ハイスクールD×D〜親を亡くした少年と世の中に絶望した

ハイスクールD×D∼親を亡くした少年と世の中に絶望した悪魔メイ
ド∼
末御 広
︻注意事項︼
このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP
DF化したものです。
小説の作者、
﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作
品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁
じます。
︻あらすじ︼
もし、イッセーが幼少時に親を亡くし、この世に絶望したグレイ
フィアと会っていたらというIFの話です
目 次 赤と銀の邂逅 │││││││││││││││││││││
赤と紅の邂逅 │││││││││││││││││││││
1
14
赤と銀の邂逅
銀糸の様な銀髪とメイド服を着ているのが特徴的な美女は高くそ
びえ立つビルの隙間に入り、座り込んでいた。
﹁ハァ...ハァ...﹂
現在この美女、グレイフィア・ルキフグスが働いていた冥界から出
てきて三日が経った昼下がり。
最初は持っていた食料を全て消費して三日三晩寝ずに当てもなく
東京の街中を彷徨っていたグレイフィアも遂には力尽き何とか日差
しを避けようとビルの隙間に入りへたり込んでしまったグレイフィ
アは虚ろな表情で上空を見上げていた。
ああ、これでやっと私は死ねる。生きてたって何の意味も無い...
グレイフィアが自分の過去を振り返り、一筋の涙を流していると可
﹂
愛らしい子どもの声が聞こえてきた。
﹂
?
﹁え、うん﹂
グレイフィアが流し見ると、そこには自分の事を心配そうに見つめ
てくる七歳ぐらいだろうか、男の子がいた。
容姿は整っている可愛い顔立ちで、綺麗な茶髪が生えていた。
グレイフィアが一誠を見つめていると一誠は何を思ったのか手を
﹂
﹂
おんなのひとがないてたらや
ポケットに突っ込みハンカチを出してグレイフィアに渡す。
﹁はい
﹂
だって、ママがゆってたもん
﹁え...ハンカチ
﹁うん
うん...ありがとね。一誠くん﹂
?
!
?
1
﹁おねえさん、だいじょうぶ
﹁え...
﹂
﹂
?
ぼくはね、いっせい。ひょうどー いっせいだよ。初めまし
?
て、だね。おねえさん﹂
﹁ぼく
﹁キミは...
﹁だいじょうぶ
?
?
!
!
さしくしてあげなさいって。だから、おねえさん。なかないで
﹁
!
グレイフィアは一誠からハンカチを受け取り、自分の目元を拭き取
る。
﹁よし、じゃあおねえさんが家まで送って行ってあげるから、ちょっと
﹂
こっちおいで﹂
﹁うん
トテトテと一誠は小走りし微笑むグレイフィアに抱きついて頬づ
﹂
りをする。
﹁キャ⁉
回し抱きしめる。
﹁く、くるしいよ。おねえさん...
...わかった
﹂
!
﹂
﹂
?
♦
飛んだ。
に展開し、一誠から伝わってきたイメージを使い、
グレイフィアは右手に転移用魔法陣を自分と一誠を囲む様に地面
アの体を抱きしめ、自分の家がある場所を想像する。
イフィアの﹁信じて﹂という目線に応じて先程よりも強くグレイフィ
グレイフィアの言ってる事に一瞬疑問を持った一誠だったがグレ
﹁うん
いいから住んでる場所を頭の中で想像してくれる
﹁あ...ご、ゴメンね。・・・じゃあ、一誠くん。私の胸に顔埋めてて
!
一誠の過去を聞いたグレイフィアは、目を細めて一誠の背中に手を
﹁・・そっか...﹂
おうちにすんでるんだ﹂
﹁うん...いちねんぐらいまえにしんじゃっていまは、ぼくひとりで
﹁え...もしかして、一誠くんのお母さんって...﹂
と、おかあさんみたいにおもっちゃった...﹂
﹁あ、ゴメンなさい...。おっぱいがおおきかったからおねえさんのこ
?
!
愕した。
﹂
﹁え...すご
るの⁉
おねえさんどうやったらこんなにはやくおうちにつけ
グレイフィアが一誠の閉じられていた目を開けさせると、一誠は驚
?
2
!
?
?
いけずぅ﹂
﹁うーん...。それは、秘密。かな
﹁えぇー
ふふ﹂
?
る。
﹁おねえさんおなかすいてるの
﹁・・・﹂
﹂
と、グレイフィアのお腹がグルルと鳴り、グレイフィアの顔は赤くな
グレイフィアが苦笑しつつ一誠を戒め、和やかな雰囲気が出ている
﹁可愛い素振りしてもだーめ﹂
?
﹂と言ってグレイフィアを玄関に腰掛けさせ五分が過ぎた頃...
﹂
!
﹂
ご、ごめんね、おねえさん。おいしくなかったかな
﹂
?
噌汁を食べ始めた。
﹁え⁉
嬉しくて...
﹂
﹁ううん。違うの...私...私...
﹂
﹁え、うれしいのに震えちゃうの
﹁うん...
!
おねえさん、きれいでものしりさんなんだね﹂
?
﹂
?
﹁うん。ご飯作ってくれたお礼に私のできる事だったらなんでもして
らってもいい
﹁・・・ねぇ、おねえさん...ひとつおねがいがあるんだけどきいても
フィアの隣にストンと座り、グレイフィアに提案する。
一誠の尊敬の眼差しにグレイフィアが照れていると、一誠はグレイ
﹁え、いや、そんな事ないわよ
!
﹂
グレイフィアは打ち震えながら一誠から盆を受け取り、白米とお味
﹁・・・ありがとう...本当にありがとう...
らいいんだよ。おねえさんおなかすいてこまってたみたいだし﹂
﹁こまってるひとをみつけたらたすけてあげなさいっていわれてたか
﹁え、でも、コレ一誠君の分じゃ...﹂
あったものをチンしたよ﹂
﹁お ね え さ ん の す き な や つ わ か ん な か っ た か ら て き と ー に お う ち に
盆に載せ、グレイフィアの元へと戻ってきた。
一誠はホクホクと炊き上がった白米と自分で作ったのかお味噌汁を
た
一誠の問いにグレイフィアが小さくコクと頷くと、一誠は﹁わかっ
?
?
﹁へぇ∼
!
!
?
3
!
あげるわ。で、何
お願いって﹂
?
きた。
﹂
﹁ぼ、ぼくといっしょにずっといてくれないかなぁ
﹁・・へ
﹂
る可愛らしい一誠をみて微笑みながら問うと、予想外の言葉が返って
グレイフィアが両手の人差し指をツンツンと合わせて顔を赤くす
?
の...
﹂
﹁・・・﹂
﹂
﹁私 が こ こ に い て 良 い の
﹁う、うとむってどーいういみ
?
