明日に向かって ID:94386

明日に向かって
わかよたれぞ
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小説の作者、
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じます。
︻あらすじ︼
漆黒聖典番外席次の物語です。そもそも彼女に関してはほとんど
情報がないので、ほぼ丸々捏造です。
旅だち │││││││││││││││││││││││││
目 次 追手 ││││││││││││││││││││││││││
1
幕間 説明︵いいわけ︶回 読み飛ばし可 │││││││││
海 │││││││││││││││││││││││││││
ダンジョン攻略 │││││││││││││││││││││
冒険者組合 │││││││││││││││││││││││
6
10
19
26
32
旅だち
﹁クインティアの妹が脱走しました﹂
私が得る外部からの情報は、この目の前にいる、スレイン法国漆黒
聖典が第一席次、マキシマム・デイモス・モイライがもたらすものが
殆どだ。
この一言が、100年にも亘る退屈で、もはや鏡面のように波一つ
無かった心に、わずかな小波を引き起こした。
家柄から六歳の時に親元を離れ、戦士としての教育を受けるべく修
道院に放り込まれた。
日々続く、修練と神意を理解するための座学。
人類最後の守り手として、かくあるべしと厳しく育てられた。
12歳のとき、何の前触れも無く唐突に〟それ〟は起こった。
高熱を発症し、一週間苦しみ続けた。当時の光の神官長でさえ癒す
事のできない苦悶が延々と続き、誰もが我が死を覚悟したとき、唐突
に私は目覚めた。
内に感じる膨大な力。あらゆる知覚の研ぎ澄まされた鋭敏さ。修
道院の奥深い寝床に横たわりながら、外の世界のざわめきさえ聞こえ
た。
寝込む前とはまったく違う己がそこに居た。
私の回復を見たものは、これぞ神の御業、神の起こされた奇跡と神
を称えた。
その後、当時の漆黒聖典所属の総がかりの模擬戦で、完璧な勝利を
収めたため、法国二人目の神人の称号を得た。
その夜、最高神官長を始め、各神殿で神への歓喜に満ちた感謝の祈
りが、いつまでも続いていた。
私の体は、それ以来成長を止めた。100年たった今でも初潮もな
い。
外見も大きく変貌を遂げた。
もともとの髪と瞳の色は、母譲りと言われた法国では珍しい漆黒で
あったが、髪は右側が白銀に変わった。瞳の色も右が青で左が赤と
1
なった。
耳が妙に長くなり、まるでエルフのようだ。人類の守り手がエルフ
だというのはお笑いぐさだろう。なにしろ法国ではエルフは完全に
奴隷としてしか認められないのだ。
だから私はこの耳が嫌いだ。
複雑に六大神の血が混じりあい、各神からもたらされた部分的な先
祖がえりが身体に現れたのだろうと言われた。
それ以来100年、私はスルシャーナ神以外の5柱の神が残した神
器を身につけ、それを守り続けている。
年に数度、その装備を宝物殿深くに収め、私以外の漆黒聖典がそれ
を守護する間に、戦闘訓練と証する魔物狩りに出るだけが、唯一の息
抜きとなった。
生活に必要なものは全て国から支給される。食事も服も何もかも
だ。
そもそも街を歩く事がないので、私は買い物と言うものをした事が
無い。お金というものも、それと交換に必要なものが手に入ると知識
で知っているだけだ。
幼少の頃からの教育により、人類最後の砦たるこの身の処遇に不満
をもったことはない。ただ、退屈だった。
そして現漆黒聖典隊長から、聞いたクレマンティーヌの話。
闇の巫女姫から叡者の額冠を奪い取り、それを持って脱走したとい
う。闇の巫女姫は発狂したので直ちに処分された。
現在、風花聖典が追討の任務を受けて出国したという。
私と同じ教育を受けてきたに違いないクレマンティーヌが、自らの
意志で国を捨てたという。
〟そうあることも可能なのだ〟という選択肢の広がり。別の人生
を歩むと言う可能性。
ある意味、とても新鮮な事を聞いたと思えた。
しばらくして、クレマンティーヌの遺体が戻ってきたらしい。漆黒
聖典の第九席次が風花聖典に殺されるとは情けないと思ったが、どう
2
やら違うようだ。
モモンという、王国の都市エ・ランテルに突如として現れた漆黒の
フルプレートを着用した戦士に殺されたのだと言う。
それも、全身の骨がばらばらに砕かれていたそうだ。
驚くべき事に、大儀式を行ってクレマンティーヌの生前の記憶を調
べた結果、その漆黒の戦士がスルシャーナ神に酷似したアンデッドだ
ということが判明した。
この事実は当然法国の最高機密に指定された。漆黒聖典隊長であ
る彼だからこそ知りえた情報である。
またモモンが連れ歩く魔法詠唱者のナーベという女性が第七位階
魔法を使用したらしい。
こちらも人間ではない可能性が高いだろう。法国以外では、人類の
使える最高位の魔法は、バハルス帝国のフールーダ・パラダインの使
う第六位階だということになっている。
クレマンティーヌの遺体が戻るのと前後して、漆黒聖典のセドラン
エドガール両名の遺体と瀕死のカイレが運び込まれた。
破滅の竜王復活の予言により、ケイ・セケ・コウクを装着したカイ
レを警護して出撃したはずだった。
途中強力な吸血鬼に遭遇し、ケイ・セケ・コウクを使うも、二名の
隊員を失う事となった。カイレも光の神官長の治癒魔法にも関わら
ず、すぐに亡くなった。
その吸血鬼がいまどのような状態なのかは不明であるが、追加調査
を行う余力は今の法国にはない。
この二人の異形の冒険者に先立つ事一週間、陽光聖典失踪に関連す
ると思われるアインズ・ウール・ゴウンという大魔法詠唱者が、やは
り突然出現している。
魔封じの水晶が使用されたために、その原因を探るべく大儀式によ
り︽プレイナーアイ/次元の目︾を使用した結果、アインズ・ウール・
ゴウンが展開したであろう攻勢防壁により、土の巫女は爆散し、土の
巫女神殿自体も壊滅した。
3
突然この世界に桁違いの強者が四人現れたのだ。
漆黒の戦士モモン、ナーベ、アインズ・ウール・ゴウン、吸血鬼こ
の四者が無関係だと考える愚か者はいないだろう。
外の世界は随分と楽しそうなことになっているようだ。
だが、私はここから出る事は無い。
そのアインズ・ウール・ゴウンやモモンは、私よりも強いだろうか。
ナーベと吸血鬼は、私よりも強いだろうか。
それから暫くの間、私の心に広がった小波は、退屈な日常のなかで
徐々に収まり始めていた。
恒例行事となった帝国と王国の戦争で、アインズ・ウール・ゴウン
が第十一位階魔法を使用し、10万人を超える死者を出したと言う
その結果、王国の都市エ・ランテルが差し出され、アインズ・ウー
ル・ゴウンが支配する魔導国になった。第十一位階魔法など、ぷれい
やー以外が使用できるものではない。
