本州2例目・冬鳥ミヤマホオジロが三瓶山で繁殖! 1.概要 このたび、国立公園三瓶山において島根県内2例目(国内4例目)となるミヤマホオ ジロの繁殖を確認しました。 ミヤマホオジロは、2015 年に隠岐島(海士町と西ノ島町)において繁殖が確認されま したが、本州では、1993 年に広島県の臥竜山(がりゅうさん)において雛が 4 羽入って いる巣が発見されて以降、23 年ぶりの繁殖確認となります。 今回は、巣立ち後、そう日数が経過していない幼鳥4羽(全身が幼羽に覆われている)、 一部が冬羽に換羽している幼鳥1羽、そして繁殖中と思われるメス成鳥1羽の、合計6 羽が確認されました。 2.ミヤマホオジロとは ミヤマホオジロは、中国北東部から中部、朝鮮半島で繁殖し、日本や台湾などで越冬 するとされてきた渡り鳥です。日本では冬鳥として西日本に多く飛来し、中山間地から 平野部の雑木林などの林縁で普通に見られます。 本種は、雌雄ともに頭頂に冠羽があり、オスは顔と胸が黒く、頭部と喉が鮮やかな黄 色、腹部が白く美しいホオジロの仲間です。メスは、オスとは異なってやや地味な色合 いです。 本種の繁殖は、日本国内ではほとんど確認されておらず、1967 年に長崎県の対馬で巣 立ちしたばかりの幼鳥が 5 羽確認されたほか、1993 年に広島県で 1 例、そして 2015 年 夏、隠岐島での確認が 3 例目でした。 3.経緯 2014 年6月 三瓶山においてオスのさえずりが、三木敏史氏(兵庫県在住)により、 観察・撮影(図1)され、繁殖の可能性が示唆された。 2016 年8月 島根県立三瓶自然館(指定管理団体:公益財団法人しまね自然と環境 財団)が、鳥類標識調査員の市橋直規氏(米子市在住)と共同で調査 を実施。三瓶山において本種の幼鳥(図2)および繁殖中と思われる メス・成鳥(図3)を捕獲し、繁殖を確認した。 4.その他 標識調査とは、環境省が公益財団法人山階鳥類研究所に委託している事業で、カスミ 網などを用いて鳥を安全に捕獲し、個体識別のできる環境省の足輪を付けて放鳥。再び 捕獲することによって渡りのルートや寿命などを調べる学術調査です。調査は、山階鳥 類研究所が認定した鳥類標識調査員(バンダー)が環境省の許可を受けて実施していま す。 -1- 図1 こずえでさえずるミヤマホオジロ(オス) (三木敏史氏撮影:2014 年6月) 図 図2 三瓶山で確認された全身幼羽のミヤマホオジロ(幼鳥・性別不明) -2- 図3 三瓶山で確認されたミヤマホオジロ(成鳥・メス) -3-
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