のはぼくのほうなんだから﹃いいの
﹄なんてきかなくてもいいんだ
それに、おねえさんにおねがいしてる
姉 か ら も 兄 か ら も 疎 ま れ た こ の 私 が...
キュンと心を打たれたのか、顔を紅潮させて一誠に聞く。
一 誠 が 涙 目 + 上 目 遣 い の 最 強 コ ン ボ で 聞 く と グ レ イ フ ィ ア は ズ
﹁だ、だめ
﹂
かがあたたかくなったから...だから、ずっといっしょにいてほしい
﹁お、おねえさんにだっこしてもらったとき、なんかすごいこころのな
?
レイフィアの股の上にずっと置かれていた手を取り、屈託のない笑顔
だから...だか
を見せると、グレイフィアは今までなんとか保っていた涙腺が崩壊
し、大量の涙を流し、一誠を抱きしめる。
私も優しい一誠君と一緒にいたい...
﹂
!
ほんとに、ぼくとずっといっしょにいてくれるの⁉
・・ずっといっしょにいようね...
﹁うん...
ら...
﹁え、ほんとに⁉
﹂
!
!
!
ずっといっしょにいるって﹂
おねえさん、ありがと
!
レイフィアを抱きしめ返すのだった。
一誠は、グレイフィアの宣言に心から喜びを爆発させ、ギュッとグ
﹁やったぁ
﹂
﹁...ええ。約束するわ。私、グレイフィア・ルキフグスは貴方の元に
?
!
4
?
!
ぼくはおねえさんがいてくれたらそれでいいんだから﹂
?
グレイフィアの問いに一誠は﹁意味がわからない﹂という顔をし、グ
よ
?
?
?
?
♦
グレイフィアと一誠が出会って一年が経とうとしていたある日の
事だった。
半年程前から始めた人間界の﹃バイト﹄という仕事を終えたグレイ
フィアはいつも通り帰り道にあるスーパーで本日の夕食と翌日の朝
食の材料を買い、帰路についていた時の事だった。
﹁イッセー、今日の晩御飯も美味しいって言ってくれるかしら♪﹂
グレイフィアが一年ほど前にこの世に絶望し、死を覚悟していた時
に、声をかけてくれた少年、イッセーの笑顔を思い浮かべながら、軽
やかな足取りで進んでいると今自分が住んでいる住まいの方角から
子供の叫び声が聞こえ、その数瞬後、莫大な赤いオーラの柱が天に
昇っていく。
その光景を見たグレイフィアは昔、感じた事のある懐かしくて今で
も忘れられない恐怖の思い出がフラッシュバックし、冷や汗を垂ら
ハァ
お願い...
﹂
と願いながらグレイフィアが走り、駆
し、慌てて一目散に住まいへと向かった。
﹁ハァ
!
イッセー、無事でいて...
!
イッセー
﹂
!!
効いた声が聞こえてくる。
レイディ・オブ・ディバウア
﹄
﹂
...その声は、やっぱり貴方だったのね。ドライグ...
﹃お前、悪魔共のとこにいた銀髪の殲 滅 婦 人だな...
﹁ッ
﹃ああ、久し振りだな﹄
﹁ええ、久しぶりね。そ、それで、イッセーは大丈夫なの⁉
!
?
グレイフィアが頭の中に語りかけてくるドライグと話していると、
まって気絶しているだけだ﹄
﹃あ あ。相 棒 は、さ っ き の 爆 発 的 な 俺 の 力 に 耐 え き れ な く な っ て し
?
﹂
グレイフィアが倒れてる自分の恩人に駆け寄ると、頭の中へドスの
﹁⁉
で気を失ってるスーツを着た男達が倒れていた。
けつけると赤くて大きな柱の中心で倒れているイッセーとその周り
!
!
5
?
?
!
﹂
イッセーの姿を見て固まっていた隣人の娘さん、姫島 朱乃がおずお
ずとグレイフィアに訊いてきた。
﹁ねぇ、グレイフィアさん。イッセーどうしちゃったの
ああ、イッセーはね、さっき朱乃ちゃんと朱璃さんをこの悪い人
﹁バラキエルにアザゼル⁉
﹂
るとそこに立っていたのは予想外の二人の男性だった。
してグレイフィアはパタパタと足音を響かせながら玄関の扉を開け
ーー調理を始め、二時間が経った頃、
﹁ピンポーン﹂とチャイム音が
の夕食の調理を始めたのだった。
にあった鎖をグルグルと巻きつけて縛った後、買ってきた食材で今晩
の上へと寝かせた後、姫島母娘に襲ってきた男達に姫島家の押し入れ
乃に﹁大丈夫よ﹂と安心させ家の中へと運んでいき、イッセーを布団
イッセーを抱き上げ、心配そうにイッセーの顔を覗き込もうとする朱
ドライグとの話を一旦切り上げたグレイフィアは、気を失ってる
達から助けたから、今はちょっと気を失ってるのよ﹂
﹁ん
?
どうしたの、頭を上げてよバラキエル﹂
何か私に謝る事でもしたの
﹂
﹂と聞くと、バラキエルが﹁す
?
まん﹂といきなりグレイフィアに向かって謝った。
﹁え...
﹁・・・﹂
﹁え、ほんとにどうしたのよ
?
達に会う様に親しげに﹁どうしたの
なので、そんな二人が半年振りに姿を現したのでグレイフィアは友
話をして仲良くなったらしい。
いと思っていたらしくバラキエルの仲介でグレイフィアに会った時、
話していく内に仲良くなり、アザゼルは元々、悪魔達とは仲良くした
キエルとグレイフィアが会った当初は緊張感が辺りを漂っていたが、
いてるとこうも仲が親しげそうに聞こえてくるかと言うと、最初バラ
しかし、本来は、悪魔と堕天使は犬猿の仲の筈なのに、何故話を聞
使の幹部、﹃雷光﹄の二つ名を持つバラキエルだ。
そこに立っていたのは、堕天使の総督を務めているアザゼルと堕天
﹁よぉ、久し振りだな。グレイフィア﹂
?
﹁・・先程、朱璃達が襲われたと部下から聞いて慌てて帰ってきてみた
?
?
6
?
自分の力不足でイッセーを傷つけて
ら、朱璃達に自分達は無事で一誠君が自分達を庇って傷付いてしまっ
たと聞いたものだから...﹂
﹂
﹁・・それで、私に謝りに来たの
しまったと...
﹁・・うむ...﹂
きなんじゃないの
﹂
﹁・・そうだな...。一誠君はどこに
﹂
﹁奥の部屋で寝てるわ。⋮⋮で、アザゼルは何故此処に
﹂
﹁謝る相手が違うんじゃないの ・・私じゃなくて、イッセーに謝るべ
い目で見下ろし、告げた。
キエルが口ごもりながら答えると、グレイフィアはバラキエルを冷た
イフィアは底冷えする様な冷たい声でバラキエルに問いかけにバラ
バラキエルが、怒気を孕ませたグレイフィアの問いに、頷くとグレ
?
