熱画像による検査・監視技術

熱画像による検査・監視技術
アメテック株式会社 ランド事業部/事業部長 鈴木 聡
アメテック・ランド事業部
(英国LAND社)は、業界向けの非接触型温度計メーカとしてこれまで
多くの実績を上げてきたが、近年は「熱画像システム」をラインナップし、温度測定を超えた「検
査・監視システム」として、ユーザに「安全性向上」
「予防保全」
「プロセス解析」を提供するソリュー
ションを提供してきた。また、最近ではボアスコープを使った炉内監視用の熱画像システムを
開発し、これまでわからなかった炉内の状態が「見える化」されることで、ユーザによるプロセス
改善に大きく貢献している。
1
はじめに
アメテック
(AMETEK Inc.)
は米国に本社を置く
本稿では、「非破壊検査」をテーマに、ランドの
スキャン型の放射温度計や熱画像システムの事例
を紹介したい。
「計測・分析・検査」を軸とした 60 以上の事業を
展開するグローバル・カンパニーである。日本国
内においては、日本法人であるアメテック株式会
2
スキャン型放射温度計による検査
社の下で 13 事業を展開しており、そのうちの 1 つ
ランドのスキャン型放射温度計
(LSPシリーズ)
は、
であるランド(LAND)事業部は鉄鋼・非鉄金属、
鉄鋼における熱延プロセスや厚板プロセスにおい
ガラス、石油化学、電力など産業向けの放射温度
て、鋼板の温度プロファイルを計測する(図1)。
計および熱画像システムを開発、製造、販売を行っ
システムのプロセッサやデータ・サーバでは、
ている。
ランドの放射温度計事業は歴史が
古く、1960 年にシリコンセルをディ
テクタとした放射温度計を世界で初
めて業界向けに販売して以降、鉄鋼
業を中心にワールドワイドに事業を
展開してきた。現在では、鉄鋼・非
鉄金属業界のほか、ガラス、紙、エ
ネルギー、石油化学など幅広い分野
において、従来のスポット型放射温
度計のほか、スキャン型の放射温度
計や熱画像システムを供給している。
eizojoho industrial
図 1 スキャン型放射温度計 LSP
(仕組みとその温度プロファイルや熱画像)
July 2016︱17