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アバ・ラーナーと外国貿易(2) : 要素価格均等化の幾何学
的証明
木村, 雄一
經濟論叢 (2005), 176(1): 18-42
2005-07
http://dx.doi.org/10.14989/66300
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
経済論叢 (
京都大学)第 1
76巻第 1号 ,20
05
年 7月
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (
2)
-
要素価格均等化の幾何学的証明一
木
‡ は
じ め
村
雄
に
本稿 の前半では, ラーナ-の仕事が,外国貿易 に関す る費用条件 と需要条件
において,重要な貢献 をな してい ることを指摘 して きた。 しか しその二つの条
件 を示 した間に書かれた とされ る 「
要素価格均等化」 に関す る論文 「
要素価格
Le
r
ne
r[
1
9
5
2
]
)について, ラーナ←は どのような議論 を展 開 し
と国際貿易」(
ていたのであろうか。
,
要素価格均等化 の証明」1
)については,サ
論文 (1)で も指摘 したように 「
sa
mue
l
s
o
n[
1
9
4
8
]
) におい
ミュエルソンが 「
国際貿易 と要素価格の均等化」(
てその証明を与 えたが,実際は,1
5
年前 にラーナ-がその証明を終 えていた。
サ ミュエルソンは, ラーナ-が 1
9
3
3
年に 「
要素価格均等化」を証明 した論文 の
存在 に全 く気づかず
,「要素価格均等化 の証明」を行い公表 したが,その後 ロ
ピンズと交わ した会話の中で ラーナ-の論文の存在 を知 り,す ぐに 「
国際要素
Sa
mue
l
s
o
n[
1
9
4
9
]
) を著 した2
)
。サ ミュエル ソ ンは, その
価格均等化再考」 (
,
1
) 「
要素価格均等化」 には 「
絶対的」要素価格均等化 (
両国における要素価格 「
その もの」が
相対的」要素価格均等化 (
両国における要素価格 「
比率」が
「
絶対 的」 に均等す ること) と 「
「
相対的」に均等す ること)の二つの意味がある。 ここでは,国際経済学の用語法 に したがい,
絶対的」要素価格均等化 を意味す る。 したが って 「
相対的」な要素価
「
要素価格均等化」は 「
相対的要素価格均等化」 と表現す る。
格均等化について言及す る場合は 「
2) この論文は 「
要素価格均等化」の証明の発展を試み,ド
(
1
)主要な定理を再述す ること,(
2)そ
3)簡潔であるが厳密 な数学的証明によってはっき りと
の直感的説明に基づいて拡張す ること,(
4)多数財かつ多数要素のケース-の二,三の拡大を行 うこと,そ し
その問題 を解決す ること,(
5)その単純化 されたい くつかの仮定に対す る現実的な制約 に関 して簡単にコメ ン/
て最後 に,(
,
,
,
(1
9) 1
9
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
。「ロ ビンズ教授 か ら LS.E.の生徒 で
論文 の脚注 で次 の よ うに述べ てい る
あった ラーナーが この間題 に取 りくんでいた, とい うことを聞いた。わた くL
は1933年 12月付 けの ラーナーの謄写版 の報告書 に目を通す機会があったが,そ
れはこの間題 の疑問,困難さおよびあ らゆる面の巧妙で核心 を得 た取 り扱いで
ある」 (
Sa
mue
l
s
on [
1
949]邦訳 92ページ)0
それではラーナ-はどのような手法で 「
要素価格均等化 」 を証明 したのであ
ろうか。あるいはサ ミュエルソンとラーナ一による証明では, どのような点が
同 じであ り, どのような点が異なってい るのであろ うか。 こうした一連の問い
に答 えることで,彼 の外国貿易論 に対す る考 え方が明確 になる。 したが って本
稿 (2)では,主 として,サ ミュエルソンとラーナ一
一の議論 を対照す ることで,
ラーナ-の 「
要素価格均等化の証明」の意義 と限界を論 じることを目的 とす る。
Ⅰ
I 「
要素価格均等化」の幾何学的証明
1 サミュエルソンによる証明 (
1
9
4
8
年)
1
) 動
機
サ ミュエ ル ソ ンに よ る証 明 は, 1933年 にバー テ イル ・オー リ ン (
Be
r
t
i
l
異地域 間及び国際間の貿易』 (
ohl
i
n[
1
933]) において示 した二つ
Ohl
i
n) が 『
(
1
)国際貿易 による商品の自由移動 は,要素間の 自由移動
の結論,す なわ ち 「
2)要素価格 は相対 的かつ絶対的な
とある程度同 じ役割 を果た し, したが って (
部分均衡化 を もた らす」 (
sa
mue
l
s
on [
1
9
48]邦訳 67ペー ジ) ことへの 「
疑問」
か ら生 じた。 ここで述べ られている 「
要素価格 は相対的かつ絶対的な部分的均
衡化 を もた らす」 とい う文意は,全ての国において要素価格が 「
絶対的」 に均
衡化 しない こと,すなわち 「
要素価格均等化」が生 じない ことを意味す る。 こ
,「ヘ クシャー-オー リンの定理」 と呼ばれ る
れは
。
サ ミュエル ソンは,国際
貿易論の授業で この定理 を長年教 えていたが,ある学生か らの質問によって,
その定理が おか しい ことに気づ いた (
i
bi
d.
,邦訳 6
4ペー ジ)。 その 「疑問」か
\ トす ること」(
Sa
mu
e
l
s
o
n[
1
9
4
9
〕邦訳 9
2
ペー ジ)か ら構成 されてい る。
20 (20)
第]
7
6巻 第 1号
らサ ミュエルソンは,「
部分的均衡化」定理 の証明 を試み,その結果 「
要素価
i
bi
d.
