第 2 回医療マネジメント学会長野地方会抄録集 【第 1 会場】 一般演題(1)14:00∼14:45 座長 臼田富子(国保軽井沢病院) 1-1.日常生活と近い入院環境のあり方を考える ∼廊下に飾り付けを試みて∼ 長野市民病院5西病棟 竹内就美、山本裕美、池田めぐみ、宮尾友子、正村睦 子、中川茂美 Ⅰ.はじめに 入院生活は閉ざされた空間であり、季節感を感じない。そこで看護師が意図的に病棟の一 角に飾り付けることで心が和める場を提供できるのではないかと考えた。その結果、患者 様にとって和める場・交流の場を提供できたのでここに報告する。 Ⅱ.方法 1.飾り付け 2.アンケートの作成・配布、回収 3.アンケートの集計・考察 Ⅲ.結果 回答者 性別 患者 25 名 男性 18 名 家族7名 未回収7名 女性 14 名 飾り付けの存在を知っていた 31 名 知らなかった 1 名 飾り付けの感想として 見るのが楽しみ・心が和む 31 名 見に行きたい 21 名 未回答1名 行きたくない6名 未回答5名 自分も展示したい 10 名 展示したくない 15 名 次回に興味がある 31 名 未回答1名 季節感を感じる 30 名 感じない1名 今後も是非続けて欲しい 19 名 未回答7名 未回答1名 続けて欲しい 12 名 未回答1名 Ⅳ.考察 看護師が限られた空間に飾り付けすることで、患者様が季節感を感じ心が和む場所とな ったと考えられる。さらに、患者様や家族も気軽に作品を展示でき満足感へつながったと 考える。 Ⅴ.終わりに 看護師は当初、飾り付け場所は廊下の一部としか考えていなかった。しかし、飾り付け は思っていた以上の反響があり、意図的に飾り付けを行うことで病室同様家庭に近い生活 の場を提供出来て良かった。患者様に苦しい事・辛い事を乗り越えてもらいたいという私 達の思いが少しでも受け止めてもらえたのではないかと考える。 1-2.プロジェクトチームによる看護記録の改善 長野赤十字病院 酒井志津子、早川公子、竹村幸子、坂口史子、小林直子、須 藤のり子 Ⅰ.はじめに 平成 13 年 6 月診療情報開示に伴う看護記録の充実を目的に記録プロジェク トチームを発足した。記録に要する時間が短縮するなどの成果がみられたので報告する。 Ⅱ記録プロジェクト発足の経緯 看護記録の質的向上のために係長会が記録全般のレベル アップを講じてきた。平成 12 年に当院の「診療情報提供に関する取り扱い規定」が制定さ れた。平成 13 年の看護部目標には「診療情報開示に伴う看護記録の検討」と「看護に関す る記録様式の検討」が重点目標としてあげられ、プロジェクトチームが編成された。 Ⅲ活動内容 岩井郁子先生の講演会、各病棟へのアンケート調査、師長会・係長会の合同 検討会から、「記録の質を見直す」「看護記録を取巻く法律の知識を持つ」「看護経過や実施 したことを記録として残す」などが課題となった。2 年間の活動により①看護記録ガイドラ イン作成②記録記載マニュアルの改訂③短期入院データ−ベースの作成④看護ケア用フロ ーシートの作成⑤統一略語の再編集⑥観察項目の評価基準値の作成をした。業務実態調査 の「患者に関する記録」の結果から、平成 9 年と比較して平成 14 年の記録時間の短縮が明 らかになった。作成したデータ-ベース・フローシートが効果的に活用され記録ができてい ると考える。 Ⅳ今後の課題 プロジェクトチームで作成した記録様式やマニュアルの運用状況とその評 価をし、さらに記録全般のレベルアップにつなげていきたい。 1-3.総合機能評価を活用した支援業務のシステム化による在宅復帰 1 例 介護老人保健施設まほろばの郷1 ) 杏林大学高齢医学 2) 酒井美恵 1),清水昭彦1 ),山田思鶴1 ),鳥羽研二2) 【はじめに】介護保険下で、老健施設は、入所期間の長期化、在宅復帰率の低下等の課題 を抱えており、在宅復帰促進と在宅生活支援機能の強化が求められている。また、高齢者 の機能を多面的に評価するものとして、総合機能評価(以下CGA)があり、CGAを用 いた、いくつかの研究報告がなされている。今回、CGAの活用と、訪問指導、ケアマネ ージャーとの連携について、1 例を紹介しながら、当施設での在宅復帰支援の取り組みにつ いて報告する。 