?
﹁ん
﹂
・
・
イッ
セー
﹁そう...あ、アザゼル。貴方にとって朗報なはずなんだけど...﹂
その子に謝らなければならないと思ったからだ﹂
仕事に参加させてしまった俺も朱璃と朱乃に、そして一番の被害者の
﹁ん、それはだな、本当は今日休みだったバラキエルに無理強いさせて
?
?
?
マジか⁉
﹁ッ
﹂
グレイフィアからの朗報にアザゼルは驚き、バラキエルが目を見開
くとグレイフィアは頷き、更なる朗報をアザゼルに報告すると、アザ
ゼルは親からオモチャを貰った子供の様なキラキラとした顔になり、
慌てて靴を脱ぎ、奥の部屋へと向かって行くのだった。
アザゼルが奥の部屋へと入り、
﹁まだ、調理中だから...﹂と言って
グレイフィアと別れたバラキエルも入ってくると二人の目の前で寝
かされているイッセーの右腕についてる赤色の籠手に埋め込まれた
翡翠色の宝玉が煌めきだし、宝玉から声が聞こえてきた。
﹃ほう、懐かしいオーラを感じるぞ﹄
7
?
?
﹁ええ。それに籠手が現在発現してる筈よ﹂
﹂
﹁ッ
!
﹁今回のアレの宿主はあの子よ﹂
?
!
﹁ああ、久し振りだな。ドライグ﹂
﹃その声は、堕天使の総督のアザゼルか﹄
﹁ああ。それに...﹂
﹃そして、その隣にいる者は...﹃雷光﹄の二つ名がある先の大戦の生
き残り、バラキエルだな﹄
﹁そうだ。久し振りだな、ドライグ﹂
二人と一匹のドラゴンが他愛もない話を話し始め三十分が経った
頃、意識が戻ったのかイッセーが﹁うーん﹂と、呻き声を上げて、目
﹂
かなしいの
﹂
ぼくなんでねちゃってたんだろ...っておじさんどう
をうっすらと開け、辺りを見回し、体を起こした。
﹂
﹁・・あれ...
したの⁉
﹁・・ううっ...
﹁ねぇ、なんでないてるの
﹂
?
﹂
!
なんのこと
?
に申し訳なかった...
﹁・・あぶないめ
﹂
﹁ああ...私の力量の無さでキミを危険な目に巻き込んでしまい本当
﹁ぼくにあやまりたいこと
﹁・・いや、一誠君に謝りたい事があって...﹂
?
?
くれたキミに怪我を負わせて...
﹂
﹁・・え、だって、私は自分で守らないといけない朱璃と朱乃を守って
?
﹁
﹂
そうか...。でも、私からキミに礼を言わせて欲しい。妻と娘を
うん...どういたしまして...
守ってくれてありがとう﹂
﹁
ここにいて...﹂
にまもろうとしたらきゅうにきをうしなっちゃって...きづいたら
ちにきずつけられてて﹃なんとかしなくちゃ﹄っておもって、ひっし
ないよ。だって、ぼく、おばさんとあけのちゃんがわるいおじさんた
?
イッセーが怪訝な顔で、バラキエルを見つめながら微笑むと、イッ
﹂
セーの顔を覗き込んでくる顔があった。
﹁お、おじさん。このひと、だれ
?
8
?
!
?
﹁ぼ、ぼくがおばさんとあけのちゃんをまもった ・・・そんなはずは
!
?
!
?
﹁ん、ああ、そういえばまだ、一誠君には紹介してなかったね。こいつ
は、私の...﹂
﹂
﹁友達のアザゼルって者だ。初めまして。今代の﹃赤龍帝﹄﹂
﹁せ、せきりゅうてー
失敬 失敬﹂
﹁ねぇ、アザゼル...さん
﹂
﹁アザゼルで構わねえよ。で、何だ
﹂
?
?
?
﹁⁉
な、なにこれ⁉
﹂
と、そこには赤色の籠手が眼前にあるのだった。
イッセーがアザゼルに言われた通り、自分の右腕をあげてみてみる
﹁え...﹂
﹁ああ。赤龍帝てのはな...自分の右手を見てみ﹂
﹁その、せきりゅうてーってなに
﹂
﹁おっと、ボウズはまだ、自分の力に気づいてなかったのか。こりゃ、
?
イッセーに話しかける。
﹂
﹃初めましてだな、相棒﹄
﹁え、しゃべった⁉
﹂
兵藤 一誠﹄
相棒﹄
アザゼルが籠手に話しかけると、先程まで静観していたドライグが
﹁それが、赤龍帝の証だ。ドライグ﹂
?
﹃ああ。俺は、ドライグだ。宜しくな
﹂
お前の事だぞ
﹁あ、あいぼう
﹃ん
﹁ええ⁉
?
?
?
?
アザゼルから﹃赤龍帝の籠手﹄を教えてもらったイッセーは、当初
ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア
﹃赤龍帝の籠手﹄が宿ってる事を教えた。
ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア
身 に そ の 神滅具 の 中 で も 最 上 級 ク ラ ス の 強 さ 誇 る と 言 わ れ て る
ロンギヌス
い十二個の﹃神滅具﹄が世界にはあるという事を、そしてイッセー自
ロンギヌス
間の力を超えた﹃神器﹄という物が発現し、そしてその中でも最も強
ドライグの命にアザゼルは応じ、アザゼルは人間にはごく稀に、人
﹁はいはい﹂
﹃・・・まぁ、無理もないか。アザゼル、相棒に教えてやれ﹄
?
9
?
?
は驚いたものの途中からは﹁へぇ﹂とした顔で興味津々そうに聞いて
いた。
﹂
自分の話を真剣に聞き、頷きながら聞いてくれたイッセーにアザゼ
ルは、怪訝な顔を向けて問う。
﹁・・・驚かないのか、イッセー
﹁え﹂
﹂
たいせつなひとたちをわる
え、でも、ぼくのなかにいる、その﹃ドライグ﹄ってドラゴンのち
ル。
すると、第三者の声が聞こえてきた。
・
・
・
﹃フ、ハハハッ ・・・今回の相棒は面白いな
﹁え、ドライグ。優しくされた事ないの
﹂
・
・
﹄
・
オレを使わずに、力を
こんなに優しく俺に接してくれる相棒は初めてだッ
借りるときたか。
!