,邦訳 73ペー ジ)。 したが ってサ ミュエ
格均等化」 の可能性 に気づいた (
ルソンは,その着想や証明方法 に関 して, ラーナ- との接触 は全 くなか った。
2
) 要素価格均等化の証明
サ ミュエルソンはどのような手法で 「
要素価格均等化」を証明 したのであろ
生産可能性 曲線」 を示す。
うか。第 1図は,米国 と欧州の衣料 と食料 に関す る 「
欧州の 「
生産可能性 曲線」 が米国の 「
生産可能性 曲線」に比べて傾斜が急であ
るか ら,欧州 において衣料 を比較的多量 に生産で きる。「
封鎖経済」で は,両
財 の噂好 と有効需要の相互作用で決 まるか ら,欧州 における食料 と衣料 の封鎖
経済下での価格比 は米国の価格比 に比べて大 きい。 したが って封鎖経済下では,
接線 の勾 配 の傾 きを比較す るな らば,欧州
米 国は C点,欧州 は C点 にあ る (
のその傾 きが米国のその傾 きよ りも大 きい)。
今 ここで両国において衣料 と食料 の交易が開始 された としよう。 この場合,
食料 と衣料 の価格比が両国において異なることはあ り得 ないか ら,新 しい世界
価格比率は,両国の封鎖経済下の価格比 を極 限 として,その中間に位置す る。
す なわ ち,衣料 に対す る食料 の相対価格 は,欧州 において低下 し,米国におい
乳 欧州 においては C 点-d点 に
て上昇す るか ら,米 国 においては C点-BJ
シフ トす る (
BJ
責と d点 の接線 の勾 配 は等 しい)。 したが って 「
限界単位 で
測 った両国における比較優位 の差が,国際貿易 を引 き起 こし,各国における両
財 の限界生産の比が,市場価格比 に調整された とき,貿易は均衡 に到達 し,そ
れ以上の生産の特化 は とまる」(
i
bi
d"邦訳7
6
ページ)。
二つの生産可能性 曲線 を超 えた内側
さて ここか らが本題である。 すなわち 「
に立 ち入って,その二つの曲線 の勾配が等 しい とき (
す なわち 2財の限界生産
費比率が等 しい とき) に,はた して 2要素間の価格費が等 しい と推論す ること
が で きるか」 (
i
bi
d.
,邦 訳 77ペ← ジ)O サ ミュエ ル ソ ンは, 「
エ ッジ ワー ス ・
ボ ックスダイアグラム」の利便性 に言及 して,「
生産可能性 曲線」の 「
内側」,
すなわち 「
生産要素」の問題 に立ち入る。
(21) 21
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
第 1図
食料
食料 と衣料 を生産す る米 国 と欧州 の生産無差別 曲線
A
食料
α
幾何学的に生産 可能性 曲線 の精確 な導出を示す には,エ ッジワース ・ボ ッ
クスのような手法 を用 いるのが,最 も良いであろ う。 ここで,ボ ックスの
各辺の長 さは,それぞれ,米国の労働 の総量 と土地の総量 に等 しい とされ
る。 ボ ックスの中の点 は, このボ ックスの左下の隅を原点 にとった座標で
測 った ときの,食料 の,生産 に用い られ る 2要素の量が測 られ る。 食料 の
生産量 を所与 として,食料 の等産出量 曲線の上 を,衣料 の等産 出
量
曲線 の
うちで最大の,衣料の産出量 を与えるものに接す るまで,動かねばならな
い。等産出量 曲線の これ らの接点の軌跡が,エ ッジワ-スの 「
生産契約曲
線」の一種であ り,各食料生産量 に対応す る最適衣料生産量 は, この曲線
の上にあ り,また逆 に,各衣料生産量 に対応す る最適食料生産量 は, この
曲線の上 にある。 このボ ックスの内部の点で この契約曲線上 にない点 は,
i
bi
d.
,邦訳 7
47
5
すべて生産可能性 曲線 の内側 の点 を与 えることになる。 (
ペ←ジ)
このようにサ ミュエルソンは,各国が,所与の土地 と労働 の生産要素 (
これ
が ボ ックスの各辺の長さに相当) を用いて,衣料 と食料 (
これがボ ックス内に
おいてそれぞれ 「
等生産量 曲線生産」 として措かれ る) を生産す ることで,
「エ ッジワース ・ボ ックスダイアグラム」の利用 を出発点 として考 えた。 しか
,「生産量の尺度 と独立 に措かれた」 図を
し彼 は, よ り利便性 の良い図 として
2
2 (2
2)
第1
76巻
第 2回
第 1号
労働 ・土地比率 と賃金 ・地代比率
考 える。
第 2図は,水平軸 に 「
土地 ・労働集約度 」を とり,垂直軸 に 「(
実質)賃金
ど (
実質)地代 の比」すなわち 「
労働 の物理的限界性 と土地の物理的限界性 の
比」を示す。 この
「
賃金 ・地代比率」 と 「
限界代替率」の関係 は二つの財の間
F線,衣料 は
で異 なるか ら,食料 は F
C
C線 となる。F
F線 と C
C線が右下が
りに措 け,両要素の物理的代替率は各々の財 に使用 され る要素の比率のみに依
存す ることは,「
労働が土地 に比べてよ り集約的に用い られ ると,賃金生産性
は地代生産性 に比べて低下す ること」 (
一つの要素だ けを変化 して得 られ る古
典的な収穫逓減法則) と 「
規模 に関す る収穫一定」が仮定 されてい ることによ
る。 サ ミュエル ソンは, こうした仮定 を設定す ることは問題 が ない と考 える
(
i
bi
d"邦訳7
8ペ - ジ)。
今,両国の うち一方の国における 「
総」労働量 に対す る 「
総」土地量の厳存
比率が水平軸 の OM で与 え られ るとしよ う。 その場合,衣料生産 に用 い られ
る労働 ・土地比率 は, 0〟 よ り大 き く,食料生産 に用 い られ るその比率 は,
OM よ り小である なぜな ら,賃金 と地代 の比が両産業で同一であれば,食料
。
生産 と衣料生産の根本的な技術的違いのために,両要素を各産業 において同 じ
比率で利用す ることは,不適切だか らである。
(23) 2
3
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
ここで 0
〟 について考 えよう。 労働 の総量 と土地の総量の比率 は,各産業
に用い られ る労働 ・土地比率の加重平均であ り,加重の正確なウェイ トは,土
地の総量が両財の生産に利用 される比率である。 すなわち,土地の総量 -食料
用土地 +衣料用土地,労働 の総量-食料用労働 +衣料用労働だか ら,次のよう
に定式化で きる。 すなわち
oM-3
%
食 料 用 土 地
=土地の総 量
u
J
l
衣料用労働
軒
-wl・
茎 若諾望監 十W2・豪 審煎
衣料用土地
= 1-wl
土地の総量
したが って,例 えば, Q点 に示 され るクロスのように,各賃金 ・地代比率
が所与であれば,その点か ら水平に引いた直線 と二つの曲線 との交点 (
二つの
クロス) をみることで,食料 と衣料の生産における労働 ・土地比率の正 しい億
を得 られる
(
0〟 は必ず二つのクロスの真ん中に位置する)。
一国の要素価格比率はどのように変化す るのであろうか。 もしも両財が生産
されているならば, Q点は N′点 と N〝点の中間にある。 もし賃金 ・地代比率
が Ⅳ〝まで下落す るならば,衣料生産は完全 に消滅 し,食料生産のみ生産され
〟 となる。 逆 に,
る。 す なわち,食料生産における労働 と土地の使用比率は 0
もし賃金 ・地代比率が Ⅳ′に上昇す るならば,食料生産は完全 に消滅 し,衣料
生産 のみ生産され る。 す なわ ち,衣料生産 における労働 と土地の使用比率 は
0〟
となる。
さて自由貿易下において,各国 とも両財のい くらかを生産 しているなら,両
国間で共通の商品価格比率は,両国の最終均衡 における生産可能性 曲線の勾配
に等 しい 3)。すなわち,
3) もちろん 自由貿易が需要条件 を完全 に非局所化す るためには,輸送費がゼロであ ることが仮定
され なければな らない。す なわ ち 「
欧州 の消 費者の噂好が米国の生産者 に与 える影響 の方向は,
米 国の消費者の晴好が米国の生産者 に与 える影響 の方向 とまった くおな じになるので あ る。いず
れ の国 も 1,
財 の生産 に完全特化 しないか ぎ り,有効需要の両国間における最終的パ ター ンは,質
素価格均等化定理 になん らの影響 を も及ぼさない」 (
i
bi
d.
