Q 原島本第五章「熱力学的変化の進む方向」の中の変分がよくわからない。 Q’ δとδ2 はどのようなものか? Q’’ δとδ2 は何を表すものか? A 普通、 「変分」と「微分」は違う意味で用いられます。 「微分」は変数の値の微小変化で、 「変分」は関数の全体が微小変化するような時に使う言葉です。 しかし、原島本第五章の「変分」は、 「微分」のことと思って間違いありません。 δはテーラー展開の一次の項 δ2 は、テーラー展開の二次の項です。 普通の関数であれば、 1 1 𝑓(𝑥) = 𝑓(𝑥0 ) + 𝑓 ′ (𝑥0)(𝑥 − 𝑥0 ) + 𝑓 ′′ (𝑥0 )(𝑥 − 𝑥0 )2 = 𝑓(𝑥0 ) + 𝛿𝑓 + 𝛿 2 𝑓 2 2 であって、 𝛿𝑓 = 𝑓 ′ (𝑥0 )(𝑥 − 𝑥0 ) δ2 𝑓 = 𝑓 ′′ (𝑥0 )(𝑥 − 𝑥0 )2 です。 δS は、変数を微小量変えたとき、S が変化しますが、そのうち一次式になる部分 δ2S は、変数を微小量変えたとき、S が変化しますが、そのうち二次式になる部分 ということです。 注意が必要なのは、δS と書いた時、この S は、とくにこの第五章ではしばしば、系全体の 合計の S であって、一部分のSでないことに注意が必要です。系全体は、温度が一様でない 場合も圧力が一様でない場合もあり、その際はもちろん全体の温度は定義できません。それ でも部分系ごとに温度が定義できていれば、全系のSは部分系のSの合計で定義できるわ けです。 「全系」 「部分系」は明示されていない場合が多いので、文脈から理解するしかありません。 また、この章のうち「5.5 平衡の安定性」 の部分は記述が理解困難なので、授業では引用 していません。講義メモの方をみてください。
© Copyright 2024 ExpyDoc