5571KB - 日本ダクタイル鉄管協会

発行年 号数
タイトル
著者
札幌市水道局
札幌市における口径1800mm長
距離推進工事について
工事課長 平賀 岑吾
工事第2係長 西條 肇昌
1982年 No.33
近畿農政局
加古川西部農業水利事業杉原川
揚水機場建設工事吐出管路での
ダクタイル管据付工事について
加古川西部農業水利事業所
工事課長 段本 幸男
工事係長 中野 芳樹
概要
近年の都市化への隆盛はめざましく、地下埋設物の輻輳化、住宅過密
による建設公害、交通公害などで大口径管の埋設は困難となっている。
このような状況下で、開削工法よりも安価で安定した工法の推進工法が
広く採用されるようになってきた。札幌市水道局が昭和54年に行った推
進工事の経験と実績を踏まえて、今回白川第2送水管ルートで長距離推
進工事386mを行った。本論は、その概要報告であるが、今回の施工は口
径1800mmと大きく、作業性がよかったこと、硬く締った火山灰の土層で
切羽の安定性が非常に良好であったこと、湧水量も少なかったことなど
から推力も予想より少なくて済み、無事終了したと述べ、また土質の条
件によっては400m程度の長距離は推進可能な範囲であるとも述べてい
る。
加西市を中心とした洪積台地は、瀬戸内気候に属し、年間降水量も全
国平均の約80%と少なく、かんがいに足る河川を持っていない。このた
め、水源の大部分はため池に依存している不安定な水源状況にある。そ
こで、これらの地域の不安定水利状況を解消するとともに、畑地かんが
い用水など新たに発生する水需要に対応していくために安定水源の確保
と水路などの施設整備をはかろうとするものである。本論では、口径
1350mmK形ダクタイル管を45°∼39°の急斜面配管に使用したが、他の
管種に比べて施工時間が早く、安全で点検も容易にでき、ダクタイル管
の利点が十分に発揮できたと述べている。
発行年 号数
タイトル
著者
日本ダクタイル鉄管協会
1982年 No.33
1982年浦河沖地震による水道管
路被害調査
北海道支部長 黒地 政美
技術委員長 長尾 正三
委員 沼田 英男
仁木 彬隆
岩本 利行
概要
昭和57年3月21日、北海道日高地方を中心に北海道、東北地方に強い
地震が発生し浦河町では烈震を記録した。今回の地震は直下型で地震動
がかなり大きかったようである。本論は、現地にて第1次、第2次にわ
たって管路被害調査を行った結果について述べており、特に浦河町、三
石町、静内町を重点的に調査し、この3町以外では管路の被害はほとん
どなかったようである。浦河町の被害が大きかったのは、地震動が大き
かったことと、基盤傾斜の大きい、表層の厚い軟弱な地盤帯であったた
めに管路の被害が多く発生した。しかし、3町ともダクタイル管の被害
は軽微で、十分にその機能を果しており、地震に対してダクタイル管は
被害を受けにくい管種であると結んでいる。
ダクタイル鉄管第33号 昭和57年10月 7
幌市における口経 1
8
0醐
距離推進工事について
札幌市水道局
工事課長平賀琴吾
工事第 2係 長 西 傍 輩 昌
1個はじめに
推進する距離に制眼があったり、任意に屈曲
させることがむつかしいなど今後の課題も多
い工法であり、布設土被りが深くないとまだ
。
た
道路に埋設する上下水道管などの工事は、
従来から開削工法によるものが一般的であっ
しかし近年の都市化への隆盛はめざましく
まだ高価であるとの問題もかかえている。
しかし、最近では実績もかなり積み上げら
地下埋設物の轄鞍化、住宅の過密化による建
れ、推進距離をできるだけ伸ばす方向に目が
設公害、交通障害などで特に大口径管の埋設
向けられ、国内外で長距離推進工事の事例が
は困難さを増している。
多く報告されている所である。
このため、布設土被りが深くなり、作業の
安全をはかるための堅固な土留、また土留に
米国デトロイト市では 1
.
4
0
0フィート (
4
2
6
m)の 推 進 工 事 が 行 わ れ 、 ク リ ー プ ラ ン ド 市 で
使用する機械も建設公害をできるだけ避ける
も2,
1
0
0フィート (640m)の推進工事が記録さ
意味からも特殊なものとなり、布設単価はか
2
0
0
m
m
;
.
.
.
2
6
9
m
れている。園内で、は堺市で、口径 1
なり高価なものとなっている。また国道横断
大阪市で口径1
5
0
0
m
m
;
.
.
.
2
2
7
mなど、その他多く
軌道横断などのように開削工法では施工でき
の工事が行われている O また推進距離が長くな
ないものも多くなってきている。
ると中押し装置が必要となり、クリープラン
このような状況下で大口径管を布設する土
ド市の場合は 4
8
0フィート (150m)前 進 し た 所
被りが深くなると開削工法よりも安価となり
でこの装置を使用するに至っている。英国わ
かつ安定した工法の推進工法が広く採用され
よ び ヨ ー ロ ッ パ で は 推 進 距 離 が 300フィート
るようになってきている。この工法は掘削面
(
1
0
0
m
)を越えると中押し装置を使用している
積が少なく、交通障害や住民とのトラブルも
のが通常のようである口
比車交的少ないという利点、もあり j
主目されてい
札 幌 市 水 道 局 に お い て も 、 昭 和5
4年 に 口 径
る所である。一方、この工法には適用する土
1500mm;
.
.2
7
6m の 長 距 離 推 進 を 経 験 し た 所 で
質に制約があること、口径に制約があること
あ る が 、 今 回 こ の 実 績 を 踏 ま え て 白 川 第 2送
8
7
.1
0 第3
3号
昭和 5
一 - J L 1¥
/一一言五創立管
、
、
、
、
、
、
、
農業試験場
¥
L
晶
羊ケ丘
展望台
清田
配水池
札幌市における口径 1
8
0
0
m
m長距離推進工事について
水管ルートにおいてダクタイル鋳鉄管による
9
このような環境下で施工するためには諸種
長距離推進工事を施工したので、その概要を
の制約があった。それは道有地真駒内保安林
報告し参考に供したい。
内であり、保安林解除ができないこと、地形
2
.札 幌 市 の 送 水 管
最 大 15m、 管 路 延 長 が 約 400mとなること、さ
が丘陵地であり動水勾配から管路の土被りが
本 市 の 送 水 管 は 第 3期 拡 張 事 業 ( 昭 和 4
2年
らには現場周辺の環境を保全しなければなら
~46 年)で、建設した口径 1500mm の白川第 1
ないことなどの言者制高句である。これら諸;告1]来守
送水管と第 6 期拡張事業(昭和 55年 ~58年)で
を考慮し布設の工法として推進、
施工中の口径1
800mm、口径 1
6
5
0
m
mの白川第 2
シールドなどが考えられたが、工事規模、周
送水管とがある。
辺環境や経済性などを考慮すると長距離推進
トンネル、
第 3拡 で 建 設 し た 白 川 第 1送 水 管 は 1日最
工法が適当であり、採用する方向で検討した。
大3
6万 9,
0
0
0m"を自然流下で昭和 4
6年 か ら 送 水
また樹木の保護と市民の利用度が比較的少な
している。規模は河 川 伏 越 1 ヵ所、
い冬期間を施工時期と決定した。
トンネル
1ヵ所で総延長 llkm、 管 税 は 口 径 1500mmダク
タイル鋳鉄管 (
6
.
4
k
m
)と 塗 覆 装 鋼 管 (
4
.
6
k
m
)で
ある口
一方、第 6拡 で 施 工 中 の 白 川 第 2送 水 管 は
昭和5
8年 度 を 通 水 目 標 に 1日最大 4
3万 1
,
0
0
0m
"
を自然流下で送水するものである。規模は河
川 伏 越 2 ヵ所、
トンネル 3 ヵ所、水管橋 2 ヵ
0kmで、ある。このうち 12kmは白川
所 で 総 延 長2
浄水場と平岸配水池間で口径1
800mmタγ タイ
ル鋳鉄管 (
8
.
5
k
m
)、 塗 覆 装 鋼 管 (
3
.
5
k
m
)を布設
写真工事現場
するものであり、さらに平岸配水池から清田
配水池聞を口径1
650mmの夕、、クタイル鋳鉄管 8
kmを布設するものである。
4. 長 距 離 推 進 工 法 の 採 用
推進工事は既成暗渠を設置するための方法
本報告は、白川浄水場と平岸配水池間白川
として 1
8
9
0年 代 の 後 半 に 北 太 平 洋 鉄 道 の 建 設
第 2送 水 管 ル ー ト の う ち ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 布
工事に採用されたのが最初であった。その後
設部において長距離推進を実施したものであ
国内外の各種工事で採用され今日のように改
る
。
良が加えられ、広く一般的になったものであ
る
。
3. 施 工 の 場 所 、 時 期
最近では長距離を推進する試みが多くなり
施工場所は市の南西部に位置し、桜山から
中間スリーブ管を採用する例も多くなってき
真駒内団地に通ずる丘陵地の市道に布設する
ている。国内で中間スリープ管を使用した長
ものである。この丘陵地は藻岩山を背景に、
距 離 推 進 工 事 の 事 例 は 昭 和5
1年から 9件 が 報
エゾヤマザクラ、
トドマツ、シラカンパなど
告されている。本市においても、昭和5
4年 口
の緑豊かな森林地帯であり、保健保安林なら
径1
500mmダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 で 中 間 ス リ ー プ を
びに鳥獣保護区の自然保護区域に指定されて
採用し 276m推進した実績があり、今回「外的
いる。
条 件J r
推力 J r
経済性」の面から種々検討し
また夏にはハイキングコースとなり、冬に
386mの長距離推進を採用するに至った。以下
はクロスカントリーコースとして四季を通し
推進可能と考えた事項を列挙すると次の通り
市民の憩いの場所でもある。
である。
1
0
ダクタイル鉄管
~,\
u
~ノ/
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
札幌市における口径 1
8
0
0
m
m長距離推進工事について
① 土 質 は 火 山 灰 質 で あ り 、 自 然 合 水 比 が30
%と比較的安定した地層であること。
1
1
である。
(
1
)工 事 場 所 : 札 幌 市 南 区 真 駒 内 17番 地
②推進部が直線であること。
(真駒内保健保安林内)
③ 管 径 が 口 径 1800mmと大きく、作業性に間
N
o
.
1~No. 2立坑間(図 - 2参照)
{白昭和 57年 1月 5 日
題がないこと。
④管材質の強度に自信が持てること。
(
2
)施 工 期 間 {
l至 昭 和 57年 6月30日
⑤過去の推力が計算式の計算範囲内にあっ
推 進 実 工 場 日 数 :65日
1日平均推進長(昼夜間):約 6m
たこと。
⑥ 設 計 予 想 推 力 が 安 全 率 を 包 含 し て 3,
000
(
3
)推 進 規 模 推 進 延 長 :386m
トン程度であること。
地
質:火山灰(一部砂礁層)
⑦中間スリーブの施工実績があり、信頼性
Nll直 40~50
がおけること。
内 部 摩 擦 角 40
0
透 水 係 数 K=
③他都市および本市の長距離推進実績から
判断して施工可能な距離であること。
⑨推進位置に支障物がないこと口
~O.