法国としては、クレマンティーヌが持っていた記憶から、漆黒の戦
士モモン=アインズ・ウール・ゴウンである事は確定事項とされ、ア
インズ・ウール・ゴウン入城の際のモモンの行動も単なる茶番劇であ
ると見ている。NPCとみられる存在も複数確認されているので、ア
インズ・ウール・ゴウンはギルド拠点ごとこの地に現れたぷれいやー
で有ることは確実であった。
対アインズ・ウール・ゴウン包囲網の構築を図る帝国から、極秘裏
に法国へ接触があった。人類以外の存在への忌避感が強い法国はそ
れに応じ、帝国に神官を派遣したものの、かのアインズ・ウール・ゴ
ウンの智謀が勝ったのか、もしくは帝国が既に使嗾されていたため
か、秘密の会談場に魔導王が当然といった体で現れ、その直後帝国は
魔導国の属国に下った。
帝国の鮮血帝、法国からすれば、人類の守り手として期する事の大
きかった男だが、所詮はぷれいやーに抗すべくもなく彼の作り上げた
帝国を魔導王に差出したのだ。
その後、あの日、マキシマムが語った新たな国の話は、静まりかけ
4
た小波を大きな波濤に変えた。魔導国が示す未来に、人類のみが抗う
この退屈な人生が変わるかもしれ
真の冒険が諸君を待っている。
ことにどれほどの意味があるのか、そう思わざるを得ない、魔導王が
高らかに謳いあげた演説。
冒険者よ、我が元に集え
100年の眠りからの覚醒を
ない。
かつてこれほど胸の高鳴りを感じる言葉があっただろうか。
神人として覚醒したとき、我こそは人類の守護者であると神に感謝
し胸に湧き上がる感動に叫び声をあげそうであった日の胸の高鳴り、
その後訪れた永遠とも思える無為な日々。
しかし今、そのとき以上の感動が私を包む。
魔導国の様子を聞く限り、魔導王は例えアンデッドであったとして
も、人類に敵対する存在ではあるまい。
また、エ・ランテルからの報告では、その地の住民はまったく安全
かつ快適に生活をしているようだ。
であれば、人類の守り手であるこの身が魔導国にあったとしても、
神に背く事にはなるまい。
例え法国の追っ手がかかっても、私に勝てるものなど今の法国には
いないし、魔導国の冒険者となれば手を出す事はするまい。
そしてある夜、私は身から取り去った神器をベッドに残し、身には
持てるだけの戦闘糧食をもち、魔導国へ向けて走り出した。
5
!
!
追手
ふむ、もう追いつかれたか。
法国を出奔して凡そ一日半。神器をすべて法国に置いてきたので、
それなりに疲労するし、進行速度も若干劣る。
既に四方を囲まれている。
ケイ・セケ・コウクが唯一の懸念だが、あれは使う人を選ぶアイテ
ムだ。カイレが死んだ後、新たな装着者が現れたとは聞いていない。
マキシマムが私に話していないだけかもしれないが、可能性は低い
だろう。
そこそこ疲れもあるし、装備も貧弱。一応、戦闘訓練と称した亜人
の間引きの時に着用する皮鎧とブーツ、手甲は装着している。
法国内では、常に装着する神器のおかげで、疲労するということは
無かった。
﹂
周りを囲む者達も、私を警戒すると言うよりも、部外者を近づけぬ
6
私が守っていた神器は五つだ。
不破の甲冑、破砕のウォーサイス、月の雫の額冠、リングオブサス
テナンス
そして、最後の1つは私の体内に埋め込まれたギルド武器、沈黙の
凍土。これは私が殺されると発動する広域破壊兵器であるらしい。
こればかりは、法国に置いてくるわけにはいかないし、人類最後の
切り札と成り得るものだ。
﹂
さて、目の前で跪くマキシマムをどう扱うとしようか。
﹁私とやりあう気か
﹁嫌だと言ったら
そもそも、こいつ神槍を持って来ていないな。
﹁どうか、祖国へお戻り下さい﹂
それはそうだろう、私に勝てるはずがないのだから。
﹁これ以上法国の国力を低下させる事はできません﹂
?
﹁わたしに出来る事は、お願いする事だけです﹂
?
ことが目的なようだ。
彼は16歳の若さながら、法国3人目の神の血の覚醒者だ。まあ私
も覚醒したのは12歳だったが。
しかし、神の血の濃さが彼とわたしではまったく違う。
まず、マキシマムは年をとる、普通の人間の10分の1ほどの速さ
だが。
強さという点では、彼は、私を除く全ての漆黒聖典隊員を同時に相
手をしても勝てる。
私は、彼を含んだ全ての漆黒聖典隊員を同時に相手をしても勝て
﹂
る、無論法国に置いてきた神器なしでもだ。
﹁聞け
私は周囲を囲む漆黒聖典にも聞こえるように叫んだ。
法国は人類のためと称して、どれほどの人民を謀略の末に犠牲にし
た。
王国は愚かさゆえにどれほどの民草を殺した。
帝国は国政の安定のためにどれほどの貴族とその私兵を殺した。
わたしは魔導国に殺された人民というものを未だ聞かない。
カッツェ平原の悲劇は、あくまで皇帝の要請に依るものであろう。
この先王国も竜王国も、諸国全てが魔道国に堕ちるだろう。
このまま行けば、唯一法国だけが世界の中で孤立する。
ならば、この私が法国と魔道国の懸け橋となろう。
どの国に居ようと、私が人類の守護者である運命から逃げることは
しない。
そして、声を落としてマキシマムに言った。
﹁この場は引け﹂
しかし、彼は動かない。そして呟くように言った。
﹁スルシャーナ様の例も御座いますれば・・・﹂
スレイン法国最大の闇。
何故スルシャーナ神は追放されたのか。
7
!
これは、漆黒聖典でもマキシマムと私しか知らない、まさに法国最
大の汚点。
最高神官長や各神殿の神官長が代々口伝で伝えてきた法国の最高
機密。
これが法国人民に伝われば国は崩壊する、他国に漏れれば、法国こ
そが人類の敵と見做されかねない。
六大神の中では、スルシャーナ神以外は人間とエルフであった。
つまり寿命があったということだ。
スルシャーナ神一柱が残されたとき、かの神の精神に何があったの
かは分からない。
もしくは、この地に降臨した時からそうであったのかもしれない。
残された死の神は、その存在の本来の意思を顕現し、人類に死を齎
す組織を秘密裏に作り上げた。
それは想像するしか
今日人類の絶滅を教義とする、かの秘密結社ズーラーノーンの起源
﹂
が率いる軍の前になすすべもなく負けるだろう。
しかし、ギルド武器を体内に持つ私が魔導王に近づくことが出来れ
ば、勝機はある。
だが、今は・・・。わたしも囁き返す。
﹁仲間を失ったスルシャーナ神は変貌を遂げた。だが魔導王は単独で
この世界に降臨したようだ。それでもかの王は人類を殲滅する意思
を示していない﹂
8
となった組織である。
何故表立ってその組織を作らなかったのか
はないか
﹁なればこそ、私が魔導王近くに居ることに意味があるというもので
だろう。
時間と共に変貌するのではないかという懸念を持たざるを得ないの
つまり、マキシマムは、現状人類に対して好意的に見える魔導王も、
ろか。
ないが、恐らくは死んでいった仲間への義理立て、とでもいったとこ
?
