介護ウェーブ推進ニュース最新号

2016 年 7 月 21 日発行 NO.15
「社会保障の解体は許さない!
憲法まもりいかす社会をつくろう!!」
介護ウェーブ2016推進ニュース
あなたの一票には政治を
軽度者への支援、
変えるちからがある
生活援助のあり方
について議論
第 60 回介護保険部会
7 月 20 日午後、厚労省・介護保険部会が開催され
ました。
参院選前に封印されていた給付削減・負担増に関
わる検討事項の第一弾として、「生活援助、福祉用
具・住宅改修」の論点が提示されました(次ページ)。
見直しの具体案は出されませんでしたが、政府が
年末に示した「改革工程表」から一歩踏み込んだ内
容であり、多くの委員からは、「生活援助や福祉用
具貸与の自己負担化」「軽度サービスの総合事業へ
の移行」を提言した財務省の改革案をふまえたかた
ちで、軽度サービスの縮小に反対する声が多数あが
りました。
生活援助の縮小、総合事業への移行に対して、具
体的には「介護度だけで判断するのは性急。サービ
スを外せば重度化がすすみ、命に関わる」(認知症
の人と家族の会)、「軽度者に生活援助サービスを
提供し自立し続けてもらうことで、結果的に給付の
抑制につながる」(民間介護事業推進委員会) 、
「独居、老々介護、認認介護などの家庭で生活援助
サービスは必要。総合事業への移行が検証できてい
ない状況で、生活援助サービスを見直すのは時期尚
早」(日本介護クラフトユニオン)、「総合事業に
移行した自治体はまだ3分の1。検証もできない段
階で次のステップに進むのには危惧を覚える」(老
人クラブ連合会)、「(総合事業で)どの自治体も
四苦八苦している。新たな給付の見直しは、とても
じゃないが対応しかねる」(全国市長会)などの意
見がありました。
また日本医師会からは「要介護1以上の方には
様々な要因の人が含まれており、一律には対応でき
ない。影響も大きい。要介護1のみを見直しの対象
として議論すべき」、との発言がありました。
一方、財務省案に沿った発言として、「生活援助
は必要だが、今後原則として自己負担に近づけるこ
とはやむを得ない」(日本商工会議所)、「制度の
持続可能性を考慮すれば、軽度者に対しては重点化
と効率化が必要。現在のサービスが自立支援や重症
化予防にどれだけ役に立っているかデータを集積す
べき」(健保連)などの意見が表明されました。
利用料問題などもふくめ、今後、次期制度見直し
に向けた検討が進められていくことになります。給
付削減・負担増の見直しは、家族の介護負担を増大
させ、政府が掲げている「介護離職ゼロ」にも逆行
するのです。さらなる改悪の阻止、制度の抜本改
善、大幅な処遇改善を求める介護ウェーブを大きく
広げていく必要があります。今後の介護ウェーブ方
針をあらためて後日提起します。
お問い合わせは「介護ウェーブ推進本部」まで
事務局:東、吉澤
TEL:03-5842-6451
FAX:03-5842-6460
E-mail:[email protected]
「軽度者への支援のあり方」-論点
生活援助
○要支援者と要介護者においては給付を別にするなど支援のあり方に違いを設けているが、この他に、要支
援・要介護度に応じて支援のあり方に違いと設けることについて、どのように考えるか
○訪問介護における生活援助に対する給付について、「給付の見直しや地域支援事業への移行、負担のあり方」
を含め検討を行うとされていることをどのように考えるか。その際、自立支援や重度化防止といった介護保
険の理念、人材確保に制約がある中での介護人材の専門性に応じた有効活用の観点や制度の持続可能性の観点
を踏まえた対応について、どのように考えるか。
○その他の給付(訪問介護における生活援助以外の介護給付及び予防給付)について、「給付の見直しや地域支
援事業への移行、負担のあり方」を含め検討を行うとされていることを前回改正時の議論も踏まえつつ、ど
のように考えるか。
○これらの検討に当たって、予防給付の訪問介護、通所介護の総合事業への移行が、平成 29 年 3 月までを経過
措置期間としており、現在、市町村においてニーズ把握や関係者の認識共有に努めていただいている状況で
あることをどのように考えるか。
福祉用具貸与・特定福祉用具販売、住宅改修
(共通事項)
○利用者が適切なアセスメントとケアプランに基づき福祉用具や住宅改修を利用できるよう、サービス担当者
会議のみならず、地域ケア会議の活用を含め、どのような方法が考えられるか。
○福祉用具や住宅改修が、利用者の自立支援、状態の悪化の防止、介護者の負担軽減等の役割を果たしているこ
とを考慮した上で、利用者負担のあり方についてどのように考えるか。
(福祉用具貸与・特定福祉用具販売)
○福祉用具貸与・特定福祉用具販売の価格について、極端な価格差が可能な限り生じないようにするとともに、
利用者が適切な価格の福祉用具を選択できるようにするためには、どのような仕組みが考えられるか。
○福祉用具貸与・特定福祉用具販売の対象種目について、それぞれの種目の特性や利用実態等を踏まえて、どの
ように考えるか。
(住宅改修)
○住宅改修の工事価格等取引実態を把握するために、どのような仕組みが考えられるか。また、工事価格や施行
水準のばらつきを抑え、利用者が適切な改修を受けるためには、どのような仕組みが考えられるか。
第60回介護保険部会資料より