資料2−3 消費者教育の講師育成について 1.背景 消費者が自主的かつ合理的に行動できるようになるためには、学校、地域、家庭、 職域その他の様々な場での消費者教育が必要であるが、現在、消費者教育の担い手 は限られており、十分に実施されているとはいえない。その一方で、消費者問題に 関心を寄せる人達においては、消費者教育の担い手(市民講師)として尽力してい きたいとの考え方が広がってきている。 そこで、市民講師育成のための研修方法、すなわち、消費者トラブルに関する知 識、体験型講座の実施方法、受講者とのコミュニケーション能力等を修得させるプ ログラムを策定し、消費者教育の市民講師を育成するための環境を整備することが 求められている。 2.検討状況 (1)検討体制等 内閣府では平成19年度以降に市民講師育成プログラムを策定することとされ ている(消費者基本計画)が、その際の基礎とするため、平成18年度には、有識 者5人による研究会を設け、消費者教育の講師育成に関する実態調査により現状を 把握することとした。 (2)進捗状況 平成18年12月から平成19年1月にかけ、全国の都道府県・市・東京23区 及び全国の町村から無作為に選択した300町村、全国に展開する生活協同組合お よび研究会で推薦等があった消費者団体(全300団体)にアンケート調査を実施。 さらに、平成19年1月、一部の民間企業等に対し、講師育成に関する今後の各 機関の連携の在り方や講師の活躍の場などについて、ヒアリングした。 (3)検討の方向性 アンケート結果を踏まえ、市民講師育成のための様々な視点からの課題を検討中 であるが、現在、研究会でとりあげられている課題としては、例えば下記のような 事項が挙げられる。 ○ 講座運営 ・ 国・県・市・町村のレベルごとの役割を明確化。 ・ 他機関との連携の活性化。 ○ 講座内容 ・ 適切なカリキュラム・講師の紹介等講座運営のノウハウ。 ○ 消費者の意識啓発・人材確保 ○ 育成後の活動の場の整備 3.今後の予定 研究会において、今年度中に課題を整理し、平成19年中に策定に着手する予定。 1 参考1 消費者講師育成・消費者リーダーの育成講座に関する 実態調査 アンケート(概要) 1 アンケートの概要 消費者教育を行うことができる担い手(講師)の育成の現状及び関係者の意 識を把握するため、アンケート調査を実施した。 調査は、全国の都道府県・市・東京都 23 区の調査票回収率は 73.1%(送付先 849 件、回答数 621 件)、全国から無作為に抽出した 300 町村からの回収率は 63% (送付先 300 件、回答数 189 件)と、高い回収率が得られた。また、全国に展 開する生活協同組合および研究会で推薦等あった消費者団体を対象としたとこ ろ、調査票の回収率は 25%(送付先 300 件、回答数 76 件)だった。 2 アンケート結果 (1)消費者講師育成・消費者リーダー育成講座は全体の8割超が実施してい ないと回答している。しかし講座の必要性は、実施していない団体の7 割以上が感じている。 都道府県・市・23 区 過去に実施して いたが、現在は 行っていない, 38(6%) 町村 過去に実施して いたが、現在は 行っていない, 3(2%) 実施している, 74(12%) これまで実施して いない, 509(82%) 消費者団体 実施している, 8(4%) これまで 実施していない, 178(94%) 過去に実施して いたが、現在は 行っていない, 4(5%) 実施している, 14(18%) これまで 実施していない, 58(76%) 「これまで実施していない」と回答した団体へ講座の必要性を質問 必要だと 思わない。, 35(7%) どちらとも いえない。, 68(13%) 必要だと 思わない。, 35(7%) 無記入, 4(1%) 無記入, 4(1%) 必要だと 思わない。, 3(5%) 無記入, 1(2%) どちらとも いえない。, 4(7%) どちらとも いえない。, 68(13%) 必 ど 必 無 必要だ どちら 必要だ 無記入 必要だ と思う。, 必要だと思う 128(71%) 128(71%) 必要だと思う 必要だと 思う。 402(7 9%) 402(79%) 必要だと思う 50(86%) 2 (2)講座を実施できない要因として、自治体では予算的な制約が、消費者団 体では人的な制約が大きいと考えられる。 