Quest Uto Junior High School 宇土未来探究講座3学年通信 2011 3 69号 11月 4日 金曜日発行 宇土未来探究講座係 田代周史 質 実 剛 健 「無人島サバイバル生活体験」報告(4) 「食の探究」では、パン作りも行いました。粉をこねて、発酵させて、手作りのオーブンで焼く、 そのすべての過程を体験しました。設計図もなし、レシピもなし、日が暮れたら電気もなし、そんな 状況の中で試行錯誤しながら、地元、宇土松山の「五色山ふれあい会」からいただいた炭で焼いたパ ンの味は、また格別でした。 感想 一からのパン作り 田代くん 1日目の夜、カレー作りのかたわら、パン焼 きに向けて装置を作り始めました。与えられた 材料は段ボール、せんべいが入ってそうな四角 い缶、針金、網、 アルミホイルな どでした。しか し、作り方の説 明はなく、「こ の材料でどうす るんだろう」と いう感じでした。 とりあえず、他 の班を見よう見 まねでやってみ るものの、他の 班も分からないのは同じようで、なかなか上手 くいきません。何回も「違う」と言いながら苦 労して何とか作ろうとしていました。 結局、できたのは針金を段ボールに突き刺し て、網を段ボールの中ほどに固定し、その下に 炭、その上にパンを入れるものでした。とはい うものの、この装置で本当にパンが焼けるのか まったく分からず、まだまだ不安でいっぱいで した。 生地をつくり、いよいよ実際に焼くことにな りました。このパンは次の日の朝ご飯になると も聞いていたので、焼いている間は大丈夫だろ うかとすっと思っていましたが、実際にはとて もうまくいき「パン」になりました。焼きたて はもちろんおいしく、翌朝も少し固くはなって いましたが、とてもおいしかったです。 「パンを焼く」というと、もっとすごい装置 を使わないとダメなのかなと何となく思ってい ましたが、1時間足らずでつくったこんな簡単 な装置でも、きちんとパンが焼けて、とても驚 きました。 いろいろな工夫をすれば少ない材料であって も、さまざまなことができるのだなと思ったし、 みんなでアイディアを出し合って1つのものを 作る楽しさをこの体験で分かることができたか なと思います。かなり苦労しましたが、楽しく おいしいものを作ることができてよかったと思 います。 感想 パン作りのひととき 馬場さん 1日目の夕食作りの時に作ったパン。私は初 めてパンを粉から作ったので、とてもいい経験 になりました。夕食を作りながら一緒に作った ので、粉をこねたりするのはみんなで順番にや っていきました。粉を入れ、水を入れたところ で、思ったよりもベチョベチョになったので、 「これでほんとにパン生地になるのかな」と不 安になりましたが、何十分がこねているとだい ぶ水気がなくなり、テレビで見るような生地に なりました。 夕食を食べて片付 けをするまでの間、 生地を寝かせること にしました。片付け が終わって生地を見 てみると、こねた直 後はまだボールの半 分よりも小さかった のに、何十分かの間に2∼3倍にふくれていた ので、とても驚きました。ふくらんだ生地はと てもモチモチしていて気持ちよかったです。そ の後、小さく棒状に加工して、また、少しの間 寝かしました。 寝かせている間にパンを焼く「窯」を作りま した。段ボールに針金を刺して、その上に缶の ふたを乗せただけの小さなものです。そのふた の上には加工したパンの生地を並べて、段ボー ルの下には缶を置いて、それに火のついた炭を 入れ、段ボールのふたを閉じて焼きます。 パンを焼いている間は、みんなで火加減を調 整しました。最初に火の確認をした時は半生で、 火を強くしたら少し焦げてしまいました。2回 目は、何とか上手に焼けたので嬉しかったです。 その後は星の観察や係会議、班会議があったの で、3回目はその後に焼きました。 私は、パンを作ったり焼いたりするのも楽し かったのですが、焼いている間にみんなでいろ いろなことをして遊んだり、話したりする時間 がとても楽しかったです。