世界から孤立した法国が、魔導国に戦いを挑んだとしても、かの王
?
﹁魔導王はスルシャーナ様とは違う
席次であることが知られたなら﹂
もうひと押しだ。
しかしもし御身が漆黒聖典番外
おまけに私自
?
﹁総員、本国に帰投する
﹂
しばらく考え込んでいたが、かれは立ち上がり言った。
身が人類ではない、エルフだ。誰も疑うことなど出来はしないさ﹂
に番外席次などというものが存在しない、そうだろう
﹁私の存在は誰も知らない、それはこれからも同じことだ。漆黒聖典
!?
だが、どちらにしろ、クアイエッセ辺りを半年も貸し出
ものであることに変わりはない。そこは変えることが出来ない、が。
ただし、私が人類の守護者であるという考えは、私の存在意義その
ど簡単なものだ。
私にとっては、やっと16歳になった、そんな小僧を手玉に取るな
こんな異形のエルフのババアに惚れるなどお笑い種だ。
112歳のババアだ。
マキシマムは、恐らく私に惚れている。見た目はともかく、中身は
取っているのだ。人類救済も先立つものがなければ成立しない。
だが、それをしない。竜王国の人民の命を質にとって、献金を搾り
せば、ビーストマンなぞは殲滅できる。
いや獣口か
ビーストマンは100万とも200万とも言われる人口だそうだ、
例えば、竜王国からの要請によるビーストマンとの戦いがそうだ。
もあるが、政治というものを分かっていない。
おまけに脳筋とまでは言わないし、若さのせいで仕方のないところ
本当にあの男は私に甘い。
そして彼らは消え去った
!
ただ、退屈に耐えられないのだ。
9
?
冒険者組合
要塞都市エ・ランテル。
魔導国へ入国する長い列が続いている。
魔導国成立当初は、外部との交流は絶え、他の国へと移住する人々
が長い列を作り、都市内部はまさに火が消えた状態だったという。
その上、寂れた街中を無数のアンデッドがうろつき回る、まさにこ
の世の地獄のありさまだったと聞いた。
だが今は違う、魔導国はこの世界最大の食糧供給基地となり、商人
たちの出入りは引きも切らない。その他にも、高度なマジックアイテ
ム、武器、武装、美術品、どれをとっても超一流のものが、他国に比
べかなりの安値で手に入る。
また治安の良さも群を抜いている。交易や旅人の為の街道は見事
に整備され、アンデッドの兵士が24時間絶えることの無い哨戒を続
けている。
街道は全て石畳で舗装されているが、これは他の国では考えられな
いことだ。
しかも、街道にはおよそ4キロごとに立派な休憩所が整備され、そ
こではいつでも無料で入ることが出来る風呂があり、仮眠をとる施設
も無料だ。
街道沿いの草むらに横たわって昼寝をしても、盗賊にも獣にも襲わ
れない唯一の国。
だから商人は、とにかく一刻でも早く魔導国領内に入ることを最優
先する。
アインズ・ウール・ゴウンの紋章のレリーフが掲げられた分厚い城
壁に、商品を運び出すために開けられた大きな通路から、スケリトル
ドラゴンが引いた巨大な荷車が次々と出てくる。数頭いれば一国を
滅ぼすことが出来る伝説の化け物が荷車を曳いているとは、なんの冗
談だ。
城壁には入国目的別の入り口が用意されている。商人はスケリト
ルドラゴンが出入りする口から出入りするようだ。
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それとは別に一般の旅行者等の入り口、魔導国の公務員用のもの、
そして、冒険者専用の入り口。
警備の為だろう、どの入り口も両側にデスナイトが立っている。こ
れまた伝説の存在のオンパレードだ。
各入り口の通路の上には分かり易いように、説明書きのプレートが
下がっている。文盲が少なくないため、親切に絵が添えられてその入
り口が誰にでも理解できるようになっている。
﹁アインズ・ウール・ゴウン魔導国へようこそ﹂
とてもチャーミングな女性がニッコリと微笑みながら私を迎えて
﹂
くれた。うーん、美女だ。胸にアインズ・ウール・ゴウンの紋章が入っ
たメイド服のようなものを着ている。
﹁魔導国への入国目的をお聞きしてもよろしいですか
私の姿をつま先から頭のてっぺん迄視線を動かしながら尋ねてく
る。外見12歳の少女が冒険者登録に来たとは思えないのであろう。
入り口を間違えたうっかりな女の子に別の入り口を案内する気ま
んまんに見える。ふん、私の実年齢を聞いて驚け。
﹁もちろん冒険者組合に登録する為です﹂
えっ、という声が受付嬢の口から洩れる。
﹂
﹁冒険者登録に年齢制限はありませんが、お嬢さんが登録するのです
か
も思われたか。彼女の視線がしばし私の周りをさまよう。
﹁はい、私はエルフなのでこう見えても112歳です﹂
ではこちらをご記入
えーーー、という声が今度ははっきり聞こえた。
﹁失礼しました。文字の読み書きは出来ますか
ください﹂
﹁これって、なんですか
﹂
齢、出身地等を書き込むようになっている。
ニャだな。とにかく、その真っ白な何かには枠線が引かれ、名前や年
と言って、何か白くて薄い板を渡してきた。なんだこれ、グニャグ
?
初めての方は皆さんそう聞きますねと言い、それは紙だと言う。紙
?
11
?
そうか、誰か冒険者登録に来た肉親のおまけで着いてきた子供とで
?
植物から作る紙というものがあるのは知っているが、私の知るそれ
一見ペンに見えるが、インク
はもっと分厚くごつごつし、とても何かを書き込めるようなものでは
ない。
しかも、一緒に渡されたこれは何だ
壺が見当たらない。
しまうとは
なんと、ただ文字を書くことだけの為にマジックアイテムを作って
まペンとしてお使いください﹂
﹁それはインクが中から流れでるマジックアイテムですから、そのま
私の当惑した様子を見て、彼女が言った。
?
ものだ。それを他国に持ち出そうとしただけで首を刎ねられても当
この地図もすごい、通常都市の構造を示す地図は国家機密に属する
場所に検討を付けて歩き出した。
プレートと一緒にもらったエ・ランテルの地図を見て冒険者組合の
今すぐ神官長達を連れて、私と同じ体験をさせたいものだ。
やっと入り口を過ぎたばかりで、それを痛感した。出来得るなら、
さと膝を屈するべきだ。
まったくもって、お話にならない。国力が違いすぎる。法国はさっ
いいながら立ち上がって私を見送ってくれた。
このプレートは常に身に着けてください、身分証となります、そう
ば私の名前と年齢、その横には私の顔が刻印されている。
そういって手の中に納まる大きさのプレートを差し出した。見れ
﹁ヴァッシリーゼ様、ではこちらをお持ちください﹂
入国手続きは終わった。
でも平等に扱われると聞いた魔導国へ来た、ということにした。無事
思いついた。そこで両親と住んでいたが死んでしまったため、エルフ
出身地はトブの森。昔トブの森にはエルフの国があったことから
中ででっち上げた身の上話を使う事にする。
出身地にスレイン法国と書く分けにもいかないので、ここまでの道
!
然な代物だ。それを只で配って、しかもものすごく精密に書き込まれ
ている。
12
!?