(
1
.32
6
8
)X 10- 4
(
4
)使 用 材 料 推 進 管 路 :
ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 4mX96本
5陶工事概要
(補強リブ付管
本工事は白川浄水場と平岸配水池を結ぶ延
30本
グ ラ ウ ト ホ ー ル 付 管 48本
長 12kmの 白 川 第 2送 水 管 路 の ほ ぼ 中 間 に 位 置
中間スリープ管 2.388mX2本
す る 。 工 事 延 長 は 442mで、このうちダクタイ
セミシールド用刃口
ル 鋳 鉄 管 口 径 1800mm~ 386m を 推 進 す る も の
設備名
吊り上げ・降
し設:
1
蒲
推進設備
使用機械名
門型クレーン(テルハ)
規
格
1基
10トン吊り
1基
電劫ホイスト
2 トン吊り
1基
油圧ユニット
2.2KW AC型
油圧ジャッキ
モノレール
モノレール用レール受台
8台
口径 1800mm用
10台
7.5KW CM-10
1台
100トン X300ST
1
2台
1式
KBP-2型
1台
中押用レール = 2本
400m
1台
充電器
ベルトコンベアー
コンプレッサー
電動式 Q=5.0m
37.5KW
、50PSロータリー
換気設備
記録設備
1台
1台
2台
ピックハンマー
注入設備
1台
200トン X500ST
中押油圧装置
油圧ジャッキ
刃口設備
数量
電動チェンブロック
中押装置ユニット
ずり出し設備
次の通りである口
10トン /2トン吊り
スベーサーブロック
中押設備
(
5
)使 用 設 備
口径:1800mm
1基
50トン X300ST
8台
グラウトポンプ
SP-IO 1
5
k
g
/
c
r
r
f
1台
グラウトミキサー
BLM型 100Qx2
1台
プロアーユニット
1
0
型
1台
棚式刃口
油圧ジャッキ
推力記録計
センサ一装置
EH1
3
6
1台
1式
1基
1
2
ダクタイル鉄管
7
.1
0 第3
3
号
昭和 5
(
6
)工 事 の 総 事 業 費 : 3億 1,000万円
土 の 単 位 体 積 重 量 :y=1.7t/
ぱ
0
土 の 内 部 摩 擦 角 :>
1=40
6. 設 計
値 :N=43(持=j15・
N十 1
5
)
N
(
1
)推 力 の 予 想
管 と 土 の 摩 擦 係 数 : 内 部 州 =tan;)
推力を現在使用されている一般式で計算し
推 進 長 :12=388.8m
推力の範囲を予想する。
土 被 り :H=l
1m(平均)
上記条件のもとに推力を計算すると次表の
管 外 径 :D=1990mm(先導管外径)
計算式
初期抵抗力
下水道協会式
P=P
+P2+Ps
1
=3,
5
6
5
t
下水道協会の
改定式
P=P
+P2十 PS
1
=3,
1
4
4
t
久保田鉄工式
P=P1
+P2+Ps
2
3
7
t
=2,
通りである。
P1
=1.3
2・
π・
D.N
=355t
D.N
P1=3.12・
=267t
管自重による
摩擦抵抗力
管周面摩擦抵抗力
H
・
'
T
7D一
K
γ
t
a
一
r
1
一
B
4(lfmktar14
B
)・
μ・
2
P2=
=2,
8
7
3
t
B:管上部のゆるみ土柱の半幅
K:主湖土圧係数
H
P2=ー21πD一
k
γ
一
t
a
一
B
n
一
4
一 (l-eKtanOS)・
〆2
.(
1十 K)
=2,
4
1
3
t
2
Ps=Wg'μ ・
=337t
Wg:推進管自:遺
〆
・t
Ps=Wg・
=464t
〆:t
ペ作と土の摩擦係数
D
P1
=πDtγ(H十一)
2
t
a
n2 (450+~)
2
=56t
2稀管)
t:先導管管厚 (
地下水位による N
値を補正し下水道
P1
=3.12DN
協会式+久保田鉄
=180t
工式
十 P2+Ps
P=P1
トDμ{W+t川
P2=
+W
心
1,
9
1
7
t
W:鉛直土庄
W1
,
W2 :側 土 庄
1
PS=4πWgμ
盟諸
トD凶
P2=
=264t
→
{W
1
(W
+ W2)
1
PS=4πWgμ'12
1
0
1
t
=2,
=235t
=2,
5
1
6
t
計算結果より推力は 2 , 237 トン ~3 , 565 トン
っ た 。 こ の 時 刻 の 積 雪 深 さ は 約 1mに達して
と広い範囲にわたっている。本施工場所の土
おり、発進坑ならびに工事用資材基地などの
質 は 本 市 が 経 験 し た 口 径 1500mm;
-276m長 距
まず除雪作業が開始された D
離推進時の土質とほぼ同一火山灰層であり、
N 値も 40~50 と同一値を示していることから
立坑は杭打、土留、掘削などの順序を経て
推 進 開 始 を 迎 え た の は 3月 6 日であった。
推力の上昇傾向がほぼ同ーと判断し、下水道
土 質 は 発 進 坑 か ら 210mま で が 全 断 面 火 山
協 会 改 定 式 を 採 用 し 設 計 推 力 を 3,
144トンと
灰で安定しており、 210m~280m の 70m 区間
予想した。
で 火 山 灰 か ら 砂 磯 層 へ と 変 化 し 、 残 り 約 100m
は全断面が砂磯層であった D この砂磯層は透
ワ銅施
工
工 事 は 1年 を 通 し 気 象 条 件 の も っ と も 厳 し
い厳寒期である昭和5
7年 1月 5日の開始であ
水性がよく、刃口の崩壊が考えられたので全
断面を薬液注入により地盤改良を行い推進を
実施した。
1
3
札幌市における口径 1
8
0
0
m
m長距離推進工事について
推進力図
(1011)
l
t
i
Ol
I
1
,,0
1
1
ト1
0
1
1
l
:
l0
日
1
2
1川
1
1
0
1
1
印刷}
り{川
日{川
i
Ol
I
引
{1
1
日0
1
1
,
1
0
1
1
:
1
1
1
0
10
(40m)
20
(80m)
,
3/12
火 1
1
1
1
:
/
3/17
Nf
(
l
'
( 40- 50
30
(120m)
(
l60m)
50
(200m)
3/24
4/1
4/8
40
60
(240m)
80
(320m)
その他
4/13
│ 火l
l
l
l
:
/
,・砂磯 i
L
G人
消材沌人以 1
1
I
I
4/22
00
(360m)
%(本)
(386m)
7 5/12
4/28
5/
i
{
州楽 Nfui:50nL(
1
総代 100-200mm)
11~I
IIーよ 1 1千~ζ1
l
i
J i一
一
「
て 1
下一寸 1 1 11
│ [ 1 1 し_
1 1I
]
l
i
f
;
i
l
r
て I1 1 1 1 1 1 1
l
中間スリープは設計通り 3
2本目 (
1
2
8
m
)、 64
本目 (
2
5
6
m
)が通過した時点、で挿入した口
「作業の安全性を確約するための対策」など
を主重点、とした。管路の土質・推力・精度・
減摩剤注入は摩擦抵抗力の減少と、刃口と
湧水量などの状況と変化を記録し、さらには
推進管との外径差に生じるクリアランスを充
酸欠など作業環境の把握をすることにより工
填し、地山の崩壊を防止することを目的とし
事の事前予測ができ、万一の事故に対する対
さらに施工推力の安全を考慮して発進坑から
応、が早期解決にもつながることから、これら
90m通過した時点、から注入を行い、その結果
を記録管理した。
十分なる効果を発揮することができた。
裏込注入は、管内のグラウトホール孔から
①推力状況を把握するための管理
@推
力:推力は自記記録計を設置し、
セメントミルクを全量で、 8
3
n
f注 入 し た が 、 こ
元押しおよび中間スリーブの
の注入量は設計量とほぼ同一数量であった。
推力値を管理した。この結果
このことから推進管と地山との聞に生ビるク
設 計 推 力 3,144トンに対し施
リアランスは最少であり、ほぼ余掘りのない
工 の 最 大 推 力 は 1,570トンで
理想的な施工ができたものと考えられる。
あった。なお、中間ジャッキ
このようにして地下の推進管内では昼夜を
の配置は設計通り挿入したが
通して 6
5日 間 休 む こ と な く 掘 り 進 み 、 地 上 の
推力が設計値よりも下回って
桜 が 満 開 を 迎 え た 5月 1
2日に無事貫通するこ
い た の で 砂 磯 層 に 入 っ た 336
とができた。
施工状況
施工に当っては「推力状況を把握するため
の管理 J r
管 路 誤 差 を 修 正 す る た め の 対 策J
m 地点から使用した o
e土
質:施工に当ってはセンターボー
リングて平 3ヵ
戸
斤
、 さらに 5ヵ
所の地質調査を行い、ほぼ設
1
4
ダクタイル鉄管
計通り推進できる見通しとな
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
③作業の安全性を確約するための対策
った。これらの調査結果通り
@酸素濃度:酸素欠乏を防ぐため、推進
発 進 坑 か ら 約 210mは 比 較 的
切羽面の換気を行い酸素欠乏
安定した火山灰であり、約 170
爆 発 ガ ス 警 報 器 を 用 い 1日 2
m は最大磯径 200mmで 混 入 率
回測定記録した。またモノレ
50%の砂磯層であった。
ールによる資材、土砂、作業
員の搬入搬出を行い作業の迅
φ 湧水量:切羽でのもっとも多い湧水量
速化と安全性を確約した。
は 1002/
分あり、立坑内の最大
汲 み 上 げ 量 は 1772/
分であっ
た。これらの湧水量は推進に
当りさしたる障害となるもの
ではなかった。
②管路修正するための対策
@精
8圃 お わ り に
今 回 の 施 工 は 口 径 が 1800mmと大きく作業性
がよかったこと、硬く締った火山灰の土層で
切羽の安定性が非常に良好で、あったこと、湧
度:トランシットおよびレベルを
水量も少なかったことなどから推力も予想よ
用 い 推 進 管 1本 ご と の 測 量 値
り少なくて済み、無事終了することができた。
を記録した。この結果、上下
386mという長距離推進もこれら好条件下で
の誤差では砂磯層で一部上向
はさほどの問題もなく推移したことで、担当
きを示したが、全体としては
者一同胸をなでおろしている状況である。土
満足できるものであり、左右
質の条件によっては 400m程 度 の 長 距 離 は 推 進
の 誤 差 は 最 大 84mmで、あった。
可能な範囲であるものと判断された。
このためさしたる管路修正
しかし、延長が増大されることにより設計
をする必要もなく推移した。
推力と施工推力の差がどうしても大きくなる
多少の修正は当初から刃口に
傾向が見られ、今後の検討課題として各種施
修正用ジャッキを装備したセ
工データを収集し、実績数値による修正を加
ミシールドタイプで、あったの
えていく必要があると思う。
で十分対応することができた。
1
5
加古畑西部農業水科事業
移原期揚水機場建設工事畦出管賂での
ダクタイル管据材工事について
近畿農政局加古川西部農業水利事業所
し加古川西部農業水利事業の概要
工事課長
段本幸男
工事係長
中野芳樹
造成を実施することとしている。
加古川の中流右岸に広がる加西市を中心と
なお、水源施設は西脇市の工業用水(日量
した洪積台地は、瀬戸内気候に属し、年間平
3万 nf) と 共 同 事 業 に よ り 実 施 す る も の で あ
470mmで 、 全 国 平 均 の 約80%と少
均 降 水 量 1,
る
。
なく、加えて地域内にかんがいに足るような
河川をほとんど持とたない 1
犬t
兄にある。このた
2圃工事概要(昭和 56年度)
め、従前よりかんがいは水源の大部分を小た
め 池 に 依 存 し 、 地 域 内 に は 約 600余もの多く
杉 原 川 揚 水 機 場 第 1期 工 事 と し て 、 揚 水 機
0
場よりずい道までの延長 95.43m、 斜 面 勾 配45
のため池を数えており、不安定な水源状況に
~390 を口径 1350mmK 形タγ タイル 5 種管、曲
ある。
管 部 は 鋼 管 に て 施 工 を 行 い 、 最 大 4.Onf/秒の
加古川西部農業水利事業は、これらの地域
補給水を揚送するものである。なおこの工事
の不安定な水利状況を解消するとともに、圃
は 、 昭 和 56年 度 9月18日に着手し、 57年 度 末
場整備の実施に伴う水量増、畑地かんがい用
日に塗装工事を残し管の据付工事を完了した
水など新たに発生する水需要に対応していく
ものである。
ために、安定水源の確保と水路など施設の整
備をはからんとするものである口関連事業を
3. ~土出管路について
併せ実施し、将来とも安定した農業基盤の整
し斜面配管(露出配管)管種の比較および検
備をはかることにより、農業経営、水管理な
ど農業の近代化を促進し、高能率、高生産性
の農業を展開せんとするものである。
また、かんがい排水改良に併せ、経営規模
の拡大、経営の安定化をはかるため、ぶどう
など地域特産の栽培を目的とした生産団地の
討
管体強度の大きい、安全性の高いダクタイ
ル 管 、 鋼 管 の 2管 種 に つ い て 当 施 工 場 所 の 地
形を踏まへ、施工性、耐久性、維持管理につ
いて比車交したものである。
G⋮
1
6
昭和 5
7
.1
0 第3
3
号
ダクタイル鉄管
図 -1 加 古 川 西 部 地 区 概 要 図
¥
中町
杉原川揚水機場
料E屡 ダ ム
式│ロッヲフイ jレゲム
43.4m
高
長
l
市川町
水路名称
最大流盈
水路長
杉原導水路
大屋
。
4.00m'/S
4.00m'/S
2
.
2
1m'/S
1
.1
9・
1
r /S
3
.9
9
1m'/S
2
.
4
0
5m'/S
O.924
・
1
r /S
l
.0
48
・
1
r /S
1
.676m'/S
2 034m
2 530m
1 268m
65m
8.428m
5.054m
19.557m
10.270m
39.062m
赤坂
。
相P
大幹線水路
西幹線。
西 1号 幹 線
西 2号 。
東幹線水路
司
可
守
__./..~γJ
福崎町
社町
百八、〈
も
1
7
加古川西部農業水利事業杉原川揚水機場建設工事吐出管路でのダクタイル管据付工事について
1. 施 工 性
管種
項目
ダクタイル管
管
吉
岡
接合性
外面より接合なので容易である
溶接、塗装(内外面)において急
斜面であるため困難である
天候による
影
響
影響されにくい
低温、湿気は溶接、塗装に悪影
響である
接合が比較的簡単である
溶接、塗装、検査など (X線)日
日
寺
カfかかる
単体重量が比較的重く、索道、
重機について十分な検討を要す
単体重量が比較的経く、管の運
搬、取扱いが容易である
其
月
工
管の運搬取扱
いについて
)
一
一
一
t=計 算 管 厚
2. 耐 久 性
夕、、クタイル管については内面モルタルライ
ニング、外面合成樹脂調合塗料により耐食性
は 大 き く 、 耐 用 年 数 は 40年位である。
鋼管は外面塗覆装、内面タールエポキシと
(鋳造公差、腐食を差ヲ l
いたもの)
次 に 内 圧 に よ り 発 生 す る 応 力 を 計 算 す る (σ)
、:
Q=
D---2、t
8.5x135
2 x1
.04
なっており、内面の膜厚の薄い塗装では耐久
性 は 乏 し い 、 ま た 耐 用 年 数 は 25年 と い わ れ て
いる。
= 550(
k
gf
/
c
n
i
'
)
安 全 率 は (S
f
)
3. 維 持 管 理
ダクタイル管については何度も述べるよう
Sf=立E
σ
に、内面はモルタルライニングであるため鋼
4000
550
管のように塗装が必要でない、元より急斜面
での方包工が必要で、ないのも明らかである。ま
=7.3
た補修や取換えなども同じことがいえよう。
σtーヲ│張強さ (
4,
000kgf
/
c
n
i
'
)
以上、ダクタイル管、鋼管を施工性、耐久
性 、 維 持 管 理 の 3項 に つ い て 比 較 検 討 し た も
のである。
よって十分安全な 5種管(12.5mm)を使用する。
2闘 胴 隙 間 隔 の 検 討
温度変化による管の伸縮を検討する。なお
その結果、急斜面部での塗装などを考える
管は空管時直射日光を受けた場合、温度変
と、最終的にダクタイル管が有利とのことで
化は 700~80 。程度とする。(水門鉄管技術基準
当事業ではこれを採用したものである。
による)
ムQ =L
1
T.α ・2
4. 設 計 諸 元 の 検 討
L
lQ=伸 縮 量
1. 管 厚 の 検 討
L
1T=温 度 変 化 (80C)
0
計算条件は次の通りである。
管径
件一 1350mm
管厚
T =12.5mm(5種管)
設計圧力
mm
P
中
8.5kgf
/
c
n
i
'
施工は露出配管なので、内圧のみ考慮し、外
庄は考えないものとする。
t=T/1
.1-1
o
α=熱 膨 張 係 数 (
1
0X 10-5/ C)
Q =管 長
(6000mm)
x1
.1x10-5 X 6000
.
'
.L1
Q=80
一4.8mm
よ っ て 胴 隙 間 隔 を 5mmとする。
3. K形 継 手
ゴム輪は押輪を介してボルトで締付けると
=12.5/1
.1-1
丸ゴム部が受口と挿し口の聞に入り圧縮によ
4mm
=10.
って生ずる D 復 元 力 と 内 圧 に よ る 丸 ゴ ム の セ
1
8
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
ダクタイル鉄管
ルフシールとで水密性を保持し、角ゴム輸で、
受口と挿し口の一体化をはかっている。また
接合は外面からであり、施工は容易である。
図 -2
30+60
A
=
iX135X(130+一三一)
=37,0
9
1c
r
r
f
よって付着応力 (σ)
7,500
一
一
一
一0
.
2
kg
f/
σ=一
A一一
3
7.
09
1
.
