静 岡 県 立 富 士 高 校

特集●高校の 進 路 指 導 の「今」
静岡県立 富士高校
た進路指導を行っています。
い。そんな思いで、3年間を通し
要な学力を身につけて送り出した
路選択ができるよう後押しし、必
例えば、1年生には、夏休みに
設けています。
げて考えられるような場や機会を
る中で、自分の学びを社会とつな
年生は「学部・学科研究」を深め
5月【 学習と部活の両立 】適性検査/
講演会/学級懇談会
行っていますが、3年生の入試検
の分析や指導の検討は学年ごとに
試検討会」です。校内実力テスト
献について考えます。文理選択前
くことと社会のつながり、社会貢
いたり見学をしたりする中で、働
の企業や役所などに行き、話を聞
結果分析と生徒の志望校把握、そ
内実力テストを受け、教員はその
3年生は毎月のように模試や校
の両方に記入します(左上参照)
。
の生徒は、国公立大用と私立大用
に記入します。国公立大専願以外
までの志望校を国公立大用の用紙
ています。
学びと志望校検討の精緻化を図っ
す。本校ではこのように、生徒の
担任でさまざまな可能性を探りま
ろを裏付ける校内実力テストの結
こで活用するのが、生徒の伸びし
で決めてしまっていいものか。そ
すが、果たして2学期・秋の判定
ば楽ですし、生徒もそうしがちで
の偏差値です。判定に沿って書け
るのは、模試の判定や合格ライン
志望校の検討で生徒が参考にす
ターンを検討。
8クラスなので合計 人の出願パ
検討会」で、各クラスから5人、
向などの流行に左右される生徒、
昨今は、資格取得や就職先の動
だからです。
学部を数学で受験することも可能
を受験できますし、私立大の文系
ておけば、センター利用で私立大
二次試験受験を前提に学力をつけ
導をしています。センター試験と
験の記述対策に力を入れるよう指
らさず、最後まで国公立大二次試
「 志 の 高 い 大 学 」を
選ばせる
果です。採点をした教員は、記述
大学名というブランドを重視する
月【 文理選択 】大学訪問/学問研究/
教科登録/面談/模試/
学級懇談会
(*3)
/入試検討会
9月【 学習面の再検討 】仕事研究・
文理選択検討/課題テスト/生活実態
調査/進路講演会
8月【 職業理解 】OB講座
(卒業生の話)
/
職業レポート/職場体験/入試問題分析
7月【 家庭学習の充実 】
三者面談/
出張講義/進路適性検査/学問研究/
模試/入試検討会
4月
【
授
業
に
慣
れ
る
】
面
談/
生活実態調査
(*1)
/学力診断テスト/
課題テスト
(*2)
/入試検討会
3年間の進路指導の流れ
進路指導を充実させるしくみと
6月【 3年生を見る】夏休みの職場体験・
オープンキャンパス計画/土曜講座開始
もちづきのぶひろ●教職歴31年。同校赴任歴12年目。
進路課長。数学科。進路指導では
「生徒が自分の可能性
にチャレンジする」
ことを大事にしている。
職場体験を実施しています。地元
*高校提供の資料を基に作成
望月伸浩
進路課長
して 年以上続けているのが、「入
討会には全学年の教員全員が参加
えさせることが狙いです。
に、広い視野から学びの意義を考
分析、面談に向けた目線合わせな
また、2年生になると、書くこ
します。実力テストと模試結果の
ど、さまざまな生徒への指導ノウ
にしています。資料文を読んで自
とを通して考える力をつけるよう
出願パターンの検討を行い、生徒
分に引きつけて考え、視野を広げ
ハウを共有・蓄積するだけでなく、
の可能性を全教員で見極めます。
て捉え直し、その考えを文章でま
とめていきます。大学で学びたい
ことを起点にして、学部・学科研
究を深めてほしい。それが狙いで
学 びと 社 会 を
つな げ て 考 え る 指 導
3年間の進路指導において、1
す。
の検討を重ねていきます。
②担任と生徒が面接を重ね、 月
月の全教員参加の「入試
校を絞り込みます。
力や難問の解答ぶりなど、生徒や
生徒も見られます。生徒には常々
月【 実力テスト】学部・学科説明会/
実力テスト/模試
10
月【 冬期補講 】
三者面談/出張講義/
模試結果分析/入試検討会
11
1年
8月 【 志望学部・学科決定 】OB講座/
学部学科レポート作成/
オープンキャンパス
7月 【 家庭学習の充実 】模試/三者面談/
出張講義/入試検討会
6月 【 学習時間の確保 】土曜講座開始
5月 【 気持ちを引き締めて勉強 】
学部・学科 、大学入試調べ/講演会/
入試検討会/学級懇談会
(*3)
4月 【 講座別授業に慣れる】面談/
課題テスト/生活実態調査
3月 【 学習姿勢を崩さない】学力診断テスト/
模試分析/入試検討会
2月【 3年生の受験状況を知る】
進路学習振り返り/入試検討会