,邦訳79ペー ジ)0
第1
7
6巻
2
4 (2
4)
諾
露
=(認
第 1号
食料 の限界費用
諾 芸芸諾 )棉 -(衣料 の限界費用 )欧州
-d点 における勾配の絶対値 -B,
産における勾配の絶対値
最適生産量 の軌跡である 「
生産可能性 曲線」上の点で は,「
要素の限界代替
生産可能性 曲線」の各点 の 「
勾
率」 は二産業 の間で 「
均等」 にな る。 また 「
配」 は,衣料生産 と食料生産の間の労働 の限界生産性の比 に等 しい。同 じよう
生産可能性 曲線」の各点の 「
勾配」 は,衣料生産 と食料生産の間の土地
に,「
の限界生産性 の比 に等 しい。 これ は,二国間において 「
商品価格比率」が等 し
ければ,二国間において 「
要素価格比率」が等 しく,「同一の要素集約度のパ
ター ン」が生 じる。 したが って, 「
生産可能性 曲線」の 「
勾配」が両国で 「
同
要素価格比率」 も両国で 「同一」で なければな らない。
一」であるな らば,「
i
bi
d.
,邦訳7
480ページ)。
したが って 「
要素価格均等化 の定理」は成立す る (
3
) 「
要素価格均等化」の現実的限界
しか し注意すべ きことは,サ ミュエルソンが, こうした 「
要素価格均等化」
・の証明をな した ところで,それが現実的説明に大 きな限界 を もつ ことを正確 に
理解 してい ることであ る。 す なわ ち 「
われわれ は,おそ ら く証 明 しす ぎて し
まったの
で
はなかろ うか ? 歴史的過去のある諸時期 においては,完全障壁が
比較的軽微であ り,多数の地域 間でおおむね 自由貿易が達成 されていた ことも
ある。 しか し,そ うい う時期 において も,国際間で賃金および他 の要素価格 に
ついての大 きな差異が存続 し続 けたのである。 これは, どうや って説明 した ら
よいのだろ うか」(
i
bi
d"邦訳83ページ)。
サ ミュエルソンは,商品が 「
完全 に」 移動可能である状態 は現実的にはあ り
えず,た とえ商品が国際間を移動可能であるとして も,要素価格が均等化す る
必要性 は全 くない ことに言及 した。す なわち 「
商品が完全 に移動可能であると
い うことはあ りえない とい う,重要な事実がある。 輸送費はつねに存在す る し,
それは利潤 を伴 った貿易 を遂行す るための障害 になるのである。 産業の立地理
論の全体 は, まさにこの基本的事実 に立脚 しているのである。 商品が国際間を
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
(25) 2
5
移動す る場合 において, (
中略) もし,(
a)世界の異 なる地域 の要素賦春慶が極
ら)生産要素の使用比率が異 なる財 の間でほぼ等 しい
端 に異 なるか, また は,(
場合 には,生産の完全 な (
部分的でな く)地域的特化が起 こりえる。 この場合,
i
bi
d.
,邦訳 8
3
8
4ペー ジ)。 さ らにサ
要素価 格 が均 等 化 す る必 然性 はない」(
ミュエルソンは,一次同次的な生産関数の想定や要素比率の比較可能性 につい
て も懐疑的である。 す なわち 「
生産関数が世界中 どこで も同一であるとい う仮
定を設 けることは,はた して妥当であ り有用 なことであろ うか。 さらにまた,
世界 の多様 に異 なった地域で,生産要素が ほぼ同質で衡 りあ ってお り, した
が って要素比率 を定義 し比較す る とい うよ うな ことが はた して 可能であろ う
i
bi
d.
,邦訳8
7ページ)0
か」(
こうした 「
要素価格均等化」 の現実的限界 について,サ ミュエ ルソンは,
Sa
mue
l
s
o
n[
1
9
4
9
]
)で も再 び言 及 して,「要素
「
国際要素価格均等化再考」 (
i
bi
d.
,
価格均等化 に関 して包括 的な実践的結論 を引 き出す ことは危険である」(
邦訳 1
0
8ペー ジ) と述べた。す なわ ち 「これ らのむずか しい諸事実 に直面す る
と現存の人口分布がいかなる意味で も最適であるとか,あるいは自由貿易 を現
在 の地理上の不公平 に対す る万能薬 と考 えるのは軽率で あろ う」 (
i
bi
d.