~
K形 継 手
ボルトナット
と小さく、許容付着応力 5kgf
/c
r
r
fに比べ安全
である口
地震時の水平力 (
H)は
有効長
H=KH.W=0.3(3,300+8,6
0
0
)ー 3,570kg
(
M
)は
車
云
偉jモ ー メ ン ト
M=H.h-B.W=1
.25x3.57-0.45X11.9
4. 受 台 の 検 討
=-0.9ton-Mく O
今 回 施 工 の 受 台 は 、 管 1本につき 1ヵ所コ
ンクリート受台で半巻施工を行うものである。
受台が管の中央にあり、転倒に対して安定
している D 滑りに対しでもコンクリート幅を十
T=P・
D.L=150X1.4X6
.0 1,260kg
ニ
車云倍。モーメント (M)は
、
分とれば問題はない。
管 重 3,
300kg+水 重 8,
600kg=11,
900kg(W)
滑る力
となり安全で、ある口
台風時の風圧 (T)は
、
M - T h - W× 2 4 2 6×01-119×07
204く O
=-8,
F=W'sin8
一11,900X sin39=7,500kg
0
となり安全で、ある口
管 と コ ン ク リ ー ト と の 接 着 面 積 (A)
図- 3 支承詳細図
一一北側
S=1/
40
④一明
④
一3 4
支承部詳細
んや
今γ
00
鋼板製バンド
﹂[
D25-L=1000
@300
@300
I
t=200=12t
よ
」
←
鋼板製バンド詳細図
加古川西部農業水利事業杉原川揚水機場建設工事吐出管路でのダクタイル管据付工事について
5. 受 台 の 補 強
1
9
きが N E方向であるので、 N E方 向 に 傾 斜 し
た亀裂が「流れ盤」となっている。
以上受台のタイプを決定したわけだが、施
この流れ盤の方向が法面の走向に近いこと
工土工時にわいて受台の基盤(岩)の層理が傾
斜面と同方向にあり、滑りに対し不安定であ
から、傾斜地でのコンクリート構造物の基盤
り、この受台の基礎として安全性に乏しいと
面としては安全性に乏しいものである。
よ っ て 安 定 工 法 を 3方 法 に 絞 り 検 討 し 、 追
判断され、下記の工法を追加したものである。
加施工を行った。
工法の決定について
a
.ア ー ス ア ン カ ー で 引 張 り 、 摩 擦 力 の 増 大
当現地の山腹を構成する基岩は硬質角レキ
凝灰岩で、主に 3方 向 の 亀 裂 (N300~500 W350
E、 N 200W800W 、 N400E 900)によりブロッ
で構造物の安定をはかる方法。
b
.構 造 物 の 重 心 、 地 震 時 の 水 平 力 、 鋼 棒 の
ク化していることがわかった。また法面の向
せん断力で防護する方法。
図-4
直
管
管
曲
管体
ダクタイル管 K形 5種 (T=12.5mm)
内面
モルタルライニング (
t=1
2
m
m
)
鋼管(両端プレンエンド T=12mm)
外面
工 場 錆 止 め 2回
(ただしコンクリー)
現地…耐候性塗料 2回 ト埋込部は無塗装
タールエポキシ CO.3mm以上)
無塗装
クロロプレンゴム (C.R)
ゴム事命
dら
~Û)
.
ぷ
1
0,
1
0
0
1
8,
406
45.184
1,
210
出∞凹,U 的
山田町叩凹
同
∞
U04v.
2
0
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
ダクタイル鉄管
写 真 一 2 アースアンカー工法
写真一 1 工事前
の機会に譲ることとする口
c
.大 径 ボ ー リ ン グ に よ り H鋼 、 ま た は 鋼 管
パ イ プ を 押 入 れ H鋼 上 に 定 着 鉄 筋 を 溶 接
し、曲げおよびせん断力で安定をはかる
5. 施工(配管工事)
方法。
し据付準備
コ ン ク リ ー ト 基 礎 上 に 管 架 台 を 図 - 5のよ
安全性、工期、工費などを考慮し、アースア
ンカー工法で一層の固定台、支承台の安全性
うに施工したものであるが、急斜面であるた
を石雀f
呆したものである。
め位置の確定に細心の注意を払い、幾度も距
離高さを検測し、架台を施工したものである D
アースアンカー工法の詳細については、別
図- 5
2. 吊 込 運 搬
う下記の方法で行った。
吊 込 運 搬 は 吊 荷 重3
.3トンの索道て午、下の方
す な わ ち 、 図 - 6のように取付け、夕、、クタ
から順次据付けていくが、運搬中に転落しな
イル管を常に水平に吊込み、所定の位置まで
いよう、また管が不安定な状態にならないよ
運搬を行ったものである。
加古川西部農業水利事業杉原川揚水機場建設工事吐出管路で、のダクタイル管据付工事について
2
1
図-6
索道ブロック
チェーンブロック 3t
o
n吊(2台)
この場合、安全確保の観点、から索道の運転
速 度 、 巻 上 げ 速 度 は 18.5m/
分、横行速度は 3
8
m/分で運転を行った。
3. 据 付 け
a
.据付けは水平に吊込んだ夕、、クタイル管を
チェーンプロックの操作チェーンで操作
ダクタイル鉄管
2
2
昭和5
7
.1
0 第3
3
号
写真一 3 管 の 搬 送
し、勾配に合致するまで荷の状態を見な
がら静かに合せていく。
写真一 5 工 事 完 了
6. おわりに
本 工 事 は 大 口 径 管 で 45 という急斜面への配
0
管工事で、わが国でもめずらしい工事であっ
たと聞いている口われわれ経験の少ない者に
は、施工業者への指導、また労働安全衛生法
に基づいた安全施工のやり方など、非常に勉
強になった。
そ う し た 中 で 、 特 に 施 工 の 際 気 付 い た 1、
2の 点 に つ い て 考 察 を 加 え て み る 。
はじめに管の運搬芯出し、接合までの時間
が鋼管に比べ早い時間で施工ができる。また
鋼管のように内面の溶接がないので安全で、あ
写真 - 4 管据付け
b
.合 置 接 合 が で き る と 、 止 水 ゴ ム パ ッ キ ン
を定位置に挿入しボルトの仮止めをする。
C.ボ ル ト の 仮 止 め が 完 了 す る と 、 位 置 の ズ
るし、点検も容易にできる、というダクタイ
ル管の利点が十分発揮できた。
しかし他方問題点としては、管据付後巻立
コ ン ク リ ー ト を 行 う 場 合 に 、 口 径 1350mmの 管
レの検測管と管との間隔の検測を行い、
では大きな浮力が働くことである。断面から
横転しないよう固定する。
考えても 0
.72 X π x2
.3
t
/
r
r
f+3
.6t/mの浮力と
d
.ボ ル ト の 本 締 め は ト ル ク レ ン チ を 使 用 し
なり、この浮力を同定台に完全に固定し、動
締付トルクは水道管締付基準に基づいて
かないよう十分な基礎が要求され、これが得
行った。
これら据付工事に当っては、全て技術指導
員のもとで行ったものである口
られない場合はワイヤーの伸鋼棒などの強度
をよく考え、決定しなければならない口また
型枠については、ダクタイル管が据付けられ
加古川西部農業水利事業杉原川揚水機場建設工事吐出管路でのダクタイル管据付工事について
2
3
ると型枠締付けのセパレーターの取付けが因
であるが、急傾斜地の配管固定台、支承台の
要量であったようで、ある。
細部にわたっての検討が事前に十分なされる
以上、特に気のついた所はこのようなもの
必要があることを特筆しておくものである。
2
4
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
ダクタイル鉄管
1
9
8
2
年浦洞沖地震による
水道管路被害調査
日本夕、、クタイル鉄管協会
北海道支部長黒地政美
技術委員長長尾正三
委員沼田英男
委員仁木彬騒
委員岩本利行
1.はじめに
図 -1
震央および震度分布関
昭和 5
7年 3月 2
1日午前 1
1時 3
2分、北海道日
高地方を中心として北海道、東北地方に強い
地震があり、浦河町では震度刊(烈震)を記録
した口この地震により浦河町、三石町、静内
町の管路に被害が発生した。
本 報 告 は 、 現 地 に て 第 1次 (3 月 23 日 ~26
日)、第 2 次 (4 月 22 日 ~24 日)の計 7 日間にわ
たって管路被害調査を行った結果について述
べたものである。
なお、第 1次では鵡川町、門別町、新冠町、
静内町、三石町、浦河町、様似町、襟裳町の
計 8町 の 調 査 を お こ な っ た D また、第 2次で、
ム
は被害の多かった浦河町、三石町、静内町を
重点的に調査した。なお、被害状況およびそ
0、 2
1日に現
の 集 計 の 最 終 確 認 の た め に 9月2
土也を言方問した。
2. 地 震 概 要
/ {聞出 1
目
キ)
1
1
1
0
ノ 山 み1(み1
_/"・高田 1
震 源 深 さ :1
0km
規
模 : マ グ ニ チ ュ ー ド7
.
3
図 - 1に震央および各地の震度分布を示す。
J
/・小名浜1
震 源 地 : 浦 河 町 沖 南 西2
0
k
m
(東 経 1
4
2度 3
6分
2度 6分)
北 緯4
j
/大船渡2
・能谷1 ・
1
水戸 l
.甲府1
三島 1
/?
1
9
8
2年浦河沖地震による水道管路被害調査
2
5
図- 2 浦河沖地震の日高管内震度分布図
(札幌管区気象台、室蘭地方気象台、昭和 5
7年 4月 1
0日、暫定)
図 -3 浦 河 沖 地 震 の 地 震 計 (1倍)記録波形
7年 3月2
1日1
1時 3
2分)
(浦河測候所、昭和 5
(上下方向)
「¥
プ)
'
戸
﹂
の
一
?し一
た一
と
一
朝
一
一
一
ii
ず
夕タ一
・
刀
一
舌
ロ
一
壬 r1
也
、
一
ETLFJ/
山山//
震 f
(南北方向)
ダクタイル鉄管
2
6
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
また地震後、札幌管区気象台、室蘭地方気象
堺町(築地)の順番で少なくなっている。
台によって調査された浦河町を中心とした日
しかし、本管のみの被害数では各地区と
高 管 内 の 震 度 分 布 ( 昭 和 57年 4月 10日 付 、 暫
もほぼ同程度である。
定 ) を 図 - 2に 示 す 。 こ れ よ り 、 震 度 刊 は 浦
(
3
) 管路は海岸線にほぼ平行なものと直角
河町内の一部のみで、その近辺の三石町、静
の も の と の 2方 向 に 配 管 さ れ て い る 口 こ
内 町 は 震 度 V、 様 似 町 は 震 度 町 で あ っ た こ と
の各方向について、本管の被害件数を見
カfわかる。
ると 25:11件 と な り 、 海 岸 線 に 平 行 な 管
ま た 、 図 - 3にj
甫i
可測官民戸斤で記録;された水
平 、 上 下 方 向 の 地 震 計 (1倍)の波形を示す。
特に、東西方向。の波形を見ると、 P波 部 分
路に被害が多いD ただし、図面の管路上
にない×印はこの件数に入れていない。
ま た 、 地 区 別 に 見 る と 、 東 町 で は 14: 2
i
皮カfきているこ
が ほ と ん ど な く 、 い き な り S.
件 、 旭 町 で は 7 .3件 、 堺 町 で は 4
とからも、今回の地震は直下型であったこと
件である。
6
を示すものと思われる。また、地震計の針が
特に、東町の海岸付近の管路は平行な
水平、上下方向とも振り切れており、水平方
方向に被害が集中している D 一方、堺町
向で、 30mm以上、上下方向で、 20mm以 上 の 振 動 が
では平行、直角方向とも同程度の被害が
あったことを示している。
発生している。
すなわち、今回の地震は直下型で地震動が
かなり大きかったものと思われる。
表 -1 浦河町(上水道、本管)の管路使用轟と被
害件数および 1k
m当りの平均被害率
3掴 被 害 状 況
降之空
鋼管
m
)
用量
管路(使
1
9
7
1
9,
6
6
9
1
3,
2
8
3
被(害個所件)数
1
2
2
4
3
3
平
(
1
個
h
均
所
被
当h
り
害n
率
の
)
5
.
0
8
1
.1
2
3
.
2
4
0
.
5
7
1圃 浦 河 町
浦河町は上水道、簡易水道(東部、西部、
元浦川地区)からなっているが、ここでは上
石綿管
塩化ピニ
ール管
鋳鉄管
5,
2
9
8
水道の調査結果について述べる。
上 水 道 の 給 水 人 口 は 1万 1,
905人 ( 普 及 率
99.2%)、1日 最 大 給 水 量 は 4,840m'/日である D
注)鋳鉄管にはダクタイル管を含んでいる。
図 -4 に本管(送・配水、口径 50~300mm)
の配管図を示す。図中に管種および被害位置
一般的に、管路の地震時の挙勤(被害発生
を 示 す 。 × 印 は 本 管 、 骨 印 は 給 水 管 ( 口 径 50
件数)は地震動の大きさ、地盤(土質、基盤
mm未満)の被害である。
面の深さや傾斜など)などによって異なって
ま た 、 表 - 1に 本 管 の 各 管 種 の 被 害 件 数 台
よ び 1km当 り の 平 均 被 害 率 (f
問所/k
m
)を示す。
これより、次のことがわかる。
(
1
) 平 均 被 害 率 ( 個 所 /km)と し て 、 鋼 管 は
くる。
浦河町内の地盤の検討を行うために、関係
機 関 の 協 力 を 得 て 図 - 4中 の 5ヵ 所 で 基 盤 内
までボーリングされた土質データを入手する
5.08、 塩 化 ピ ニ ー ル 管 は 3.24、 石 綿 管 は
ことができた。図中にその各位置を示すが、
1
.12、鋳鉄管(合、ダクタイル管)は 0.57
東 町 で 3ヵ 所 、 堺 町 で 2 ヵ所である。
であった。(なわ、鋳鉄管の継手はダクタ
イル管と同一のゴム輸を用いたメカニカ
ル継手であるので、両者を一括して扱っ
た)
(
2
) 被害は本管、給水管を含めると東町が
多く、旭町(常盤町、入舟町、昌平町)、
図 - 5に 各 位 置 の 土 質 柱 状 図 を 示 す 。 こ の
図より次のことがわかる口
(
1
) 東 町 の No.1、 2の 基 盤 深 さ は 各 々 9 m、
12m、 表 層 地 盤 の 平 均 N値 は 12、 10、 土
質は腐植土、シルト、火山灰からなる軟
弱地盤である口
図 -4 浦河町(上水道)の本管の配管図および被害怯置
ボーリング'
N
o
.
