな販路がない 4.3% 農産物価格が低迷しており、 採算があわない その他 特に問題はない 無回答 50% 34.6% 7.6% 8.6% 11.0% 10 ■これからの農業について 0% 【農業経営を維持・拡大するための 取り組み】 ・特にないとする人が3割となっている 中で、直売所等販売拠点の整備充実、 地域の集落営農整備へのアドバイス、 経営・販売等の知識を学べる機会等が 主な取り組みなど積極的な回答が多数、 挙げられています。 10% 20% 直売所等販売拠点の 整備充実 30% 経営・販売等の 知識を学べる機会 17.9% 他の農業者や商工業者との 交流の機会 11.2% 加工や販売の チャレンジへの支援 14.9% 地域の集落営農への アドバイス 18.5% 11.3% 法人化への支援 7.7% 33.7% 特にない 19.5% 無回答 0% 10% 20% 農業後継者の 育成対策の充実 16.5% 農外からの 若い新規就農者の確保 農作業を手伝える 非農家市民の育成 18.0% 18.5% 15.8% 農業者の法人化 13.9% 一般企業の農業への参入 無回答 11 40% 34.2% 市民の農業への参入促進 特に必要はない 30% 36.7% 定年帰農者の育成 その他 50% 27.1% その他 【今後の農業の担い手となる人材の 確保・育成していく取り組み】 ・農業後継者の育成対策の充実や定年帰 農者の育成が主な取り組みとして挙げ られています。 ・また、市民や企業の農業への参入、市 民の農作業の支援なども、新たな取組 として捉えられています。 40% 6.7% 14.3% 16.6% 50% ■これからの農業について 【農業振興のための施策】 ・新規就農者や農業後継者の確保・育成など担い手の育成や、農業者への助成事業の新設、農業に配慮し た計画的な土地利用への対応が主な取り組みとして挙げられています。 0% 10% 20% 30% 新規就農者や農業後継者の 確保・育成など担い手の対策 19.6% 13.7% 生産技術向上のための対策 16.4% 食の安全・安心への対策 15.7% 地場農産物の直売所の整備 消費者との 連携・信頼関係づくりへの対策 厚木市のブランドの農産物の 選定とPRへの対策 8.0% 16.1% 5.0% 農業に配慮した 計画的な土地利用への対策 28.1% 土地改良施設の更新への対策 6.9% 新品種の育成など 先端的技術への支援対策 7.0% 29.8% 農業者への助成事業の新設 その他 無回答 50% 41.6% 経営体への支援対策 異業種連携への対策 40% 5.1% 15.8% 12 ■農業振興地域整備計画について 【農業振興地域整備計画で農業振興地域や 農用地区域の設定についての認知度】 ・約5割が「農業振興地域」や「農用地区域」を 知っていると回答しています。 無回答 6.9% 知らない 16.3% 聞いたことは あるが、 内容はよく知 らない 30.6% 【農用地区域の設定】 ・2割を超える人が「縮小する方が良い」と考え ています。 無回答 6.7% 6.8% 農業振興地域 は 知っている 32.0% 農用地区域は 知っている 14.2% 現在のままで よい 18.7% わからない 24.5% 縮小する方が 良い 23.6% どちらともいえ ない 24.2% 13 拡大する方が 良い 2.3% ■農業振興地域整備計画について 【農用地区域内での農地の所有】 ・「所有している」が約5割を占めている一方で、 約3割は「わからない」となっており、認知度 が充分でないことがうかがわれます。 無回答 7.0% わからない 27.2% 所有している 49.3% 所有していな い 16.5% 【農用地区域内の農地の今後】 ・約3割が農業以外の目的での利用したいと考え ています。 無回答 14.2% わからない 28.3% 14 現在(農地)の ままで良い 23.2% 農業以外の目 的で 利用したい 34.3% ■農業振興地域整備計画について 農用地区域に 入れた方が良 い 5.2% 【所有農地の農用地区域への編入】 ・3割が「農用地区域に入れたくない」と考えて います。 ・農業者にとって農用地区域への関心や魅力が希 薄になっていることがうかがえます。 無回答 11.7 11.8% % わからない 24.2% どちらともいえ ない 25.6% 15 農用地区域に 入れたくない 33.3% ■まとめ 【調査結果からの課題】 〈意向調査の回収状況について〉 ・本調査での市内農家における農業の現状や将来の農業振興、農業のあり方等についての意向では、 70.8%(968票/1,368票)と高い回収率となっており、関心度の高さがうかがわれます。 〈回答者の属性について〉 ・年齢別では、60歳以上が回答者全体の8割を占めており、農業従事者の高齢化が進行しています。 ・核家族化の進行に伴い、世帯構成人数も減少しています。また、世帯の中での農業従事者は1∼2人 が8割を占めています。 ・農業後継者の有無では、6割が将来の農業後継者が確保されていない状況となっており、農業後継者 の不足が進行しています。 ・農業従事者のうち男性で6割、女性で約4割が兼業しているほか、農家の専兼区分では第2種兼業農 家が6割を占め、第1種兼業農家を含めた兼業農家が全体の7割となっており、農業のみでの農業経営 をおこなっていくことが難しい状況となってきています。 〈農業経営形態について〉 ・今後の農業経営や耕地面積では、現段階で約6割が現状維持をしていくこととしていますが、農業従 事者の高齢化や後継者の不足の進行などの状況に応じては、今後も農業からの離農が増えていくこと も懸念されます。さらに、経営規模の縮小や離農に伴う耕作放棄地、農地の転用の増加による農業生 産性の低下や無秩序な開発等の進行も懸念されます。 ・農業経営上での問題では、「農業機械や資材等に費用がかかりすぎる(46.3%)」「農業後継者がい ない(39.5%)」「農産物価格が低迷しており、採算があわない(34.6%)」が主な課題として捉え られています。 16 【問題・課題の解決に向けた今後の取組・方向性】 〈意向調査での農業経営の維持・拡大に向けた取組の方策〉 ・これからの農業における農業経営の継続・拡大としての取組では、「直売所等販売拠点の整備充実 (27.1%)」「地域の集落営農整備へのアドバイス(18.5%)」「経営・販売等の知識を学べる機 会(17.9%)」が主な取組として期待されています。 ・直売所等の販売拠点については、各地区の既存の 農産物直売所やJAあつぎグリーセンターのほか、 核的な施設となる夢未市での品揃えやPR活動の 充実、ネット販売等を通じた集客・販売の強化を 図るなど、既存施設を活用し、機能の向上を高め、 地産地消の充実を図っていく必要があります。 【夢未市】 ・また、地域の集落営農整備へのアドバイスについては、現時点で直面する農業従事者の高齢化や後 継者の不足を解消する取組として、地域における集落営農の組織化等への支援をしていく必要があ ります。 ・さらに、経営・販売等の知識を学べる機会については、様々な機会や場を通じた先進的な取組の情 報収集・提供、商業や観光等の連携した6次産業化など、将来の自立した農業経営に向けた取組を進 めていく必要があります。 17 〈農業後継者不足の解消に向けた取組〉 ・農業後継者の不足の解消に向け、県のかながわ農 業アカデミーやJAあつぎの農業塾等の取組を通 じて新規就農者を育成していくとともに、厚木市 都市農業支援センターでの各種支援策等を継続し て実施するほか、より積極的なPR活動等を展開 し、新規就農者を確保していく必要があります。 【山梨県立農業大学校】 ○就農トレーニング塾の開催 ・農業体験研修 ・週末農業塾 ・全国新規就農相談センターとの連携を図りながら、 農業法人などの求人情報の提供や農業インターン シップ等の農業体験・研修、新・農業人フェアな どの相談会を実施し、新規就農者の確保を積極的 に進めていく必要があります。 【農業インターンシップ 募集パンフレット】 【新農業人フェア】 18 〈大学との連携による農業振興への取組〉 ・市内の5大学(神奈川工科大学、松陰大学、湘北短期大学、東京工芸大学、東京農業大学)との連 携を図り、市の主要作物等を活用した加工品づくりやオリジナルメニューの開発、子どもたちの農 業体験をはじめとする様々なイベントの開催などを通じて、厚木市の農業の魅力も高めながら、特 色のある農業を振興していく必要があります。 〔取り組み〕 ○日本大学:学生による収穫体験イベントの運営 ○東京家政学院大学:「横浜キャベツ」ブランドの新展開・発展への研究・提案 ○横浜国大・日本大学・慶応義塾大学:大学生の地産地消料理教室 ○鎌倉女子大学:直売所で栄養学の知識を活用した親子向けの野菜クイズ・クリスマスツリーの装 飾等のイベント実施 :直売所で栄養学の知識を活用したポスター、ポップ掲示、レピシ配布、イベント 実施 :食の安全・安心を深めるため大学生による圃場実習、生産者との意見交換会、市 HPでの情報発信、ラジオ局での情報発信 ○東京農業大学・湘北短期大学:夢未キッズスクール(通年型の食育教育講座) ○東海大学:学生からのアドバイスを受け、直売所店内のチラシ、ポップの作成 ○小田原女子短期大学:新商品(お弁当)の開発 ○相模女子大学:レシピづくり(JA開催の料理の催しで女性会等とともに学生のレピシ発表) 19 〈地産地消への取組〉 ・市内小中学校の学校給食で地場農産物を食材とし て利用していくほか、総合学習等での農業体験を 通じて、農業を子どもたちが身近に感じ、関心を 持てるよう継続した取組を進めていく必要があり ます。 【総合学習での農業体験】 【神奈川農産物カレンダー】 ○神奈川産品学校給食デ―による地場産品の利用 20 〈農地の維持・確保への取組〉 ・農用地区域等の法的な指定だけではなく、農地や生産基盤を確保する厚木市独自の取組に向けた調 査・研究を進めていく必要があります。 21
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