GPGPUによる車両周辺環境認知システム Surrounding Environment by GPGPU Recognition System of Vehicle 東京電機大学理工学部 理工学研究科 情報学専攻 伊木 及 1. はじめに 2020年に開催される東京オリンピックに向けて、人の運転を必要としない自動運転技術が注目を 集めている。人の意思決定や不注意が自動車の運転に介入する余地を無くすことで、事故の減少、 交通渋滞の軽減を図ることができる。 そこで本研究では、レーザレーダとカメラを用いた周辺環境認知システムを作成し、既存のマイコ ン、FPGAと動作を比較したとき、どのような優位性を創出できるか検討する。 2. 提案手法 2.1 システム概要図 2.4 プログラムの流れ レーザレーダから得られる三次元距 離情報と、カメラから得られる画像 データを元に、経路生成で用いる2D の周辺環境マップを作成する。 (1) データの分割 2.5 GPGPU 化 GPUの特性 ・マルチ・スレッド処理 GPUはブロック、 スレッドの階層で 構成されている。 各スレッドがそれ ぞれ処理を担当。 (2) データの入力 512×Nの配列 (Nはセルの数)に データを入力する。 空の部分には ダミーデータ(999) を入力する。 2.2 垂直物認識 (3) 各セルの分散を求める レーザレーダから得られる三次元距 離情報には、道路とそれ以外の垂直 物のデータが混在しているため、それ ぞれの識別を行う。 セル内にあるポイントの高さZに対し ての分散値を求める。ここで、計算に 用いる高さZの平均値は、データ全体 の高さZの平均値とする。 1 2 𝑆 = 𝑘 𝑘 𝑍𝑖 − 𝑍 ・ウォープ(Warp:縦糸) 1セルの分散計算を、1ブロックがそ れぞれ担当する。 k:セル内のデータ数 2 I:データ番号 𝑖=1 2.3 周辺環境マップの作製 垂直物の座標データを元に、座標に 対応した画像から物体認識を行い垂 直物がどのような物体なのか判別する。 物体の座標を予め求めておくことで、 画像認識の処理時間短縮を狙う。 3. 実装・評価 1フレームあたりの処理時間[ms] CPU 1.4 1セルを1[m]×1[m]とし、分散の値が 大きいセルを濃い色で表示させた。 GPU 10.3 提案したプログラムでは、GPUでの処理 時間がCPUの約7倍という結果になった。 これは、データ入力時にできるダミー データを除く処理がGPUとの相性が悪い せいだと考えられる。
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