平成28年度 産業財産権制度各国比較調査研究等事業 「中東諸国における特許・実用新案・意匠・商標の審査運用の実態および 審査基準・審査マニュアルに関する調査研究報告」 仕 様 書 特許庁総務部国際政策課 1.件名 平成28年度産業財産権制度各国比較調査研究等事業「中東諸国における特許・実用 新案・意匠・商標の審査運用の実態および審査基準・審査マニュアルに関する調査研究」 2.調査研究の目的、必要性 産業財産権制度を経済・社会の変化、特に国際化の急速な進展に適応させるために、 一歩先を予測して制度に影響を与えると考えられる諸問題を取り上げ、これに関する世 界の主要各国・地域の現状と動向を調査し、併せて、現在の世界の制度に対して、国際 調和の観点からより望ましい制度を実現させるための施策作りの資料とすることを目 的として、産業財産権制度各国比較調査研究事業を実施している。 近年、国際的に産業財産権の重要性が広く認識され、とりわけ経済発展のめざましい 中東諸国での権利取得に対する関心が高まっている。我が国企業の中東諸国への進出を 支援していくにあたり、中東諸国における知的財産制度の運用状況や、主要先進国企業 の同地域での知的財産活動及びその成功事例等の情報を、我が国企業が知的財産戦略を 検討するための材料として把握しておく必要がある。また、我が国産業財産権ユーザが 同地域へ出願を検討する際、出願審査を経て適切・適時にオフィスアクションへ対応し ながら権利取得の予見性を高めることが重要であり、そのためには各産業財産権制度の 審査実務に精通する必要があるため、各審査実務の指針となる最新の審査基準・審査マ ニュアルを詳細に分析した情報は有益である。したがって、中東諸国に出願を行う我が 国産業財産権ユーザが、迅速・適切に権利を取得できるよう、各審査実務の運用の理解 に資することを目的として、中東諸国の最新の産業財産権審査基準・審査マニュアルに 関する詳細な情報を我が国産業財産権ユーザに提供する必要がある。 さらに、国際的な産業財産権ユーザにとっての産業財産権制度の利便性を向上させる ためにはその調和が望まれており、これを推進するには、法令レベルだけでなく、審査 実務の運用レベルにおける調和にも留意する必要がある。中東諸国では審査実務の具体 的な指針となる審査基準・審査マニュアルの十分な整備・公開がされている例が限定的 であるところ、我が国と親和性の高い審査実務が実現されるよう、審査基準・審査マニ ュアルの整備に際しては、我が国の審査基準が積極的に参照されることも期待される。 そこで、中東諸国への我が国審査基準の情報発信も意識しつつ、施策の基礎資料として 中東諸国の審査基準・審査マニュアルの位置付けや枠組み、コンテンツ構成等の現状分 析を行う必要があるが、上述の点について体系的に情報を収集し、分析したものは存在 しない。 以上を踏まえ、本調査研究では、我が国の中東諸国への審査実務面における支援の在 り方や、我が国企業が中東諸国において取るべき知財戦略等を検討する際の基礎資料と するために、中東諸国における知的財産権制度の運用実態等の調査・分析をすることを 1 目的とする。 3.調査研究内容 (1)調査対象国(地域) 以下の国(地域)を調査対象とする。 湾岸協力理事会(GCC)、トルコ、イスラエル、イラン、アラブ首長国連邦、バーレ ーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト (2)調査研究の対象項目 ①調査対象国(地域)における、特許・実用新案・意匠・商標それぞれの審査運用の実 態について、少なくとも以下に記載した項目について調査し、分析を行う。 ア 法令等整備状況 産業財産権制度に関する法令、その他関連法令、登録制度の所管部局やその人的体制、 審査官向けの審査基準、出願人向けのガイドライン及び主要な判決等、制度の枠組及び 運用に関する情報、及び産業財産権制度見直しの時期とその方向性に関する情報 イ 基礎情報および統計情報 各調査国の経済的・文化的基礎情報、および直近5年間における産業財産権の登録出願 数及び登録件数(可能であれば国籍別、分類別及び出願数等の上位出願人を含む)、審 査官数、審査にかかる期間及び審査通知や最終処分の内訳並びに審判請求数、審判請求 理由、行政不服訴訟及び民事訴訟数等の統計情報等、出願、審査に関する統計情報 ウ 登録制度の枠組み 保護の対象、権利期間及び権利の効力範囲、使用分類、出願日認定要件、優先権、新規 性の喪失の例外規定(グレースピリオド)、登録要件、無効理由、第三者による情報提 供制度、出願公開制度、秘密特許制度、公開繰延又は秘密意匠制度、分割出願制度、出 願変更制度、権利付与前の異議申立制度、権利付与後の異議申立制度及び無効審判制度、 拒絶査定不服審判制度及びその他の審判制度等、権利保護の枠組に関する情報 エ 登録を受け、維持するための手続き 出願のための手続、用いることができる言語、翻訳文提出要件、優先権を主張するため