歴史言語学

授業名
歴史言語学
レベル
中上級
時限
2 時限
教室
未定
講師名
吉田 豊先生
所属
京都大学
講義の進め方
第1・2回:歴史言語学「これだけ知っていれば」
言語学の概説書の「歴史言語学」の章で扱われる内容です.
歴史・比較言語学で用いられる必須の概念や述語について
解説します.3回目以降の講義の導入にもなります.
第3回:音韻法則と比較言語学
言語が同系であることの証明と,同系統の言語の比較と祖
語の再建(外的・内的)の原理と方法について解説します.
第4回:音韻法則以外の音変化
音韻法則では説明できない音の変化,特に類推による変化
を扱います.音韻変化と形態論の関連を見ることにもなり
ます.音変化に関する言語学のジャーゴンについても解説
します.
第5回:言語変化の裏側:原因と背景
言語変化の原因としては通常,内的な原因(言語構造のひ
ずみの是正や,「使い込み」による文法化など)と外的な
要因(言語の接触)が考えられます.別に言語社会の中の
言語の不均質性も言語変化の背景にあるとされています.
第6回:言語接触
言語接触で扱われる伝統的なテーマの一つは借用語です.
借用語をめぐるいくつかの問題を扱います.また言語接触
によって新たに言語が生まれてくる事例(ピジン,クレオ
ール,混合言語)にも触れます.
参考書
日本語と英語で書かれた入門書・教科書を各2冊ずつ紹介し
ます.
風間喜代三『言語学の誕生』東京 岩波新書 1978
吉田和彦『言葉を復元する』東京 三省堂 1996
H. Schendl, Historical linguistics, Oxford, 2001.
J. Bybee, Language change, CUP 2015.
受講者への連絡事項
言語変化一般について扱う歴史言語学というテーマは存在
しえますが,多くの場合,研究者は個別の言語の歴史の専
門家で,文献に残された言語を研究しています.個別の言
語には個別の事情があって一般化することは難しいのです
が,それが言語の歴史を研究するおもしろみでもあります.