,邦訳
1
0
9
1
1
0ページ)。
したが ってサ ミュエルソンは 「
要素価格均等化」を証明 したが,その現実政
莱-の適用 についで懐疑的であった。
2 ラーナ弓 こよる幾何学的証明 (
1
9
33年)
サ ミュエルソンと対照 して, ラーナ-はどのような問題意識 を持 ち, どのよ
うな方法で 「
要素価格均等化の定理」 を証明 したのであろうか。 まず動機だが,
Le
r
ne
r[
1
9
5
2
]
) をみ る限 り, ラー ナ←が どうして
「
要素価格 と国際貿易」 (
「
要素価格均等化の定理」を証明 しようと試みたのかについての記述 はみあた
らない。 したが って ここでは, ラーナ一による 「
要素価格均等化 の定理」 につ
いての証明手法のみを論 じよう。
26 (26)
第1
76巻
第 1号
1
) 国際貿易理論の仮定 と要素価格の諸カ
ラーナ-は,「
受 け入れ られている」伝統的な国際貿易理論の仮定 に依拠 し
て,(
aト (
d)
を仮定 し,(
e)
を新たな条件 として付 け加 えた。すなわち 「
(
a)要 素
b)最終生産物 (
完成 した商品) は費用がな くて も
は二国間で移動で きない,(
C)完全競争 ,(
d)二つの国,二つの商品,二つの要素だ
二国間を移動で きる,(
e)
二 国 間 において同 じ技術 的知識 が利用 で きる」 (
Le
r
ne
r
けが存在 す る,(
[
1
9
5
2
]p.6
7
)。
(
a)
か ら(
e)
の仮定をみる限 り, ラーナ-の手法は,なんら国際貿易の一般均衡
で仮定 され る議論の建て方 と同 じである。 しか しラーナ可 まそこに次のような
問題が潜んでいるとい う
。
すなわち 「これ らの考察を一見するならば, もし要
素価格が両国において均等でなければ,少な くとも商品の一つが 『
特化』され
る必要があることを提案で きるように思われる。 なぜなら, もし均衡 において
一方の国における一つの要素が他方の国に比べてよ り安 ければ,他方の要素が
よ り高 くなければならないか ら,あるいは最初の国が両方の商品を輸出 し,な
に も輸入 しないであろうか ら,である。 このことか ら以下のことを主張で きる。
すなわち,大部分がよ り安い要素か ら作 られている商品は, この国では,他の
国に比べれば,よ り低い費用 をもつであろう。 その結果,均衡条件は二国間の
,p.68)。
要素価格が少 しで も違えば覆える」 (
i
bi
d.
したが ってラーナ-は,伝統的な国際貿易 の仮定を眺めることで,「
要素価
格」の重要性 に気づ く。 彼 はこの問題意識を一般化 して次のようにまとめた。
すなわち 「これは,諸要素の希少性 における差異が国際貿易の背後にある諸力
である, とい う一般的な見方 と一致す るように思われる。 移動で きない諸要素
を輸出す る代わ りに,輸入される商品に比べて,よ り多い比率でよ り安い諸要
素の用役 を含んで輸出され る商品がある。 この動 きは,次のどちらかが達成 さ
a)完全特化がすで に到達 された状態,すなわち自
れ るまで続 く すなわち,(
。
国で生産され るいかなる商品に比べて,よ り安いこの要素をよ り多い比率で含
b)よ り安
み,外国で生産され る商品が存在 しない状態 にあ るか,あるいは,(
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
(2
7) 27
い要素の価格が,外国におけるその価格 と均等化す るまで上昇 した状態にある
。『それゆえ, もし両方の商品が両国において生産 され るならば,
か,である
均衡は二番 目の類型 にすなわち要素価格 は両国において均等でなければならな
上狛 (
i
bi
d"p.68,下線は引用者 による)。
2
) 要素価格均等化の議論 に対す る批判の混乱について
こうした 「
要素価格均等化」の議論 について,次のような反対意見がある。
すなわち 「もし諸要素の全ての量の間の比率が両国において異なっているなら
ば,要素価格が均等化す ることはあ り得 ない。なぜなら, もし要素価格が等 し
いならば,商品の生産において諸要素が結合される比率 も,均等 になる必要が
あ り,その結果 として,要素の一部 に利用 されない ものが残 り,その価格を変
化 させるか らである」(
i
bi
d,pp.6869)。
しか しラーナ-は, こうした反対 は 「ある特定商品の生産における諸要素の
間の比率」 と 「ある一国における諸要素量の間の比率」の間の混乱に基づいて
いる, とす る。
もし二つの国 1,
2において,商品 A と商品 Bが要素 X と Yか ら成立すれば,
そ して もし要素価格が二つの国で均等であれば,諸要素は各々の商品の生産に
とって両国では均等 な比率で結合 され る。 ここでた とえば,Xl単位 と Yl単
位 を結合 して,Al単位 を産出 し,Xl単位 と Y5単位 を結合 して,Bl単位 を
産出す ることに しよう。 その場合,各国における諸要素の間の比率 は, 1:1
と 1:5になる。 第-国において 1
00
X と 200Y存在 し,第二国において 1
00
X
と4
00Y存在す るな らば,A に対す る Bの配分 は第-国 よ りも第二国におけ
OO単位 と β1
00単位が
る方がよ り大 きい ことを意味す る。両国あわせて,AI
5
A と 25
B を生産 し,第二国は 2
5
A と 75B
作 られ る. す なわ ち,第-国は 7
生産す ることで,すべての要素が用い られ る。
こうした考 え方は,上述 したように,生産の固定係数を想定す る必要はない。
第 3図は,一国の諸要素が,その商品の数量の間の全ての比率 に対 して, どの
X と Oa
Y
ようにして二つ の商品の生産の間において分配 され るか を示す。 Oa
第1
7
6巻
28 (28)
第 1号
生産要素 X と Y
,商 品 A と B につ いて の
第 3図
「エ ッジ ワー ス ・ボ ックス ダイ アグ ラム」
X
'
A Xb
㌔
Oa
、
ゝー
Xa
X
B
にそって,商品 A の生産で利用 される X と Yの要素の数量が測定され る。 曲
線 A と他の同様 な曲線 は,Oaに対 して凸である商品 A の等生産量曲線である
。
おのおのの曲線 は,商品 A と同 じ数量を産み出す X と Yの様 々な結合 を示す。
曲線 A上の点 P は,Xの O
a
Xa
,Yの Oa
Y
aを生産す る点である。 すべ ての等
す
生産量 曲線 は,規模 において異なるだけで,形状 は同 じであると仮定す る (
なわも,生産関数が一次同次であ り,規模 の経済が存在 しない)
4
)
.他方,商品
B について も O
b
X'と Ob
Y′に原点 O b に対 して凸である 曲線 B における点
。
P は,Xの O
b
Xb
,Yの Ob
Yb
を生産す る点である。 この場合,A と Bの等生産
量 曲線が接す る点を結んだ O
a
POb
が,等量 曲線 の技術的知識 によって示 され
る商品の諸要素の可能な分配の全てを示す。 この曲線の上で示される生産が行
われる場所 は, この国において需要条件 と他の国によって貿易す ることを望む
ことに依存す る。 したが ってこの曲線は,いかなる商品の生産に可能な要素比
i
bi
d.