の手続、拒絶理由通知に対する応答手続(意見書、補正書)、新規性の喪失の例外規定 (グレースピリオド)の効果を受けるための手続、早期審査を受けるための要件及びそ 2 のための手続並びに出願時、出願後登録まで、及び登録後権利を維持するために支払う 手数料等及び官庁への手数料等の支払いのために用いることのできる精算手段等、登録 を受けるため、及び権利を維持するための手続及びこれに関連する情報 オ 審査業務内容 審査業務を行う体制(業務分担、決裁権限等)、登録前に行う実体審査の範囲、方式審 査業務、分類付与に関する業務(分類を付与する業務及び出願人が付与した分類が不適 切な場合の業務等)、審査順の定め方、外国庁または外部機関(研究所等)への審査の 委託、登録前に知財官庁が行う審査等の内容及び不登録事由、知財庁からの不登録事由 に関する通知内容及び出願人による不備の治癒、権利の有効性又はサーチレポートの作 成の有無に関する情報 カ その他産業財産権制度の運用等に関する情報 知財に関する政策・戦略、審査等の業務内容に関する品質監理体制・手法、審査官を育 成するための研修、産業財産権制度に関する海外知的財産庁との会合、同制度に関する 外国からの物的支援及び研修等の提供、その他同制度に関し海外の機関から受けている 支援(交通費支援等)、今後外国からの支援の強化を望むこと、模倣品対策に関する国 内関係部署(裁判所・税関・警察)との連携、同制度の利用促進や活用支援に関する取 り組み(ユーザ向け説明会、研修、各種料金の減免・補助金等)に関する情報 ②調査対象国(地域)における、特許・実用新案・意匠・商標それぞれの審査基準及び 審査マニュアルの内容、枠組み、位置づけ及びその運用に関し、少なくとも以下に記載 した項目について調査し、分析等を行う。 ア 審査基準等 各国(地域)における審査基準の内容、審査の指針や手順を示したマニュアル及び審査 の指針に関連する資料の相互的位置付けや審査基準との関係、その他各産業財産権特有 の審査基準等。 イ 運用等 審査基準・審査マニュアルの機能(法的な拘束力を有するか、参考情報程度に参照され るものか)、基準制定・改訂のプロセス、複数の審査官による合議、出願人・代理人と の面接、審査官による補正の示唆、拒絶理由通知の仕方・様式その他各産業財産権特有 の運用等。 ウ その他、本調査研究の趣旨から、比較分析することが必要であると考えられる事項 (3)調査研究手法 3 上記3.(2)で挙げた各項目およびその他調査実施項目について、以下に沿って調 査研究を行う。 ① 国内外文献調査 書籍、論文、及びインターネット情報等を利用して、上記3.(2)で挙げた各項目 にかかわらず網羅的に各国(地域)の産業財産権制度運用実態の情報、審査基準と審査 マニュアル等を入手し、公表の可否について確認する。内規等も可能な限り入手する。 その上で、3.(2)で挙げた項目に関する情報を収集し、整理・分析する。 収集した外国語文献については、調査項目に該当する範囲について日本語に翻訳する こと。文献調査に当たっては、調査文献・調査項目について、庁担当者に提示の上、承 認を得ること。 ② 海外質問票調査 英語で作成した質問票を、調査対象各国(地域)の知的財産権担当官庁及び法律事務 所等へ送付し、回収した質問票から得られた結果を日本語に翻訳し、各国(地域)の制 度・運用について整理・分析する。 質問票送付先との連絡調整を行い、質問票の作成に当たっては、調査項目・質問事項 について、庁担当者に提示の上、承認を得ること。 ③ 海外ヒアリング調査 文献調査・質問票による調査結果を踏まえて、さらに詳細な調査を行うため、調査項 目について各知的財産権担当官庁にヒアリングをし、判例や文献の調査結果と実務の状 況等について整理・分析する。なおヒアリングは以下の要領に則って行うこと。 ア 調査対象国(地域)のうち少なくとも3~4ヶ国程度は、担当研究員が直接現地知 的財産権担当官庁に赴き、ヒアリングを行うこと。 イ 調査対象各国のうち、治安の悪化等やむを得ない事情により担当研究員の渡航が難 しいと判断される国については、現地または近隣の法律事務所等に委託のうえヒアリン グを行うこと。 ウ 調査項目の設定に当たっては、庁担当者と事前に協議して承認を得ること。また、 ヒアリング結果については概要をまとめること。 4.調査研究報告書の作成 (1)報告書の作成にあたっては、取りまとめの観点や形式の案を庁担当者に提示し、 4 承認を得ること。 (2)文献調査・質問票調査・ヒアリング調査で得られた結果をもとに、各国(地域) の特質を比較・分析し、3.(2)で挙げた項目について、調査対象国(地域) ごとに産業財産権制度運用実態、審査基準の整備状況及び運用の実態を取りまと める。 (3)取りまとめた内容に基づき、調査対象国(地域)ごとの審査基準の態様・運用の 相違を一覧できる概括表を作成すること。 (4)参考資料として、収集した情報の抜粋を調査対象国(地域)ごとに整理すること。 このとき、公表できない資料についてはその旨併記すること。