共通教育センター(自然科学) 加藤 隆幸 【連絡先】 Kato Takayuki □内線番号 622 准教授 □E-mail [email protected] ■専門分野 ①有機金属化学 ②生物化学 ■最終学歴 1979年3月 群馬大学 工学部工学研究科修士課程 応用化学専攻修了 ■学位 1979年3月 工学修士 (群馬大学) ■主な担当授業科目(学部) ①化学入門 ②化学Ⅰ,Ⅱ ③総合科学実験 ■現在取り組んでいる研究内容と主な研究テーマ 「5配位スクエアーピラミダル銅錯体の配位子交換反応 におけるパリティーの破れについて」 一般的に化学反応が進行する場合, 大きな活性化エネル ギーの障壁を越えなければならず, このエネルギー障壁の裏 に隠された反応時の電子的左右の構造変化による微少なエネ ルギー変化は直接見ることが出来ない。しかしながら, 一般に 分子間で化学反応をする場合, 個々の分子のパリティー(偶奇 性・左右の対称性)は常に極微量のエネルギー変化を伴って 破れていると考える。そこで, そのパリティーの破れの存在を実 証するため, 配位子の安定度定数的に活性化エネルギーがほ とんどゼロである1個の 配位子をもつ金属錯体の配位圏内配 位子自由交換反応を進行させるべく, スクエアーピラミダル5配 位不斉銅錯体を分子設計し, 第5番頂点配位水と溶媒水分子 交換反応に付随する分子パリティーの破れ, すなわち錯体分 子の左右空間の物理現象の違い(破れ)を, 反応系の時間に対 する旋光度の偏りとして検出する実験を行った。 具体的な実験は, 溶媒水分子と自由に交換可能な第5番目の 頂点 H2O配位子を持つ, 面不斉5配位スクエアーピラミダル 金属銅錯体 Aqua[(6-carboxy-2-pyridylamide)histaminato] copper(Ⅱ)を分子設計および合成した。次いで左右のエナン チオマー頂点Aqua配位子と溶媒水分子との自由交換反応を, 室温の下, 交換反応を旋光計セル内で実験と計測を同時に実 施した。その結果, 第5Aqua配位子が溶媒水分子との間で配 位圏内交換反応を行う間, 中心銅原子上で分子パリティーの 破れを伴う交換反応により生成する2種類の分子である左右の エナンチオマーに対して, 反応時間の経過とともに, 片方のエ ナンチオマーが系内で優勢な濃度に変化する過程と, 一定な 偏った濃度に達して安定する事を示す旋光度(-1240°)値を 示すことが明らかになった。 この旋光度変化は, 片方のエナンチオマーである平面 S (Planar-S)系の ライフタイムが速度論的に長くなり, 左手系(S系)の系内濃度が右手系(R-系)の分子よりも上昇しているとを 示す。 これは即ち錯体エナンチオマーの頂点第 5番水分子と 溶媒分子間の交換反応時に, 中心銅原子の電子状態と左右 環境のパリティーの破れが同時に生じていることを示す。なお 測定旋光計光源のエネルギーは1分子に対してボルツマン定 数程度と計算出来, このレベルで分子パリティーの破れが見ら れ得ると考える。 ■キーワード ①分子パリティーの非保存 ②キラリティー ③不斉有機金属 錯体 ④配位子交換 2号館新館 2102号室 □研究室 □研究室HP ■職歴 1979年 東芝シリコーン株式会社 研究開発課 1980年 足利工業大学 共通課程 助手 1989年 同 講師 2006年 同 助教授 2007年 同 准教授 ■主な社会活動・地域活動 ①足利市新焼却施設等整備検討委員, 2016 ②Chilal Symmetry Breaking of Metal Complex Compound 環太平洋国際化学会議, 2010 ③「Molecular Parity-Violation in Metal complex compounds」 岡山大学(MCRO)2008 ④The Chiral Symmetry Breaking occurred in a racemi metal complex 日本地球惑星科学連合,2006 ⑤Planar Chirality and optical resolution of the tetradentate square pyramidal five co-ordinated copper complex compound genarated by the fifth apical ligand 環太平洋国際化学会議, 2005 ⑥平成12年度第8回情報セミナー会議・講演会(栃木県南地 場産業振興センター)2000 ⑦Absolute Asymmetric Synthesis of Metal Complex Compounds achieved by the First Order Asymmetric Transformation 京都大学国際会議(ICRROEL)1998 ■主な論文 ①Experimental proof of Molecular Parity-Violation in Metal complex compounds, Vol.127 Suppl.2, 2007, 薬学雑誌 ②Crystal and Molecular Structure of Racemic Aqua[(6-carboxy-2-pyridylamide)histaminato]copper(Ⅱ), Analytical Sciences VOL.23, 37-38, 2007, 日本分析化学会 ③Aqua[(6-Carboxy-2-Pyridylamide)-L-Histidinato]Copper (Ⅱ), Acta Cryst. C, C57,1256-1258, 2001, イギリス結晶化 学会誌 ④A Probability of Absolute Asymmetric Synthesis of Metal Complex Compounds achieved by The First Order Asymmetric Transformation, Viva Origino, 26(3), 197-202, 1998, 生命の起原及び進化学会誌 ⑤Asymmetric Synthesis of Phosphine Oxides with the Arbusov Reaction, Chemistry Letters, 1915-1918, 1987 日本化学会誌 ■主な著書 「演習・基礎化学」(共)(三共出版株式会社 1989) 2016
© Copyright 2024 ExpyDoc