4、5
巴
∞ N羽詰道芸荏湖一
自決出時柏市薄嚇謹醐
HLH
×本
0100
5
0
0
1OOOm
管
@給水管
ー一ーー鋳鉄管(含、ダクタイル管)
一一一石綿管
一---塩化ピニール管
N
"
'
"
"
l
2
8
昭和 5
7
.1
0 第3
3号
ダクタイル鉄管
図 -5-1土費柱状図(東町、 N
o
.
1
)
40
5
0
土質名
依
3
0
土質記号
2
0
)
脳問中川
土質名
土問記号
肘山中川
N
1
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図 - 5ー 2土質柱状図(東町、 N
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年浦河沖地震による水道管路被害調査
図 -5-4土賞柱状図(堺町、 N
o
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o
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3.1002.600
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ト¥
3
0
ダクタイル鉄管
昭和 5
7
.1
0 第3
3
号
各々 TC1=0.24
秒、 TC2=0.33秒、 TC3=
東 町 の No.3の 基 盤 深 さ は 20m、 表 層 地
盤 の 平 均 N値 は 1
5、 土 質 は シ ル ト 、 粘 土
0.53秒となり、 No.1、 2 と 3とでは約 2
からなる軟弱地盤である。
倍近くの差があり、地震時この方向でか
No.1、2と 3は約 170m離 れ て わ り 、 図
なりの地盤歪が発生したものと思われる。
-6に 示 す よ う に 海 岸 線 に 平 行 な 方 向 の
一方、海岸線に直角な方向はこの方向
推定基盤傾斜角度は θ~3 。となる。
で離れた位置でのボーリングデータがな
ま た 、 水 道 施 設 耐 震 工 法 指 針 ・ 解 説 1)
いため明確に判断できないが、地形から
に示されているせん断波速度 (
Vs)とN値
基盤傾斜は上記の方向よりかなり緩く、
の関係式(沖積世、粘性土)を用いて表層
ほぼフラットではないかと思われる。
地 盤 の 卓 越 周 期 (Tc=Vs/4H)を求めると
図 -6 ボーリンク'
N
o
.
l、2、3からの地盤の推定(東町)
(海岸線に平行な方向)
約 170m
8
三3
0
(シル卜、火山以質)
_
一一一-一一ー-ー一ーー-一一ー一ー戸-ーー句ー-ーー ・
ー一
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戸
一
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一
一
一
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"
一
一
一
F
基盤
(
2
) 堺町の N
o.
4
、 5は図ー 7 に示すように
海 岸 線 に 平 行 な 方 向 に 42m離れており、
図 -7ボーリンク'
N
o
.
4、 5からの地鑑の推定(堺町)
(海岸線に平行な方向)
42m
基 盤 深 さ は 各 々 37m、 39m、 平 均 N値 は
1
5、 1
2であり、ほぼ同ーな地盤である。
上記で述べた関係式(沖積世、粘性土、
砂質土)を用いて車越周期を求めると
(泥炭、シルト、砂質土)
g
k
h的"HZ
NHUHZ,
また、土質は泥炭、シルト、砂質土か
らなる表層の厚い軟弱地盤である D
HIZF
日
∞
めl E
TC5=1.2
秒となりほぼ同ーと
なる。
的
=1.1秒、
TC4
また、堺町ではこの場所からかなり離
れた位置でのボーリングデータがないた
め明確に判断できないが、地形より見て
基盤
基盤
堺町は海岸線に平行、直角方向とも上記
に示したような表層の厚い軟弱地盤帯で
あろうと思、われる口
(
3
) 旭町の地盤は地形より見て、東町と問
様な地盤ではないかと思われる口
ったものと思われる口
以上のことより、大胆な推定ではあると思
うが、図 -4の 浦 河 町 内 の 各 地 区 の 地 盤 は 次
のものであると思われる。すなわち、東町、
(
4
) また東町、堺町とも地下水位面は G L
旭町地区は海岸線に平行な方向では基盤の傾
下 1m付 近 に あ る が 、 管 路 位 置 付 近 の 土
斜がかなりあり、直角の方向はほぼフラット
質は泥炭、腐植土、シルト質であること
に近いものと思われる。また、土質は腐植土、
より、この位置では液状化は発生しなか
シルト、火山灰質からなる軟弱地盤帯である。
1982
年浦河沖地震による水道管路被害調査
堺町地区は海岸線に平行、直角方向とも、
東町に比べて表層がかなり厚い泥炭、シルト、
砂質土からなる軟弱地盤帯である D
3
1
ような地盤、地形であったため、管路の被害
が多く発生したものと思われる。
なお、参考までに基盤傾斜での管路の地震
水道施設耐震工法指針・解説にも示されて
時 挙 動 の 数 値 計 算 例 2) を 以 下 に 示 す 。 上 記 浦
いるように、地震時、管路に被害が発生しや
河町内の地盤を用いた試算ではないが、図-
すい地盤は (
i
)基盤傾斜の大きい地盤帯(地質、
8-3の 計 算 結 果 か ら も 基 盤 傾 斜 の 変 わ る 所
地層の変化帯など)、 (
ji)表層の厚い軟弱な地
では管路は大きく挙動することがわかる。
(
1
) 計算例
盤帯などである。
浦河町は地震動が大きかったことと、この
図 - 8 - 1に管路と地盤を示す。
図 - 8 - 1 計算例
表層
Iの性質
Tc=1
.32sec K =1
.3
3
k
g
/
c
r
r
f v=0.48
G= 1
0
6
k
g
/
c
r
r
f E= 3
1
2
k
g
/
c
r
r
f Y= 1
.5
3
g
/
c
r
r
f
表層
Hの性質
Tc=0.43sec K =7
.5kg/crrfγ=0.45
6
1
4
k
g
/
c
r
r
f Y= 1
.6
5
g
/
c
r
r
f
G =8
.99kg/c
r
r
f E= 2
(
2
) 計算モデル
図 - 8 - 2に計算モデルを示す。
図 -8-2 計算モデル
Z
管節点 N
o
.→
1 234567891
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
1
6
1
7
1
8
1
9
2
0
2
1
2
2
2
3
2
4
2
5
2
6
2
7
2
8
2
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0
3
1
3
23
3
3
4
3
5
3
6
3
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0
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n
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n
n
n
n
日
間n
n
n
n
n
n
n
n
n
n
T
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I
ど"
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5
15
2
5
3
5
4
5
5
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5
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5
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6
0
6
1
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2
6
3
6
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5
6
6
6
7
6
8
6
9
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0
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7
27
37
47
57
67
77
87
98
0
8
1
8
2
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3
8
4
8
5
8
6
8
7
8
8
8
9
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0
9
1
9
2
9
3
9
4
9
5
9
6
9
7
9
8
9
9
1
0
0
地盤質点、 N
o
.→ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1
01
11
21
31
41
51
61
71
8 1
92
02
12
22
32
42
52
62
72
82
93
03
1
……………一部部出時野
3
23
33
43
53
63
73
83
94
04
14
24
34
44
54
64
74
84
95
05
15
25
35
45
55
65
75
85
96
06
16
2
(
3
) 入力条件
十勝沖地震 (
1
9
6
8年)の八戸港での記録
波形を基盤に最大1
00galになるように修
正 し た も の を 入 力 、 振 動 方 向 は X方向と
した。
(
4
) 計算結果
計 算 結 果 の 一 例 を 図 - 8 - 3に示す。
ダクタイル鉄管
32
昭和 5
7
. 10 第 33号
図 -8-3-4 最 大 変 位
図 -8-3-1 継手イ申縮重量
3
0
0
5
0
最 2
0
0
4
0
継
手
大
変
位
伸
縮
(
m
m
)
量
(
m
m
)2
0
1
0
0
。
1
0
1
1
1
82
22
63
03
43
8
1
92
32
73
13
53
9
管節点 A
'
O
.
4
6
4
7
1
0
1
5
2
0
2
5
3
0
地盤質点止.
o
図 -8-3-2 最 大 軸 力
鋳鉄管(含、ダクタイル管)の 3件 の 被 害 は
6
0
メ カ ニ カ ル 継 手 お よ び T形 継 手 の 抜 け に よ る
j
屑オ℃で、あった。
5
0
石綿管の主な被害は圧縮力による管体、継
子部の破損であったが、一部スチール入り石
4
0
最
大
軸
綿管も曲げによる力で管体部で折損していた。
力
(
t
o
n
)
3
0
塩化ビニール管の主な被害はエルボ、 T字
部の異形管部わよび直管のソケット継手の破
2
0
損であったが、小口径においては引張り力に
よる直管部の破断も見られた D
1
0
ま た 、 浦 河 町 で は 写 真 一 1に示す浦河港の
o1
9
1
0
2
1
72
12
52
93
33
9
1
82
22
63
03
43
8
4
5
4
6
管節点 A
'
O
.
埋立て地盤で地震および軟弱地盤対策として
n形
図 - 9 - 1 に 示 す 口 径 100mm、 200mmの s
ダクタイル管が使われていたが、なんら問題
図 -8-3-3 最 大 加 速 度
なく、所定の機能を十分果した。
4
0
0
3
0
0
最
大
量 200
度
(
g
a
l
)
1
0
0
0
1
1
0
1
5
2
0
地盤質点止.
5
2
5
3
0
写 真 一 1 口径 100mm、 200mmS1I形耐震継手管
路布設場所
1
9
8
2
年浦河沖地震による水道管路被害調査
この sn 形継手は小口径管(口径 100~450
mm) の 地 震 お よ び 軟 弱 地 盤 対 策 用 に 開 発 さ れ
たものであり ~51 張り、圧縮方向わよぴ曲げ方
3
3
なっており、給水人口は 4,
638人
、 1日最大給
水 量 は 2,
937ぱ/日である口
図 -10に第 1簡易水道の本管(送・配水、
向についてかなり広い範囲にわたって自由に
口径 50~200mm) の配管図を示す。図中に管鶏
伸縮、屈曲し、かつロックリングによる離脱
および被害位置を示す。×印は本管で、母印
防止機構を備えているものである。図- 9 -
は給水管を示す。
1中 に 口 径 200mmの s
n形の性能を示すが、
0
ま た 、 表 - 2に 各 管 種 の 使 用 量 と 被 害 件 数
伸 縮 量 士 60.5mm、 許 容 曲 げ 角 度 4 (最大曲げ
お よ び 1km当りの平均被害率(個所/k
m
) を示
角 度 8 離 脱 阻 止 力 60トン以上の性能を持つ
す。
0
)
ものである。なお、大口径管(口径 500~2600
平均被害率(個所/km)と し て 、 鋼 管 は 0.61、
mm) に つ い て は 図 - 9 - 2に示す S形 継 手 が
塩 化 ビ ニ ー ル 管 は 0.31、 石 綿 管 は 0.13、ダク
実用化されている。
タイル管は Oであった。
図 -9-1 SII形ダクタイル管耐麗継手
(口径 100~450mm)
離脱阻止力
0
4
I60トン以上
図 -9-2 S形ダクタイル管耐震継手
(口径 500~ 2
6
0
0
m
m
)
表 - 2 三石町(第 1、 2簡揚水道、本管)の管路
使用量と被害件数および 1k
m当りの平均被害率
除之士
鋼管
石綿管
塩化ピニ
管路(使
m
)
用量
6
3
9
1,
7,
3
9
9
6
1
2
7
4,
被(害個所件)数
1
1
2
3
平
1
k
r
均
r
l
被
当りの
害率
(
f
固所!km)
0
.
6
1
0
.
1
3
0
.
3
1
ール管
イル管
2
.
2
5
9
。
。
」ー
また、三石町でもっとも被害が多かった場
所は三石小学校横の緑ケ丘団地内であった。
こ の 団 地 は 写 真 一 2、 図 -11に示すように、
切土と盛土の上につくられたものであり、特
に 盛 土 の 地 盤 は 地 震 に よ り 、 写 真 一 3に示す
ように多くの地割れが発生し、そこに配管さ
2. 三石町
れ て い た 口 径 75mmの塩化ビニール管がす断さ
三 石 町 は 第 1簡 易 水 道 、 第 2簡易水道から
れていた。
図-10 三石町(第 1簡易水道)の本管の配管図および被害位置
メ本
ー国自町一
・給水管
綿
智
一一一一一石
一ーーーー域化ビニール管
ダクタイル管
L___l.一一L____Lー'--'
o
100200300400500m
ダクタイル鉄管
3
4
昭和 5
7
.1
0 第3
3
号
写真一 2 三石小学校檎の緑ケ丘団地の全量
塩化ピニール管の被害多発地域)
(口径 75mm
国 一1
1
切土地帯
f一 一
¥管路被害ほとんどなし
J て瓦こ示すように地盤が地吉似てむり
この地帯の併 7
5塩化ピニール管に被布が多発した
これより、平均被害率としてポリエチレン
管 は 0.51、 塩 化 ピ ニ ー ル 管 は 0.44、 石 綿 管 は
0.17、 ダ ク タ イ ル 管 は 0.09、 鋼 管 は Oてもあっ
た。夕、、クタイル管の被害はメカニカル継手の
t
友けによるもので、あった。
表 - 3 静内町(上水道、本管)の管路龍用量と被
害件数および 1km当りの平均被害率
写真一 3 盛土地帯の地割れ状況
(緑ケ丘団地内)
三石町での管路の被害のほとんどは塩化ピ
ニール管であったが、その主なものは浦河町
と同様エルボ、 T字 管 部 の 異 形 管 部 お よ び 直
管のソケット継手の破損であった。
3. 静 内 町
塩化ピニ ポリエチ ダクタ
鋼管 石綿管 ール管
レン管
イル管
ト
ー
棚
P¥
件
刑
菅程
数
量
、 9
「
│
│
│
│
│
項
管
被
¥
目
路
害
¥
個
叫
8
5 2
8,
9
7
6 4,
4
9
8 3,
9
0
7 1
1,
1
4
0
平
(
I
個
h
均E所
被
当A
り
害m
事
の
)
。
。
5
2
2
0
.
1
7
0
.
4
4
0
.
5
1
0
.
0
9
注)ダクタイル管にはわずかではあるが、鋳鉄管が
含まれている。
石綿管の被害は圧縮力、曲げによる管体の
静内町は上水道、簡易水道(春立、田原地
破損がほとんどであった口塩化ビニール管の被
区)からなっているが、ここでは上水道の調
害は橋梁添架前後の地盤内の曲り部での破損
査結果について述べる。
であった。
上 水 道 の 給 水 人 口 は 1万 8,6
4
6人、 1日 最 大
311n1/日である。
給 水 量 は 6,
図 -12t 二本管(送・配水、口径 50~300mm)
の配管図を示す。図中に管種および被害位置
を示す口×印は本管で、、轡印は給水管を示す口
ま た 、 表 - 3に 各 管 種 の 使 用 量 と 被 害 件 数 お
m当りの平均被害率を示す口
よ び 1k
4. そσ),まカ=
上 記 の 3町以外の鵡川町、門別町、新冠町、
様似町、襟裳町では管路の被害はほとんどな
かった。
1
9
8
2
年浦河沖地震による水道管路被害調査
3
5
図 -12 静内町(上水道)の本管の配管図および被害怯置
浄水場
x本 管
@給水管
o100200300400500m
ーー一四回、ダクタイル管
一一一一石
綿
管
一ーーー塩化どニール管
一一一一ポリエチレン管
4園地震動の大きさと管路被害率の関係
図 -2 の震度分布と表 -1~3 の各管種の
と 静 内 町 は 震 度 Vで あ っ た の で 、 同 ー の も の
1km当りの平均被害率(個所/km
)を用いて、地
として扱った。その結果、被害率は塩化ピニ
震動の大きさと各管種別の被害率の関係を求
ール管0
.