【症例紹介】95 歳女性。腰椎圧迫骨折による機能低下から施設入所となる。入所時、要介 護4、寝たきり度C1、ADLは食事以外、全介助であった。 【退所に向けた関わり】CGAによるアセスメントを行い、ケアプランの立案と在宅復帰 支援に向けた流れをシステム化した。退所1ヵ月前に、本人同伴で、訪問指導を行い、家族、 ケアマネージャーらと、生活スタイルの検討やケアプランについて話し合った。福祉用具 の導入にあたっては、訪問時、リハスタッフが、実際の機器・用具を搬入し、用具の選定、 サイズの調整、設置などに関する提案を行い、家族に対して、用具の使用方法を説明した。 また、退所時指導では、退所後のフォローアップ等の確認をしながら、本人・家族の不安 解消を図った。 【結語】支援業務においては、CGA等の活用によるケアプランの立案、家族・ケアマネ ージャーとの具体的な話し合い、退所前訪問指導等の充実が重要であると考える。 1-4.クリニカルパス導入に対する患者様満足度調査について 相澤病院 4A 病棟 内田朝美 (はじめに)相澤病院ではインフォームドコンセント充実、チーム医療の前進、情報の共 有化、良質で効率のよい医療の提供、平均在院日数の短縮、患者様満足度の向上などを目 指して 2001 年 4 月よりクリニカルパス(パス)を導入しました。パスを使用してインフォー ムドコンセントを行うことに対する患者様満足度についてアンケート調査を行いました。 (対象・方法)対象は 2002 年7月より 2003 年 2 月までのパスを使用した患者様のうち、 重大なバリアンスが発生しなかった患者様で、自分で判断して記入ができた 150 例としま した。アンケート内容は、1)主治医からの説明が理解できたか 2)看護師からの説明が理 解できたか 3)医師と看護師の説明に違いがなかったか 4)看護師が渡した説明書(パス)は 解りやすかったか。5)入院中に説明書をみたか6)説明書が治療の目安・目標になった かについて回答を頂きました。(結果)回答率は 91%でした。主治医からの説明に 89%、 看護師からの説明に 86%が非常に理解できたと回答されました。説明に違いがなかったか との質問には 74%が全く違いはなかった、説明書がわかりやすかったかについて 76%が非 常に理解できたと回答されました。入院中に説明用紙をみた患者様は 88%で、83%の方が 治療の目安・目標になったと回答されました。(考察)患者様満足度調査の結果よりパスは 高い満足度を得ることができ、パス導入の成果が確認できました。今後、現在のパスの問 題点がわかるような形式でアンケートを行うことによりパスの改善を進めていく予定です。 1-5.クリニカルパスの作成 −病棟での取り組み− 飯田市立病院 久保田悦子、芹澤亜弥香 Ⅰ はじめに 今回、院内統一された規格にクリニカルパス(以下パスとする)と入院治療計画書を当ては め医療者用パス、患者用パスを医師と共に作成した。 Ⅱ 方 法 1.対象疾患のリストアップ…平成 14 年 6 月∼7 月 2.パスの原案作成…平成 14 年 8 月∼9 月 3.完成したパスの活用…平成 14 年 10 月以降 Ⅲ 結 果 1.内科…大腸 EMR・胃 EMR・食道 EMR 形成外科…乳幼児短期手術入院・鼻骨骨折・頬骨抜釘 平成 14 年度での5階東病棟で活用された上記の6つのパスは、年間で 18.2%。 2.1) 大腸 EMR・胃 EMR・食道 EMR 食事開始の日時、安静度を統一した。 2) 乳幼児短期手術入院、鼻骨骨折、頬骨抜釘術 従来の手術チェックリストはそのまま活用し、それ以外の項目をパスに記載する ようにした。 3) 作成する段階において「標準用語だけでは今後使用しにくいのではないか」という 意見があった為、病棟独自のパス用語を作成し追加した。 4) パス活用に伴い5階東病棟独自の約束事項を決定 Ⅳ 考 察 医師の間で統一されていない薬剤の種類・処置・安静度・食事開始日時を統一してもら うことにより、患者に不必要な苦痛や安静を強いることがなくなった。手術の短期入院で も、患者に標準化された看護が提供できるパスとなった。約束事項を決定したことで情報 を一枚の用紙で集約することができた。以前より実用的なパスを作成することができた。 