さらに驚くことは、都市のなかの空気が清浄なことだ。他の国と違
いアンデッドが物流の多くを担っているので、他国では当たり前の牛
や馬が垂れ流す糞尿がないからだろう。
街中では所々に、エルダーリッチやデスナイトが立っているが、街
を行く人々はまったく恐れる様子はない。
それどころか、私と同じ地図を手に、エルダーリッチに道を尋ねて
いるものまでいる。
また、エルフやゴブリンと言った亜人も少なくない数が自由に歩き
まわっている。店頭で働く亜人も普通に見かける。
肉の串焼きの屋台が目に入った。
私は大食いだ。この特殊な体の為だと思うが、同じ漆黒聖典の男性
戦士の4∼5倍は食事が必要だ。法国を出て3日、すでに持ち出した
戦闘糧食はない。腹がへって眩暈がしそうなくらいだ。
串焼きを焼いている男が、うまいよ、食っていきな、そう言うので
そうだ、お金
﹂
そうか、今までお金というものを持ったこと
﹁ごめんなさい、お金はもっていません﹂
こういう時は12歳のガキを演じるに限る。
しょうがねえなあ、そういう男に、でっち上げた身の上話をすると、
じゃあ、おっちゃんを手伝いなと言い出した。
12歳のかわいい女の子が客引きをすれば、それなりに客は集ま
り、じきに串焼きは売り切れた。
13
遠慮なく一気に20本程食べた。
その男は目を丸くしながら、お嬢ちゃんよく食うなあ、と驚いてい
た。
腹が落ち着いたので、御馳走さま、とても美味しかったと言い残し
銅貨20枚﹂
て冒険者組合に向かおうと屋台を離れた私に、後ろから声がかかる。
お代
とっさには意味がわからない。振り返って、な
!
と考える私に声をかけた屋台の男が近づいてくる。
銅貨20枚
﹁お嬢ちゃん、お嬢ちゃん
お代
!
﹁お嬢ちゃん、まさかとは思うが、お金を持ってないのか
んのことだ
?
!
も使ったこともないので、まるで頭に浮かばなかった。
おお
?
?
?
!
とも聞かれた。
途中で、男が用足しに行くと言って何度か居なくなった。お嬢ちゃ
んは厠に行かなくて大丈夫か
そう聞かれると何故か行きたくなるものだが、どこかの店の厠を借
りるのだろうか。
だが、男が指指す先に公衆便所というものがあるという。行ってみ
ると、何らかのマジックアイテムの効果なのか、まったく臭くない。
しかも便器がカギのかかる個室に分けられている。
用を足した後に気が付いたが、洗浄用の水桶が置いていない。さす
がにこれには困ったが、なにか注意書きがあることに気が付いた。ど
うやら、このしろいコロコロする柔らかい紙で処理するようだ。
こんなことに、こんな高価そうな紙を使用するとは、しかも無料だ。
水を汲んできてくれと頼まれれば、井戸が近くにあるのだろうと思
うものだが、地面に突き刺さった筒状のものに、水桶を近づければ何
をせずともそこから綺麗な水が噴出してくる。まったく頭がおかし
くなりそうだ。
﹁お嬢ちゃんのお蔭でこんなに早く売り切れだ。仕事がないなら明日
も来てもらいたいくらいだ﹂
そういいながら、私の手に銅貨10枚を握らせた。生まれて初めて
手にしたお金だ。
ありがとう、そう言いながら手を振って男と別れた。
冒険者組合の扉を開いて中に入ると、所々で立話をする人や座って
マークが浮かんでいる。誰かが呟いた、親
いる人が一斉にこちらを向いた。
どの顔にも思いっきり
本来の私の力を感じることができるならば、この場に居る冒険者は
恐れに身が縮むことになるだろうが、私は体内に神器を埋め込まれた
関係で、刻印術式を背中に入れ墨で彫り込まれている。そのせいで、
他者に本来の力を感じさせることはないのだ。
受付に行き冒険者登録を申し出ると、入国の際と同じ反応が返って
くる。
14
?
でも探しに来たか、その言葉に納得したのか皆元の様に話を始めた。
?
ここでも、でっち上げ話をし、112歳であるというと、なぜか、エ
ルフってズルいという呟きが聞こえた。
魔法詠唱
入国の際とほぼ同じような紙とペンを渡され、記入するように言わ
戦士
れる。大きく違うのはクラスを書き込むことくらいだ。
当然私は戦士である。
書き終わった紙を受付嬢が確認していると、えっ
者じゃなくて、と呟いていた。
?
を浮かべる。
なんでここで舞
踏会の話がでるのか分からない。しばし問答を繰り返し、パーティー
なんというパーティーかと聞かれた。パーティー
講習が終了するとすぐに受付に行き、予約を申し込もうとすると、
うことだ。
階層に到達したものが優先的に予約ができることになっているとい
屋中の視線が集中する。ダンジョンに入る機会は予約制で、より深い
それで、いつからそのダンジョンに挑戦できるのか、と問う私に部
る。
1年以内に3階層を突破出来なければ、諦めて別の道を探すことにな
と眠る場所は無料で与えられる。しかし見習い期間には制限があり、
支給されることになる。見習い期間中は、給金の支給は無いが、食事
し、3階層を突破すれば正式に冒険者として認められ、給金が国から
そして、魔導国が用意した全部で10階層あるダンジョンに挑戦
用なことだが。
冒険者に必要な講習を無料で受けることができるらしい。私には無
望すれば、野営の仕方、天候の読み方、魔物の種類や対処法と言った
まず、現在の私の地位は冒険者見習いということになるらしい。希
のを見ると、皆やはり
並ぶ部屋に案内された。すでに何人かの男女が居たが、私が入室した
初登録の冒険者はまず講習を受ける必要があるということで、机が
でも何とか仕事と割り切ったのか、その後の手続きを進めた。
私の言葉を聞いても、はあー、といまいち要領を得ない顔で、それ
は﹂
﹁間違いではありません、戦士です。こう見えてかなり強いですよ、私
!
?
15
?
悪いことは言いませんの
とは戦闘ユニットの事だと理解できた。もちろん私は一人で挑むつ
おひとりでダンジョン攻略ですか
もりだ。他者など足手まといでしかない。
﹁ええ
余計なお世話だ。
﹁一人では挑戦できないというルールがあるのでしょうか
そういったことはないのですが、と口をつぐむ。
?
﹁いくら食べ放題といっても、残すのはマナー違反よ﹂
ていたティスホーンと名のったエルフと同じテーブルに着いた。
のような場所だった。山盛りにしたプレートを持って、先に席につい
食堂はビュッフェ形式で、取り放題食い放題という私にとっては夢
出てくれた。
エルフが自分も食事をしようと思っていた、そういって案内を買って
もう十分に腹がへっていたので、食事場所を尋ねると、一人の女性
も忘れない、社会人としての常識だ。
いる。自分のベッドを確認し、すでに部屋に居た女性に挨拶すること
た。一部屋に二段ベッドが五つ用意され、一応男女別の部屋になって
しかたがない、とりあえずは指定された部屋へ引き上げることにし
間が発生するという。
時間ごとに1パーティーという決まりがあるため、それなりの待ち時
聞けば、ダンジョンは24時間開放されているが、中に入るのは2
の串焼き屋台で働こうかと一瞬思ったほどだ。
なんとか予約は取れたが、なんと一週間後になるという。本当にあ
れた。
押しつぶして畳んでみせると、ひいっ、という声を上げて納得してく
そう言いながら、懐から取り出した銅貨を一枚、人差し指と親指で
﹁では、わ・た・し、一人で予約を取ってください﹂
﹂
で、講習に参加するなりしてお仲間を見つけたほうがいいですよ﹂
!?