3
2、 鋼 管 0.38、 石 綿 管 0
.
1
6、ダクタ
9
7
8
めたものを図 -13に示す。また、図中には 1
.
0
8と な っ た 。 ま た 、 地 震 動 の 大 き さ
イル管 0
年の宮城県沖地震の仙台市付近での各管種の
は各震度の中央値とした。
被 害 率 の 結 果 3) も 示 し て い る 。 な お 、 三 石 町
3
6
昭和 5
7
.1
0 第3
3
号
ダクタイル鉄管
図 -13の各管種の回帰式を下記に示す。
図中には地震動の大きさと各管穣の被害率
との回帰線を示している。また、参考までに
管:戸
Ys盟
中
=
1
.7786x1
叩0一9XA
3
.
υ
.
7
η
3
6什
(
r=0.984)
長
鋼
岡
一
塩 化 ピ ニ 一 ル 管 : Yv=3.3649X1
叩O
一
→8XA
必3
.
0
附6
伺8 什
(
r 0.755)
石
管 . Ya=7.必
48 X1
叩O一8XA
2
.
8
邸5 什
(
r=
君
君
君
=
サ
綿
(
1
)
ダ ク 夕 イ ル 管 :Y
刊d一1.5
475x1
叩O一7XA
2
.
4
必8
2
お3什
(
r=0.616)
ここで、
y
被害率(個所/
k
m
)
A:最 大 加 速 度 (
g
a
l
)
この図より、震度 Vと 刊 と で は 明 ら か に 差
断するのは早計であると思われるが、継手が
が あ り 、 震 度 M に な る と 、 被 害 率 は 震 度 Vに
伸縮、可とう性のある構造で、かっ管体強度
比 べ て 約 10
倍近く増加するように思われる口
の高いダクタイル管は地震に対して被害を受
けにくい管稀であると思われる。
また、被害率は他の管種に比べてダクタイ
ル管がもっとも小さい。この結果からのみ判
図ー 1
3 地躍動の大きさと各管種の平均被害率の関係
1
0
X一 一 ー 鋼 管
・-ー一塩化ビニール管
企一一石綿管
0一 一 ダ ク タ イ ル 管
(
E
F
¥山氏自﹄)時抑制停留N
r
0
.
1
注)
浦河町は鋳鉄管(合、ダクタイル管)
であるが、メカニカル車陸手であるため、
ここではダクタイル管として一括に扱った
1
0
図ーーー円
0
.
0
1
図 100
図回
最大加速度 (
g
a
l
)
百
lv I
日│四
1
0
0
0
1
9
8
2年浦河沖地震による水道管路被害調査
3
7
5. おわりに
以上、 1
9
8
2年浦河沖地震の浦河町、三石町、
静内町にわける管路被害調査結果と若干の考
参考文献
察を述べた D 関係諸機関のご協力により、被
(
1
) (社)日本水道協会下水道施設耐震工法指
害状況をかなり明確に把握することができた口
今後はこの結果を管路の耐震研究に十分生
かしていきたいと考える。
この調査に関して、浦河町小田島技術長、
9
7
9年 版
針 ・ 解 説J 1
(
2
) 日本ダクタイル鉄管協会「ダクタイル管
路耐震設計についてJ
(
3
) 鈴木
繁「宮城県沖地震の被害と教訓に
浦河高井測候所長、三石町水道施設係、静内
つ い て J 水 道 協 会 雑 誌 、 第 542号 、 昭 和 54
町水道課の方々をはりめ浦河町役場、浦河赤
年 11月
十字病院、鵡川町、門別町、新冠町、様似町、
襟裳町の方々には大変お世話になりましたこ
とをこの紙面を借りて厚くわ礼申し上げます白
発行年 号数
タイトル
著者
茨城県鹿島開発局
U形ダクタイル管による推進工
鹿島開発課替地整備係 技師
上原 正男
静岡県
静岡県における水道の現況と課
題
衛生部環境衛生課 主査
竹本 和彦
1982年 No.32
南淡町
南淡町の水道
水道課副課長
江本 政弘
概要
鹿島臨海工業地帯開発事業の一環として、開発区域内の土地提供者に
代替地として造成している団地である。この地区の一部が水郷筑波国定
公園区域に指定されており、また造成地と水田との高低差があり自然林
の破壊を最小限にして施工するため普通推進工法を採用することにし、
U形ダクタイル鋳鉄管4種口径1500mmを採用した。本論では、強度、止水
性、施工性にも優れているので地質条件、設計条件によっては大いに採
用すべきであり、今後の推進管の主力になるだろうと述べている。
静岡県は5大河川を有しており、比較的水資源に恵まれていた。その
ため水道普及は昭和30年代以降にみられるが、熱海市や掛川市などは近
代水道として70年余の歴史を持っている。また、水道施設の地震対策に
ついては全国的にみて高いレベルの対策を展開している。本論では、静
岡県の現況(用水供給・上水道・簡易水道・水質管理・地震対策など)
を説明し、将来については、未普及地域の解消、小規模簡易水道の上水
道への統合、広域的な水道整備の推進さらに維持管理の広域化をはかる
ため、水道維持管理センターを県内の随所に設置したい旨などを述べて
いる。
南淡町は淡路島の最南端に位置している。この南淡町は慢性化した時
間給水を2,3年に1回繰返している。淡路の中では南淡砂漠といわれ、こ
の汚名を返上するために昭和54年度より3ヵ年計画で配水管整備事業を
実施した。この事業に使用された管種はダクタイル鋳鉄管口径75∼
450mm、総延長70kmである。その結果、1日平均給水量が5,700㎥だった
のが、3.400㎥となり、水源確保と水圧低下を解消し、安定給水がで
き、配水管整備がいかに重要であるかを痛感した、と述べている。一
方、離島である沼島は地下水を水源としていたが、3年前から塩素イオ
ン濃度が上昇し、飲料水として適さなくなった。このため、海底送水管
を布設することにし、水圧外圧に耐え、耐久性のあるダクタイル鋳鉄管
を採用、昭和56年5月1日より送水を開始した。住民の多年の念願であっ
た水不足が解消され、将来とも安定給水ができると結んでいる。
発行年 号数
タイトル
著者
久保田鉄工株式会社
1982年 No.32
離脱防止タイプS形ダクタイル管
について
鉄管エンジニアリング部
中島 鋭
井上 静夫
荒川 範行
概要
昭和49年に開発されて以来、全国各地で耐震管路や軟弱地盤での配管
にS形ダクタイル管が広く利用されている。しかし、S形ダクタイル管は
直線管路のみに適用され、曲管部やT字管部などにはKF形やUF形な
どの他種管が用いられてきた。ところが、曲管、T字管など異形管部全
てがS形1本にならないかとの声が大きくなってきたため、実験などを
行った結果、簡単な付属品を付加することにより離脱防止タイプとして
の使用が可能となった。本論では、その構造・特長・性能などについて
説明している。
ダクタイル鉄管第32号 昭和57年5月 9
U邦彦ダクタイル管によ
工
茨城県鹿島開発局鹿島開発課替地整備係
技師
1.はじめに
本地区は鹿島臨海工業地帯開発事業の一環
として、開発区域内の土地提供者に代替地と
上原正男
破壊を最少限にして施工するため普通推進工
法を採用する。
管種わよび安全性の検討の結果(設計計算
し て 造 成 し て い る 団 地 で 面 積 124haの 造 成 地
書による )U形ダクタイル鋳鉄管 4種 口 径 1500
であり、鹿島神宮より下津海水浴場(鹿島灘)
mmのf
采用となった。
を 結 ぶ 町 道 下 津 線 の 以 北 に 沿 っ て 国 道5
1号 線
より東に東西 1.5km、 南 北 1kmの関東ローム
台地(鹿島台地)上にあり、西側は Y.P40mよ
2
.地形・地質概要
本 地 点 は 、 茨 城 県 東 南 部 に 位 置 す る 標 高 10
り東側 Y.P35mま で の 緩 や か な 起 伏 の 連 続 を
m 程 度 の 沖 積 低 地 と 標 高 35m程 度 の 比 高 を 有
もって傾斜している。
する洪積台地(鹿島台地、行方台地)との接縁
台 地 の 東 部 は 急 勾 配 で 落 下 し て Y.P5~ 8
mの水田となり、この間約 700mで 鹿 島 灘 の 海
音日にあたる口
本 地 区 の 東 方 約 700mには鹿島灘があり、
浜となる地形で¥造成基本理念として地区一
そ の 海 岸 線 に は 比 高 6m程 度 の 沖 積 世 の 海 岸
部が水郷筑波固定公園区域に指定されている
砂丘が広範囲に分布している。また、洪積台
ので、自然環境の保全をはかるため、造成区
地が著しく発達し、付近一帯は水田が広がり
域は台地のみとし、法面は緑地として自然林
田園地帯となっている。
の存置というもとに造成を進めた。
両台地の一般的地質層序は、上部は関東ロ
造成地の雨水排水計画として、排水本管は
ーム層、成田層(上部、下部)、鉾田層である。
埋設管方式を採用し、下水道基準により主幹
また、成田層下部は地層の起伏が激しく化石
街路下に管きょ(ヒューム管、ボックスカル
(淡水性員化石、植物化石)を多く挟むのを特
ノf
ート)を理設し、水田より海岸まではボッ
徴とし、上位に向って海水性の堆積物に漸位
クスカルパートを埋設する。また、造成地と
する口成困層上部は斜交層理(クロスラミナ)
水 田 と の 高 低 差 が 約 20m以 上 あ り 、 自 然 林 の
の発達が著しい地層であり、当地域での上下
1
0
ダクタイル鉄管
図 -1 宮中現況平面図
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
1
1
U形ダクタイル管による推進工
図 -2 宮中地区幹線排水路離断図
3
0
.
0
0
M
G
L
=
O.
O
O
O
工事内容
部層の鍵層となっている。
3
. 工事概要
発進坑
L8.0mxB6.0mxH3.6m1式
推進工
U形 ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管
(4種 口 径 1500mm、 J
2=4.0m
、
上工事概要
幹線排水路推進工事
坑内換気設備
工事場所鹿島郡鹿島町大字下津
実推進期間
自昭和 5
6年 1
0月 1
5日
至昭和5
6年 1
1月 2日
口径および推進延長
口径 1500mmx68m
(1本 4 m、n=17本)
本造成地における雨水計画の排水本管は、
到達坑口工
1i1i
門型クレーン設備
式式
L=68.0m)
工事名称替地造成事業宮中地区
1式
2. 施 工 手 順
1. 発 進 坑 土 留 工
鋼 矢 板 SP(田)型1?=11.0mX89枚箱形に
打設し、腹起し、切梁は H=400を一段取付け、
コーナーには火打ピースを取付け補強した。
埋設管(ヒューム管、ボックスカルパート)と
打設には3
5ト ン ク ロ ー ラ ク レ ー ン 、 パ イ プ
し 、 本 造 成 地 東 縁 部 と 高 低 差 約 20mの 低 地 が
ロハンマ 80I-Pを{吏用した。また、コーナーに
あり、東縁部の自然林の破壊を最少限にする
は T型加工矢板を使用した。
ため本造成地東縁部に
PCウ ェ ル に よ る 調 整
池 (25mX30mXH 21m)を 設 け ( 計 画 平 面 図
2. 支 圧 壁 、 発 進 坑 口 コ ン ク リ ー ト
支 庄 壁 コ ン ク リ ー ト は B6
.5mXT 1
.2mX
参照)、高低差約 20mの区間をタγ タイル管に
H3.6mと し 、 コ ン ク リ ー ト 強 度 160kgで 打 設
よる推進工法(4種 口 径 1500mm
、1?=68m) に
した。
より排水するものである o(
図 - 1、 2参照)。
発進坑口コンクリートは、通り、高さの確
昭和 5
7
.
ダクタイル鉄管
1
2
5
図 - 3 発進立坑発瀧設備図
8
0
0
0
4
1
8
0
1362.5@4=5450
。moN
。
。
ド
﹂
[
N
ω的
。
。
。
。
。
。
ド
凹
。
。
。
ド
同
幽
、
、
,
,
一
型
板一回
J
矢一板
留一矢
土一鋼
国(
H-250X250X9x14
8
0
0
0
岬卯
rD4
MM
一
一
口dト
4
1
8
0
Hnd
nU
ハ
U
1
2
0
0 1035270
ジャッキ 2
0
0
tX5
0
0s
tX4
H-250X250X9X14
8 5
6
H-250X2
5
0X9X14
.
Q=60
H-250X250X9x14
.
Q=8
0
0
需
∞
∞
g
OOH的
推進架台
BONN
均しコンクリート
(F185-8-25-N
)
ONド一
NO的
。
。
。
的
OH同
一一基礎砕石 (40-0
)
マ8
.