イッセーの言い分に口をあげて呆けてしまうアザゼルとバラキエ
﹁・・・﹂
いひとたちにきずつけられなくてすむわけでしょ
からをかりればつよくなれるんでしょ
﹁
ら...﹂
﹁あ、いや、俺がこの話をすると大抵の奴には驚いて気味悪がられるか
?
ぶ。
そんなに震えて...﹂
?
そんなの、ドライグがかわいそうだよッ
!
﹁ど、どうしたんだ、イッセー
﹁そんなのッ
﹄﹂﹂
!
!
はなししてくれるのに、どうぐとおなじあつかいなんてッ
﹁﹁﹃
﹂
ちゃんと、お
ドライグが昔を懐かしむような声音で言うと、イッセーは震え、叫
龍 ﹄に至って命を落としたんだがな﹄
ジャガノート・ドライブ
﹃ああ ﹁所詮は、道具だ﹂と言われて優しくされた事はなかった...
?
!
!
まぁ、そいつらは全員﹃ 覇
!
が振り向くと、人間界に来てイッセーと初めて一緒に買い物をした時
・・すると、ガチャッと扉が勢い良く開き、アザゼルとバラキエル
い、アザゼルとバラキエルは目を見開いた。
イッセーの咆哮にその場にいた全員が驚き、ドライグは言葉を失
!!!
10
?
?
?
に買った青と白のボーダーを基調としたTシャツを着て、デニム生地
イッセーの声が聞こえ...イッセー‼
起きた
のショートパンツを履いたグレイフィアがバタバタと入ってきた。
﹁ど、どうしたの⁉
あのね
﹂
?
ぼくね、アザゼルにねおしえて
のね。良かったわ。倒れてるのを見つけた時は心配したのよ
﹁あ、グレイフィア。あのね
ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア
!
ぼくのなかには﹃赤龍帝の籠手﹄ってのがあって、そ
!
?
?
ねがいだから...﹂
うん...うん
﹁な∼にぃ∼
﹂
だから、もうまえみたいにないたりしないで。お
﹂
﹁あ、そうだ。イッセー﹂
に微笑んだ。
たものの、声は鼻声になり、息子の成長を喜ぶ母の様な顔で嬉しそう
グレイフィアは、イッセーの男らしさに感動し、涙こそ見せなかっ
﹁ッ
!
!
がたおすんだから
フィアとあけのちゃんとおばさんとおじさんをいじめるやつはぼく
の 力 を か り れ ば み ん な か な し い お も い し な く て す む っ て。グ レ イ
もらったんだよ
!
グ
レ
ゴ
リ
ああ、良いよ 良いよ。俺は、もう神の子を見張る者に帰らなく
の瑞々しい身体を拭いた後、夕方言われた﹁守ってあげる﹂という言
がった後グレイフィアは、イッセーの身体を拭き、そのタオルで自分
イニングへと向かって行き、晩御飯を食べた後、一緒に風呂に入り、上
そして、グレイフィアも自分の手をイッセーの手と繋ぎ、引いて、ダ
ザゼルとバラキエルは﹁また来るよ﹂と言い、笑って帰って行った。
貞腐れていると、アザゼルとバラキエルとグレイフィアは苦笑し、ア
イッセーがアザゼルとバラキエルの発言に不服そうな顔をして不
ししたかったのにぃ∼﹂
﹁えぇ∼、アザゼルとおじさん、もうかえちゃうのぉ∼。もっとおはな
﹁私も、家で朱璃が御飯を作って待ってるから帰らせてもらうぞ﹂
ちゃならねぇから﹂
﹁ん
は...﹂
﹁御飯出来たから食べましょ。・・・あ、アザゼルとバラキエルの分
?
葉が嬉しかったのか、イッセーを抱き上げて、畳が敷かれてる居間へ
11
!
?
と向かい、イッセーを股の上に乗せて背後からイッセーの小さな身体
を抱きしめながら、テレビを見て、二時間ほど過ぎた後、床へと入っ
た。
﹂
﹁ねぇ、グレイフィア﹂
﹁どうしたの
おやすみ、グレイフィア﹂
﹁え、どうしたの
﹂
﹁ねえ、イッセー君。お願い事があるんだけど...﹂
かった。
すると、夕麻は突然立ち上がり、イッセーの眼前にある噴水へと向
在、公園のベンチに座りながら談笑していた。
セーはグレイフィアに相談しながら決めたデートプランにそい、現
こ の 日 は 初 め て 出 来 た 彼 女、天 野 夕 麻 と の デ ー ト の 日 で、イ ッ
た。
てイッセーは立派な高校一年生となったある日の夕方の出来事だっ
イッセーとグレイフィアが出逢って十年が経ち、色々な出来事を経
♦
肌の温かさを感じながら夢の中へと誘われて行くのだった。
イッセーはとなりで一緒に寝てくれるグレイフィアに抱きつき、人
﹁ええ、おやすみなさい﹂
﹁うん
頑張りましょうね﹂
﹁フフッ、良いわよ。じゃあ、今日はちゃんと早く寝て明日から一緒に
てみるから、いっしょにしよー﹂
﹁ぼくね、あしたからドライグにいわれた﹃体力づくり﹄ってのをやっ
?
・
・
・
・
・
・
・
・
﹁今すぐに死んでくれないかな
・
﹂
すと、イッセーにとって聞きなれない言葉を夕麻は口にした。
イッセーが女の子の﹃お願い事﹄に嬉しそうに反応しながら聞き返
?
?
12
!
?
﹂
﹂
﹁・・え、ごめん。今ちょっと幻聴が聞こえたんだ。もう一度言ってく
れる
﹁だ・か・ら、今すぐに死んでくれないかな
イッセーは聞き間違いだろうと、再度聞き直したが、先程と同じ言
葉をニコッと笑みを見せられながら言われ、その場で立ち尽くしてし
まうのだった。
13
?
?
赤と紅の邂逅
﹂
﹁死んでくれる
﹁・・はい
﹂
ておらず、逆に今にも泣きそうな目でイッセーを見ていた。
﹁な、なんで...あ、もしかして、今日のデートつまんなかったかな
そうだったら次はもっと楽しくなれる様頑張る...﹂
﹂
﹁そ、そんな事ない ・・・イッセー君とのデート凄く楽しかった...
?
てくれていた夕麻だったが今は顔は笑っているのだが、目が全く笑っ
何故なら、つい一時間ほど前までは天真爛漫な可愛い笑みを浮かべ
ね﹂と言われたイッセーは目が点となり呆けてしまっている。
現在、初めて付き合えた彼女、天野 夕麻に付き合って二日目で﹁死
?
?
﹁な、何
﹂
﹁・・・あのね、イッセー君に聞いて欲しい事があるの...﹂
﹁え、だ、だったら何で...﹂
!
﹂
?
こんなところで...
?
!
