「周期表手ぬぐい」について (PDFファイル)

 「長周期型」(18 列)から「超長周期型」(32 列)にどのように変化しているか、次の図に示して
いますのでたどってみてください。 ( 名和長泰 記)
「周期表手ぬぐい」について
平成 27 年(2015)の年末に 4 つの新元素の発見が認められ、そのうちの1つである 113 番元素は
日本の森田浩介先生をリーダーとするグループに命名権(新元素の名前と元素記号を提案する権利)
が与えられました。これは、日本初だけではなく、アジア初の歴史的快挙です。そこで平成 28 年 4
月の第 46 回「男く祭」を記念する「周期表手ぬぐい」を作ることにしました。愛媛県今治市の制
作会社との試し刷りの調整に時間がかかったため、実際に「手ぬぐい」が出来上がったのは学校祭
の後になりました。やむなく学校祭では A3 版の紙に印刷したものを配りました。
平成 28 年(2016)6月、原子番号 113 番、115 番、117 番、118 番の4つの新元素の元素名と元
素記号が、nihonium Nh (ニホニウム)、moscovium Mc (モスコビウム)、tennessine Ts (テネシ
ン)、oganesson Og (オガネソン)と提案され、現在、5 か月間の公開レビューがおこなわれていま
す。ちょうどその頃、附設高校同窓会の「サロン・ド・附設 in 福岡」で「人と附設と周期表」とい
うテーマでお話しする機会がありました。同窓会では 7 月に定期総会を予定されていたところ、記
念に「周期表手ぬぐい」を制作して下さることになり、しかも在校生 1103 名全員にプレゼントし
て下さることになりました。同窓会のご厚意に心より感謝とお礼を申し上げます。
ただし、現在が「公開レビュー」期間中であるため、国際機関 IUPAC からは新元素を記載した周
期表はまだ作らないよう注意されています。同窓会で検討された結果、113 番ニホニウムの位置に
「日の丸」を入れよう、というご提案をいただきました。
元素の周期表には、教科書で見かける「長周期型」(18 列)のほか”無数”の工夫された形がありま
す。「周期表手ぬぐい」の周期表は、「超長周期型」(32 列)とよばれる形の一種で、米国 UCLA の
Eric Scerri 先生が提案されているものです。昨年(2015)4 月に 103 番元素ローレンシウム Lr の第
一イオン化エネルギーが日本人研究者の手によって初めて測定されました。その結果、「長周期
型」の問題点が明らかになり、「32 列型」の方が優れていると考えられようになりつつあります。
しかし、横幅が広く、用紙サイズにうまく収まらないので、一つの工夫として「日本手ぬぐい」に
してみました。Eric Scerri 先生の提案の形は、元素の周期律の発見、周期表の発明の歴史的な背景
もできるだけ反映させようとしたものです。なお、左の6重円は 6 人の科学者*を象徴しています。
* ド・シャンクルトア De Chancourtois(1820-1886), ニューランズ J.Newlands(1838-1898), オドリング W.Odling(1829-1921), ヒンリクス G.Hinrichs(1836-1923), ロータル・マイヤー J.Lothar Meyer(1830-1895), メンデレーエフ D.I.Mendeleev(1834-1907)