Ⅴ 今後の課題 ERCP、形成外科長期手術入院のパス作成。 Ⅵ 参考文献 クリニカルパスの実践 患者ケアの向上をめざして真興交易(株)医書出版部 一般演題(2)15:30∼16:15 座長 保科滋明(信越病院) 2-1.当院の栄養チームケアによる摂食嚥下障害への取り組み 桔梗ヶ原病院 1) 介護老人保健施設まほろばの郷 2) 杏林大学高齢医学 3) 平澤千穂 1) 、山田思鶴 2) 、 鳥羽研二 3) (はじめに)老年症候群の中で、食欲低下・低栄養は 10 人に 1 人の高頻度で見られ、ま た栄養の改善により高齢者の ADL・QOL の向上も報告されている。当院においては、医師・ 看護師・ST・PT・OT・介護職・栄養士からなる栄養のチームケアを導入して展開しており、 その活動と成果について報告する。 (概要)各専門職で栄養委員会を結成し、現場では患者担当のスタッフにより栄養チー ムが活動している。摂食嚥下障害患者への栄養・嚥下アセスメントを行い、チームアプロ ーチにおいて栄養法の決定・摂食嚥下リハビリ・口腔ケア・食事ケア等生活全般の支援を 行っている。今回、栄養のチームケアをシステム化し、その活動の中で口腔ケアの徹底に よる熱発の減少、栄養形態の検討による食事摂取量・栄養の改善をみたので、その経過を 報告する。 2-2.心臓カテーテル検査入院時における栄養パスの試み 佐久総合病院 栄養科 竹内智恵子、柳沢絵里子 内科 池井 肇 【背景と目的】心臓カテーテル検査(以下心カテ)は、冠動脈形成術や冠動脈バイパス術 後のフォローアップを中心に数回にわたって行われることが多く、それに伴って栄養指導 も回を重ねて行われている。これまでの栄養指導は継続的に行われていなかったため、栄 養士にとってもその都度患者さんの把握をして問題点を上げなければならず、時間的にも 内容的にも無駄が見られた。また栄養士によって指導内容がまちまちである、栄養指導の 効果についての評価が統一されていない、という問題点もあった。そこで、心カテ入院時 の栄養指導を系統的に行い、同じ内容で繰り返して行わないようにする。継続指導の必要 な場合はそれを明確にして次回あるいは外来に引き継げる事を目的として「栄養パス」を 作成した。 【結果】パスを使用することによって一貫した栄養指導ができ、新人栄養士にとっても指 導の手助けとなった。その都度同じ栄養士が担当しなくても患者さんの情報を把握しやす く、一回の検査入院でも指導内容や問題点を的確に外来へ引き継ぐことができるようにな った。継続の場合は前回の課題に対してどうかから始めるので効果評価しやすい。 【今後の課題】栄養指導の内容が患者さんにとって本当に魅力あるものになったか、パス 導入によって実際に指導の効果が増したかを追跡していく必要がある。 2-3.当院におけるセィフティマネージメントへの取り組み 佐久総合病院医療安全管理対策室 竹内玲子、市川英男、夏川周介 当院では、1999 年 5 月に医療事故防止対策委員会である STEP 委員会が発足した。「人は エラーを起こすものである」という認識を前提としてエラーの分析を行い、事故を未然に 防ぐための対策を中心に医療事故防止活動に取り組んできた。また、2001 年 4 月から厚労 省の研究班である、医療の質改善全国プロジェクト(NDP)に参加している。当院には安全 管理に関わる委員会として STEP 委員会、院内感染対策委員会、医療事故対応部門、投書委 員会、安全衛生委員会がある。本年 4 月から、安全管理を業務として担当する安全管理対 策室が新設された。副院長を室長とし、専任職員 2 名(看護師長、事務課長)、兼務職員 9 名(STEP 委員会 2 名、NDP 委員会 4 名、院内感染対策委員会 2 名、薬剤部 2 名)の合計 12 名から成る。機能としては、医療事故防止対策、感染対策、医療事故対応を主としている。 安全管理対策室の新設により専任スタッフが日常的に関わることで、様々な問題への迅 速な対応が可能となる。組織の質・安全向上を目的に実効性のある活動を展開して行きた い。 2-4.クリティカルパス導入による抗生剤使用量の変遷について 相澤病院薬剤科 中村久美 『目的』相澤病院外科では 2001 年 4 月よりクリティカルパス(以下パス)導入を開始し、現 在 19 のパスが運用され、適応率は 70%を超えている。