慌てて周りを見渡して叫ぶ。
﹂
﹁な、何してんの⁉
⁉
他人に見つかっちゃうよ
夕麻が自分の衣服に手をかけ、脱ぎだし始めたのを見たイッセーは
を脱ぎだした。
い返すと、夕麻は﹁分かった。見せてあげる﹂と言い、着ていた衣服
夕麻の言った﹃堕天使﹄という言葉に、疑問を持ったイッセーが問
﹁だ、堕天使って何
﹁信じてもらえないかもしれないけど私、﹃堕天使﹄なの﹂
?
には人間達は来ないわ﹂
イッセーが取り乱すのを横目で見てクスクスと笑いながら夕麻は
そういう事はちゃんと結婚してからじゃないと...
脱ぎ続け、遂には裸となり、自分の裸体を純情なイッセーに見せつけ
た。
﹁だ、ダメだよ
!
14
!
﹁大丈夫よ。私が、魔力で人除けの魔法でこの公園を囲ったからここ
?
﹁
﹂
﹂
へぇ...イッセー君、可愛い事言ってくれるのね。・・・じゃあ、
こういうのも見るのは初めてなんだ
﹁ん
﹂
﹁・・・あのさ、夕麻ちゃん﹂
わってくるのよ。私は、中級堕天使だから二枚しかないんだけどね﹂
﹁堕 天 使 は み ん な こ の 翼 を 持 っ て い て、強 さ に よ っ て 翼 の 枚 数 が 変
ながら、背中に少し力を入れ、濡羽色の翼を出した。
のエロい姿に顔を赤面しながら見惚れていると、夕麻は笑みを浮かべ
ボンテージ姿となった夕麻にイッセーが感嘆する声を漏らし、夕麻
実った胸と臀部だけを包む黒いボンテージ姿の夕麻がいた。
は暗い光に包まれ、暗い光が収まると、イッセーの眼前にはたわわに
しまった堕天使の夕麻はフフッと笑い、指をパチンと鳴らすと、夕麻
イッセーの初心な反応に淫らな事や、不純な事で天使から堕天して
?
﹂
だ、誰からその話を...⁉
器﹄っていうんだよね﹂
﹁⁉
﹁あ、アザゼル様が⁉
﹂
﹂
﹁えっと、子供の頃アザゼルがしてくれたよ﹂
?
アザゼルって、堕天使だったんだ。知らなかった...﹂
い。さもなくば、お前を殺す﹄って言われちゃって...私、怖くて、コ
カ ビ エ ル 様 に 脅 さ れ た の よ。﹃兵 藤 一 誠 を 殺 し て 神 器 を 奪 っ て こ
﹁で、でね、話を戻すんだけど、私がイッセー君を殺す理由は上司のコ
き、話を戻した。
二人が互いの意見に驚愕していると、夕麻は話が脱線した事に気付
﹁⁉
﹁う、うん。だって、アザゼル様は私達﹃堕天使﹄の総督だから﹂
?
?
﹁え、夕麻ちゃん、アザゼルの事知ってんの⁉
﹂
﹁知 っ て る。偶 に 人 間 離 れ し た 力 を 持 っ て る 人 が 持 っ て る 力 を﹃神
いうのは...﹂
﹁それは、貴方が危険な﹃神器﹄を持ってるから...あ、
﹃神器﹄って
の
﹁さっき、俺に死んでくれって言ったけど、何で殺されなきゃいけない
?
?
?
15
!
!
?
カビエル様に逆らえなくて...﹂
﹂
﹁そうだったんだ...。じゃあ、あそこに隠れてる奴がコカビエルとか
いうやつなのかな
イッセーが夕麻の怖れている顔を見て、キッと目を鋭くさせて夕麻
﹂
の背後に視線を向けると、黒い長髪に紅い目をした三十代後半の男が
木の陰から出てきた。
﹁え...コカビエル様
﹂
﹂
!
幾度と出来るぞ
﹂
について共にこの世を支配しないか
﹂
?
してくれるからだ﹄
﹂
﹁⋮⋮本当にそれで良いのか
なくなったのか
そんな弱い人間よりも我
お前は以前の様な戦いを好むヤツじゃ
しいし、何より前の宿主の様に俺を物扱いせず、ちゃんと友の様に接
﹃だが、断る。何故なら、俺が好む戦闘はまだないが、相棒といると楽
﹁だったら...
?
我と来ればお前が好む戦闘が
﹁なぁ、ドライグよ。我に鞍替えしないか
情でニコーっと嗤い、ドライグに問いかける。
コカビエルは、ドライグの声を聞き、目を見開いた後嬉々とした表
﹁やはり﹃赤龍帝ドライグ﹄かッ
﹃ああ、そうだ。久しぶりだな、コカビエルよ﹄
れてそこから声が聞こえてきた。
睨みつけるとイッセーの左手の甲に翡翠色の円形の文様が映し出さ
コカビエルがイッセーのドライグという言葉に反応し、イッセーを
﹁ドライグ...まさか
ちゃんにここに連れてこられた時から気付いてたよ﹂
﹁ド ラ イ グ に 口 に は 出 す な っ て 釘 刺 さ れ て 言 わ な か っ た け ど、夕 麻
﹁・・・いつから気付いていたんだ小僧﹂
?
!
前ら堕天使や天使、悪魔に言われた俺が平和な世の中を望むなぞこの
な世の中も好きになってきているんだ...ククッ ︽力の権化︾とお
﹃・・ああ。相棒と一緒に暮らし初めてまだ十余年、少しずつだが平和
?
16
?
﹃・・・それも良いかもしれない...﹄
?
!
?
世の末なのかもな...﹄
自嘲気味に笑うドライグを見たイッセーが﹁そんな事ない
は遮られる。
﹂と説
!
﹂
!
﹂
﹂
お前は、上司の俺に邪魔立てするつもりかッ
﹁え...、夕、麻ちゃん...
﹁レイナーレ
・
﹂と
!
﹁
・・クズ
﹂
命を落としたんだ﹂
﹁無駄だ。そいつは...いや、そのクズは自分の力量も考えず、愚かに
・
﹁ねぇ、夕麻ちゃん。起きてよ...ねぇってば...
﹂
夕麻がイッセーを押し、自分が光槍の犠牲となってしまった。
のか分からない光槍で刺し殺そうとしたその瞬間、
﹁イッセー君
コカビエルはそう叫び、イッセーの背中にいつの間に用意していた
この世の頂点を目指そうではないかッ
やる。そして共に、悪魔と天使、そして他の神話体系の神共を殺して
その人間からお前を奪い取って、俺がお前を元の勇猛なお前に戻して
﹁ああ、そうだな...お前は変わってしまった。・・・だったら
俺が
得を試みようとするが、先にコカビエルが口を開き、イッセーの言葉
!