,pp.7卜7
2)。
率がその国に存在す る要素比率 と両立することを示す (
3) 要素価格均等化の議論の一般化 と図解の必要性
,
4
) ラーナ-は,脚注において,規模 の経済が存在す る場合 について も触れて 「
特化」す ること
J
J
e
r
ne
r[
1
9
52
]ド
.71
)0
について触れている (
(29) 2
9
アバ ・ラーナ- と外国貿易 (2)
ここで ラーナ-は上述の議論 を一般化す るために式 を与 える。Aと Bは商
品価格,X と Yは要素価格,K と Lは A一単位 を生産す るために用い られ る
X と Yの数量,M と N は B一単位 を生産す るために用 い られ る X と Yの数
量で あ り, 1と 2は国 を示す添 え字 としよ う。 以上 か ら均衡条件 は,次 の
(1)
式のように書 ける 。
Al
-KI
Xl+LI
Yl
-K2
x2+L2
Y
2
-A2
( 1
Bl
-MI
Xl+NI
Yl
-M2
x2+N2
Y
2
-B2
)
もし両国において要素価格が同 じであるならば, これ らの方程式は満たされ
る。なぜならこの場合において,各々の商品において利用 される諸要素の比率
は両国において均等 になる必要があ り,あらゆる添 え字 は消え,方程式は一致
,「要素価格均等化」
す るか らである。 す なわち, (1)式が満たされ るならば
は成立す る (
i
bi
d.
,p.7
2)。
しか しなが らラーナ-は,「
あ りそ うもない条件 」を考 えるならば,二つの
,
上で示された解決〕が,
理論的解決があることを示す。すなわち 「このこと 〔
唯一の解を求めるものではない。別 にもう二つの理論的解決があ りうる。 しか
しこれ らは,それ らが,我々が これまで議論 してきた抽象的な理論的問題 とそ
れ らを比較す るときでさえ,実践的関心 とい うよ りはむ しろ理論的関心である
と言われる方が よい,あ りそ うもない条件 に依拠 している」 (
i
bi
d.
,pp.7
273,
〔 〕は引用者 による)。
(
1) 相対的要素価格均等化の場合 (
ロビンソン夫人の場合)
,
一つは 「
要素比率が二つの商品にとって各国で同 じである場合」すなわち
「
相対的要素価格均等化」の場合である。 これは, ロビンソン夫人の問題提起
による議論で5
)
,要素比率が均等化す ることが全ての価格関係 に対 して当ては
5
) これは,時期 的にケ ンブ リッジと LSE の若手 の交流の中で, ロビンソン美人か ら提案 された
ことが推察で きる。すなわち 「アバ ・ラ-ナー (
当時 LSE の大学 院生であ った) に率い られた
代表団がケ ンブ リッジにや って きて,双方の若い世代が一緒 に集 ま り,彼 らの間で討論 を行 うこ
とを提案 したO (
中略) アバはケ ンブ リッジで-学期 を過 ごす 目的でや って きた。彼 はつね 日頃
か らグループの理論的指導者であ り,そ して, 自分が答えることので きないような議論 に遭遇 し
て苦 しんだ ことを きわめて率直 に認 めたO彼 は,精神 的な苦 悶の うちに-学期 を過 ご したあ/
第1
76巻
30 (3
0)
第 1号
まる必要がな く,均衡条件 に到達す る比率 にだけ当てはまる。 これ らの条件 は,
均衡 を十分 に確定 しない ことを示せ る。 も し吾 -若 君 - 告
かつ,そ
の条件 を充たす ような K,L,M,N を具体 的な数字で表す ならば,次の (2)
のような方程式が考 えられる。 すなわち,
Al
-2Xl+3Y1
-5x 2+2Y2-A2
B1
-4Xl
+6Y1-15x 2+6Y2-B2
(2)
しか しなが ら明 らかに, (2)の方程式 は,た とえ要素価格が どのようなもの
であって も,満たされない。 (1)の方程式 において, もし要素価格が両国にお
君 一昔 となる必要が生 じる。
いて同 じでなければ,必然的に 吾 -若
すなわち, もし二つの商品を生産す る技術的条件が同一であれば, この場合は
生 じる可能性がある (
i
bi
d.
,pp.7374)。
(
2) 代入的解決の場合 (
要素集約度逆転の場合)6)
もう一つの理論的解決は, (1)の方程式 を満たすように数字を代入する。 た
とえば,X1
-10,Yl-3,Kl
-3,L1
-16,N1
-20,X2-7,Y2
-5,K2-4,L2-
1
0,M2-5,N2-9とす るならば以下のような方程式 を得 る。 すなわち,
Al
-(
3×10)+(
16×3)-(
4×7)+(
10×5)-A2-78
Bl
-(
2×1
0)+(
20×3)-(
5×7)+(
9×5)-B2-80
(3)
この解決をここでは方程式を満たす ような数字 を代入 していることか ら 「
代
入的解決」と呼ぼ う。 これは,要素価格 も要素比率 も等 しくないにもかかわ ら
要素価格均等化」の議論
ず, (3)の方程式が満たされているか ら,上述 した 「
は誤 っていることを示す。
4
) 等量曲線 と生産費線 による証明
ラーナ-は,「
そのような解決 〔
代 入的解決〕が可能であ り得 る特殊 な条件
は,その間題 に関す る図解的取 り扱 いによって示 され るのが最善であろ う」
\と,貯蓄が必然的に投資に等 しい ことを確認 し, しば らくのあいだケインズの唯一の熱狂的な支
持者になった」 (
Robi
ns
on[
1
9
78
]p.xv
)0
6
) 次項で明 らかになるが, これは 「
要素集約度逆転の場合」である。 ここでは,次項 との関係か
ら,それについて括弧で付 してお く。
(31) 31
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
第 4図
al
要素価格均等化
bl a2
b2
〕は引用者 による) と述べ,そ うした反対 の議論 を反証す
「
要素価格均等化の証明」を 「
幾何学的」
「
図解的」に検討す る必要
るために,
(
i
bi
d.