1月【 受験まであと2年を意識 】
センター
試 験を解 く / 模 試 / 入 試 検 討 会
12
オープンキャンパス
9月 【 気持ちの切り替え 】
レポート/課題テスト/
生活実態調査/模試分析/
進路講演会
月 【 教科選択 】大学・学部調べ/
教科選択説明会/生活実態調査振り
返り/面談/模試
(志望大明確化)
/
入試検討会/学級懇談会
(*3)
月 【 実力錬成 】志望校別集会/
実力テスト
月 【 自分の立 場意識 】小論文対策/
冬季補講/出張講義/三者面談/
模試分析/入試検討会
1月 【 受験まであと1年を意識 】
小論文対策/センター試験を解く/
課題テスト/模試/入試検討会
2月 3年生の受験状況を見る】
【
小論文対策/模試/
模試結果分析/入試検討会
3月 【 志望校検討 】学力診断テスト
4月 【 チャレンジ精神を持つ】進路オリエン
テーション/面談/実力テスト/
生活実態調査/志望校調査
5月 【 学習と部活両立 】講演会/
学級懇談会/入試検討会
6月 【 学習1本へ気持ちの切り替え 】
部活引退/放課後補講・土曜講座開始/
模試/実力テスト
7月 【 夏を完全制覇 】夏期補講/模試/
三者面談/入試検討会
8月 【 自分との戦いに勝つ】合宿補講/
模試/入試問題分析
センター出願/
9月 【 学習ペース堅持 】
放課後補講/実力テスト/面談/
生活実態調査/模試/進路講演会
センター出願/
月 【 志望校堅持 】
模試/入試検討会
月 【 粘り強く学習 】実力テスト/模試/
センター対策授業/面談
月 【センター対策 】
三者面談/冬期補講/
入試検討会
センター受験・自己
1月 【 粘り強く学習 】
採点/マーク練習会/センター直前
補講/ 三者面談/入試検討会
二次・私大直前補講/
2月 【 限界に挑戦 】
小論文指導/面談
3月 【 有終の美 】入試検討会
取材・文/山本直子 撮影/柳田隆司
【 】
内は進路目標 ■ 教員の行事 ■ 保護者向け行事
*1
:高校生活を送る方針を検討 *2:春休みの学習状況を把握
*3:生活実態調査の分析報告
教 員 全 員 で 生 徒の進 路 指 導 に 関 わ り 、
緻 密 に 志 望 校 を 検 討 し ていま す
3年 生 の 入 試 検 討 会 に
全教員が参加
本校が進路指導で大事にしてい
か」をしっかり考えさせることで
年生は「文理選択」に向けて、2
るのは、
「自分は何を学びたいの
す。教員は、生徒が納得のいく進
考えることもあるからです。
センター試験後に、志望校を冷
① 月までに、国公立大を志望す
る生徒は、センター試験の得点に
静に検討し直すことは正直難し
年3 回実施する三者面談の前
ま で に 現 実 的 な4 パ タ ー ン を 完
「 見 え な い 数 字 」を加味し
志 望 校 4パタ ー ン を 決 定
応じた〔ケースA〕から〔ケースD〕
に、3年生は担任と話し合い、何
成。
③
い。ですから、 月までに生徒と
を学びたいのかを明確にして志望
特に時間をかけ力を入れている
保護者には見えていない数字・学
「志の高い大学に行きなさい。そ
と話しています。志の高い大学は
本校では、生徒が受験科目を減
のは、2学期の志望校検討です。
力を把握しています。長年にわた
うした大学は入試科目が多く、記
高校で3年かけて培った学力をき
はありませんが、生徒もそういう
ドバイスをしています。
いなかった大学が合格可能性の高
観点で大学を選ぶようになってい
ちんと評価してくれます。全員で
い大学として提示されることで、
ます。
広げることもあります。検討して
生徒が目を向け、学びの可能性を
一方、模試判定が生徒の視野を
40
8
2016 8-9
2016 8-9
9
11
る本校の実力テストの分析結果、
進研模試でB判定とされる
偏差値を記入
10
静岡県立富士高校▲静岡県富士市▲1923 年に旧制中学校として開校▲全日制・
定時制・男女共学
(普通科、
理数科)生徒数 981名▲大学合格実績:国公立/ 206 名、
私立/常葉、法政、明治学院、芝浦工業、東京都市、日本、東京理科、中央、立命館、
明治、専修、千葉工業、駒澤、東洋、東京電機、立教、青山学院 他
述問題を多く出題する大学だよ」
各科目に目標点を記入
11
3
授業や添削の様子なども含めてア
受験する入試方式
(センター試験利用か一般入試か)
と募集定員を記入
2年
3年
実態
レポート
私立大専願者も、第1志望校を
〔ケースA〕
とし、
〔 ケースD〕
までの
4パターンを考える。
(偏差値3程度の違いを基準にする)
12
10
11
12
20
10
12
11
進路指導の
担 任と生 徒 が
話し合って
出 願 校を決 定