被災者営農継続支援耕作放棄地活用事業実証ほ場成績書 1 2 目 的 東日本大震災の被災者が、伊予市内で農業に従事することになり営農再開 の支援が求められている。そこで、荒廃した耕作放棄地を柑橘園に再生して、 柑橘園の早期成園化による営農再開の実証を行う。 実証場所 伊予市双海町上灘庚 162 番地 2、上灘庚 162 番地 7 3 実証ほ場の概要 (1)面 積 29a(2,883 ㎡) (2)品 目 温州みかん{宮川早生(早生)、南柑 20 号(中生)} (3)植栽本数 480 本 4 実証期間 平成 23 年 11 月 ~ 平成 28 年 3 月 5 実証内容 (1)スカーティングによる柑橘の早期成園化 1 年生と 2 年生苗を各 10 樹供試し、スカーティングの違いによる生育状 況、病害虫発生を調査 (2)柑橘の育成に係る経費と作業時間 結実するまでの、防除、施肥、資材等の経費及び作業時間を調査 6 実証結果 (1)スカーティングによる柑橘の早期成園化 樹高は、スカーティング有が 1 年生苗、2 年生苗とも高くなった。 幹周りは、1 年生苗ではスカーティング無が大きくなったが、2 年生苗は 有が大きく肥大した。 葉数は、スカーティング有が 1 年生、2 年生苗とも多くなった。 樹高、幹周り、葉数とも 1 年生苗より 2 年生苗が大きく成長した。 害虫の発生は、スカーティング有の方がミカンハモグリガ、アゲハ類の 幼虫がやや多く発生した。 写真1 スカーティングの実施苗 写真2 スカーティング無の苗 (2)柑橘の育成に係る経費と作業時間 中山間地域の条件不利地ということに加え、耕作放棄地であったことか ら全般的に経費及び作業時間が多くなっている。 表 1 栽培管理の経費(円/10aあたり) 年度 肥 料 農 薬 支 柱 その他 合 計 24 年度 4,215 7,823 0 12,555 24,593 25 年度 5,297 7,028 66,315 5,581 84,221 26 年度 5,586 5,675 0 29,712 40,973 27 年度 14,473 5,128 0 30,723 50,324 合計 29,571 25,654 66,315 78,571 200,111 表 2 栽培管理の作業時間(時間/10aあたり) 年度 施 肥 病害虫防除 除 草 土壌管理 整枝・剪定 摘 果 合 計 24 年度 15.5 16.6 165.9 5.5 0.0 0.0 203.4 25 年度 6.6 9.7 142.9 27.1 58.6 0.0 244.8 26 年度 10.3 4.1 102.1 25.5 16.6 5.9 164.5 27 年度 11.4 6.2 116.2 29.7 12.8 13.8 190.0 合計 43.8 36.6 527.1 87.8 88.0 19.7 802.7 7 考察 (1)スカーティングによる柑橘の早期成園化 全体的にスカーティングを実施した苗木の生育が良好であり、早期成園 化を図ることができた。特に、樹高、葉数の枚数について明らかな差が生 じた。害虫の発生はスカーティングにやや多く発生したことから、防除の 徹底により生育促進を図る必要がある。なお、スカーティング無では、刈 払機により苗の一部を傷つけることがあったため、マルチをするか手刈り が望ましい。 また、1 年生苗より 2 年生苗の生育が全体的に良好であり、2 年生の大苗 を植え付けることで早期成園化になる。 (2)柑橘の育成に係る経費と作業時間 本実証では、まだ成園化に至っていないが、今後、早期成園化により収量 を年々上げていくため、整枝・剪定、結実管理(摘蕾、摘果)、施肥、かん 水、除草、病害虫防除、支柱立てなど基本管理の徹底を図る必要がある。
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