!
?
そのレイナーレという女はクズ...いや、もうクズ以
間の男一人の為に自分の身を呈してお前を守ったんだ。
ゴミはゴミらしく役に立たずに犬死
・・・そのゴミは、もう直ぐで確実に死ぬぞ。
フッハハハハハッ
まぁ、良かったんじゃないか
にでよッ
﹂
?
!
をかけた。
﹃お、久しぶりだなぁ、イッセー。何か用か
﹄
?
?
﹁ねぇ、アザゼル。アザゼルの部下にレイナーレという女の子いる
﹂
携帯電話を出し、この前会った時に番号を交換したアザゼルへと電話
イッセーは、瀕死の状態のレイナーレに近づきつつ、ポケットから
の中で何かが切れる音がした。
コカビエルが嘲る目でレイナーレを見て嘲笑したその時、イッセー
ーーープツン
!
17
!
!
上のゴミだ。自分の力量も考えずにお前の様な平和ボケしている人
﹁ああ、そうさ
?
!
!
﹃⁉
な、何故お前がその名前を知っているんだ
﹄
?
・・何があったんだ
﹄
﹁今、その女の子がね俺の目の前で瀕死の状態で倒れてるんだ﹂
﹃な⁉
?
﹄
る人連れてアザゼルも来て﹂
﹃来てって今、お前どこだ
・
・
・
・
﹂
﹄
﹁今ね、駒王公園にいるんだ。あ、それとさ、コカビエルって奴いる
・
﹃あ、ああ。いるが、そいつがどうしたんだ
・
?
?
?
ちょっと、お前...﹄
﹁殺しても良い
﹃・・・は⁉
ブチッ
?
﹂
?
・・・﹂
れる筈だよ﹂
﹁だ...れ...が...
?
イッセー...ってレイナーレ⁉
!
?
た女性が出てきた。
﹂
﹁おーい
﹂
﹁⁉
どうしたんだ、その傷⁉
先程呼んだアザゼルと黒い大きめのバッグを持っているスーツを着
羽色の魔方陣が展開され、イッセー達が注目していると、イッセーが
がら問いに答えようとすると、イッセーとレイナーレの直ぐ近くに濡
イッセーが風穴の空いたレイナーレの胸を抑えて、圧迫止血をしな
﹁それはね...﹂
﹂
﹁痛かったよね...。本当にゴメンね。・・・でも、もう直ぐで来てく
﹁いッ
身体を貫いていた光槍を優しく丁寧に引っこ抜いた。
イッセーはレイナーレに手を合掌し頭を下げて謝り、レイナーレの
﹁・・ぇ
﹁夕麻ちゃん、ちょっと痛いと思うから先謝っておくね﹂
いた。
り、携帯電話をポケットにしまい、倒れてるレイナーレの横へ膝をつ
イッセーは無言で電話越しに聞こえるアザゼルの声を強制的に遮
?
﹂
﹁それは、話せば長くなるから、後で話す。だから早急に、医療が出来
?
!
18
?
?
?
アザゼルがレイナーレの傷の深さに驚嘆の声を上げていると、アザ
ゼルと一緒にきたスーツを着た女性が目を見開き、レイナーレへと駆
死にませんよね⁉
絶対に死に
け寄り、すぐさまバッグから色々な医療器具を取り出し、応急処置に
取り掛かり始めた。
﹂
﹁あ、あの、夕麻ちゃんは無事ですか
ませんよね⁉
?
﹂
?
?
何故ならそいつは俺
?
だが
﹂
の命令を無視した。その上、俺の邪魔をした。当然の報いだと思うの
﹁ああ、本当のことだからそう言っただけだが
その上、お前は俺の彼女をゴミやクズ等と罵ったな
﹁あんたは俺の大事な初めての﹃彼女﹄を脅し、殺そうとしたな ・・・
線を送り、語りかけた。
ナーレに見せていた優しい目つきではなく剣の切っ先の様な鋭い目
安堵し、アザゼルを見ながら呆然としているコカビエルに先程レイ
た女性が﹁大丈夫よ﹂と一言答えると、イッセーは﹁良かったあ﹂と
悲痛な顔をしたイッセーの必死の問いかけに患部を見て、触診をし
?
さないから殺すわ﹂
﹃赤龍帝﹄であるイッセーが力を放出し辺り一帯が揺れる中、アザゼル
に宣言すると、コカビエルとイッセーの会話でここで何が起こったの
か全て悟ったアザゼルは、﹁待て﹂とイッセーを止める。
﹂
﹁アザゼルは、俺に自分の彼女を殺されかけてその相手を殺してはい
けないって言うの
﹄
バランス・ブレイク
﹃応
﹁禁 手 化﹂
には身体中が鎧に纏われた。
し、そこから次第に身体中へ特徴的な赤い鎧が顕現していき、最終的
イ ッ セ ー が 小 さ な 声 で 呟 く と、赤龍帝の籠手 が 最 初 に 左 手 に 顕 現
ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア
﹁・・・分かった...。力を貸して...ドライグ﹂
くなるぐらいならしても良いが、殺すな﹂
﹁そうじゃない。あいつは一応、俺たち側の奴だ。だから、体が動かな
?
19
?
﹁そっか...。ねぇ、アザゼル。俺、さっき言ってた通りこいつの事許
?
!
レ イ ナー レ
十年ちょっとしか生きてないガキがッ
﹂
﹁じゃあ、俺の大切な人を傷つけた罪、償ってもらいます﹂
﹁調子にのるなよ
てしまったコカビエルは﹁クソッ クソッ ﹂と内心で叫び、上空で
イッセーから顔面にひざ蹴りを食らい綺麗だった鼻筋がひしゃげ
蹴りを食らわせ、上空へと吹っ飛ばした。
ると、怒っているイッセーはコカビエルの顔を持ち、思いっきりひざ
コカビエルはイッセーの回し蹴りにより、吐瀉物を吐き、蹲ってい
回し蹴りをコカビエルの腹に食らわした。
赤龍帝の籠手の能力の﹃倍加﹄の力により、力を格段にアップさせた
ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア
速の速さで向かっていくとイッセーは少しサイドステップをした後、
イッセーの淡々とした言葉に青筋を立てたコカビエルが吠え、亜音
!
Boost Boost
﹄
﹃Boost Boost Boost Boost Boost の様な赤小さない弾を創り出し、﹃倍加﹄させた。
腹に、笑みを見せ、鎧に纏われた右手を前に出し、ドライグのオーラ
迫ってくる極大な光槍を見たイッセーはコカビエルの予想とは裏
投げた。
よりも極大に大きくした光槍を創り出し、哄笑しながらイッセーへと
態勢を立て直すと、両手を頭上にあげ、先程レイナーレに刺した光槍
!