―――3年間、一緒 にいて学校でしか話していなかったので、外で しかも制服じゃなくて話すのが、とても新鮮で した。また、友達の新しい一面も見つけられた りして、とても盛り上がりました。3回目の時 は大学生の奈々子さんも一緒だったので、自己 紹介をしたり、みんなでワイワイやりました。 出来上がったパンはとてもおいしかったし、 そこで過ごした時間もとても楽しくて、パン作 りは無人島での大きな思い出の一つとなりまし た。 感想 一からのパン作り 山本さん 私が、無人島生活の中で一番きつかったとい っても過言ではないのがパン作りです。無人島 に行く前にパン作りをすると聞いて、お店にあ るようなパンを想像していました。パンといっ たらそういうおいしいパンしか思い浮かばず、 私はとても楽しみにしていました。そんな期待 とは裏腹に、待っていたのはきつい現実でした。 オーブンづくりから始まるパン作り。それで も私は「何だ簡単で楽しそうだな」と思ってい ました。オーブンづくりを始めるのは私たちの 班が最初で、手探り状態でスタートしました。 段ボールとアルミホイルと針金を用意しろとい われ、「本当にこれでオーブンが出来るのか」 と不思議でたまりませんでした。田代先生は全 てを教えてくれるのではなく、私たちに考えさ せるようにいってくれるので勉強にはなりまし たが、田代先生の素晴らしい脳にはついていけ ず、途中からはちんぷんかんぷんでした。だけ ど、何とか理解し進めていましたが、そう簡単 には完成しません。「針金を段ボールに刺し、 アルミホイルを固定させる」。頭で思い描くこ とと、自分の手で作ることは違って、オーブン 作りは想像以上に難しかったです。 そして、開始から1時間半後、見た目は悪い けどようやく完成しました。それから少し経っ てパンを焼きました。他の班は、私たちよりも きれいで頑丈なオーブンを作っていました。悔 しかったけど、最初に私たちが作ったオーブン があったからこそみんながきれいに出来たと思 うと、人のつながりが感じられました。パンは あまりうまく焼けず、ボヤ騒ぎまで起こしてし まったけれど、一から作るという経験は現代社 会ではなかなかできないことであり、今あるこ の生活がどれだけ便利か、そしてどれだけ物に 頼っているかということを身にしみて感じるこ とが出来ました。苦い思い出となってしまいま したが、友達と協力して作ったオーブンは、忘 れられない大切な思い出です。 スタッフ紹介(3) 御所浦アイランドツーリズム推進協議会 平成13年6月に御所浦町に初めて岐阜県から修 学旅行生が来島したのをきっかけに、島作りに 興味のある方々が参加してできた。小中高校生 をはじめとした天草地域住民及び、当地域を訪 れる人々に対して、体験学習を通して島の暮ら しや自然環境に触れることでお互いに学習出来 る場を提供することを目的にしている。 今回の「無人島サバイバル生活体験」を行っ た黒島は、年間約3000人の利用者で特に夏の海 水浴やキャンプで賑わっています。他の無人島 も候補になりましたが、生徒たちの安全面を最 優先に考え、黒島になりました。 このサバイバル生活体験の一番の楽しみは、 キャンプファイヤーではなかったでしょうか。 その中で「洋上ファイヤー」は皆さんも初めて の経験だったと思います。その裏方としてご尽 力して頂いたのが、花里昌直さん、岡本直積さ ん、笠松強さんでした。 この方々は、30数年前から御所浦町で野外教 育研究会を結成され、町内6年生を対象に教育 キャンプを開催されていました。阿蘇の栃原威 寿さんとは、その頃からのお知り合いだそうで す。 炎を見つめる子ども達の喜ぶ表情に、安堵感 と達成感で疲れも吹き飛んだそうです。これか らも子ども達のためにご活躍頂ければと願って います。 事務局長 三宅雅啓 (「宇土未来探究講座」アドバイザー)
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