と彼女に軽く警告を受けたが、なにを言うやら、これはまだ1枚目
だ。
うまい
!
16
!
なんだこれは、戦闘糧食や修道院の貧祖な食事に慣れた舌には、信
じ難いほどうまい。
これで無料か。魔導国すごすぎだろう。
一枚目のプレートをさっさと片付け、二枚目三枚目と進んでいく
と、周囲の目がこちらに集中してきた。
おい、そこでどれくらい食うか賭けを始めた奴、あとでいくらか貰
いに行くぞ
そして五枚目でとりあえず腹いっぱいになった。
ティスホーンの左耳は先端が切り取られている。これは法国でも
見られる風習で、このエルフが奴隷だったという証拠だ。巧みに髪型
で隠しているが、見るものがいれば気が付くものだ。
彼女は見習い期間が来月で期限切れになるそうだ。もともと帝国
で奴隷だったのだが、魔導国の属国になったため、奴隷制度がなくな
り解放されたが、食い詰めて他に道もないのでとりあえず冒険者登録
をしたということだ。そのような、一年間食いつなぐためだけに冒険
者登録するものは少なくないそうだ。そしてそれは、ある意味国家に
公認された行為だという。
食い詰めたものに一年間の猶予を与え、冒険者組合で講習というあ
る意味では職業訓練と言えるものを受け、社会に出ることを可能にす
る救済制度として認められているという。
ティスホーンはここを出た後、すでに目星をつけている酒場で働く
そうだ。活気に満ちたエ・ランテルは慢性の人手不足に陥っているら
しい。建国当初逃げ出した市民も戻り始めているそうだが、魔導国の
成長が早すぎるのだ。さすがに、アンデッドには向いていない職種が
多いということだろう。
やはりアンデッドが給仕する酒場に行きたいとは思わない。
救済の意味があるとはいえ、一応冒険者見習いなので、3ヶ月に最
低一回のダンジョン挑戦が義務付けられている。
ダンジョンが怖くて仕方なかったのでもう行かなくて済むからう
れしい、とまで彼女は言った。
そして、魔導王には本当に感謝していると、街で人気だという魔導
17
!
王のレリーフが刻まれたペンダントを見せてくれた。
﹁そのようなものを商品として売って、不敬ではないのか
﹂
そう問い質す私に向って、これは国営の店で売っているもので決し
て不敬などという事にはならないと言った。その店では従属神の絵
姿なども売っているらしい。
最初の給金を貰ったら、是非私もその店を訪れようと誓った。
なんという違い。今日何度目だろう、神官長にこの国を見せたいと
思ったのは。
・・・・・・
そして、私がダンジョンに挑戦する日がやってきた。
18
?
くそっ
くそっ
くそっ
くそっ
!
そういう呟きも耳に入る。
!
くそっ
くそっ
然のことだと確信していた。
くそっ
それが、第二階層も突破できなかった。
人類最後の守護者である私が、第二階層
だが、あんなものが認められるか
くそっ
あれが、正当な戦闘評価に繋がるなど有り得ない
あんなものに、何の意味が有るというのか
作るトラップなど、この身に通じるものではない。
対人戦闘訓練では、トラップの設置を想定していたが、所詮人間の
い。
た。この世界でモンスターがトラップを仕掛けるという話は聞かな
漆黒聖典での訓練では、徹底して対モンスター戦の技術を磨きあげ
!?
﹁でもね、アインズ様は意味のないことは為さらないと思うよ﹂
!!
?
ダンジョン初回挑戦で、未だ誰も出来ていない10階層の制覇が当
ティスホーンの胸に縋り付いて、私は泣き崩れた。
ティスホーンが静かに言った。
﹁もう、やめなさい﹂
実践なら殺されていたかもしれない。
ほど頭がいかれて居たのだろう。
誰かが私に抱きついてきた。直前でもそんなことに気が付かない
!
そうなほどの力。
くそっ
!
だが、その力が何だというのだ
くそっ
!
闘技場のグラウンドに拳を叩き付け続ける。
!
!
闘技場のグラウンドに拳を叩き付けるだけで、周囲の建物を破壊し
なんという身体能力
何事かと建物から次々と人が出てくる。
拳を叩き付けるたびに、闘技場を囲む建物に振動が走る。
!
ダンジョン攻略
くそっ
!
くそっ
!
闘技場のグラウンドに拳を叩き付け続ける。
!
!
!!
19
!
!
トラップに掛って矢が飛んできても、そんなものは薙ぎ払えばい
あんな高度なトラップに、一体なんの意味
い。落とし穴があっても、底に槍衾があるなら、穂先に着地するだけ
のこと。
それが、なんだあれは
があるのだ
なに
なんなのこの人
﹂
たっす。よろしく頼むっス﹂
﹁ルプスレギナ・ベータっす。今日はトラップの見つけ方を教えに来
インは異なるが、すでに見慣れたメイド服。
赤髪に褐色の肌、太陽のような笑顔を持つ美女が入ってきた。デザ
﹁ちーっす、元気っすか
しばらくすると、教室の前の入り口が開けられ、教官が入ってきた。
すでに4名が席に着いていた。
トラップ対策講座とのプレートが掲げられた部屋の入り口を通る。
そして、そのままダンジョンの外に放り出された。
ても、まったく無駄だった。
何かに手を掛けようにも、手にした槍をどこかに付きたてようとし
階層に進もうとした瞬間、足元の地面が消え去った。
昨日、私が第二階層の最後と思われるエルダーリッチを倒し、第三
これだ
トラップ対策講座
た講習表を見に行った。
翌朝、精神的にも肉体的にも最低状態で、冒険者組合に張り出され
た。
その後、大いに自棄食いと、めったに口にしなかった酒を浴びて寝
あたしなんかが、言う言葉じゃないけどさ、と付け加えた。
﹁でもね、負けは負けだよ。それを認めないと先に進めないでしょ﹂
!
!
?
?
﹁じゃあ、とっととやるっすよ。まず目の前にこういう風に右手を上
げるっす﹂
そういって、普通の人が遠くを見るときにするような動作をする。
20
!
能天気っぽいが、この人、漆黒聖典第一席次と同等の強さを感じる。
?
しかたがないので、同じようなポーズをとると、近くに寄ってきて、
と唱えるっす﹂
違うっすよ、手首はこの角度っす、そう言って私の手をいじる。
﹁このポーズで、トラップはどこかな
しかたない、同じように唱える。
﹁はあ ・・・頭が悪い人っすか ・・・こんなんでトラップが見えた
そう質問した受講者が居た。
﹁ルプスレギナ様、これで本当にトラップが見えるのでしょうか﹂
?
