平成28年度第1回栄養部会研修会レポート 記録者 研修日時:平成28年6月21日(火) 研修場所:山口県セミナーパーク 小野田赤十字老人保健施設あんじゅ 中村 純子 10:00~15:00 一般研修室 206 研修内容 10:10~11:40、12:40~13:40 講演『栄養治療における検査値の変動~栄養代謝の体内メカニズム~』 講師:独立行政法人地域医療機能推進機構 下関医療センター 臨床検査技師 日本静脈経腸栄養学会認定NST専門療法士 清木 雅一 先生 栄養状態の定義とは、生態が生命活動を営む上で必要とされるエネルギーを産生する栄養素並びにそのエネルギーを活 用、利用するための代謝関連物質の需要・貯蔵状態を評価する「主観」と「客観」を包括した総合的な指標のことである。 この栄養状態等の検査データを解析するためには①基準値の設定の95%の信頼限界であること、②複数項目で評価をす ることを知っておく必要がある。また、正常値には個人差があるため、前回のデータと比較することが大切である。 〈高齢化社会の問題点と栄養状態の評価〉 現代の超高齢社会においてロコモティブ・シンドローム、フレイル、サルコペニアが問題となっている。高齢になれば なるほど一度低下した栄養状態の改善は難しく、サルコペニア等を発症しやすくなる。そのため定期的に評価を行い栄養 不良の早期発見に努める必要がある。この定期的な評価のツールとしてMNAやMNA-SFがある。食事状況やBMI などで評価するため、血液検査等を頻繁に行わない施設においても利用しやすい指標である。 〈脱水について〉 適切な水分量は通常であれば 30ml/kg・w 程度であるが、熱発時は不感蒸泄量の加味、下痢の時は喪失分を加味しなくて はならない。また血液の浸透圧が正常であるかも評価する必要がある。血管内が脱水傾向にある場合の検査値は必ず高め に出るため、改善されたと勘違いしないように注意する。 〈貧血について〉 貧血には、正球性正色素性貧血、小球性低色素性貧血、大球性高色素性貧血がある。貧血になった原因を探り、適切な 栄養補給により改善していく必要がある。 〈アルブミンの代謝と評価〉 低栄養以外にアルブミンが低値を示す原因として、肝での合成阻害、異化亢進、体外・体腔内への喪失などがある。 クワシオルコル等の高度侵襲時の低栄養は 10~15kcal/kg から血糖値等を見ながら栄養補給を開始する。マラスムス等の エネルギー長期供給不足による飢餓時はリフィーディングシンドロームに注意しながら栄養補給を行う。 侵襲に見合った適正なエネルギー・蛋白質が投与されているか、栄養治療による合併症を起こしていないかを確認しなが ら、サポートを行っていく。 14:00~15:00 グループワーク『経口維持・移行加算について~実施状況など~』 事前に経口維持・移行加算で困っていることや知りたいことについてアンケート調査を行い、それをもとに行った。この テーマでグループワークを行うのは3度目だが、どのグループも話が弾んでおり、有意義な時間を過ごすことができた。
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