パス作成に際し EBM に基づいて手術 部位感染防止のための抗生剤投与は術直前より開始し、清潔手術では CEZ1g2 回/日 1 日間、 準清潔手術(上部消化管)では CEZ1g2 回/日 3 日間、(下部消化管)CMZ1g2 回/日 3 日間とした。 パス導入による抗生剤使用量の変遷について検討する。 『方法』パス導入前と導入後 1 年間の外科の抗生剤総使用量を算出、内容の変化、患者一 人当たりの使用状況を分析した。『結果』抗生剤の総使用量はパス導入前の 74%に減少。内 容としては第一・二世代セフェム系以外の抗生剤使用はパス導入前の 32%まで抑えられてお り、第一・二世代セフェム系薬剤の全体に占める割合は 37%⇒54%と上昇している。患者一 人当たりの使用内容として上記ガイドラインに挙げられた CEZ・CMZ の使用量はそれぞれ 3.12V・3.71V 減、使用日数はそれぞれ 1.6 日・2.05 日減であった。 『考察』パスを導入したことにより、感染防止のために第一・二世代セフェム系以外の薬 剤が頻用されていた状況を打開し、適正な抗生剤使用が行われるようになった。また各医 師の習慣による投与日数の見直しも行われたことで不必要な抗生剤投与が回避出来たと考 える。パス導入により、抗生剤使用の適正化が図られ、漫然投与が避けられるようになっ た。 2-5.医療の安全に関する職員教育 飯田市立病院 医療事故防止委員会 北澤克弘、横前栄子 矢澤茂美、松下高暁、原田聡昭、原明子、 リスクマネジメントの取り組むべき活動の一つに教育がある。必要性と考え方の周知徹底、 リスクに対する感性の育成である。その取り組みは組織を横断する全職員を対象とするも のでなくては効果的でない。 1.各部署・職種・委員会が計画的に実施している研修 ① 2000 年ガイドラインに沿った救急蘇生法(シミュレーション) ② CDC 最新ガイドラインに基づく感染防止対策 ③ 看護部が他職種に行う患者搬送方法 ④ 看護部の委員会が共同で行う新人教育(手洗いから片つけまで確認動作に重点を おいた多角的な注射指導→スライド・実技) 2.起きた事例に対して行った再発防止の研修 ① 核磁気共鳴画像装置(MRI 検査)時、職員のポケットからハサミが飛び出した 事例に対して行った体験学習会 ② 高気圧酸素療法時、使い捨てカイロを装着したまま実施した事例に対して行った 他施設での爆発事例のビデオ学習会 3.患者を取り巻く安全な環境維持のための意識付け ① 職員がハンディキャップを体験し、気付いた環境の改善 ② 患者を取り巻く環境の定期チェック 職員がより具体的にリスクを認識するために、視覚に訴える方法や体験学習を実施し ている。しかし、院内の職員教育が統括されていないため、研修の日程が適切に計画さ れておらず集中する、職種による教育内容に差がでる、等の問題がある。 【展示会場】 展示演題 15:30∼16:15 座長 出口正男(長野赤十字病院) P-1. 正常産褥のクリニカルパス 佐久総合病院 看護部 戸田康代 抄録未着 P-2. 医療福祉支援センターにおける退院支援∼「納得した退院」を目指して∼ 信州大学医学部附属病院医療福祉支援センター 小竹 美千穂、杉山 敦、柳 原 きよ江、浅川 和子、天野 直二、清澤 研道 地域医療連携支援室と総合医療相談室の機能を持つ医療福祉支援センター(以下センタ ー)におけるMSWの業務は、医療福祉相談と退院支援である。センター開設以来かかわ った件数は、【医療福祉相談】平成13年度757件、平成14年度(∼2月末)1151 件、【退院支援】平成13年度130件、平成14年度(∼2月末)119件であった。 退院支援においては、主治医および病棟看護師の依頼にもとづいて、退院に向けて必要 な在宅サービスの導入、生活環境の整備について患者と共に考える体制をとっている。「高 齢社会」「世帯構成員の減少」「家族機能の低下」など社会事象に影響されるケースが支援 件数全体の多くを占め、患者と在宅サービスを結びつけることが主な支援の内容となって いる。