6
1
一ト一部
一一一一
一口リ一 8
一坑ク一一
一陸出-/一円 U
剛
、
・ 1:-PO
一発コ一日
。
。
ド
凶
的
。
。
1
1
選
第3
2号
1
3
U形ダクタイル管による推進工
特にレールに関しては、推進勾配(1.5%)
認を行った後、型枠を組立てコンクリートを
を確実に据付けるとともにダクタイル管(推
打設した。
進 管 ) の 重 量 (6.16t/本)に耐えるようリプを
3. 門 型 ク レ ー ン 設 備
用いて補強した。
門型クレーンは、ホイスト式橋形クレーン
(2ホイスト
Iビーム構造)形式で、能力は 15.08
準備工事完了後、
1本 自 の ダ ク タ イ ル 管 を
門型クレーン 10トン吊りホイストにて吊り下
t/3.04tを使用した。
げレール上に設置し、その際固定金具は使わ
スパンを 4.0m、レール全長を 16.0m、クレ
ず刃口を下ろし推進管先端部に接続した。
ーン全高を 6.0mに計画し、移動式クレーンを
以上の作業修了後油圧ジャッキをセットし
用いて組立てた。
加圧して推進を開始した。
レール取付-位置は発進坑内となり、推進管
との施工据付けなどの面から考慮して図 - 3
推進中においては、
のような計画を立て施工した。
① 推 力 の 確 認 ( 図 -4)
4. 推 進 工
②
センターレベルの確認(表 - 1)
を 1 mご と に 行 い 、 特 に 刃 口 先 端 の 地 山 の 状
推進に先立ち準備工事として、以下の機器
況および地下水の有無に注意した。
の配置据付けを行った。
ぐ準備工事〉
0推 進 架 台 据 付 け
H-250x250x9x14
0 レール据付け
H-250x250X9X14
0 油圧ユニット据付け
0油圧ジャッキ
図 -4 推力図
同
4
0
0
AC-20X1台
200T-500StX 4台
/一/
レ
/、ド¥
0分流器
4連 X 1台
推
0押 輪
口 径 1500mm用 x 1個
力2
0
0
O ウインチ
複 胴 式 x 1台
/
』ー
戸
(
t
o
n
)
ゾ
レ
/
特に推進架台およびレール据付けは、推進
/
。
し/
工事の良否の要となるので入念なチェックを
行い据付けた口
2
0
6
0 6
8
4
0
一一+推進長 (
m
)
表推進出来型管理表
晶
4~T
(ウエル)上流~
ι
下流(開水路)
i=1
.376%_
•
本数
.
.
.
.
-
/ ド'
1
7 1
6
3 1
2 1
1
1
5 1
4 1
e
.(m)
4 6
0 5
6
8 6
6
セ 右
ン
タ
2
7
0 7
1
0
9
8 4
4 4
0 3
5
2 4
6
6
7 5
5 3
2 2
5
6 4
7 3
1
5
4
3
2
1
3
2 2
8
2
4 2
0 1
6
1
2
8
4
1
2
8
8
7
9
6
5
8
4
。。
。。
1
5
l左
+50
幽 1ト
F
、
そ
¥
出
題
計画線
~
"
/
/
'
、
、
一~、r ム
/
土o
(
m
m
)
-50
1
4
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
ダクタイル鉄管
地質においては、 N
o
.
l~No.4 の聞では細砂
細砂、粘土、レキ混り細砂が厚さ 20~60cm位
ばかりで、 N
o
.
l~No. 2前後までは地山も柔ら
で入り乱れていて、水の変化はあまり確認さ
かいながらもなんとか自立していたが、それ
れなかった。
以 降 8~16m の区間の地山はまったく締りが
またこの辺りからは、地山の硬軟ががらり
なく、推進管を圧入させて押し出された土砂
と変わり、手掘り作業ではほとんど無理な状
のみを搬出する状態であった。 N
o
.
5(20m)前
o
.
9(36m)以 降
態となりピックを導入した。 N
後より刃口頭部に粘土層が少量見られ、地下
は地層がシルト層となり、地山の変化も確認
水も粘土層を浸透できなかった水がにじんで
されず、若干の変化はあ.ったが作業ヘ影響が
出るほどではなかった。
いるのが観測された。
以後、 N
o
.
9(36m)位の所まで土質はシルト、
写 真- 4
4. おわりに
ダクタイル推進管は、ヒューム管に比較し
て経済的には割高であるが、強度、止水性、
5本目切羽部地震状況
施工性にも優れているので地質条件、設計条
件によっては大いに採用すべきで、今後の推
進管の主力になると思われる。
1
5
静岡県における水道の現況と課題
戸
静岡県衛生部環境衛生課
主査竹本和彦
1.はじめに
静岡県は狩野川、富士川、安倍川、大井川、
天 竜 川 の 5大 河 川 を 有 し 、 古 来 比 較 的 水 資 源
業 67、 簡 易 水 道 事 業 599、専用水道 109、 合 計
779
施設となっている口
表 -1 給水人口と普及率
(昭和 5
6年 3月3
1日現在)
に恵まれていた。このため水道の本格的な普
及 は 昭 和 30年 代 以 降 に み ら れ る が 、 明 治 ・ 大
分
区
施設数
現在給(人水)人口
普
(
及
%
率
)
正期にすでに熱海市や掛川市などで近代水道
用水供給
4
の出現をみており、 70余年の歴史を持ってい
上
水
道
6
7
2,
9
6
6,
7
4
4
8
6
.
0
る
。
簡易水道
5
9
9
3
2
5,
7
9
1
9.
4
一
営
1
9
0
1
4
1,
2
9
8
他
4
0
9
1
8
4,
4
9
3
高いレベルの対策を展開していると考えられ
専用水道
1
0
9
3
1,
5
7
1
る
。
│自己水源のみ
9
1
3
1,
5
7
1
一方、最近特に水道施設の地震対策の緊要
の
性が唱えられているが、本県は全国的にみて
こうしたことを背景として、県下の水道の
1
8
4
1
3
)
(
1
3,
7
7
9
3
2
4,
1
0
6
3,
│上記以外のもの
計
現状を明らかにし、併せて今後の課題につい
ム
ロ
て検討・してみたい。
県人口 3,
4
4
8,
7
7
5人
0
.
9
9
6.
4
全国平均91.5%
各施設ごとにぞの概況を取りまとめると次
2
. 水道の普及状況
本 県 に お け る 水 道 の 普 及 状 況 は 、 表 - 1お
よび図 - 1に示す通りである。
の通りとなる。
1. 用 水 供 給 事 業 ( 表 - 2参照)
県営の用水供給事業としては、榛南水道が
これによると、水道普及率は昭和 56年 3月
000ぱ/
昭 和 44年より用水供給を開始し、 2万 7,
末 現 在 で 96.4%に達し、給水人口は 332万 4,
000
日の供給をしている口次に、柿回川湧水を水源
人となっている。水道施設の内訳は、県営お
とする駿豆水道が昭和 50年 よ り 給 水 を 開 始 し
よ び 企 業 団 営 の 用 水 供 給 事 業 が 4、 上 水 道 事
r
U日の水を送ってい
三 島 市 な ど 3市 町 に 10万r
1
6
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
ダクタイル鉄管
図 -1 市 町 村 別 水 道 普 及 状 況
表-2 用水供給事業一覧
事業名
駿豆水道
榛南水道
遠州広域水道
大井川広域水道
事業主体
静岡県
静岡県
静岡県
大井川広域水
道企業団
計画日最/大日給
)
水量(m'
100,
000
給水対象市町
供給開始年月
三島市、熱海市、函南町
昭和5
0年 3月
2
7,
000
榛原町、相良町、御前崎町
浜岡町
昭 和 44年 9月
1
4
8,
700
浜松市、浜北市、天竜市、
磐田市、袋井市、竜洋町、
福田町、浅羽町、豊田町、
豊岡村、森町、引佐町、細
江町、三ケ日町
昭 和5
4年 8月
(一部給水)
160.700
藤枝市、島田市、焼津町、
掛川市、大井川町、岡部町、
小笠町、菊川町、大東町、
大須賀町、浜岡町、榛原町、
相良町、御前崎町
昭和6
1年 4月
(予定)
る 。 ま た 昭 和 52年 度 に 、 県 と 関 係 市 町 村 で 構
ム ) に 水 源 を 求 め 、 昭 和 61年 か ら 島 田 市 な ど
成する大井川広域水道企業団を発足させ、大
14
市 町 に 対 し 、 約 16万r
d
/日 の 用 水 供 給 を 行 う
井川上流に建設中の特定多目的ダム(長島ダ
よ う 計 画 し て い る 。 さ ら に 昭 和 54
年度に、従
静岡県における水道の現況と課題
1
7
来より計画が進められていた中遠水道および
において事業が実施されている。上水道によ
湖北水道を統合し、新たに遠州広域水道用水
る 給 水 人 口 は 296万 人 て ¥ 水 道 全 体 の 約 90%
供 給 事 業 を 計 画 し 、 昭 和 60年 を 目 標 と し 、 浜
を 占 め て い る 。 ま た 、 昭 和 55年 度 に お け る 1
松 市 な ど 17市 町 村 に 対 し 14万 8,700m
"/日の用
日 最 大 給 水 量 の 総 計 は 153万ばにのぼり、
水供給を行うこととしている。
人 当 り に 換 算 す る と 514e
.になっている。昭和
2. 上 水 道 事 業
36年 か ら の 給 水 量 の 推 移 は 図 - 2に示す通り
1 日最大給水量、
であり、
上 水 道 は 市 営 21、 町 営 40、 村 営 2、 一 部 事
1
1人当り 1 日最大
給水量ともに若干鈍化の傾向がうかがえる。
務 組 合 営 1お よ び 民 間 団 体 営 3、 合 計 67カ 所
図 - 2 給水量の経年変化
t
9
0
0寸 千r
r
f
1,
8
0
0
8
0
0
1
.5
3
21
.5
3
6
0
0 ,
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1,5
0
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1,6
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0- 1 日
三 ト 1,400辛
日 600~
主主
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ノ
1,
2
7
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I
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1,2
2
0,
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1,1
5
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1 , 526
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2
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3
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6
5
2
0
0
Jtr-
J
'
"
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4
0
0r
牛 3
9
0千n1
L---i什一→
3
6
次に、水源の内訳を水量別に見ると表- 3
の 通 り と な る が 、 年 間 取 水 量 4億 6,
100万m"の
ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 が 約 20%の シ ェ ア を 占 め て
いる。
表 -4 管種別管路延長(上水道)
(昭和 5
5年度)
うちの約 50%が 浅 井 戸 お よ び 深 井 戸 と な っ て
おり、地下水への依存度合が大きいのが特徴
表 -3 上水道の水源内訳
(昭和 5
5年度)
河川表流水
ダ
ム
水
湖
伏流水
64,
628,
I
O
T
f
O
/
O
年
40,
157,
000
250,
000
4
1,
237,
000
%
14.0
8.7
0.1
8.9
浅井戸
56,
805,
000
12.3
深井戸
171,
304,
000
37.2
そのイ也
5
1,
803,
000
11.2
35,
216,
000
7.6
王
J立
ι
言
十
*
2,115km
18.7%
ダクタイル鋳鉄管
2,
330
20.6
管
996
8.8
石綿セメント管
3,161
27.9
2,
540
22.4
鋳
となっている。
461,
400,
000
100
さ ら に 、 管 種 別 の 管 路 延 長 は 表 - 4に示す
通りとなっており、石綿管、塩ピ管に次いで
吉
岡
主
失
管
硬質塩化ビニール管
コンクリート管
その他(不詳)
Z
口L
言
十
2
180
1
1,
324
1
.6
100
表 - 5 水道料金(家庭用、 67施設平均)
5年度)
(昭和 5
基本料金
602円/
1
0
r
r
f
超過料金
r
r
f
67円/
量水器使用料
52円
1
8
昭和 5
7
. 5 第3
2号
ダクタイル鉄管
なお、上水道の平均水道料金を算出すると
昭 和3
7年 か ら の 平 均 基 本 料 金 の 推 移 は 図 - 3
表 ー 5の 通 り と な っ て わ り 、 基 本 料 金 は 10m
の通りであり、最近の伸び率が高くなってい
当り 6
02円 、 超 過 料 金 は 6
7円/ロfとなっている。
ることが明らかである。
1
0
r
r
l当り)の推移
図- 3 給水料金 (
6
0
2
円
5
0
0
4
0
0
料
3
0
5
A
O254262275277280
qAoqA
金
2
0
0
1
0
0
3
6 3
73
8 3
94
04
1 4
24
34
4 4
54
64
74
84
9 5
0 5
15
2 5
3 5
45
5
3. 簡 易 水 道
ン装置を設蓋して対処している。
9
0ヵ所、その他(組
簡易水道は公営のもの1
給水栓水の水質検査結果を見ると全検体数
09ヵ 所 、 合 計 5
9
9ヵ所となってい
合営など) 4
1万 1
,
122件のうち 269件(約 2.4%)が 不 適 と な っ
る 。 簡 易 水 道 の 1県 当 り 平 均 個 所 数 は 昭 和 5
4
て お り 、 そ の 項 目 別 内 訳 は 図 -4に示す通り
年 度 で2
60件(公営 184件 、 そ の 他 7
6件)となっ
である口これによると、大腸菌群数、色・濁
ており、本県は特にその他簡易水道の数が顕
度および一般細菌数の順に多く、特に大腸菌
著に多いことが明らかである。これは本県の
群数および一般細菌数の不適は、滅菌の不徹
地形、水系上の条件に加え地下水に恵まれて
底が原因とみられることから、今後重点的な
いたことが原因となっていると考えられる。
指導を行っていく必要がある。
なお、これら小規模施設は効率の面でも、
次に水道施設の種別ごとの検査不適率の推
また維持管理の面でも問題があることから、
移 を 図 - 5に 示 す 。 不 適 率 は 年 々 減 少 し て い
統・廃合への積極的努力が続けられており、
るものの、依然として簡易水道、特に組合営
5
5年 度 中 だ け で も 1
6
施設が姿を消し、着実に
簡易水道の不適率が比較的高いことから先に
減少への推移をたどっている。
述べた通り、統・廃合などの促進による恒久
的対策を進める必要があると考えられる。
3
. 水質管理状況
また、最近話題を呼んだトリハロメタンに
先に述べた通り、本県は地下水に恵まれて
6年 度 県 下 水 道 100施 設 に つ
ついては、昭和5
おり、水源の水質に関する限り特に大きな問
いて検査したところ、特に問題となる値は検
題は生ビていない。ただし、小笠郡浜岡町周
出されなかった口しかし、今後とも各水道事
辺や湖西地域などにおいては、地下水源中の
業体の監視が必要で、あり、 5
7年 度 か ら は 年 1
鉄、マンガン分が高いため、除鉄、除マンガ
回の検査を実施するよう指導している。
静岡県における水道の現況と課題
1
9
図 - 4 不適検体項目別内訳
亜鉛
マンガン
0.6%(2)
塩素イオン
4F
ソツ
レ
び
、
おソ
気ッチ
,
チ性
ミ性酸
E
J 酸硝
硝亜
大腸菌群
36.6%
(
1
1
5
)
4
. 地震対策
地震の発生により、配水管が破損して配水
本県は、「大規模地震対策特別措置法 J(i大
池内の水が一気に流出する恐れがある。この
震 法J
)に 基 づ き 、 県 下 全 域 が 地 震 防 災 対 策 強
ような場合、配水池の出口に遮断弁を取付け
化地域に指定されていることから、地震対策
ることにより下流域の人家が流出するなどの
を重要施策として講じてきている。
二次災害を防止することができる。また貯え
水道施設については、震災時の貴重な飲料
水確保手段のひとつとなることから、当初か
らその整備が積極的にはかられてきている。
ここでは、本県において実施されている主
な水道の地震対策についてまとめてみること
られた水は応急給水の水源となりうるわけで
ある。
県下の上水道、用水供給事業体の配水池の
実 態 は 表 - 6の通りである。
このうち、緊急遮断弁を設置し、または今
にしたい。
後設置することを計画している池は2
0
1件で、
1. 緊 急 遮 断 弁 の 設 置
その有効貯水量の合計は3
5万 6,
000万ぱとなっ
2
0
ダクタイル鉄管
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
図 - 5 不適率の推移
ハU
おペ‘
、
、お
V
︺
, nぺυ
(組合営簡水
40%
30%
言 1
1.
