米国の雇用統計(2016年7月)

2016年8月8日
(No.2,527)
〈マーケットレポートNo.4,945〉
米国の雇用統計(2016年7月)
雇用者数、賃金上昇率とも市場予想を上回る増加
雇用者数は25.5万人増
50
増加基調に変化は見られない
40
■2016年7月の非農業部門雇用者数は前月比
25.5万人増となり、市場予想(ブルームバーグ集
計)の同18.0万人増を上回りました。
■5月の雇用増加数は同2.4万人増にとどまりました
が、その後6月、7月と2カ月連続で同20万人を超
える増加となりました。3カ月移動平均で雇用の増
加ペースを測ると、19.0万人となります。
(万人)
8
20
6
10
5
0
4
13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7
(年/月)
(注)データの期間は2013年1月~2016年7月。
(出所)米国労働省のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(前年同月比、%) 【賃金上昇率と自発的離職者比率】 (%)
賃金上昇率は前年比+2.6%
3.5
景気は緩やかに拡大
9
7
失業率は4.9%
■賃金上昇率は前月比+0.3%と、市場予想の
+0.2%を上回りました。前年同月比では+2.6%
となります。労働需給の引き締まり度合いを測る尺
度である自発的離職者比率の後を追うように、賃
金上昇率も徐々に高まってきました。
(%)
非農業部門雇用者数(前月比、左軸)
同上3カ月移動平均(左軸)
失業率(右軸)
30
4.0
■他方、失業率は、前月比横ばいの4.9%でした。
労働需要(就業者)と供給(労働力人口)が
ほぼ同じペースで増えたためです。
【非農業部門雇用者数と失業率】
13.0
賃金上昇率 (左軸)
自発的離職者比率(右軸)
11.5
3.0
10.0
2.5
8.5
2.0
7.0
1.5
5.5
1.0
4.0
07/3
09/3
11/3
13/3
15/3
17/3
(注)賃金上昇率は2007年3月~2016年7月。
(年/月)
自発的離職者比率は2006年5月~2016年7月。
自発的離職者比率は10カ月先行。網掛けは景気後退期。
(出所)米国労働省のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
■雇用統計を受けた5日の米国株式市場は、上昇し ■米景気は拡大を続けていますが、物価上昇率が低
ました。7月の雇用増加数、賃金の前月比上昇率
い水準で安定していることなどを踏まえると、この先、
が事前の市場予想を上回ったことなどから、米景気
利上げはあっても、そのペースは極めて緩慢なものに
の先行きに対する楽観的な見方が強まったためです。 とどまる可能性が高いと見られます。
■一方、米国債利回りは上昇、為替市場では米ドル
高となりました。良好な雇用統計を受け、利上げ観
測が強まったことによるものです。
■こうした点から、株価は当面、景気、企業収益の拡
大を織り込む展開が続くと考えられ、国債利回りも
低い水準にとどまる見通しです。
2016年7月28日 米国の金融政策(2016年7月)
2016年7月27日 「労働市場」の改善は進んでいる?(米国)
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