特集●高校の 進 路 指 導 の「今」 滋賀県立 守山高校 進学先だけではなく、 将来の「生き方指導」に の進路指導のスタンスです。 えていってもらう。これが、本校 を、爆発的な力を発揮して乗り越 を引き出し、受験というハードル することで、生徒の潜在的な能力 けて刺激を与えていきます。そう あらゆる情報を集め、生徒にぶつ インに立てるようにしています。 てから速やかに受験のスタートラ の取り組みにより、3年生になっ 1・2年生から始まる長期スパン た」と生徒は言います。こうした クでの体験を思い出してがんばれ しんどい時期も、フィールドワー 進路に強く影響します。 「受験で 「家」より「夢」に近い大学 をめざせと生徒を指導 具体的には、まず1年次の9月 に職業別ガイダンスを実施し、 月にかけて文理選択の最終確認を 行います。2年次には秋に大学教 *高校提供の資料を基に作成 3年間の進路指導の流れ (以下スタサポ) / 4月 スタディーサポート 先輩パネルディスカッション/ 「SGH探求 」ガイダンス/面談 5月 「 進路の手引き」発行/進路学習 (文理 選択研究) /カリキュラム説明会/ 保護者向けカリキュラム説明会/ PTA教育懇談会 6月 文理選択/科目選択希望提出 7月 記述模試/進路LHR/ 保護者三者懇談会 8月 高大連携講座/オープンキャンパス/ 大学見学会/体験入学等への参加 9月 模擬試験分析会/職業別ガイダンス 分科会/進路LHR/進路講話/面談 月 進路学習 (外を見る) /進路希望調査 (内を見る) / 月 記述模試/進路学習 2年次文理選択科目最終確認/面談 月 模擬試験分析会/保護者三者懇談会 「仕掛ける」進路指導です。生徒 本校の進路指導の方針は教員が 激があります。自分が将来就きた 業などを訪問するため、大きな刺 ドワークは、生徒自ら交渉して企 この中で特に2年次のフィール 演習に特化します。 かないケースが出てくるからで 学を選んでしまうと、入学後に続 いと言います。行ける、入れる大 り「夢」に近い大学を志望しなさ させています。その際、 「家」よ ことを考えたうえで、大学を検討 6月 総学 (個人テーマ、 フィールドワーク先 検討) /夏休みフィールドワーク準備/ コース、選択科目の希望提出 5月 「 進路の手引き」発行/ 生徒カリキュラム説明会 4月 総学ガイダンス/スタサポ/進路LHR /第1回進路希望調査/面談 2年次の7月頃から志望大を書 が将来の夢に向かって目の前の課 い職業を考えるきっかけになり、 を確認しています。模試の結果は、 員を招いて出前講義をしてもら 1月 進路LHR/記述模試/ 職業別ガイダンス全体会 題をクリアするために、教員自ら 人のせいにしたくなるからです。 高校にとっての成績表みたいなも かせています。 「入れる大学」で す。我々高校教員は、 「大学に入っ このように3年間を通じて綿密 の。教科指導の方針を決める判断 い、興味ある大学や企業へフィー 2月 模擬試験分析会 てからもがんばれる生徒」を育て な進路指導計画を立てるのは、テ 材料としても活用しています。 はなく、 「行きたい大学」を書く るのが任務です。決して、合格し クニックに偏った指導を避けるた ルドワークに出かけます。こうし たらおしまいではありません。 めです。将来、生徒や学生がどん 3月 スタサポ/小論文作成/進路講話 とはいえ、将来やりたいことを な職業に就いたとしてもやってい 月 進路講話/PTA教育懇談会/ 大学模擬講義 (出前講義) / フィールドワークの諸準備/面談 9月 模擬試験分析会/進路LHR/ フィールドワークの諸準備/ 進路LHR (外を見る) / 第2回進路希望調査 8月 夏休みフィールドワーク/高大連携講座 /オープンキャンパス/大学見学会/ 体験入学等への参加講話 7月 記述模試/保護者三者懇談会 はっきりと言える生徒は全体の6 ける十分な力を備えさせる、それ 進路指導の要である面談は担任 進 路 指 導の根 幹 は 社 会 で の「 生 き 方 指 導 」 〜7割。残りは何をしたらいいか が高校や大学の教育機関としての 月 記述模試/進路LHR (内を見る) / 総学 (フィールドワーク、個人テーマの まとめと発表準備) /3年次文理選択 ・科目選択希望最終確認 月 総学 (個人テーマのまとめと発表準備) /模擬試験分析会/保護者三者懇談会 2月 総学 (フィールドワーク個人発表会) / 総学 (フィールドワーク学年発表会) / 小論文学習/模擬試験分析会 1月 チャレンジセンター試験/記述模試/ 個人テーマのまとめと発表準備/ 小論文学習/進路LHR/ 高2東大レベル模試 には、本校全体の意見や思いが反 研究をしているのか、大学に関す 分野について、どの学部でどんな じます。