また、英語で記載 された情報については、日本語の対訳を付した上で整理し、日本語、英語以外の 言語で記載された情報については、日本語で整理すること。 (5)報告書の概要を作成すること。 5.人的体制 (1)本調査研究に関して、調査を実施するとともに専門的な視点からの検討、分析を するために、本調査研究分野に専門的な知見を有する者(以下「研究員」という。) を配置することが望ましい。具体的に研究員は、我が国および調査対象国の産業 財産権を含む知的財産制度・運用に対して十分な知見・実務経験を有するととも に、知財をめぐる国際的議論や調査対象国の産業財産権制度の運用実態について も知見・実務経験を有している者が望ましい。 (2)また、研究員は、知的財産制度に対して十分な知見を有する「学識経験者」、「法 律家(弁護士、弁理士)」それぞれ1名以上から、調査研究の各段階で監修・助 言を受けること。なお、上記研究員のうち少なくとも1名を庁担当者からの連 絡・調整担当とし、庁担当者からの問い合わせ等に直接的、迅速かつ的確に対応 できる体制を整備すること。 6.調査研究に当たっての留意事項 (1)調査研究開始日から報告書納入日までの本調査研究にかかる全体スケジュール、 調査研究体制、実施機関の連絡体制等について、契約締結後、速やかに庁担当者 に書面にて説明すること。 5 (2)調査研究進捗状況は、庁担当者の指示する形式・頻度にて報告すること。場合に より、庁関係者に対し、中間的な報告を実施することもある。 (3)調査研究内容については、庁担当者と十分な打ち合わせを行うこと。 (4)調査研究を進めるに際し、常に案を作成・提案し、必ず庁担当者の承認を得るこ と。変更が生じた場合は、速やかに報告し、庁担当者の指示に従うこと。 (5)庁担当者に提示する資料を用意すること。 (6)報告書の納入前において、本調査研究で得られた情報について、庁担当者が、必 要があると判断する場合には、その指示に従い、必要なデータを庁担当者に提供 すること。 (7)納入時に納入物及び提出物の報告書等の著作物の著作権は特許庁に帰属するもの とし、著作者人格権の行使は行わないものとする。ただし、報告書等を執筆した 者については、当該報告書等からの引用である旨付記することを条件に執筆部分 に限り複製、翻訳、翻案等の形で利用することを可能とする。 (8)報告書等に掲載する図面、写真、文章等を他の文献から転載する場合には、出典 を明記するとともに、著作権者から転載許諾を得ること。また転載許諾を得た図 面、写真、文章等の情報を一覧にまとめ、転載許諾書の写しとともに、特許庁に 提出すること。転載許諾等の手続がなされているものに関しての原著作物の著作 権は原著作(権)者が引き続きこれを有する。また、報告書等に掲載する図面、 写真、文章等を他の文献から引用する場合には、適切な著作権処理を行い、正当 な引用であることを庁担当者に報告すること。なお、これらに拠りがたい場合に は、庁担当者に報告し、承認を得ること。 (9)調査研究により知り得た情報を許可なく外部に漏らし又は他の目的に使用しない こと。 (10)調査の過程で、各資料の公表の可否について確認し、公表できない資料が含ま れる場合には、その旨を庁担当者に報告すること。また、電子ファイルについて 公表できる内容のみの場合と、公表できない内容も含む場合とで、2種の調査結 果を納入すること。 (11)納入物等を作成する際、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(平成2 8年2月2日変更閣議決定)」に配慮すること。 6 (12)その他、詳細については、庁担当者の指示に従うこと。 7.提出物 (1)著作権転載許諾一覧及び転載許諾書の写し ※著作権者から許諾を得る必要があった場合のみ ・紙媒体 1部 ・電子ファイル(CD-R又はDVD-Rのいずれかの媒体に収納した電子データ)P DF形式 1部 (2)各調査の調査結果等 庁担当者の求めに応じ、各調査の調査結果等を電子データ(MS-Word形式、M S-Excel形式)で提出すること。(提出方法については、庁担当者の指示に従う こと。) また、文献調査等で利用したウェブサイトや文献の一覧と、そのアクセスリスト(ア クセス先のURL、最終アクセス日時を記載したリスト)を電子データ(MS-Wor d形式)で提出すること。(提出方法については、庁担当者の指示に従うこと。) 8.納入物 調査研究報告書 ・紙媒体(両面印刷A4、くるみ製本) 20部 ・電子ファイル (CD-R又はDVD-Rのいずれかの媒体に収納した電子データ) MS-Word形式、PDF形式の両方 一式 ※納入に当たっては、テーマ名(件名)を報告書(表紙及び背表紙)、電子ファイルに 記載すること。 9.納入期限 平成29年3月24日(金) 10.納入場所 特許庁総務部国際政策課国際班 7
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