新實広記展 解説 (PDF 105.4KB)

とよたルミアール・プロジェクト #2
新實 広記 展
(NIIMI Hiroki)
「とよたルミアール・プロジェクト」は、作品の展示やイベントなどを通
して、豊田の若手アーティスト、クリエーター等の優れた表現を紹介してい
く新しい事業です。「ルミアール」は、フランス語で「光」を意味する “ル
ミエール”と、「芸術」を意味する“アール”(英語ではアート)を組み合わ
せた造語。「アートの輝き」という意味を込めて名づけました。
第2回目となる本展では、豊田市出身でガラスという素材を駆使し、広く
活躍している気鋭の造形作家・新實広記(1976 ―
)の新作を紹介し
ます。
ガラスは高熱によって溶けて伸び、また冷めると硬化し固くなるという自
在な実体を持っているがゆえ、特有の造形が可能な素材です。また一見する
と透明で、そこに外界を映し、さらにその時々の光りの状態で刻一刻と変化
していきます。そのような素材を用いながらも、新實は装飾的な方向ではな
く、そのガラスの本質的な存在感に向き合おうとしています。
今回の作品は、透明なもの、そしてブルーの色を持ついずれも半球状のガ
ラスのかたまりで、作家は初めて色ガラスも用いています。作者はあえて型
に流し込んで生成したガラスを磨くことなく、また何も装飾を加えずに原形
質のようにそのままに取り出して見せています。そこではガラスという化学
的な変化で生まれたばかりの物質の有り様を示し、≪Vessels≫と題された作
品はまさしく器のように水を湛えて揺れ動くういういしい姿をしています。
それは絵画や他の素材の色・形とは別の、現実の物でありながらも、先史
からの悠久の人の歴史と、深い永遠の記憶にあらためて立ち会わせてくれて
います。
(豊田市教育委員会文化振興課)