ら苦労は無いっす﹂
なんなんだ、この女は
﹁いっ、痛いっす、ユリ姉
耳をつまむのは勘弁して欲しいっす﹂
その時、入り口が開き、女性が入ってきた。
?
と隣の人に尋ねると、
結い上げたカラスの濡れ羽色の髪、ボインボインのボイン
やはりこの人もメイド服を着ている。
さすが魔導国と言うべきか、メイド風情が、非常識すぎ
この人も、漆黒聖典第一席次と同等の強さを感じる。
何なんだ
るだろう
!
こちらも絶世の美女だ。知的な雰囲気に似合うメガネ、夜会巻きに
ラップ対策講座を受け持ちます、ユリ・アルファと申します﹂
﹁申し訳ありません。私の妹がご迷惑をお掛けしました。私が当、ト
しばらくして、女性が戻ってきた。
なにやら、ギャーという叫びが聞こえてきた。
魔導国では、非常に高位な位置にいるお方だそうだ。
プスレギナ・ベータ様です﹂
﹁あの方はアインズ様に直接仕える、戦闘メイドプレアデスの一員、ル
あれは一体なんなのだ
るから待って欲しいという伝言だったでしょう、そういう声。
そう言い続ける褐色の美女に向って、お前に頼んだのは、少し遅れ
!
?
なるほど。そう呟いた後で講師が続けた。
どうぞ、と言われ、私はトラップの存在意義について質問した。
﹁ユリ先生、一つ質問があります﹂
その後一通りの自己紹介が進み、私の番となった。
!?
21
!?
?
﹁このアインズ・ウール・ゴウン魔導国では、冒険者にモンスターの討
伐を期待しておりません。皆様に期待することは、この世界の未知の
解明。真の意味での冒険です﹂
そのことと、トラップがどう繋がるのか
﹁皆様が冒険の途中で、未知の遺跡に遭遇することがあるかもしれま
せん。その中に足を踏み入れる場合、そこにトラップが仕掛けられて
いる可能性が大きいのです。詳しくは申せませんが、それは確かなこ
とです﹂
なるほど・・・私にはわかる。ギルド拠点ごとの転移、そしてギル
ド拠点が遺跡になる可能性。
そう考えれば、トラップ対策こそが私の学習すべきことか。
講習終了後、冒険者組合の受付で次のダンジョン攻略の予約をし
た。
一週間後に再挑戦が予約された。
それまでの間、私は毎日ユリ・アルファ先生の講座に出続けた。
そして二度目のダンジョン攻略戦。
10階層最後の守護者は三体のペイルライダーだった。
単騎で相手をするのは苦労したが、所詮はレベルが違う。
ただ、三体を倒した後、トラップに対する警戒のほうが余程大変な
作業だった。
ダンジョン攻略を示すラインを超えると、ダンジョン入り口近くの
場所に転移した。
その瞬間三点鐘が鳴り響き、エ・ランテルに初のダンジョン完全攻
略者が現れたことを布告する。
ダンジョン入り口近くに並ぶ冒険者から雄叫びが上がる。
目の前に、白髪の執事姿のナイスミドルが現れた。
﹁セバス・チャンと申します。この度は初のダンジョン攻略おめでと
うございます。アインズ様が謁見を許可されました。三時間後にお
迎え申し上げますので、身支度をお願いしたします。では後程﹂
そう言って、消えた。
22
?
なにいまのナイスミドル
なっているのだこの国は。
、あれほどの強者が執事ってなに
の傍らに控える白いドレスを身にまとった超絶的美女の悪魔
どう
魔導王アインズ・ウール・ゴウン、魂が震えるほどの恐怖が走る。そ
巨大な扉が内側から開けられた。
セバスさんがそう言うと、メイドが中に引っ込み、しばらくすると、
アインズ様にお目通りを、ヴァッシリーゼ様をおつれ致しました。
セバスさんが、扉をノックするとメイドが出てきた。
その後、エ・ランテルにある魔導王の執務室に案内された。
部屋で待機していると、ノックの音が響く。
まずは、とにかく食事だ、その後風呂に入って・・・
ンに入ってから10時間が経過している。
まあ、それは今はいい。とにかく腹がへった。考えれば、ダンジョ
?
?
現在の装備では絶対無
なんだ魔導王から感じるこの圧倒的
そしてセバス様がそこに並ぶ。
私は、二、三歩進み跪いた。
おいおい、ここで死ぬのか
オーラ、その横の美女も、果たして勝てるか
理だろう。
﹁ダンジョン攻略を祝おう、ヴァッシリーゼ﹂
ありがたき幸せ﹂
魔導王自ら声を掛けてきた。
﹁はは
?
?
人払いをせよ、お前とセバスもだ。天井の八肢刀の暗殺蟲も退去せ
よ、そう言った。
ぷれいやーとは私にとっては神そのもの。その一員に並ぶ
﹁さて、お前はユグドラシルのプレイヤーだな﹂
えっ
など考えられない・・・しかし、どう答えることが魔導王の意向に沿
うことになるのか
﹁では、お前のその力をどう説明するのだ﹂
その骨だけの顔で、目でこちらを見ている、気がする。
﹁私はプレイーヤーでは御座いません﹂
?
23
?
そこで魔導王が、横にならぶ白いドレスの女性に言う。
!
!
そっ、そんなこと言われても・・・
どうする、どうこたえる。法国の事を・・・いや、言えるわけがな
い。どうする、どうするのだ
﹁その先祖のプレイヤーの名前は分かるのか
はあ
﹁けっと﹁なに
﹂﹂
﹂
っと、時間を稼ぎ次に続く言葉を全力で考える。
﹁あー、﹂
どうする、如何する、どうする。
うわーー、でっち上げた話にその突っ込みやめてくれる
?
血統図がないのでわかりません、というつもりだったのに、
至高の御方の親族であれば、私共にとってもお仕えすべき方と、ナ
ンズ様も、クフーとか聞こえる。
この地に降臨した明美様が子孫を残したのであれば、この私とアイ
﹁よろしく頼む﹂
﹁畏まりました、では手配は私が﹂
二人が驚きの顔を私に向ける。
﹁アケミさん・・・子孫・・・取り計らえ﹂
二人にアインズ様が何かささやいている。
執事が入ってきて、元の位置に戻った。
いつの間にか後ろの扉が開き、白いドレスの美女とナイスミドルの
なんだかぶつぶつ言っている。
確かにあの瞳の色は明美さんと同じだ。
なんということだ、明美さんがこの地に既に来ていたというのか。
﹁はっ、はあ﹂
なんか勘違いされている気がする。
ええ
!?
トブの森のエルフの話、そして先祖にぷれいやーが居たらしいと。
とりあえず、これまででっち上げた話を拡張することにする。
!!
﹁まさか、その先祖とはアケミというのではないか﹂
!!!
イスミドルも声を揃える。
24
??
???
え
ええええええ、何言っての
一体何を畏まっちゃったの
どうなったの、私死ぬの
﹁よい、素晴らしいぞ
﹂
これが富や名誉を望むならば失望したところ
表情の伺えない骸骨ではあるが、笑っているような感じがした。
ございます﹂
﹁はっ、冒険者として生きますからにはなにより、装備の充実が願いで
﹁さて、ヴァッシリーゼよ、ダンジョン制覇の褒美に何を臨む
?
