免疫系

免疫系
自然免疫系 先天的で非特異的な防御機構
未熟樹状細胞活性化
獲得免疫系
炎症性サイトカイン放出
免疫系細胞活性化
貪食作用活性化
2回目以降の防御機構 ⇒ 特異的な応答
貪食異物から生じた蛋白断片を抗原と認識
抗原が特異的蛋白分子と複合体を形成
樹状細胞(抗原提示細胞)表面に提示
ヘルパーT細胞が複合体を認識し活性化
細胞性免疫
液性免疫
(P102・103参照)
細胞性免疫
液性免疫
⇓ ヘルパーT細胞がTh1細胞へ分化
⇓ ヘルパーT細胞がTh2細胞へ分化
⇓ IL2やINFɤ分泌
⇓ IL4、IL5、IL6分泌
☆キラーT細胞・NK細胞が異物攻撃
⇓ B細胞を形質細胞に分化・増殖
⇓ 抗体を産生し、異物に結合
(P105参照)
免疫記憶
☆補体・マクロファージが異物攻撃
☆化学伝達物質の放出
免疫応答後、一部のキラーT細胞やB細胞がメモリー細胞となる
免疫寛容
自己蛋白を抗原として認識しない制御
受動免疫
抗体を外から与えて一時的な免疫状態を作る ⇒ 免疫グロブリン
速効性はあるが、効力は持続しない
能動免疫
抗原を与えて自己免疫系を刺激し抵抗力獲得 ⇒ 予防接種
速効性はないが、効力は持続する
発症後では無意味
予防接種
予防接種法 定期的に改訂される、接種対象や義務→勧奨の変更
勧奨接種
接種する努力義務はあるが、違反の罰則はない
ジフテリア、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、破傷風、結核、水痘
インフルエンザ、インフルエンザ菌b型、肺炎球菌、人パピローマウイルス
(コレラ・ワイル病・狂犬病・黄熱病・・・は地区により海外渡航時に必要)
弱毒生ワクチン
毒性を弱めた生きた病原体を接種
罹患する可能性あり、再接種には4週間以上の間隔
不活化ワクチン
死菌あるいは抗原となる構成成分を接種
罹患する可能性なし、再接種には1週間以上の間隔
トキソイド
病原体産生の毒素を不活化して接種
注意する有害作用
アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群
急性散在性脳脊髄症、無菌性髄膜炎
特異的免疫抑制薬
シクロスポリン、タクロリムス
ヘルパーT細胞に作用し、細胞性免疫を抑制
吸収の個人差が大 → TMD対象薬
ショック・肝障害・腎障害・中枢神経障害に注意
パシリキシマブ
モノクロナール抗体、T細胞のIL2受容体に結合して活性化阻害
腎移植後の急性拒絶反応抑制、アナフィラキシーに注意
免疫グロブリン製剤
免疫増強の逆応用、免疫担当細胞や特定抗体を攻撃する
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン:T細胞を傷害し減少させる
抗D(Rho)ヒト免疫グロブリン:Rh抗体産生を抑制、Rh-の母親へ
非特異的免疫抑制薬
副腎皮質ステロイド薬
IL類の産生を阻害し、T細胞・B細胞の増殖を抑制
抗体産生抑制 (抗炎症作用より大量を要し、CRP陰性では無効)
アザチオプリン
代謝拮抗薬のプロドラック、DNA合成阻害でリンパ球増殖抑制
発症後の拒絶反応には無効、骨髄抑制に注意
ミゾリビン
プリン合成系を阻害し、リンパ球増殖抑制
関節リウマチやループス腎炎などの免疫疾患に使用
モフェチル
ミゾリビンと同機序、臓器移植の拒絶反応予防に使用
催奇形性あり、服用中止後も6週間は避妊
共通注意事項
ウイルス性疾患の再発、易感染、癌誘発
骨髄抑制、催奇形性(ステロイドを除く)
免疫増強薬
免疫グロブリン製剤
非特異的に貪食細胞を活性化
製造Lotで抗体価に差があり、対象を特化した製剤もある
抗HBsヒト免疫グロブリン:B型肝炎の発症予防
抗破傷風ヒト免疫グロブリン:破傷風の発症予防や症状緩和
インターフェロン(INF)
細胞性免疫の担当細胞を活性化→抗ウイルス作用・抗癌作用
免疫疾患の悪化、インフルエンザ様症状、間質性肺炎、抑うつ
インターロイキン2(IL)
作用機序・注意点はインターフェロンと類似、抗癌に使用
顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子
免疫担当細胞(特に好中球)の分化・増殖を促進
抗ヒスタミン薬
ヒスタミンの作用
血管拡張 → 皮膚発赤、血圧低下
血管透過性亢進 → 腫脹・浮腫
気管支収縮、胃酸分泌亢進
第一世代
中枢抑制や抗コリンなどの他作用を持つ
ジフェンヒドラミン :眠気があるため、主に外用で鎮痒に使用
クロルフェニラミン :中枢抑制が比較的弱く、アレルギー疾患に使用
プロメタジン
:鎮静作用を神経科領域で使用
ヒドロキシジン
:鎮静・制吐に使用
シプロヘプタジン
:食欲増進に使用
メクリジン
:乗り物酔い止めに使用
第二世代
眠気等が少ない、アレルギー性皮膚炎・鼻炎に使用
メキタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、エバスチン、オキサトミド、
エビナスチン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン・・・・
他の化学伝達物質も阻害する薬は抗アレルギー薬にも分類
抗アレルギー薬
ヒスタミン以外のケミカルメディエーターを阻害する薬の総称
気管支喘息の予防、アレルギー疾患の治療へ
ケミカルメディエーター遊離阻害薬
クロモグリク酸:速効性はなく予防的に使用、喘息や花粉症などへ
第二世代抗ヒスタミン薬の大部分も該当
抗ロイコトリエン薬
ブランルスカスト、モンテルカスト
ロイコトリエンによる気管支収縮・血管透過性亢進を抑制
抗トロンボキサンA2薬
オザグレル、セラトロダスト
トロンボキサンA2による気管支収縮・気道過敏性亢進を抑制
Th2サイトカイン阻害薬
スプラタスト
ヘルパーT細胞のサイトカイン産生を阻害→IgE抗体の産生抑制
抗IgE抗体製剤
オマリズマブ
IgE抗体と結合して作用を阻害、重症の喘息に適応