施設の特性から外国籍移住者に対する退院支援も多く、入院と同時に多くの課題と 向き合うことになり、センターが窓口となってNGOらと協力し帰国に結びつけるケース も出てきている。 特定機能病院の包括評価、クリニカルパスによる在院日数の短縮化の中で、医師、看護 師、センターのスタッフらと協働して「納得した退院」を目指している。 P-3.患者用移植クリニカルパスの作成 を試みてー 長野赤十字病院 山田恭子 −目標を持てるクリニカルパス作成 【はじめに】当病棟では、移植を受ける患者に、移植の経過や副作用についてパンフレッ トを渡し、説明を行っている。しかし、パンフレットでは治療の経過がわかりにくく、特 に、回復期に目標が持てず、無気力感を訴える患者が多い。そこで、クリニカルパス(以 下パスとする)は、パンフレットで不足している部分を補い、患者への目標提供に最適と 考え、目標を持てる患者用移植パスの作成に取り組んだ。【方法】①パスのフォーマットの 検討(時間軸と説明内容)②各時期における説明内容の検討③作成したパスの検討【結果・ 考察】移植治療の経過は様々で、手術患者のパスのように細かく日程を提示することはで きない。そこで、大きなイベントや制限の変化ごとに、入院∼移植準備、前処置(放射線 や化学療法)、移植、生着、回復∼退院と時間枠を設定した。また、説明内容は、患者が何 を知りたいかという点を重視して、移植のスケジュール(経過)、日常生活について(制限)、 医療者からの説明の 3 項目とした。次に、各時期に説明する内容を検討した。特に、患者 が目標を持ちにくいと思われる回復期について、退院までの経過や、退院の目安となる目 標、目標達成のために行うことを盛り込んだ。今回、医師や看護師から意見を得られたこ とと、患者が知りたい情報は何かに注目したことで、患者用パスを作ることができた。今 後は、患者から使用後の意見を聞き、検討を重ねていきたい。 P-4. 結腸切除のパス 相澤病院クリティカルパスプロジェクト 大森敏弘 抄録未着 P-5. 胃切除術のパス 相澤病院クリティカルパスプロジェクト 大森敏弘 抄録未着 P-6. 眼瞼下垂症のパス 相澤病院 3C 病棟 神通川美保 眼瞼下垂症の症状としては上眼瞼が挙上できないために視野が妨げられ、常に眉毛を吊り 上げ目を開けているため前頭筋と後頭筋に緊張がかかり頭痛や肩こりなどの症状を訴える。 入院日数は当日入院、当日手術の1泊2日から遠方の患者様も多いため前日入院の2泊3 日、腱移植が必要な症例の3泊4日の入院ケースがある。当院ではH13年8月よりクリ ニカルパスが導入された。導入後、眼瞼下垂症の入院のほぼ100%がパスで運用されて いる。パスの流れは入院当日、病棟にて医師より手術の説明がされ看護師より入院時オリ エンテーションとともに患者様用パス(入院診療計画書)を使用し入院中の経過、治療、 生活について説明をする。手術部位が外見上に見える部分であるため術後の外観の変化に ついて不安を抱かないために患者様に理解し納得していただけるよう充分な説明に心がけ ている。前夜は不安に充分な睡眠が取れないことがないように睡剤を服用していただく。 当日術前一食は絶食となり術中1本点滴を行う。表面麻酔剤であるペンレスを術前2時間 前患部に貼付し局所にあらかじめ麻酔を効かせることで手術時に行う局所麻酔の作用を助 け苦痛の軽減を図っている。手術時間は 1 時間半から 2 時間であり、帰室後、特に異常が 見られなければ経口摂取可能である。食事開始と共に消炎剤、鎮痛剤ほか頓服薬の内服が 開始される。また術後眼瞼腫脹のピークは48時間と言われているためクーリングの必要 性を指導し十分理解してもらい、冷却用のガーゼにて翌日退院診察まで冷却してもらう。 翌日医師の診察にて退院となる。ほぼパスどおりに経過し入院期間も短いが、その中で手 術する部位が顔ということもあり、術前に説明を受け、納得していても実際のボディイメ ージの変容についていけず驚く患者様が多い。また患者様は自分の今の状態が正常なのか、 異常なのか判断できず不安になる為、患者様の訴えに傾聴し、不安が少しでも軽減でき安 心して入院生活が送れるよう、精神面でのケアに重点をおいている。
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