1
10%ト
さ
百
五
へ
、
表 -6 県内上水道事業の配水油等実態調査
応急給水
原として
貯
総
(
千
有
水
d量
効) j
の配水池
タイフ。
経営主体
池数
PC造
R C造
左記総
d量
)
貯
(
千
水
(注)
市営等
町村営
432
223
78
3
1
354
192
606
126
1
3
1
70
292
64
言
十
655
109
546
732
201
356
(注)県企業局、企業団経営分を含む。
ている口
絡を実施した。本県としては、今後このよう
2. 連 絡 管 の 整 備
な整備も積極的に行っていきたいと考えてい
水道施設の復旧を考える場合、配水系統の
相互連絡をあらかじめ行ってわけば、単一系
る
。
3. 配 水 池 の 耐 震 診 断
統よりもよりすみやかな復旧が可能となるで
配水池は、先述の通り地震対策上もっとも
(日水協)
あろう。「水道施設の震害対策要綱 J
重要な水道施設のひとつとなっている。本県
などでは、平素から隣接都市聞の相互援助を
では、これら配水池の重要性から日水協県支
心がけ、配水管末を連絡し、災害時に給水が
部 の 昭 和 56年 度 の 最 重 点 施 策 と し て 配 水 池 耐
行えるようにすることが望ましいとしている。
震 診 断 手 法 の 検 討 を 行 っ た ( 図 - 6参照)。
本県においては、この趣旨に鑑み、伊豆大
これは、配水池について統一的な耐震診断
島近海地震(昭和 53年 1月)の被害を受けた東
手法を開発し、電子計算機システムの利用に
伊豆町わよび河津町の上水道配水管の相互連
よって耐震診断を容易に実施するものである。
静岡県における水道の現況と課題
2
1
図 - 6 配水池耐震診断の概念図
この検討のための委員会には、東大生産技術
研究所の片山恒雄助教授を委員長とし、県お
よび県下主要事業体の技術者が参加した。
村に対して助成している。
この制度は、「地震対策事業交付金制度」と
呼 ば れ 、 昭 和 55年 度 は 総 額 20
億 円 、 昭 和 56年
今後地震対策のような新しい分野への対応
度 は 総 額 30
億円の交付金が各市町村に配分さ
にあたっては、上記のような組織を活用して
れている。各市町村はそれぞれの事情に応む
いくことが得策と考えられる。
て各種事業に充当しているが、給水対策事業
4
.広 域 応 援 体 制
としては、緊急、遮断弁の設置、給水車、給水
本県では、日水協の県支部において昭和5
2
年 9月 「 日 水 協 静 岡 県 支 部 水 道 震 害 相 互 応 援
対策要綱」を策定し、震災時における相互応
援体制を整えている。
また浜松、豊橋岡市では、「水道災害相互応
タンクの整備、耐震用貯水槽の設置などが上
げられる。
こ の 助 成 制 度 は 、 昭 和 59年 度 ま で の 事 業 を
対象としており、この制度の効果的な利用に
よって、水道の地震対策が推進されることが
援に関する覚書」を締結し(昭和 5
5年 9月)、
其肘寺されている。
地震などの被害を受けた場合に備えて両市間
6圃 施 設 の 耐 麗 化
の相互応援体制を整えている。
水道施設の耐震化のうち、管路については
先述した通り、本県は県下全域大震法によ
老朽管の布設替えや制水弁の設置などが中心
る強化地域に指定されており、東海地震が発
として行われている。また最近は、可とう管
生すればその被害は広範囲にわたることが予
や耐震性の継手などの開発において多くの成
想される。このためには、単に県内のみの広
果が得られて台り、これらの活用を積極的に
域体制にとどまることなく、より広いレベル
はかる必要がある D
での体制づくりが緊急の課題となっている口
5圃 県 費 に よ る 助 成 制 度
5
.将来展望
本県では、市町村において地震対策強化計
静 岡 県 総 合 計 画 で は 、 昭 和 60年 に お け る 水
画に基づく事業が円滑に実施されるよう、昭
道 普 及 率 を 99.0%に 上 昇 さ せ る こ と を 目 標 と
和5
4年 度 よ り 県 独 自 の 助 成 制 度 を 設 け 、 市 町
している口この達成のためには、特に山間部
2
2
ダクタイル鉄管
における未普及地域の解消をはかる必要があ
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
計 画 を 策 定 し て 、 大 井 川 地 域 と 同 様 昭 和 70年
る。また、小規模簡易水道の上水道への統合
の水需要を明らかにするとともに、従来より
を促進するとともに、需要の増大や水源水質
計画中の中遠水道と湖北水道とを統合し、昭
の悪化に対処するため、広域的な水道整備の
和 60年 を 目 標 と す る 遠 州 水 道 用 水 供 給 事 業 を
推進をはかる必要があると考えている。
発足させている。
1. 広 域 的 な 水 道 整 舗 の 推 進
本 県 で は 、 昭 和5
2年 度 に r水 道 整 備 基 本 構
未だ広域的整備計画を策定してはいないが、
想、」を策定し、県内を駿豆、静清富士、大井
将来の水需要の増大に対処、水源の相互融通
他 の 2つ の 圏 域 に つ い て は 、 現 在 の と こ ろ
川 お よ び 遠 州 の 4つ の 地 域 に 分 割 し 、 そ れ ぞ
などをはかるため、鋭意計画の策定について
れの地域において広域水道の整備、料金格差
検討を重ねているところである。
の是正、未普及地区の解消などに取組む骨子
としている口(図 - 7、 表 - 7。
)
2. 広 域 管 理 体 制 の 確 立
次に、本県に特に多い組合営簡易水道など
この構想に基づき、昭和5
3年 度 大 井 川 地 域
小規模の簡易水道の維持管理については、専
広 域 的 水 道 整 備 計 画 を 策 定 し 、 昭 和 70年 に お
属の技術管理者の設置が不十分な所が見受け
ける地域の水需要を明らかにするとともに、
られることから、可能な限りこれら小規模の
長島ダムを水源とする大井川広域用水供給事
簡易水道を上水道に統合し、専任技術者が設
業により昭和6
1年 よ り 給 水 を 開 始 す る こ と と
置されている;各業体の管理下に入れることを
考慮する必要がある。また、複数の事業体が
している。
また、昭和 54年 度 遠 州 地 域 広 域 的 水 道 整 備
専門の技術者を共有することによって、管理
図 -7 広域閣と広域水道
富士山一
_
r
.
_
_
r
'
¥ 神奈川県
_
.
.
,
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
小
山
田J ¥
i
;
Fブ
f
愛知県
2
3
静岡県における水道の現況と課題
表-7 水道広域閤別市町村一覧
広域圏
市
田T
中
古
(昭和 52年 3月現在)
面
名
積
(
k
n
f
)
人
口
(人)
駿豆地域
南伊豆町、下回市、松崎町、河津町、西伊
豆町、東伊豆町、賀茂村、天城湯ケ島町、
土肥町、伊東市、中伊豆町、修善寺町、戸
田村、大仁町、伊豆長岡町、韮山町、熱海
市、清水町、函南町、三島市、沼津市、長
泉町、裾野市、御殿場市、小山町
計 7市 1
6町 2村
2,
046.33
803,
082
静清富士地域
富士市、富士宮市、蒲原町、富士川町、由
比町、清水市、静岡市、芝川町
計 4市 4町
2,
049.00
1,
046,
253
1,
632.87
566,
628
1,
974.54
931,
250
7,
702.74
3,
347,
213
大井川地域
岡部町、焼津市、大井川町、藤枝市、吉田
町、榛原町、相良町、御前崎町、浜岡町、
小笠町、大東町、大須賀町、菊川町、島田
市、金谷町、掛川市、川根町、中川根町、
本川根町
計 4市 1
5町
遠州地域
浅羽町、福田町、竜洋町、浜松市、可美村、
舞阪町、雄踏町、新居町、湖西市、三ケ日
町、細江町、浜北市、豊田町、磐田市、袋
井市、豊岡村、森町、天竜市、引佐町、龍
山村、春野町、佐久間町、水窪町
4
町 3村
計 6市 1
合 計 4地 域
2
1市 49町 5村
75市 町 村
技術のレベルアップをはかることも一案であ
ると考えられる口
さらに、水道の広域化と相まって、維持管
理の広域化をはかるため、水道維持管理セン
ターを県内の随所に設置し、その管理に当ら
せることもひとつの方策と考えられる。
以上、本県における水道の現況と今後の課
題について概説した。
本稿が、関係者のみなさま方に少しでも参
考になれば幸いに存ずる次第である。
町
術
技
村謬
2
4
昭和 5
7
. 5 第3
2号
ダクタイル主失管
i
輔淡軒の水道
南淡町水道課副課長
江本政弘
その 1 南 淡 町 砂 漠 と 配 水 管 整 備 事 業
日最大運搬量は 1,4
0
0
r
r
fに達した口町としても
兵庫県三原郡南淡町(淡路島の最南端に位
渇水対策本部を設置し、水源開発などのあら
置)、本町は淡路島南部とその南方に位置する
ゆる対応策をっくり実施してきたが、 1年 の
沼 島 か ら な り 、 北 緯 34度 16分 で 兵 庫 県 の 最 南
うち%を時間給水(最大 1日給水時間 6時 間
端に位置している。東は洲本市と紀伊水道に
制限)を余儀なくされ、このような状態はま
面し、太平洋をのぞみ、西は鳴門海峡を経て
さに悪夢というしかなかった。
四国に対し、北は西淡町、三原町と接してい
町としても、この苦しい経験は二度と味わ
る。東西約 20km、 南 北 11km、 総 面 積 86.93knf
いたくないという結果が町執行部および議会
の町域で、三方は海に面している所であり(淡
と十分協議が行われた。なにをすべきかを検
路島は花とミルクとオレンジの島)、人口 2万
討の結果、昭和 1
1年 に 布 設 し た 石 綿 管 配 水 管
2,
576人 で 、 水 道 給 水 人 口 は 1万 5,
693人で、
は、漏水と管の老朽化による水圧低下なども
1日平均給水量は 5,7
0
0
r
r
f/日である。
非常に多く、限られた水源も有効的に活用で
1年 4月15日認可
当町の水道創設は、昭和1
を受け、昭和 12年 4月 1日より給水を開始し
現在に至っている。
き な い 状 態 で も あ り 、 当 時 の 有 収 水 量 は 51%
という非常に悪いものであったことも事実で
ある。淡路の中では、南淡砂漠といわれてい
当町は、慢性化した時間給水を 2年ないし
3年に 1回余儀なくされてきた。特に、 53年
た所である口協議の結果、配水管整備を行う
以外にないという結論になった。
度には 265日 と い う 、 か つ て な い 長 期 間 の 時
事業の実施に際しては、水道施設は町の財
間 給 水 を 余 儀 な く さ れ た 。 異 常 渇 水 年 は 60年
産として次の世代ヘ残るものであり、経済性
に 1回 と い う 最 大 渇 水 で あ り 、 年 間 降 雨 量 は
もさりながら可能な限り最高の施設という考
711mm(平 均 過 去 20年 間 降 雨 量 1,550mm)しかな
え方を優先した。
かった。各水源池は枯渇し、やむなく徳島県
の 小 松 島 市 、 鳴 門 市 よ り 水 運 搬 船 2隻で、
1
貴重な水を有効に利用し、維持管理も容易
である強靭なパイプということで、ダクタイ
2
5
南淡町の水道
ル鉄管を採用することとした。幸い議会をは
りも 53年 の 異 常 渇 水 年 よ り ま だ 少 な い 690mm
りめ関係各方面の理解も得られた。
の 降 雨 が 56年 に 起 り 、 年 間 平 均 降 雨 量 1,550
昭和 54年度より 3 ヵ年計画で、総事業費 8
mmの 半 分 以 下 と い う 厳 し い 異 常 渇 水 の 年 に な
億
、 6,000万円で事業実施(福良地区)することに
った。しかしながら、 53年 と は 違 い 、 配 水 管
なり、使用する配水管種はダクタイル鋳鉄管
整備も行ったところの効果がどれだけ大きか
呼び、径 75~450mm(A 形 .K 形)て\総延長 7 万
m
ったことか、淡路島でも他市町では 2~3 ヵ
にわたり配水管整備事業を行った。
月間の時間給水を実施したが、当町は安定給
布設に際しては、当地は特に潮の干満によ
オ℃を系売けることカfで、きた。
る 水 位 が60mmにもなり、ポリエチレンスリー
これはなんといっても、まず、配水管整備に
力を入れた結果が出た以外なにものでもない。
ブを採用し万全を期した口
その結果、 1 日平均給水量は以前の 5,
700
今までの南淡砂漠の汚名も返上することがで
ばであったものが、事業完了年度の現在では
き、住民にもなんら不安を与えることなく安
平 均 給 水 量 3,400nfとなり、 1日平均給水量は
定給水ができたのも、全てといってよいほど
換 算 し て 約 2,
000m'の水源確保と水圧の低下
配水管整備はいかに重要で、あるかを痛感した口
の解消をはかり、住民から大変喜ばれている口
第 2の 水 源 確 保 の 上 か ら も 、 水 の 有 効 利 用 の
7
3万ぱ
年 間 に す る と 、 漏 水 防 止 に よ り 年 平 均'
上からも、配水管整備は水道事業にとって、
の水源が確保できたのと向。であり、なによ
なにものにもかえがたきものである。
図工事概要平面図
ダクタイル鉄管
2
6
その 2 沼 島 簡 易 水 道 海 底 送 水 管 工 事
について
兵庫県三原郡南淡町(淡路島の最南端)に位
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
まで上昇し、飲料水としても不適当になった。
このため、県の指導も塩素イオンの分解など
を行う設備面の実施検討をせまられるととも
置する沼島は、離島振興対策実施地区指定を
に、島の住民からも当然強い改善要望が出さ
6
3
k
n
fの 島 で 、 人 口 は お よ そ 1,200
受 け る 面 積2
れていたので、淡水化設{痛のテストプラント
人である。
3年 9月より、実験プラント(逆浸透膜法)
を5
3年 4月 1日より地下水(深井戸 2本)
昭 和4
を水源とする簡易水道事業創設工事を行い、
で 約 4 ヵ月間調査研究を行った口
こ の 調 査 結 果 で 、 ラ ン ニ ン グ コ ス ト が 170円
1日 平 均 給 水 量 170m
'/日を生活用水として供
と 出 た 。 そ の 費 用 の 85%が 電 力 費 の た め 、 今
品合していた。
後電力代などの値上げに伴うたびに料金改正
離 島 の た め に 、 こ こ 3年 近 く 前 か ら 塩 素 イ
も必要で、あり、設備の管理なども非常に困難
オ ン 濃 度 が 給 水 開 始 当 時 185ppmであったも
であり、運転コストが高くつくことがわかっ
2年 3月 に は 1.339ppm
のが徐々に高くなり、 5
た。それと同時に、水源確保の調査も併行し
写真一 1 灘倉川津水場全景
(1日最大処理能力 3
8
1r
r
!)