生徒たちには、興味ある 何を学べるのかわかりにくいと感 新しい学部学科は、名前を見ても 最近の大学の傾向として、特に 進路指導とは、社会に出てから 取っています。 こうした我々の姿勢を敏感に感じ 成に関与しています。生徒たちも アップしながら、がんばる力の育 般を「オール守高教員」でバック 進路指導だけではなく学校生活全 リアしていくために、教科指導や 月 セ ン タ ー 試 験 出 願 / 記 述 模 試 / マーク模試/記述模試/ 総学 (レポート (論文) のシェア) / 小論文個別添削指導/面接個別指導 /大学別入試実戦模試/ 大学別オープン模試 9月 進路講話/指定校推薦公示/ 総学 (レポート (論文) の作成開始) / 小論文特別講座/センター試験出願 書類提出/マーク模試/小論文模試 8月 高大連携講座/オープンキャンパス/ 大学見学会/体験入学等への参加/ マーク模試/進路講話 7月 記述模試/進路LHR/小論文模試 /マーク模試/三者面談/ 保護者三者懇談会 6月 小論文学習/小論文模試/マーク模試 /進路講話/PTA教育懇談会/ 第1回志望校検討会 5月 「 進路の手引き」発行/小論文学習 4月 進路希望調査/進路講話および 総学ガイダンス/小論文添削返却/ 進路講話/記述模試/面談 3月 マーク模試/小論文学習/ 小論文模試/進路講話 が行います。ですが、担任の言葉 10 11 映されるようにしています。生徒 る情報誌や大学のホームページを どれだけ人の役に立てるか、人を たちが夢の実現に向けて課題をク 閲覧するなど、きちんと調べるよ 幸せにできるかを考えさせる「生 模 試 で 学 習 リ ズム を つ け 学 校 全 体の習 熟 度 も 確 認 わからない状態です。将来を迷う よう指導し、生徒たちが学びたい いまがわえいじ●教職歴28年。同校に赴任して7年目。 進路指導部主任1年目。 6名の進路指導担当教員と共に 全学年の指導を推進。 役割ではないでしょうか。 すなど正面から向き合います。そ のうえで必ず「進路は自分で決め ろ」と言っています。なぜなら人 の言う通りに動くと、どうしても は自由でアカデミックな研究の場 き方指導」だと考えます。誰もが うに指導しています。また、大学 であることを感じてほしいので、 しても、だからこそ単に高校卒業 楽に大学に入れる時代であったと 加するように指導しています。 させるのです。きれいごとだと思 後の進路を決めるのではなく、生 われるでしょうが、きれいごとな 模試については1年次から実施 模試の実施後、 全教員による「模 養ってもらいたいからです。 くして指導は進められません。進 徒のやりたいことから始まり、将 擬試験分析会」を開いています。 路指導には生徒たちの尊い夢と将 します。早期から導入する理由は、 得点率の経年変化や教科別の弱点 来がかかっているのですから。 来どうやって生きていくかを考え などを把握し、学年ごとの習熟度 入試に備えて学習リズムや体力を 積極的にオープンキャンパスに参 2年 月 マーク模試/進路学習 (受験プランを 考えよう) /小論文個別添削指導/ 面接個別指導/大学別入試実戦模試/ 大学別オープン模試/センタープレ 月 特別編成授業開始/ 第2回志望校検討会/センタープレ /三者面談/保護者三者懇談会 2月 小論文個別添削指導/面接個別指導 1月 大学入試センター試験自己採点/ 自宅学習期間開始/個別入試対策 補習開始/第3回志望校 (出願校) 検討会/国公立大学出願/三者面談 /保護者三者懇談会 3年 取材・文/友田千恵 撮影/山北茜(スタジオ エレニッシュ) ■ 教員の行事 ■ 保護者向け行事 今川栄司 進路指導部主任 5 生徒に対して我々は面談を繰り返 た経験を重ねて、3年次は入試の 1年 実態 レポート 「 仕 掛 け る 」進 路 指 導 で 生 徒の意 識 を 刺 激 す る 11 10 12 10 12 2016 8-9 2016 8-9 13 滋賀県立守山高校▲滋賀県守山市▲1963 年開校▲全日制・男女共学(普通科) 生徒数 818 名▲2003 年開校した守山中学校を併設▲大学合格実績:国公立/ 102 名 私立/立命館、同志社、龍谷、京都産業、関西、京都女子、佛教、近畿、摂南、 同志社女子 他 FINE SYSTEMは模試の受験結果をパソコンで管理・活用で きる指導支援ツール。 「模擬試験分析会」 だけではなく、生徒一 人ひとりの成績推移などを教員は都度確認している。資料作成 機能を使い、教員同士の目線合わせや生徒との面談に模試の データを活用している。 12 10 11 12 進路指導の つながる進路指導をめざす FINE SYSTEMの活用による綿密な模試分析
© Copyright 2024 ExpyDoc