﹂
!!!
く。
﹁⁉
クソッたれがぁぁぁあああ
すると、赤い弾は光槍を飲み込み、コカビエルの方へと向かってい
さに成長させた赤い弾をイッセーは前に投げ、光槍にぶつけた。
七回の倍加により、コカビエルが創った極大な光槍と同等程の大き
!!
幾つも創り出した先程と同程度の極大な光槍を融合させ、超極大な光
槍を創り出し、投げた。
二つの大きなエネルギーが当たると、バチィィィイインと辺り一帯
に幾筋もの紫電が迸り、その中の一筋の紫電が運悪くイッセーの方に
﹂
も飛んできた。
﹁⁉
20
?
﹃赤龍帝﹄の力を侮っていたコカビエルは向かってくる赤い弾に向け、
?
?
まさか、自分の方に紫電が飛んで来るとは思ってもみなかったイッ
﹂
セーは油断しきっており、自分の身を守るのが遅れ、死を覚悟したそ
の瞬間
﹁イッセー
少し前に共に買い物をした時に買ったTシャツを着て、ファッショ
ンで膝小僧辺りに小さな穴が空いたジーンズを履いたグレイフィア
が背中から出てる漆黒の蝙蝠の様な両翼をはためかせてイッセーの
前に舞い降りた。
イッセーの前に舞い降りたグレイフィアは、空中で準備しておいた
﹂
防御用魔方陣を幾重にも展開し、飛んで来る紫電からイッセーを守り
抜いた。
﹁ぐ、グレイフィアなの...
らうから...﹂
﹁・・うん...﹂
﹁あ、そういえば、なんでグレイフィアは俺のいる場所が分かったの
携帯でメールしてなかったのに﹂
﹁ん、気にすんな﹂
﹁そっか。ありがとう、アザゼル﹂
駆けつけた様だ。
場所は駒王公園﹄と伝言を残し、それを聞いたグレイフィアが急いで
イフィアの携帯の留守電に﹃イッセーが、現在コカビエルと交戦中。
ーーどうやら、アザゼルがイッセーとコカビエルの戦いの間にグレ
へと帰った女性を見送ったアザゼルが説明する。
りに瀕死の状態だったレイナーレとレイナーレに付き添う形で冥界
ら絞り出すと、気まづそうに目を右往左往してるグレイフィアの代わ
現在の状況に頭が追いついていないイッセーが思った事を喉奥か
?
﹁・・グレイフィア、今は良い。その代わり、帰ったら全部聞かせても
﹁・・・うん。・・あ、あのね...﹂
?
﹁・・じゃあ、グレイフィア。行ってくる﹂
﹂
21
!!!!
!
﹁・・うん。あ、イッセー﹂
﹁ん
?
イッセーが、先程の紫電に当たったのか左手で出血してる頭を抑え
てブンブンと振るい、立ち上がろうとしているコカビエルを睨んでい
るとグレイフィアに呼び止められ、振り向くとグレイフィアはイッ
﹂
セーの右手を自分の胸元へと持っていき大切そうに抱きしめた。
﹁お願いだから無事に帰ってきてね
﹁うん、約束する。グレイフィアを心配させる事はしないって﹂
ニコッと微笑むグレイフィアを見て、赤面してしまうイッセーだっ
たがなんとかグレイフィアの女神のような微笑みに応えようとグレ
イフィアに握られてる手と逆の方の手でグレイフィアの背中に手を
回し、抱きしめた。
﹂
すると、二人の仲を邪魔する奴が闘争心剥き出しでイッセーの方へ
飛んでいく。
﹁おーい、仲が良いとこ悪いんだがイッセー来たぞ
﹁うん、知ってる。じゃ、行ってくるから﹂
﹁ええ﹂
?
イッセーに急接近していく。
﹁さっきと同じ攻撃で俺に通用してると思ってるのか⁉
﹂
浅はかなッ
コカビエルはそれを好機と見たのか﹁フハハ﹂と哄笑をあげながら
を思ったのか先程と同じ様に回し蹴りの構えを見せる。
グレイフィアから離れたイッセーは向かってくるコカビエルに何
?
思っているのか⁉
きつける。
﹁カハッ...
﹂
﹂
部についてるドラゴンの尾っぽの様な鎧をコカビエルの背中へと叩
イッセーは、光槍を持ち突進してくるコカビエルを避け、自分の臀
?
でコカビエルの両足を縛り、自分の両足でコカビエルの両腕を踏み、
イッセーは地面へと叩きつけたコカビエルに馬乗りになり、尾っぽ
に曲がり地面へ叩きつけられる。
吐血したコカビエルは、予想以上に衝撃があったのか身体がくの字
!
22
?
﹁・・あんたこそ浅はか過ぎるぞ..。二回も同じ攻撃をすると本気で
!
コカビエルと目線を交差させ笑った。
﹁じ ゃ あ、ア ザ ゼ ル に も ア ン タ を 死 な な い 程 度 に 痛 め つ け る 権 利 は
﹂
そ、そうすれば、お前が望む世界に...﹂
待ってくれッ
貰ってるし途方も無い激痛を味わってもらうわ﹂
﹂
﹁ま、待てっ
﹁何だよ
﹁だまれ﹂
ザシュ
﹁グワァアアアア
!
﹂
!!!
ア ザ ゼ ル。俺 を 誰 だ と 思 っ て る ん だ
お前、さっきイッセーに倒されて気絶したんじゃな
﹁コカビエルッ
﹂
かったのか...
﹁そ ん な 事 あ る わ け な か ろ う
﹂
くのも技だと思うが
﹁くっ...
﹂
・・先の大戦で生き延びた強者だぞ。相手を油断させといて隙を突
?
!
だったコカビエルがイッセー達の方へ下劣な笑みを浮かべていた。
いながらイッセーの背後へと視線を向けると、イッセーに倒された筈
止め、悲鳴を上げている横で、アザゼルが嫌な予感が当たらない様願
グレイフィアが自分の方へ血を吐いて倒れてきたイッセーを受け
!
た。
﹂
血塊が出て、そのままイッセーは前にいたグレイフィアに凭れ掛かっ
サッと何かが刺さる鈍い音が聞こえた後、イッセーの口からゴボッと
しているアザゼルに歩み寄り、これからの事を話していると...グ
コカビエルに勝ったイッセーは、歓喜しているグレイフィアや安堵
エルの上から退き、 禁 手 化を解除した。
バランス・ブレイク
目で睨み、コカビエルの叫び声が聞こえなくなるとイッセーはコカビ
コカビエルの悲痛な叫びが辺りにこだまする中、イッセーは無情な
い﹂
﹁俺は、大切な人達と平和に暮らせれば良い。それ以外に何も望まな
﹂
﹁お、俺と来ないか
!