都道府県・市・23 区 町村 予算的問題 予算的問題 161 122 講座の設計に関する問題 84 154 59 50 100 150 200 0 20 40 消費者団体 予算的問題 11 受講ニーズが無い 5 講座の設計に関する問題 13 講座を担当できる講師の不足 12 業務多忙で、人手が足りないた め 優先度が低かった 13 23 その他 12 10 55 講座の設計に関 20 講座を担当できる 28 業務多忙で、人手が足りないた め 28 優先度が低かった 45 その他 6 82 0 受講ニーズが無 13 講座を担当できる講師の不足 57 0 62 受講ニーズが無い 30 (その他意見) ・ 県や近隣都市、他消費者団体で既に実施している ・ 市民全体を対象にした講座を中心に実施している ・ 受講後に活躍してもらう場がない 等 3 業務多忙で、人手 め 優先度が低かっ その他 60 80 (3)実施していない団体からの要望(自由回答)には、全体として運営ノウ ハウや講師の活用方法が多かった。また自治体からは国・県・市等の役 割分担の要望も多かった。 (抜粋) ・ 育成講座をたちあげるまでの事例や、実施後の運用状況について具体例、効 果等を知る機会(講座開催におけるノウハウや、講師となる人材が不足) (消 費者講師・消費者リーダーの育成について先進的な取組みをしている地方公 共団体の事例の提供)。 ・ 受講者をどのように見つけ確保するか。 ・ リーダーの活用方法を明確にしておきたい。あいまいであると育成講座が長 続きしない。 ・ 地方では消費者問題に関するシンポジウムや講座など気軽に参加できる機 会が少なく、問題意識を喚起しにくい環境にある。財政的に市で開催するこ とも困難なので、消費者講座のようなものをもっと地方でも開催してほしい。 ・ 消費者リーダー育成後の活動ステージをどのようにつくるのかまた、多様な 相談や被害に対して適切なサポートができるのかリーダーのスキルアップ の場の提供や情報共有の場の提供等育成後のフォローが必要ではないか。 ・ 消費者教育メディアをもっと活用していただけると良いのではないでしょ うか。 ・ 地域性もあるのか、都市部と比較して講座を開設しても人が集まらない問題 があります。現在実施されている団体の情報や活動内容について、他団体と の交流・ネットワークづくりを希望します。 ・ 講師育成講座をしたいが、その講師をお願いできる方への謝礼金や、依頼可 能な講師の紹介などあれば良い。 ・ 予算的問題で実施できないので、無料講師派遣をしてもらいたい。 ・ 専門家育成にあたっては、国・県・市の役割分担をより明確にすべき。 ・ 実施の必要性は認めるが、都道府県と市町村間での役割分担や調整がないと、 効率的かつ効果的な講座の実施は難しいのではないか。 ・ 自治体単独での育成講座はむずかしい、県単位での開催を要望したい。 ・ 県主催で実施している講座に希望者を募って参加しているが、毎年 1∼2 名 であることから、市で独自に開催することは考えていない。 4 (4)講座修了後の講師・リーダーの活動に関して、自治体よりも消費者団体 の方が積極的な傾向がある。これは消費者団体の講座が、組織の人間が 組織の中で活動できるようになることを想定しているためと考えられる。 自治体においては講師の活用方法が明確でなく、システムとして確立し ていないという現状が推察できる。 都道府県・市・23 区 町村 消費者団体 ①活動の場は確実に提供されているわけではない 無記入, 2(3%) 無記入, 2(14%) 提供して いる。, 30(39%) 提供して いる。, 2(25%) 提供している。 提供している。 特に提供して 特に提供していな いない。, い。 6(75%) 特に提供して いない。, 45(58%) 提供している。, 9(64%) 特に提供して 特に提供していな いない。, い。 3(21%) 無記入 無記入 提供している 特に提供して 無記入 ②講師の活動を登録制度等で把握しているのは半数以下 原則自由 としている, 8(27%) その他, 9(30%) 原則自由とし ている, 1(50%) その他, 1(50%) その他, 2(22%) 登録制度等 を設置して把 握している。, 4(44%) 原則自由としている 登録 して 原則 原則自 登録制度等を設置 して、把握している。 その他 登録制度等 を設置して把 握している。, 13(43%) 登録制 して、把 その他 原則自由とし ている, 3(33%) その ③講師・リーダーの活動に対する報酬には自治体と消費者団体で有償・無償 の傾向が分かれる 無記入, 20(26%) 有償, 21(27%) 有償, 1(13%) 無記入, 3(38%) 無記入, 4(29%) 無償, 1(7%) 無償, 4(49%) 無償, 36(47%) 5 有償, 9(64%)
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