﹂
十字槍がありますればこの身の栄誉でございます﹂
?
え
え
え
え
え
え
え
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
え
?
え
?
え
?
え
?
し伝えます、と答えた。
え
?
えええええええええええええええ
え
え
え
え
え
?
くふー、アインズ様の娘ということは、私の娘ということ。早速申
﹁ヴァッシリーゼを我が娘として扱うように通達を徹底せよ﹂
そして白いドレスの悪魔に言った。
んぞ。装備は私が用意しよう﹂
﹁あー、これからはこの魔導王を身内として頼るが良い。遠慮は入ら
それからしばし、言い淀んだ。
なとつぶやく。
うーん、武人建御雷さんの作った武器にそんなのがあった気がする
﹁はっ
﹁ところで、お前の得意とする武器はなんだ
ならないな。宝物殿を少し漁るとしよう、などと言い続ける。
だがこの子に与えるのであればすべてゴッズ級の装備でなければ
がは・・・﹂
だ。ダンジョン攻略はスタート地点であって、ゴールではない。さす
!
?
25
?
?
?
!
!
?
海
﹁ヴァッシリーゼ様﹂
そろりそろりと、後ろ足で下がりながら何とか執務室を脱出したと
﹂
ころで、後ろから声が掛けられた。
﹁ひゃっ、ひゃい
なに
なに言ってんの
止めてよ
の身の不甲斐なさに腹が立ちます﹂
いや、人の話を聞きなさいよ
﹁ルプスレギナ・ベータ
﹂
裂帛の気合で妹の名を呼ぶ。なに
今度はなに
?
この勘違いがバレたら、あたし一体どうなるんだろう
!
﹁あの、それでしたら﹂
はっ、畏まりました
首筋にあてがう。
怪我でもしたらどうします
ちょっ、何してんの。
﹁何するんですか
もう、疲れるんだから頼みますよ。
私に接してください﹂
﹁あのですねえ、それでしたら、この前の様に普通に、いつものように
!
!
そう言って、彼女の短剣を取り上げた。
﹂
そう言ってどこからか短剣を取り出して己の
誰か助けてーーー、もう法国に帰りたい。
が出来ますなら、如何様なこともお命じ下さい﹂
﹁ヴァッシリーゼ様、先日は大変失礼いたしました。この埋め合わせ
私の前に湧き出てきたかのように赤髪の美女が出現した。
?
!
?
!
﹁我が創造主、やまいこ様の血筋にあたるお方、そう見抜けなかったこ
蔭です。本当に有難う御座いました﹂
﹁先生、頭を上げてください。ダンジョン攻略が出来たのは先生のお
?
礼、お詫び申し上げます﹂
﹁ヴァッシリーゼ様、知らぬこととは申せ、この一週間の数々のご無
振り返ると、ユリ先生が頭を下げていた。
!!
!
26
?
﹁そうです・・・そうっすか。だったら今度こそトラップの見分け方を
教えるっす﹂
本当はですね、右手じゃなくて左手をこう、手のひらを下にして目
の高さに・・・
ガゴン
ユリ先生がまったく手加減せずに、思いっきりルプスレギナさんの
後ろ頭を殴りつけた。
﹁ルプー、いくらヴァッシリーゼ様のお許しを頂いたとは言え、ぼくの
創造主の血を引くお方に対する不敬は許しませんよ﹂
すると何時の間に現れたのか、別のメイドが私に深々と礼をした
後、ルプスレギナさんの襟首を持って彼女をどこかへ引きずって行っ
た。
﹁あっ、あの・・・﹂
﹁彼女はナーベラル・ガンマと申します。私の妹ひとりです﹂
そう言って、改めて礼をする。
いや、そんなことを言ってるわけじゃなくて・・・
﹁ヴァッシリーゼ様が魔導国にいらっしゃる間、お世話を申し付けら
れました、ユリ・アルファに御座います。どうかユリとお呼びくださ
い﹂
いや、もう知っているし・・・
なんというか、もう・・・いいや。なるようになれ
・・・・・・
!
冒険者組合の扉を開けると、私の姿を見た冒険者が口々に賞賛の言
葉を投げかけてきた。
完全攻略おめでとう
かわいい
すげえな、あのちんちくりんが完全攻略
!
ロリババア
ミニスカートはいてほしい
あの可愛さで最強とか、ギャップありすぎ。萌える。
!
!!
27
!
あの子のために、新しい階級ができたらしいぜ。
?
!
これって、賞賛って言っていいんだよな
おれはルプスレギナ様だな
じゃあ、おれ絶対頑張る、死んでもいい。
もしかして、完全攻略するとプレアデスが
ユリ様素敵。
ユリ様綺麗。
プレアデスが冒険者組合へ来るなんて。
おい、何でユリ様がこんな所へ
うに一気に静まった。
その騒ぎも、私に続いて入ってきたユリさんを見ると、波が引くよ
?
﹁私はヴァッシリーゼ様のお付のメイドで御座います。主人の前で椅
そうおっさんが言う。
﹁あの、ユリ様も椅子をどうぞ﹂
座った。ユリさんは私の斜め後ろで立っている。
おっさん二人も立ったままだ。しかたなく先に座ると、おっさんも
り返ってもにこやかに微笑んでいるだけ。
応接室の様なところに案内され、椅子を勧められた。ユリさんを振
う言いながら二階へ誘う。
ダンジョン完全攻略の手続きもありますので、どうかこちらへ、そ
そろって頭を下げた。
﹁魔術師組合長、テオ・ラケシルで御座います﹂
﹁組合長のプルトン・アインザックで御座います﹂
おっさん認定だ。
実年齢では私のほうが遥かに年長だろうが、とりあえず見た目で
二階から慌ただしく二人のおっさんが降りてきた。
こういうのを賞賛って言うんだよな、きっと。
!?
?
そんな呟きが聞こえる。
子に座るメイドなぞ有り得ません﹂
ユリ様がお付のメイド
28
!
ではまず、とプルトンさんが、紙切れを一枚差し出して来た。
?
なに
﹁こちらがダンジョン完全攻略の報奨金、金貨千枚分の為替になりま
す﹂
為替
したもので御座います﹂
なるほどね。それは便利なのかな
?
な地図を見上げる。
おっさん二人もいつの間にか後ろに立っている。
﹁ヴァッシリーゼ様はどのような冒険をお望みですか
そうだなあ、どこへ行こうか。
・・・・・・
?
その前に、ご飯
﹁お部屋の用意が整いました。ご案内致します﹂
そうこうするうちに、ユリさんが戻ってきた
ん、死ぬ前に行ってみたいものですなあ、と後ろで声があがる。
なるほど、我々もこの年になっても未だに海を見たことはありませ
﹁海、海を見てみたい﹂
﹂
おっさんと話すこともないので、立ち上がり、壁に掛けられた大き
を出て行った。
ります、ヴァッシリーゼ様はしばしお待ちください、そう言って部屋
その鍵を、滑るように移動したユリが受け取り、部屋を整えてまい
の鍵で御座います﹂
﹁そして、こちらがヴァッシリーゼ様が今日からお使いになるお部屋
て、台帳のようなものを差し出した。
それでは、こちらに受け取りのサインをお願いします。そういっ
いや。
よくわからないが、どうでもい
むように、証書に金額を記し、銀行や商会で現金を受け取れるように
﹁為替とは、重量があり、かさばる硬貨を持ち歩くことをしなくても済
説明してくれる。
さすがに超一流のメイドであるユリが、雰囲気を読んで、すかさず
?