!
!
?
23
!?!?
?
?
キャァァアアア
﹁⁉
?
・・まさか...
﹁⁉
?
?
コカビエルの一理ある言葉に、アザゼルが苦虫を潰し睨んでいる
と、アザゼルはある事に気づいた。
ーー隣で、泣きながらイッセーを抱きしめているグレイフィアから
お 前 が 本 気 を 出 し た ら...
悔しいよね... ・・でも、大丈夫
ぐ、グ レ イ フ ィ ア、落 ち 着 け
莫大な量の銀色のオーラが流れ出し、地面が揺れているのだ。
﹁ッ
﹂
﹁イッセー......痛いよね...
!
い﹂
﹁え、あ、ちょっ、待てよ
グレイフィアッ
﹂
!
セー
フィアの真ん中辺りに紅い魔法陣が展開され、グレイフィアとアザゼ
を流しながら頭を撫でていると、コカビエルと涙を流しているグレイ
セーを自分の方へと持ってきて、自分の膝へイッセーの頭を乗せて涙
グレイフィアは自分を悔やむアザゼルに抱きしめられているイッ
﹁そう...﹂
な...﹃何で、俺はイッセーにあんな指示を出したのだろう...﹄って﹂
﹁いや、良いんだ。俺も、イッセーが心臓刺された時に後悔したから
﹁・・・アザゼル、ゴメンなさいね。一応、貴方の仲間だったのに...﹂
エルを息絶えさせたのだった。
エルの身体が全て入る程の大きな氷塊が出てきて、一瞬にしてコカビ
雷、水龍などの多種多様な属性の攻撃が繰り出され、最後にはコカビ
コカビエルのいる地面に映し出され、地中から火柱や大きな火球や
底冷えする様な声で呟くと、グレイフィアの手に作られた魔法陣が
﹁死ね﹂
終わると一拍置いた後、底冷えする様な冷たくて暗い声で呟いた。
いくと、幾重にも色々な色のした魔法陣が重なっていき、呪文を唱え
カビエルを見ながら右手を前に出し、ボソボソと高速で呪文を呟いて
大事な人を奪われたグレイフィアは虚ろな目で身体が動かせないコ
イッ
アザゼルは必死にグレイフィアを止めようとするが、心臓を一突きで
グレイフィアから呪詛の様な声が聞こえた後、イッセーを託された
!
よ...私が貴方の無念晴らすから...。アザゼル、イッセーの事お願
?
!
ルが注目しているとどこかの制服をきた紅髪の少女が慌てながら出
24
?
!
てきた。
リ、リアスお嬢様...
﹂
﹂
その子
﹂
?
でも、何
﹁いきなり、堕天使の気配がしたのだけれど...って、え...
﹁ッ
﹁ぐ、グレイフィアな、の
﹁・・・﹂
﹂
でこんなところに...って、どうしたの⁉
酷い傷じゃない
﹁その銀髪に綺麗な顔...やっぱり貴女グレイフィアね⁉
!
!
﹂と自分のもう直ぐ消えようとしている生命をもっ
!
驚愕する。
イーヴィル・ピース
﹁悪 魔 の 駒が反応しない⁉
﹂
﹁⁉
﹂
やってみる﹂
!
ーーその後は、リアスの提案により、止血した後、イッセーの復活
涙を流していた。
るグレイフィアはといえば、イッセーが生きてる事に感激し、大粒の
イッセーの息を聞いたアザゼルとリアスは安堵し、家族同然でもあ
めると、﹁スー スー﹂と寝息が聞こえてきた。
赤い光が収まり、グレイフィア達が心配そうにイッセーの顔を見つ
と煌めき出し、終いには辺り一帯が赤い光に包まれた。
したリアスは其れ等をイッセーの胸へと置くと赤いポーンはピカッ
グレイフィアの意見を聞き、黒いケースから全てのポーンの駒を出
わ、分かったわ
から、多分、ポーンの駒を全て使わないといけないかもしれません...
!
?
﹁リアス様、この子...イッセーは、今代の﹃赤龍帝﹄なのです
です
れる赤いポーンを出し、イッセーの胸に翳したが、何も起きないので
トからプラスチック状の黒いケースを出し、そこから、チェスで使わ
つもない﹃何か﹄の大きなオーラを感じ、慌てて、スカートのポケッ
赤龍帝
と伸ばしてほしいと懇願すると、リアスはイッセーから流れ出すとて
生きたい...
﹁ん...﹂と声が聞こえ、リアスの柔らかい手を握り返し、﹁生きたい...
て て 駆 け 寄 り、手 を 握 る と、吐 息 が 聞 こ え な か っ た イ ッ セ ー か ら
リアスが、グレイフィアが抱きしめているイッセーに気付くと、慌
?
?
?
!
?
25
!
!
!
俺って死んだはずじゃ...
﹂
を早くさせる為グレイフィアが魔力をイッセーの体へと送り続けた
のだった。
♦
翌朝...
﹁ん...あ、あれ
﹂
﹂
﹂
﹂
!
をした頬をツンツンとつつくと、グレイフィアも﹁ん...﹂と一瞬呻い
日あったことを思い出し、グレイフィアを起こそうときめ細やかな肌
グレイフィアの美しい顔に数刻見惚れていたイッセーだったが、昨
スヤと眠っていた。
り続けて疲れたグレイフィアがイッセーのベッドに寄りかかりスヤ
などが偶にする勉強机で寝てしまう格好の様にイッセーに魔力を送
イッセーが呻き声を上げ、上体を起こし、周りを見てみると受験生
?
た後、目をパチっと開けてイッセーの顔が視界に入ったその瞬間
﹁イッセー
﹁おわっ⁉
痛い、痛いよ⁉
﹁イッセー、イッセー、イッセー、イッセー
﹁ぐ、グレイフィア⁉
?
きた。
﹂
﹂
?
﹁目が覚めたのね
﹁え、あれ、リアス先輩⁉
どうしてここに...
すると、イッセーの声が聞こえたのか、一階にリアスが駆け込んで
気づいたのか﹁ゴメン ゴメン﹂と謝り、イッセーから離れた。
レイフィアを離そうと必死にもがいていると、グレイフィアはやっと
痛いぐらいに抱きしめてくるグレイフィアにイッセーは困惑し、グ
全力で抱きついた。
イッセーが起きていた事に感動したのか、昨日致命傷を負った体に
?
!
? !!!
は一体何者なのかをポツンポツンと話し始めるのだった。
レイフィアがリアスはなぜ、イッセー達の家にいるのか、そして自分
ていると、
﹁あのね、イッセー...﹂と先程とは全く違う表情をしたグ
イッセーが、入ってきた紅髪の少女が見覚えある人だったので驚い
?
!
26
?
?