27年度 管内事故事例 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 1 目 次 <事例1> 電気設備点検作業中における感電死亡事故 <事例2> 清掃作業時における感電死亡事故 <事例3> 停電調査時における感電負傷事故 <事例4> デマンド監視装置取付作業時における感電負傷事故 <事例5> PCB含有機器調査時における感電負傷事故 <事例6> ヒューズ取替作業中におけるアーク負傷事故 <事例7> SOGの繰り返し投入による波及事故 <事例8> 高圧モータの電源接続端子部が短絡したことによる波及事故 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 2 <事例1> 電気設備点検作業中における感電死亡事故 【事故発生場所】三重県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】8月・晴れ 【使用電圧】:6,600V 【事故発生箇所】キュービクル内の高圧 ケーブルヘッド 【事故原因】作業方法不良 【被害内容】感電死亡 【経験年数】8年 (作業者) <事故概要> • 当該事業場は太陽光発電所である。 • 被災者は、電気管理技術者であり、月次点検のため、設置者から発電所の鍵、点検 記録簿を受領し、点検を行っていた。 • 設置者は、発電状況が確認できる発電モニターで発電が停止していることを覚知して いたが、一向に電気管理技術者から点検完了報告がないため発電所に出向いたとこ ろ、被災者が高圧受電盤に上半身を入れた状態で倒れているのを発見した。 • 救急車にて病院に搬送されたが、死亡が確認された。 • 警察による現場検証終了後、運転再開のために高圧ケーブルヘッド接続部を補修し 絶縁状況を確認し復旧させた。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 3 <事故原因> ・被災者は、キュービクル内の保護用アクリル板を 外し、高圧ケーブルヘッド接続部(白相)に接触し感 電したものと推定。 ・キュービクル内の電気機器銘板を確認するという 活線近接作業を予定しているのに保護具を着用し ていなかった。 感電箇所 <再発防止> ・服装、点検業務など基本作業を定めた作業マ ニュアルを作成し周知徹底 保護用 アクリル 板 流出箇所 (床) ・月次点検、緊急時対応における充電中キュービ クル内への立入禁止を徹底 ・活線近接作業時の保護具着用等基本ルール遵 守の再徹底 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 4 <事例2> 清掃作業時における感電死亡事故 【事故発生場所】三重県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】12月・晴れ 【使用電圧】:単相100V 【事故発生箇所】可搬型水中ポンプ 【事故原因】電気工作物不良 【被害内容】感電死亡 【経験年数】-年 (公衆) <事故概要> • 被災者は、老人福祉施設に勤務する介護・介助業務担当職員(臨時職員)であり、毎週 金曜日に行う浴室内清掃のため水中ポンプを使用し作業を開始していた。 • 施設1階監視盤の漏電警報が発報したため、職員が施設内を見回っていたところ、浴 槽内で仰向けに倒れている被災者を発見した。 • 職員が被災者を救助しようと浴槽内に手を入れたところ、ビリビリと電気が流れているこ とを感じたため、湯の排水に使用していた水中ポンプを浴槽から出した後、被災者を救 助して病院に搬送したが死亡が確認された。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 5 <事故原因> • 可搬型水中ポンプ上部の電源ケーブル引き 出し部が破損した可搬型水中ポンプを使用 したため、漏電により感電したものと推定。 • また、水中ポンプが未接地、漏電遮断器が 未設置であったことから漏電を防ぐことがで きなかった。 事故ポンプの破損状況 <再発防止> • 可搬型電気機器の定期点検及び使用前点検を 定め、異常の有無を確認し、不良なものは使用 禁止の表示、社内へ周知徹底 • 技術基準違反防止のため、電気工事する場合 には、電気主任技術者の審査・検査を受け、不 適合施設設置の防止 • 保安教育を通じ感電に対する意識の維持向上 事故ポンプと同型品 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 6 <事例3> 停電調査作業時における感電負傷事故 【所在地】長野県 【主任技術者選任形態】未選任 【事故発生月・天候】6月・晴れ 【使用電圧】6,600V 【事故発生箇所】高圧ヒューズ 【事故原因】被害者の過失 【被害内容】感電による負傷 【経験年数】-年(公衆) <事故概要> • 当該事業場は電気主任技術者未選任の高圧需要家である。 • 当事業場の経営管理者である被災者は、停電により設備が停止したことから停電原因 を点検調査していたが、高圧ヒューズの断線状況を確認しようとして高圧カットアウトに 内蔵されている高圧ヒューズの作動表示部付近を両手で触れたため感電した。 • 救急車にて病院に搬送され、一晩入院することとなった。 • なお、停電原因は高圧キュービクル内の高圧負荷開閉器に蛇が接触しため、高圧 ヒューズが動作したことによるもの。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 7 <事故原因> • 作業資格、知識がない者が、保護 具未装着、安全確認しないまま高 圧ヒューズの取扱いを行ったことに より感電負傷した。 • 高圧キュービクルに隙間があった ため、蛇が侵入した。 • 電気主任技術者が選任されておら ず、適切な操作・保守ができていな かった。 【蛇接触箇所】 <再発防止> • 電気主任技術者を選任する とともに、無資格者による操 作禁止を徹底 • 高圧キュービクル内への小 動物の侵入防止のため、隙 間の封鎖 【高圧カットアウト】 【操作したヒューズ】 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 8 <事例4> デマンド監視装置取付作業時における感電負傷事故 【所在地】岐阜県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】7月・晴れ 【使用電圧】6,600V 【事故発生箇所】高圧コンデンサ 【事故原因】作業準備不良 【被害内容】感電による負傷 【経験年数】-年(公衆) <事故概要> • 当該事業場は高圧需要家である。 • 被災者は、デマンド監視装置を取り付けるための通信事業者。 • 作業当日、保護具未着用で養生をしないまま、高圧キュービクル内の入線作業を実施 していたところ、高圧コンデンサに接触し感電負傷した。 • 救急車にて病院に搬送され、入院することとなった。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 9 <事故原因> • 高圧コンデンサに危険表示がなく、 充電部が露出していなければ感電 しないと思い込み、保護具を着用 することや養生することの必要性も 感じないまま、入線作業を実施した ため、高圧コンデンサに接触したも のと推定。 • デマンド監視装置を取付けることに ついて電気主任技術者への連絡 がなかった。 <再発防止> • アクリル保護カバーに危険表示の標 識の取付け • 電気主任技術者と連絡を密にすると ともに、作業内容を確認の上、必要 に応じ停電作業を実施 接触箇所 右肩から両膝・対側の手へ通電 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 10 <事例5> PCB含有機器調査時における感電負傷事故 【事故発生場所】長野県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】7月・晴れ 【使用電圧】6,600V 【事故発生箇所】高圧負荷開閉器 【事故原因】作業方法不良 【被害内容】感電による負傷 【経験年数】-年(公衆) <事故概要> • 当該事業場は高圧需要家である。 • 被災者はリース業者の職員であり、キュービクル内に設置されているPCB含有機器 の調査を行っていた。 • キュービクル内にあるすべての機器銘板を確認するためスマートフォンにて写真撮 影をしていたが、高圧負荷開閉器(LBS)の銘板を写真撮影をしようとした際に、LB S中相負荷側端子に触れて感電した。 • 救急車にて病院に搬送され、入院することとなった。 • なお、被災者は、電気に関する知識、経験がほとんどなく、調査時の服装は半袖ワイ シャツで保護具未着用であった。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 11 <事故原因> • 充電中のキュービクル内に写真撮影のため手 を入れた。 • 電気に関する知識、経験がほとんどないまま、 かつ、保護具着用など安全対策を怠った。 • 作業が停電の必要がなかったので、電気主任 技術者へ連絡しなかった。 <再発防止> • リース業者に対し作業手順の作成、作業指示 を行うなど安全管理の徹底を依頼 • キュービクルの扉を開閉する場合は電気主任 技術者へ連絡することを徹底 • キュービクル内に「高圧危険」、「電気主任技 術者へ連絡」を記載した注意喚起シールを貼 付 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 12 <事例6> ヒューズ取替作業中におけるアーク負傷事故 【事故発生場所】愛知県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】8月・晴れ 【使用電圧】3相200V 【事故発生箇所】カバー付きナイフスイッチ 【事故原因】作業方法不良 【被害内容】アークによる負傷 【経験年数】-年(公衆) <事故概要> • 当該事業場は高圧需要家である。 • 当該事業場製造部門の従業員である被災者は、カバー付きナイフスイッチの爪付き ヒューズ3本のうち2本が溶断したので、作業指示はないが過去にも取り替えたこと があったため自発的に取替作業を行った。 • 中性線のヒューズの取替えが終了し、R相のヒューズを取りかかったところ、火花と 大きな音がして、被災者の軍手が焦げ右手に火傷を負った。(右手中指3度、人差し 指・薬指2度の火傷) Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 13 <事故原因> • 過去はナイフスイッチのハンドルを「切」にしてから取替えを行った が、ハンドルを「入」にしたまま作業を行った。 • 本来はハンドルが「入」のままではヒューズカバーが開かないはずが、開放 できたこと。 <再発防止> • ヒューズ交換を行うときは必ず検 電器で無充電を確認 • ヒューズ交換は特別教育を受けた 者が実施 • 電気の安全に関する社内教育の 実施 • 電気主任技術者に相談して助言を 受けたうえで電気工事等を実施 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 14 <事例7> SOGの繰り返し投入による波及事故 【事故発生場所】静岡県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】5月・晴れ 【使用電圧】6,600V 【事故発生箇所】電力用コンデンサ 【事故原因】作業者の過失 【被害内容】供給支障33分間 【経験年数】- <事故概要> • 当該事業場は高圧需要家である。 • 事業場内が停電したため、設置者から依頼を受け復旧対応中の建物管理会社従業 員が、別の電気主任技術者から電話により指示を受け、SOGを投入したが変圧器 の励磁音が確認できなかった。 • このため、何度もSOGの投入・開放操作を何度も繰り返したが、受電できなかったた め、建物管理会社から外部委託先である電気保安法人へ連絡した。 • 電気保安法人が調査を行ったところ、電力用コンデンサの不良と判明した。 • なお、電力会社の配電線路は地絡継電器が動作したことにより停電し、波及事故と なった。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 15 <事故原因> • 電力用コンデンサの不良でSOGの地絡継電器は正常動作したものの、 建物管理担当者(電気担当)が、外部委託先の電気保安法人に連絡す ることなく原因調査を行い、SOGの投入操作を繰り返した。 <再発防止> • 電力用コンデンサの取替え • 緊急時における連絡体制の再教育を実施 • 建物管理会社に対し、緊急時の連絡体制及び電気事故の対応につい て教育を実施 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 16 <事例8> 高圧モータの電源接続端子部が短絡したことによる波及事故 【事故発生場所】三重県 【主任技術者選任形態】外部委託 【事故発生月・天候】11月・曇り 【使用電圧】6,600V 【事故発生箇所】高圧モータ 【事故原因】自然劣化 【被害内容】300kW、37分間 【経験年数】- <事故概要> • 当該事業場は高圧需要家である。 • 当事業場の高圧モータの電源接続部において高圧電線が接触し短絡し、構内引込第 1柱上のSOGは過電流を検知し開放したが、電力会社配電線路の途中に設置され たLCBは再閉路しない仕様となっていたため、波及事故となった。 • なお、受電用遮断器(VCB)、高圧モータへの送り出し用遮断器(VCB)の各保護継 電器は、短絡により動作しなかったため、それぞれのVCBも開放しなかった。 ※LCBとは配電線の亘長が長い場合に配電線の途中に施設し、過電流を検知した場合に開放する遮断器。配電線の亘 長が長い場合、末端で過電流となっても変電所で過電流を検知できない場合があるため配電線の途中に設置される。変 電所の過電流継電器よりも早く動作するため、自家用構内に設置される過電流保護継電器と同時に動作する場合がある。 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 17 <事故原因> • 電力会社の配電線のLCBは、再閉路 しない仕様となっているため、短絡によ り波及事故となった。 • 配電線にLCBの設置が知らされていな かったため、保護協調を図ることができ なかった。 <再発防止> • 受電用遮断器、高圧モータ送り出し遮断器 の過電流継電器整定値を見直し 【電源接続端子部の状況】 Copyright(c)Chubu Kinki Industrial Safety and Inspection Division All Rights Reserved 18
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