,p.7
4
,〔
性を考えた。
(
1
) 要素価格均等化の模型
第 4図は,前節で示 した商品 A,Bの等量 曲線 を示す。等 しい技術的知識を
lか らAl
仮定 しているので,それ らは両国において適応で きる。X軸の alと b
2か らA2と B2 について生産費
と Blについて生産費線 をひき,X軸 の a2と b
線をひく。 前節 と同様 に,1と2は国を示す添え字であるか ら,前者の組 は,第
,
要素価禦
一国?
率 を,
.
禦 者 の組 は第二国の要素価格比率 を示す (
a1
,
接線 における点の調整 によって示 され るあ らゆ
% ・b
1- %
・b
2-i )
る要素の結合 は,接線 の傾 きによって示される価格比率 と全て同 じ価値 を もつ 。
号
a 2-
商品 1単位 の価値 はそれが統合される要素価値 に等 しいので,あるいは接線
のあ らゆ る点は同 じ価値 を表 しているので,第-国における A の 1単位 の数
lの価値 に
量の価値 は要素 X の alの価値 に等 しく,Bの 1単位 は要素 X の b
2
等 しい。それ と同様 に第二国 において,商品 A とB は X で示 され る a2と b
第1
7
6巻
32 (32)
第 1号
の価値 を示す。 したが って相対的な商品価格 は両国において同 じであるとい う
均衡条件 は,音 譜
の公式 によって示される (
相対的要素価格均等化)
。も
し要素価格が両国で同 じであれば, この条件はいかなる形状の曲線に対 して も,
すべての要素価格の関係に対 して も満たされる。 とい うのは平行な二組が一致
し,平行 な線 の一組は
l
-a2
,bl-b
2になるか らであ る 以上か ら図のよ う
a
。
に,均衡が達成 されて,要素価格均等化 の定理 は,若
によって示され る (
i
bi
d.
,pp.7
476)。
意
l
-a2
,b
l-b
2
, a
(
2) 「
相対的要素価格均等化」 と要素集約度逆 転
(
a) 「
相対的要素価格均等化」の場合
第 5図のように,要素価格が均等化 しな くて も,相対的な要素価格の比率が
)の(
1
)
で示 した
等 しくなれば,均衡 に到達す る可能性がある。 これは,前項 3
ロビンソン夫人による 「
相対的要素価格均等化」の場合である。 しか しこれ ら
丁上-掌
の条件 は到達す る均衡 に とって十分で はない. なぜ な らば,運
が,
b
l
b
2
O
A
l
】
O
A
2
)J
l
l=
蔽
う蒜 である場合,すなわち要素比率が同 じであ る場合だけにおいて
,p.76)。
成立す るか らである (
i
bi
d.
,「相対的要素価格均等化」の均衡可能性 について様 々な商品の
ラーナ-は
ら)
に
等生産量曲線,すなわち 「
要素集約度逆転」の場合 を検討 してい く。 次項(
C)
において,それを
おいて 「
要素集約度逆転」の場合を説明 して,再び次々項(
踏まえつつ
,「相対的要素価格」の場合 を再検討 しよう
。
(
b) 要素集約度逆転の場合
①
要素集約度逆転 において 「
要素価格均等化」 になる場合
ラーナ-は, どのような相対的要素価格であって も,一つの商品を生産す る
,「もっ
ために,その諸要素の一つが相対的に大 きい比率で利用 され る場合が
,p.77),第 6図を措いた. この図
ともあ りがちな場合」であると考 え (
i
bi
d.
は,Bが A に比べて,あ らゆ る要素比率 において,相対的 によ り大 きな比率
を用いている。
もし二つ の平行線が Al と Bl において引かれ るな らば,その傾 きが平行 な
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
第 5図
相対 的要素価格均等化
al
第 6図
(3
3) 3
3
b2a2
要素集約度逆転 と 「
要素価格均等化」
B2
の接線の傾 き>
Al
の接線
の傾き,OAl
の傾き>OBl
の傾きが成立 している場合,
最終的な均衡において,α
1
,
bi
,
a2
,
b
2
の相対的要素価格
比率は,曲線Aと曲線B
に引ける一つの接線の傾き
と同じになり, 「
要素価格
均等化」が成立する。
第1
76巻
34 (34)
第 7図
第 1号
要素集約度逆転 と均衡
A とBにおける要素集約度
がOSを境界として逆転す
る。K とLでは接線の傾き
が一致する.OSよりも・
上側
では,A よりもβの相対的
な要素価格は大きく,OSよ
りも下側では,その道である。
a2
,
b2
X
接線で どの ように選ばれ る として も, OAl は OBlに比べて急であ る。 原点か
らの どのような線 もA と B を ともに横切れば,Al と B2 において,B2 の接線
の傾 きはAlの接線 のそれ に比べ て急である. なぜ な らB2の接線 は,Bl の 左
にあ り,Bl の接線 と比べて急だか らである (
Bl とAlの接線 は平行であ る)。
,b
l,
a2,
b
2 の相対的要素価格
しか しなが ら,最終的な均衡 を考 え畠ならば,a l
比率は,曲線 A と曲線 B に引 ける一つの接線 の傾 きと同 じになるか ら,「
絶対
)の(1)
的」な 「
要素価格均等化」が成立す る。 したが って, この図形の場合 ,3
相対的要素価格均等化の場合 (
ロビンソン夫人の場合) ど(
2
)
代入的解決の場合
( 要
唯
一
②
素集約度逆転 の場合) の どち らに も当てはまらず
,「要素価格均等化」が
の解決である (
i
bi
d.
,pp.7
7二
78).
要素集約度が運転 して 均衡 す
る
場合 (
代 入的解決の場合)
第 7図は,A と B の二つの等量 曲線が C と Dで横切 り,Bが ノ
‖こ比べて大
きく凸になる場合であ る。 この図 において,K と Lで は接線 の傾 きが一致す
r
a
di
a
nt
s
るが,そ うした接線の傾 きが一致す る点を通過す る線 を 「
接点の放射 (
oft
a
nge
nc
y)
」 と呼ぶ。 この図 によれば, OSが 「
接点の放射」になるか ら,
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
(35) 35
OSよ りも上側で は,A よ りも B の相対 的な要素価格比率 は大 きく, OSよ り
S
も下側 で は, そ の逆 とな る したが って,A と B にお ける要素集約度が O
。
を境界 として運転 してい る。
)の(
2)
で示 した代入的解決 と同 じである (
す なわち具体的には,
この場合 は,3
al
-b
1
-普 ,a2
-b
2
-‡ とな る)。 しか しなが らラート は こうした解 決 は
他国におけるいかなる要
「
例外的」解決の一つであると主張す る。 す なわち 「
素価格関係 に対 して,おのおのの国において唯一の要素価格関係 において可能
であ り,用い られている要素の比率 における変化 は,両国の間 として要素価格
の相違 をただ釣 り合わせているだけである。 この解決 は,あ りそ うもない一致
i
bi
d.