でも、あたし大食いだし、それなりの礼儀作法は知っているが、行
ユリさんにそう言うと、お部屋にご用意いたします、と言う。
!
29
?
儀よく食べるのは好きではない、そう説明する。
﹁ヴァッシリーゼ様のお心のままに﹂
ひっ、ひいーーー。
冒険者組合の食堂に移動し、ユリさんも一緒に食べましょうと言う
と、
﹁ユリとお呼びください﹂
そう言って譲らない。
いやいや、〟先生〟から〟さん〟に変えるので精一杯なんですけ
ど。
しばらく押し問答を続けたが、もうお腹も減ったし、まあいいや。
﹁では、ユリ一緒に食事にしましょう﹂
食べ始めてからも、このような食事をやまいこ様の血縁に・・・明
日からはナザリックの料理長を・・・それが無理ならシャルティア様
にお願いして転移門を・・・
私
﹁おはようございます。ヴァッシリーゼ様﹂
まさか、一晩中そこに居たわけじゃないよね
?
30
なんか、色々と怖いんで止めて欲しいんですけど。
・・・・・・
そう思えるほど丁寧に掃除さ
今日から割り当てられた私の個室に入る。
塵ひとつないとは、こういうことか
れた部屋だ。
生涯の誉れで御座います﹂
アイゾネッタと申します。ヴァッシリーゼ様のお世話ができるなど
﹁セバス様に申し付けられ、ユリ様の補佐としてまかり越しました。
そのメイドも優美な姿でお辞儀をする。
メイドって、なんか、勝手に増殖するのか。
あっ、あれ、すでに部屋にメイドが居た。
?
何というか、ビーストマンを100万匹殺せと言われるほうが気が
楽なような・・・
はあー、がんばれ
!
翌日起き上ると、ベッドの横にユリが立っていた。
!
しかも、ユリの隣にはタオルを手にしたアイゾネッタが控えてい
る。
絶対驚かないぞ
!
ユリが何か言おうとしている。
もう、驚かないぞ
え
!?
!
え
!?
え
!?
え
!?
え
!?
えええええええええええええ
﹁本日は、アインズ様よりナザリックヘお連れするよう申し付かって
え
!?
!?
おります﹂
!?
え
31
え
!!!!!!
幕間 説明︵いいわけ︶回 読み飛ばし可
第一席次の強さについてですが。
絶対強者である番外席次にとって、他者の評価は大雑把に、普通の
人類、ちょっと強い、強い、もうちょっと強い、位にしか分類されて
いません、という設定です。
などと思っていますので。
実際に会うまでは、アインズ・ウール・ゴウンはわたしより強いだ
ろうか
階層守護者、セバス、アインズ様に実際に会って、初めて、とても
強い、わたしより強いかも、というランクが加わります。
ですので、第一席次もプレアデスも、〟もうちょっと強い〟枠に
入ってしまいます。
私の書き方は、基本的に視点を固定するので、謁見の場でアインズ
様が何を考えているのは記述していませんので、裏側からちょっと。
アインズ様は、とにかく番外席次を明美の子孫だと思い込んだ。
これは物語の都合上、そうであると理解してもらう以外ありませ
ん。
主人公はあの世界に元々いる登場者の中では異質な存在なので、そ
のような特殊な条件をつけないと先が続きません。
帝国と王国の内情は把握しているので、シャルティアを精神支配し
たのは消去法で、法国か評議国の可能性が高い。陽光聖典を考えると
ほぼ一択でしょう。デミウルゴスなら既に真相にたどり着いている
でしょう。
また番外席次の真実にも容易にたどり着くでしょう。
そうなったら、即座に主人公は殺され、法国は滅ぼされます。
しかし、アインズ様が番外席次を明美の子孫だと思い込んだのであ
れば、真相がわかってもあえてアインズ様に報告をしないかもしれま
せん。
階層守護者の第一理念はアインズ様のお役に立てるかどうか、いか
にアインズ様を喜ばせ、そして悲しませないかという感じです。
32
?
真相を暴いてアインズ様が悲しむなら放っておくだろう、です。
何か深いお考えがあって・・・。とにかくデミ
もしくはオーバーロード名物の思い込みで、アインズ様が気がつい
ていないはずはない
ウルゴスを封じ込めないと。
アルベドはあっさりとアインズ様攻略の娘ルートに暴走するので
OK。
アインズ様が信じ込んだ理由としては、うそでも良いから思い込み
たかった、寂しいから、自分と普通に話が出来る存在を欲していたか
ら、そんなところでしょうか。
アインズ様一人では可愛そうなので︵多分それが理由なのであろう
と 私 は 思 っ て い ま す︶、他 の ギ ル メ ン が 一 緒 に 転 移 す る と い う の は
オーバーロードSSの一大分野になっていますね。
問題は、アインズ様が、ギルメンの妹でそれなりに親交があったプ
レイヤーの子孫をどう扱うのかですが。
まず、かなり長い寿命を持つエルフの明美が死んだということは、
殺された可能性が高いと言う事です。
アインズ様ならすぐにそう理解した事でしょう。であれば、子孫の
装備が貧弱なのも頷けます。
また六大神や八欲王のような伝説がないことから、ギルド拠点ごと
の転移ではなく、明美一人で転移したと推定できます。
異世界にたった一人で転移し殺された、ギルメンの妹の子孫。
部下にはしないでしょうね、アインズ様なら。しかし、シャルティ
アに匹敵するほどの戦闘力の持ち主ならナザリック陣営に取り込み
たい。
階層守護者と同等の地位を与えるのもどうでしょう。ラナー王女
と同じ位置にするか
すると、娘同然、というある意味宙ぶらりんなところでどうかな。
ナザリックでは強力な位置ですが、公式な意味では何も与えていな
い。
ナザリックメンバーは色々とお願いを聞いてはくれるでしょうが、
33
!
?
指揮権は一切無い。
ギルメンが作ったNPCは宝であり、我が子同然と公言しているの
で、いまさら娘が一人増えたところでなんだというのだ、という感じ
ですね。
もちろん、アインズ様のギルメン愛が大きいので保護する気は満々
です。
もともと頭にあったのはもっとぼやーっとしたものなのですが、言
葉で書き出すと大体こんな事です。
ナザリックのキャラはどれも非常に魅力的なのですが、制御が難し
い。
たとえば、ネタに困ったら、ルプスレギナとナーベラルを出してお
けば、キャラが勝手に走り出すとか、しかしナザリックを扱うには、神
算鬼謀のデミウルゴスやアルベドを出し抜かなければならない。私
の筆力では、無理な設定を押し通すしかありません。
・・・はやくナザリックから離れたい。
まあ、もともと捏造の嵐で無理を押し通していますので、お許し下
さい。
これからも、読んでいただければ幸いです。
34