可視光通信システムの高信頼化 可視光通信システムは、無線による情報伝送においてLEDなどの目に見 研究の背景と目的 和田 忠浩 える光を利用するシステムです。可視光通信は、電波を使う通信に比べ、人 体や精密機器への影響が少なく、通信範囲が特定されるためセキュリティが 高いなどの利点があります。受信機としてはフォトダイオードを利用するものと イメージセンサ(カメラ)を利用するものに大きく分けられますが、本研究室で は、イメージセンサと画像処理によるデータ受信を行っています。データ伝送 の高信頼化を図るため、画像処理技術や誤り制御技術に関する研究をして 工学研究科 准教授 います。 イメージセンサに基づく可視光通信の高信頼化を実現するため、画像処理 ■ キーワード に関する課題と、通信に関する課題を互いにマージしながら検討しています。 [画像処理に関する課題] ・ 可視光通信方式 ・ ・ イメージセンサ 画像の位置検出:伝送できる情報量を極力維持するため、LEDパネル の4隅のみを用い、M系列の相関特性を利用して位置検出する。 ・ 画像処理 ・ ・ 誤り訂正技術 LEDのON―OFF検出:LEDパネルが傾いている場合でも対応できる 研究の概要 よう、透視変換に基づく画像変換を行う。また、パネル色によらない 2 値画像によってON-OFF検出をする、など [通信に関する課題] ・ フレーム同期:携帯電話などに搭載されているさまざまのイメージセン サに対応するため、フレームが非同期であっても復調できる手法を検 討する。M配列に基づいて初期フレームを検出する。 ・ 通信性能の高信頼化:情報情報の高信頼化には性能の良い誤り制御 技術の適用が必要であり、近年開発されたターボ符号や LDPC 符号な ■ 技術相談に応じられる関連分野 どの高性能誤り訂正符号化技術の組み込み、高信頼化を実現する、 ・ 無線通信技術一般 など ・ 流星バースト通信 ◎研究段階・・・( 着想 ・ 基礎 ・ 応用 ・ 開発 ) ・ 無線ネットワーク ・ ・ インターネットプロトコル 画像処理に基づく可視光通信方式のためのさまざまの要素技術の ・ CDMA などのアクセス技術、 検討。特にM系列や誤り訂正符号といった数学的通信理論の適用。 ・ 誤り制御技術(通信やストレ ・ 電力線通信 ほか セールスポイント ージ) 特筆すべき研究ポイント: ・ 新規研究要素: (世界初あるいは日本初など) 可視光に関する研究は多くは、フォトダイオードを利用したものであ り、イメージセンサに基づく研究の数は多くありません。また本研究で は、システム性能の改善のため、通信技術における高性能誤り制御 技術の適用や非同期システムの開発において、新規性は高いと考え られます。 ・ 特許等出願状況: 特許出願は具体的な成果とともに検討予定です。共同研究企業と の共同出願も可能です。 イメージ図 誤り訂正技術の概念 応用、企業化 今後の展望 ・対象分野: ユビキタスネットワーク、高信頼通信 ・企業化または商品化のイメージ: ITS における車車間・路車間通信方式、工場内通信システム、情報通信の教育材料、など
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