,p.8
0)。
としてのみ明 らか に可能である」(
③
要素集約度が運転 して均衡す る場合
(三
回
交叉す る場合 :三カ国の場合)
次 に第 8図の よ うに,A と Bの二つの等量 曲線が三つ の箇所 C,D,E を樺
切 る場合 を考 えよ う。 この図 において,A とβ の どち らに も接す るよ うに三
つの接線 を引 けるので,第一国,第二国,第三国を想定で きる (
それぞれの添
え字 を 1- 3とす る)。いま原点か ら O
Sと OTの線 を引 くな らば,A とB と
接す るいかなる線 の接点 も O
Sよ り上 に存在 し,Blは Alよ り上 にある。 また
OSと OTの間 においては,B
2
は A2 よ り上 にあ る一方で, OTよ りT におい
ては,B3 は A3よ り下にある。 この場合,第一国 と第二国,そ して第二国 と第
三国を比較すれば,② の場合 と同 じとな り,均衡す る。 もし第-国 と第三国を
比較 して もその結果 は同 じである。 その場合,第-国 において要素 X の価格
は高い一方,第三国においてそれは低 い。 さ らに両国において商品 β をみれ
ば,商品 B は商品 Aに比べて X を多 く用 いてい る。 しか し両商品の価格 は要
素価格の変化 によって等 しく影響 され るか ら, この状態で均衡す る。 しか しな
が らラーナ弓 ま, この解決 もほ とん どあ りそ うもない偶然 な場合である, と主
張す る (
i
bi
d.
,pp.81
8
2
)。
(
C) 「
相対的要素価格均等化」 (
ロビンソン夫人の場合)亘登
上述の(
b)
の議論か ら,二つの等量 曲線が N 回交叉す る場合 を一般化で きる。
36 (3
6)
第1
76巻
第 8図
第 1号
要 素 集 約 度 逆 転 と均 衡 (
三 カ国の場合)
添 え字 1
,
2,
3は第一国,第二
国,第三国を示す。二 つの等
量 曲線 A と B が 三点 C,
D,E
で交叉し,「接 点 の放射 」OS
と0
7'を 2本引 くことがで き
る場合,「均衡」 す る
。
al,bl
a2,b2
X
a3,b3
すなわ ち 「
n回横切 る曲線 は,可能な共通接線が n本, OSと OTと呼ばれ る
『
接点の放射』が nl 本をもつ
。
いっそ う曲線が頻繁 に横切れば横切 るほど,
それ らは同 じような形状 になる必要があ る。 そ して我々は,それ らの曲線が
いっそ う頻繁に横切れば横切 るほど,それ らは形の上でだんだん密接 に近づい
てい く, と主張で きる。 それ らの曲線は,多 くの回数を横切 るとい うよ りはむ
しろ,同 じような形状 になることが考 えられ る」 (
i
bi
d"p.8
2
)。 したが って こ
a)「
相対的要素価格均等化 」
うした二つの等量 曲線が Ⅳ 回交叉す る考 え方を,(
の場合 に適用 して再考で きる。
上述 してきたように要素価格が両国において異なって均衡する場合 は,二つ
の曲線 に二つの共通接線 を引 ける。 この図 において B 曲線が,AlとA2にお
いてのみ接す る場合を考 えるな らば,第 9図のように措 ける。AlとA2は,β 1
と B2と同 じ点で重な りあい,Al
alと Bl
bl
、
,A2
a2と B2
b
2は一致す るか ら,「
接
(
Bl
)とA2
(
B2
)それぞれに引ける。 しか しこの場合
線 の放射」OSと OUを Al
は, これ らの間にもう一つの 「
接点の放射」OTを引ける。 したが って,上述
接点の放射」 は,二つ
の Ⅳ 回交叉す る一般化 の議論 をみ るならば, 3本の 「
アバ ・ラーナ- と外 国貿易 (2)
(37) 37
第 9図 相対的要素価格均等化 (
第 5図の別例)
の曲線が 4回交叉す ることを意味す るか ら,β曲線 は A 曲線 を 4つの場所で
均衡」は,二つの曲線
横切 らなければならない。すなわち,第 5図における 「
が同 じ形状 にならないならば, 4回交叉 しなければならない。 しか し第 9図か
接す る」だけである。 さらにこ
ら明 らかなように,B 曲線 は,A 曲線 に二度 「
均衡」が成立す る。すなわち,
うした偶然の一致 による形状 においてのみ,「
いかなる国において も,二つの要素価格比率 「
だけ」が存在することが これ ら
の均衡を可能 とす るが, これ らの一つだけが到達されるならば,均衡 は不可能
相対的要素価格均等化」は,「あ りそ うもない場合」で
である。 したが って,「
i
bi
d.
,pp.8
28
4)。
ある (
(
3) 結
論
以上か ら,我々は次のように結論で きる。すなわち 「
二つ (
あるいはそれ以
上)の商品が二つ (
あるいはそれ以上)の国でそれぞれ生産されているならば,
そ して両国間において商品が移動可能で,両国において同 じ技術的知識が利用
で きるならば,その とき,いかなる安定的なあるいは合理的に可能な均衡 にお
いて も,物質的に同様 な諸要素は,両国を移動で きない として も,各々の国に
第1
7
6巻
3
8 (3
8)
第 1号
おいて同 じ価格 を持つ 」 (
i
b
i
d.