て行った結果、対岸の淡路島本島である灘吉
人 口 1,200人、
1日 最 大 給 水 量 381rr!。また、
野字マンヤマ 548番 地 先 の 倉 川 で 、 日 量 平 均 約
工事内容として今回の工事で一番悪条件であ
760m'の流量があることが確認された o 1
難地区
る海底送水管は(ポリエチレン二重鉄線外装
の取水協力により島の水不足解消を目的とし
管 、 概 算 重 量 63kg/m)内 径 100mm
、 外 径 183mm
て、倉川に 1日 最 大 給 水 量 381m'の浄水場をっ
を選定した。その理由としては、灘城方
くり、対岸の島ヘ送水する方法を種々調査検
300mの一連長で製作した。
島 問 4,
沼
討された。その結果、海底送水管計画を策定
本工事に先立って、ルート調査で沼島海峡
し、清浄で、豊富な浄水を給水し、島民の生活
が洩き網などのよい漁場であり、しかも阪神
環境の改善をはかることにした。
方面への重要な航路にもあたっているため航
5年 度 に 沼 島 簡 易 水 道 増 補
このため、昭和5
行船舶も多く、また潮流も比較的速いことが
改良事業を実施することになった。総事業費
確認されているために、このような自然環境
6億 1,467万 9,000円 、 国 庫 補 助 金 3億 274万
に十分な安全性を保つものでなければならな
1,
000円、県補助金 5,
810万円、企業債 2億 5,
030
いという条件のもとで選定された。また、内
万 円 、 町 費 353万 8,
000円 、 な ら び に 計 画 給 水
/
c
n
f以 上 の 圧 力 に 耐 え う る も の を 採
圧 も 10kgf
2
7
南淡町の水道
6年 2月 1
2
用した。布設工事としては、昭和5
沼島ではダクタイル鋳鉄管呼び径 1
00mmて
も
、
日に 1日で無事海底送水管の布設を終了した。
海 抜 34mの 所 に 配 水 池 (
1
2
0m')RC造 り を 設 置
なわ、倉川で、取水施設と浄水設備は 1 日最
した。さらにダクタイル鋳鉄管呼び径1
00mm
、
大給水量 3
8
1m'をっくり、県道阿万灘、洲本
延 長 1,100mの 布 設 工 事 を 行 い 、 既 設 管 ACP
線に将来未給水地区である灘地域に給水計画
呼び径 1
00mmに 接 続 し 、 昭 和 田 年 5月 1日よ
を考えているために、県道の海岸線に県の許
り送水を開始している。
可を受けた。送水管には水圧外圧などの強度
現在、住民の多年の念願であった水不足の
に耐え、耐久性のあるダクタイル鋳鉄管呼び
解消がはかられ、島民の生活環境の改善をは
径1
50mm、 延 長 4,213mを採用し、県道の海岸
かることができた。これにより、高佐島である
線に布設工事を行った D 県道城方地区より海
ため水に苦労していたが、これからは将来に
底送水管呼び径1
00mm
、 延 長 4,300mを布設し
わたり安定給水が約束されると思う。
写 真 一 2 口径 1
0
0
m
mダクタイル鋳鉄管布設工事
写 真 一 3 海底送水管布設工事
2
8
昭和 5
7
. 5 第3
2号
ダクタイル鉄管
離脱腸止タイプ
商務ダタタイル管について
久保田鉄工株式会社
鉄管エンジニアリング部
中 島 鋭
井上静夫
荒川範行
1.はじめに
そこで、種々の検討・実験を行った結果、
耐 震 継 手 S形 ダ ク タ イ ル 管 は 昭 和 49年 に 開
従 来 の S形継手に簡単な付属品(ライナ_')を
発され、それ以来全国各地で耐震管路や軟弱
付加することにより離脱防止タイプ(抜出し
地盤での配管に広く利用されてきている。こ
阻止性能と曲げ剛性を持ったもの)としての
の S形 ダ ク タ イ ル 管 は 、 現 在 の と こ ろ 直 線 管
使用が可能となった。
路にのみ適用されており、曲管部、 T字 管 部
以下にその特長・性能について述べる。
な ど に は 離 脱 防 止 継 手 KF形、あるいは U F形
ダクタイル管などの他の管種が用いられてき
2
. 離 脱 防 止 タ イ プ S形夕、クタイル管
の概要
た口
ところが K F形、 U F形 継 手 の 施 工 に は そ れ
(
1
) 名
称
、
S形 継 手 に ラ イ ナ ー を 付 加 し
たものを「離脱防止タイプ S
相当の熟練を要し、さらに継手の種類ごとに
形ダクタイル管」と称する。
部品管理などが必要で、あることから、直管部
>
1500~ >
1900とする。
に限らず曲り管、 T字 管 な ど 異 形 管 部 全 て S
(
2
) 適用管径
形 1本 に な ら な い だ ろ う か と い う 声 が 大 き く
(
3
) 管 種 構 成 直 管 : 1種管、 2種管、 3種 管
0
0
異 形 管 :90 , 45 , 22~0 ,
なってきた。
図ー 1 離脱防止タイプ S形夕、クタイル管の継手構造
S形継手
ライナー(ピース1)
胴付間隔部
離 脱 防 止 タ イ プ S形 ダ ク タ イ ル 管 に つ い て
2
9
1
17
4
:
。
、 5%。の各曲管、 T字管、
クリングによる抜出し阻止力と、胴付間隔部
フ ラ ン ジ 付 T字 管 、 仕 切 弁 副
に設けたライナーによる入り込み阻止力とで
管 、 排 水 T字 管 、 短 管 な ど
(
4
) 直管の有効長
全て 6mとする。
曲げ剛性が発揮できる。しかし、この胴付間
隔は継手のす法公差の関係から、一体ものの
ライナーでは吸収しえない寸法変化が生ずる。
3
. 構造と特長
(たとえば口径 6
00mm管 の 場 合 、 胴 付 間 隔 は 最
(
1
) 継手の構造
小1
3
7.5mm~ 最大 165.5mm となる)
図 - 1に 示 す よ う に 、 従 来 の S形 継 手 の 胴
そ こ で 、 こ の ラ イ ナ ー を 図 ー 2に示すよう
付 間 隔 部 に 2ピ ー ス か ら な る ラ イ ナ ー を 装 着
に 2ピ ー ス に し 、 各 ピ ー ス の 片 面 を ノ コ ギ リ
刃状にした。この刃面を組合せ、相対的に回
したものである。
ライナーの材質はダクタイル鋳鉄であり、
ライナーを受口内にセットするためのライナ
ー 用 セ ッ ト ボ ル ト の 材 質 は 、 ス テ ン レ ス 鋼 (S
転させることによりライナーの管軸方向の長
さを調整可能とした。
一方、ノゴギリ刃面の傾斜は鋳鉄のスベリ
US4
0
3
)である。
摩擦角より小さく設計しであるため、ライナ
(
2
) ライナーの構造
ーに軸方向の圧縮力が働いても相対的なスベ
継手に曲げモーメントが作用した時、ロッ
リは起らず、十分な抗圧力を発揮する。
図 -2 ライナーの構造
ライナーの最小長さ
1
1
-
セットボルト用タップ穴
ライナーの形状、ライナーを組合せた状態
ぞれ写真一 1~3 に示す。
およびライナーの受口内での装着状況をそれ
写真一 1 ライナー(ピース I、ピース l
l
)
写真一 2 ライナーの組合せ
3
0
ダクタイル鉄管
昭和 5
7
. 5 第3
2号
写 真 一 3 ライナーの受口内での装着状況
ある。
④接合後、ただちに埋戻しできる。
継手性能面では、
①
高水圧に耐える口
②
大きな抜出し力に耐える。
③十分な曲げ剛性を有している。
4. 継手の性能
離 脱 防 止 タ イ プ S形夕、、クタイル管の継手性
能 は 、 従 来 の 離 脱 防 止 継 子 K F形 と 同 等 の 性
能を有している。
(
3
) 特長
本 継 手 の 性 能 試 験 結 果 の 一 例 を 表 ー 1 に示
配管設計面では、
す 。 ま た 本 継 手 と K F形 継 手 と の 性 能 比 較 を
①曲管部に用いれば、防護コンクリート
表 -2,こ示した。
が軽減あるいは全廃できる。
5
. 関己管設計
②条件によっては特殊な用途(露出配管、
(
1
) 設計上の基準性能
水管橋など)に利用できる。
③耐震管路の場合、直管部・異形管部と
管路設計時に必要な継手の基準性能として
も全て同一機種 (S形継手)で統ーできる O
「抜出し阻止力」と「限界曲げモーメント J
が上げられる。
施工面では、
①
本 継 手 は K F形 離 脱 防 止 継 手 と 同 等 の 性 能
S形継手と同程度の技術で施工できる。
②付属品、工具の管理がやり易い。
を有しており、上記設計上の基準性能値とし
③
て 表 - 3の値を用いる口
雨中、湿気の多い所での施工も可能で
表 -1 離脱防止タイフ S形継手の性能試験結果
試験
N
o
.
1
試験
N
o
.
2
3
4
試験項目
抜出し試験
試験項目
曲げ試験
口径
(
m
m
)
試験条件
負
(
k
荷
g
f
/
,
水c
m
圧
)
換算(抜
To
出
n
)し力
※
最大発生応力
(
k
gf
/
mm2)
考
備
6
0
0
5
8
1
8
1
2
3
.
6
漏洩その他の異常なし
9
0
0
3
9
2
7
0
2
2
.
9
今
口径
(
m
m
)
試験条件
曲げモーメン卜
曲
げ
(
分
角
)度
※
最大発生応力
f
/
mm2)
(
k
g
6
0
0
(
T
o
n
m
)
5
7
4
0
'
2
7
.
6
9
0
0
1
8
0
4
2
'
2
5
.
5
考
備
異常なし
P
ペ
水圧下 (
l
O
k
gf
/
c
m
)
6
0
0
5
0
6
6
'
2
6
.
1
漏洩その他の異常なし
での曲げ試験
9
0
0
1
6
3
5
5
'
2
7
.
4
シ
イ
9
0
0
1
8
0
5
8
'
2
5
.
3
異常なし
※※
繰返し曲げ試験
(注)1.供試管は全て 2種管を用いた。
2
. ※発生応力は全て引張り応力+曲げ応力であった。
なお、ダクタイル鋳鉄は J
I
SG5
5
2
6に規定する材質のもので、、引張り強さは 4
0k
gf
/
mm2以上、
2
7k
gf
/
mm 以上である。
曲げ強さは 5
3
. ※※ 80Ton-mの力で継手部を 2
0回繰返し屈曲させた後、最終的に 180Ton-mを負荷させたもの。
表 -2 離 脱 防 止 タ イ プ S形 継 手 と K F形継手との性能比較(口径 6
0
0
m
mの場合)
耐曲げモーメント性能
抜出し阻止性能
継 手 の 種 類
離 脱 防 止 タ イ プ S形 継 手
2
0
0
友 1
5
0
S形継手
出
し 1
0
0
力
(
T
o
n
)
5
0
ライナー用セットボルト
t暗 主P1 〆 b '--=~雪事調関正2主.
, ノ
ライナー(ピースII)
1
'
-
ライナー(ピース
げ
,
J
60
モ
メ
4
0
ノ
ト
(Ton-m)2
0
1
)
2
3
2
0
'
4
4
0
'
1" 1
"
2
0
'
継手曲げ角度
継手抜出し量
τ
υ
KF形 継 手
需要習匹、よけ可。∞穂、山司、、で γ喝 ぃ‘
パコ「一一一ーヘJ
80
曲
ぺ
2
0
0
押輪
ボルトナット
8
0
1
-
、
曲
1
1
1
5
0
抜
出
し 1
0
0
力
(
T
o
n
) 5
0
f
,
60
モ
;40
ノ
よ
(T -m)2
0
1
2
3
継手抜出し量 (
m
m
)
0
0
2
0
'
4
0
'
1
" 1
"
2
0
'
継手曲げ角度
E
品
ト4
3
2
ダクタイル鉄管
(
2
) 配管設計例
表 - 3 離脱防止タイプ S形ダクタイル管の
設計上の基準性能
呼び径
(
m
m
)
抜出し阻止力
(Ton)
S形 管 路 の 中 で の 使 用 は も ち ろ ん 、 他 の 管
種の管路にわいても使用できる。
限界曲げモーメント
(Ton-m)
500
150
37
600
180
5
5
700
210
84
800
240
120
900
270
166
昭和5
7
. 5 第3
2号
離 脱 防 止 タ イ プ S形 ダ ク タ イ ル 管 を 使 用 し
た 配 管 設 計 例 を 図 ← 3に示す。
6
.施 工
離 脱 防 止 タ イ プ S形ダクタイル管の施工(接
合)は次の手順で行う。
図 -3 離脱防止タイプ S形ダクタイル管を用いた配管設計例
SF
K
K
SF
K
S
S
S
曲管部
K
S
S SF
え
〈
u
¥
』
式
、
SF K
K
SF S
S
らん
ィ
¥
離 脱 防 止 タ イ プ S形継手を示す
伏せ越し部
(
1
) X寸 法 の 測 定
挿口端固と挿口突部のロックリング当り面
との長さ (X寸法)を測定する。
1
)で 測 定 し た X寸 法 に な る よ う に ラ イ ナ ー
が(
長さを調整し、その後ライナーをセットボル
トで受口内に固定する口
図 - 4 寸法測定部
図 - 5 ライナーの装着方法
ト
(
2
) ライナーの装着
ラ イ ナ ー を 受 口 内 に 預 け 、 図 -5の X
1寸 法
(
3
)
以降は
S形 継 手 の 施 工 手 順 と ま っ た く 向
離 脱 防 止 タ イ プ S形ダクタイル管について
じである。
ワ.むすび
以 上 、 離 脱 防 止 タ イ プ S形 ダ ク タ イ ル 管 の
構造・特長・性能などについて簡単に紹介し
たが、この継手が今後の配管設計にわ役に立
てば幸いである口
3
3