,p.84)。
Ⅰ
I
l ラーナ -の先駆性 と限界
上述 の検討 を踏 まえれば, ラーナ-の証 明の先駆性 と限界 につ いて どの よ う
な ことを主張 で きるだ ろ うか。
まず ラー ナ- の証 明 の先駆性 につ い て考 えてみ よ う。 ラー ナ-の証 明 は,
「エ ッジワース ・ボ ックス ダイアグラム」 を利用 して,等量 曲線 と生産費線 を
「
幾何 学的」に措 くことによって, 2ヵ国以上 の場合 にまで言及 して,証明 し
てい る。 さ らに 「
要素価格均等化」が成立 しない 「
要素集約度逆転」 のケー ス
まで も触れ られ,その証 明手法 は 「
厳密」で あ る。 したが って, ラーナ-の証
明は,一次 同次 の生産 関数,完全競争 の条件下で は,完蟹 な幾何 学 的論証で あ
5年 も前 に証 明 され ていた, とい う
り, さ らにそれが サ ミュエ ル ソ ンよ りも1
要素価 格均等化 の証 明J に関す るラー
「
年代 的」 な先行事 実 をみ るな らば, 「
ナ←の先駆性 は,認 め られ るべ きで あ る。 しか しなが らサ ミュエ ル ソ ンに も
「
要素価 格均 等 化 」 に関す る功績 は,認 め られ るべ きで あ る。 なぜ な らば,
ラーナ- と全 く接 触 を持 たず に, 「エ ッジ ワー ス ・ボ ックス ダイアグラム」の
利用 に注意 しつつ,第 2図の よ うに 「
比率」 を用 いて,簡潔 にその証 明 を示 し
要素価格均等化 の証 明」 の市民権 は,両者 に認 め
たか らで あ る。 この意味で 「
られ るべ きで あ る。
次 にラーナ-の証 明の限界 について考 えてみ よ う。 ラーナ-は,サ ミュエ ル
,「規模 の経済」「収穫逓増 」 の存在 に注意 を払 いつつ も,その場
ソンと同様 に
,
合は 「
完全特化 」にな るか ら 「
要素価格均等化」 の証 明 その ものを取 り扱 う
ことがで きない, と考 えてい る。す なわ ち ラーナ-の証 明 は, 「
一次 同次」 的
な生産関数 と 「
規模 の経済」が存在 しない 「
非現実 的」 な国際貿易 に限定 して
,「強い仮定」に限定 された
い る。 この意味で, ラーナ-は
「
抽 象的」世界で,
「
要素価格均等化」 の証 明を完遂 した。 しか しこの ことは,裏 を返せば,証 明
の前提 になる 「
強い仮定」 その ものが 「
現実的」 に妥 当 しない とい う意味 にお
(3
9) 3
9
アバ ・ラーナ- と外国貿易 (2)
いて,その証明その ものが非現実的かつ未完成であることを指す。 したが って,
要素価格
「
要素価格均等化」の 「
証明」 はいまだ終わ っていないのであ り,「
均等化」の証明の市民権 は,両者 に認め られ るべ きではない。
Ⅰ
Ⅴ おわりに-
ラーナーの外国貿易論 は 「
空箱の分類」 であったのか
このようにラーナ-の議論 は,幾何学的分析 と限界条件 による頑強な理論構
造か ら構成 され,当時の国際貿易の分野 において,先駆 けた業績である。 しか
しこうした ラーナ-の外国貿易論 に対 して批判がある。 それは,現実世界 にお
いて, ラーナ-が考 えるような国際貿易理論 は 「
理想型」の世界 に過 ぎず,哩
論 と現実 に全 く緊張 関係 が存在 しない とい う批判で あ る7
)
。 しか しはた して
ラーナ-の外国貿易論 は理論上の精教化 を追求 した ものに過 ぎなか ったのであ
ろ うか。 この点 については,論文 (1) の冒頭で概説 した 『
統制 の経 済学』
(
Le
r
ne
r[
1
9
44
]) を考 えな くてはな らない。 なぜ な ら, この書 は, ラーナ-
6-2
9
章 において外 国貿易
が LSE に提 出 した博士論文であ り,それ と同時 に2
について記述 しているか らである。さらにこれ らの章 をみ るならば,本章で検
い ない ものの,記述的説明の中
討 して きた 「
幾何学的」説明は全 く措写 されて'
に需要条件 ・費用条件 ・要素価格均等化の定理 に関す る議論が含 まれている。
,「価格機構 に関す る諸原理」す なわち
ラーナ-の 「
理想」 は
「
限界費用 -
価格」 に依拠 した 「
限界原理」 に基づいて,「自由放任」 とは異 なる 「
経済的
自由主義」 を目指 した 「
理想的な」統制経済である
。
したが って,本稿で検討
′
作業 また
して きたようなラーナ-の外国貿易論 は,一見す ると 「
空箱の分類」
7
) 後年の ロビンソン夫人は, ラーナ-の需要条件 の論文 を取 りあげ,次 のように批判 したo「
理
論で前提 となっている仮定が現実での事実 と対応 していな くとも問題 とされなか ったのは,その
教理が都合良い と思われていたか らである。中心 となってい る考 え方は自由放任主義であって,
積極的な政策を処方す るとい うことは必要ではなか ったo政策 を適用 しなければならな くなるか
もしれない ような状態について研究す るとい うことを思 い煩 う必要はなか った。経済学者 は 空 箱
を分類す ることを楽 しんでいればよか ったのであ り,その空箱 をなにかのインフォメー シ ョ ン で
みたす必要性 を感 じないです んだのである」 (
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1
97]
]邦訳11ペ ー ジ , 下線 は引用 者 に
よる)。本稿 におけるラーナ-の 「
要素価格均等化 の証明」 においてロビンソン夫人が ラーナ一
に均衡条件 の提案を していた ことをみ るならば, ロビンソン夫人の対応ぶ りは興味深い。
4
0 (
4
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第1
7
6巻
第 1号
は 「
限界的な効率性 の必要条件 についての比類 な き音詩 」 (
Samuel
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on [
1964]
邦訳 3
0
4ページ) の ように見 えるが,実 は彼 自身が考 える 「
統制経済」 を措 く
ための 「
箱の分類」であった。 シ トフスキーは 「ラーナ-の心は分析的赦密 さ
で な く改革 の うちにあ った」 と述べ てい る (
Sci
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ky [
1998]p.1
68)。 ラー
統制経済」の視点か ら,様 々な現実の経済問題 を理論的に解決 しよ
ナ-が ,「
定規 」 と 「
鉛筆」 を用いて論 じ
うと, 自ら思い描 く現実像 を 「コンパス」 と 「
芸術 的な」幾何 学的分析 と限界条件が導出されたので は
てい ったか らこそ,「
ないだろ うか。
参 考 文 献
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