2016年版 レンダーデータ集

Book Review
[ 書 評 ]
2016年版 レンダーデータ集
評者
奥井 英貴
一般社団法人不動産証券化協会 事務局次長 企画広報部長
( ARES マスター M0902657 )
不動産投資市場のプロ向けの旬刊専門誌「不動産
経済ファンドレビュー」編集部が、2008 年以降 2015 年
まで、過去7年にわたるリスティングの中で蓄積した各
金融機関のデータの内、J-REITに対する投融資デー
タと、不動産業者に対する融資データを精査、加工し、
別冊データブックとしてまとめた。過去7年間のJ-REIT
と不動産業に対する金融機関の投融資の動向を、テー
マ毎にグラフ化し、解説を加えている。
集計対象となった金融機関は、J-REIT向けの融資
実績ないし投資口保有による投資実績のあるすべての
金融機関で、メガバンクや信託銀行、地方銀行をはじ
め、生損保や証券 、外資系その他の金融機関を含めて
計160以上に上っている。また、巻頭には特別対談も
掲載。これまでのJリート市場と金融機関の対応を振
り返り、今後のJリート市場の展望とあるべき金融機関
の役割について語っている。
金融機関をはじめ証券化プレーヤーには、来る量的
金融緩和の縮小や市場サイクルの変動に備えたリスク
管理が求められているが、それには、まず市場の歴史
やプレーヤーの実際の行動を知ることが必要となるで
あろう。本資料集は公開情報を基に分析したものだ
が、本書から得られる金融機関の過去の行動は、証券
化プレーヤーが将来何らかの仮説を立てる際に十分裏
付けとなり得るデータを提供している。
編集・発行
発 行 日
定
価
株式会社不動産経済研究所
2016 年 3 月
A4 判、全 95 頁
50,000 円 ( 税別、送料込)
■ 主な内容
特別対談「Jリートと金融機関が果たす役割」
田邉信之氏 宮城大学事業構想学部教授
堀江正博氏 東急リアル・エステート・インベストメント・マネジメント前社長
東京急行電鉄 執行役員 生活創造本部 リテール事業部長
J-REIT 投資口の保有残高(2008 年 9 月~ 2015 年 9 月)
● 全レンダー保有残高推移および解説
●5分類(都銀・外資など、信託銀行、生損保、地方銀行、その他)比較および
解説
● 外資系金融機関、国内金融機関比較および解説
● 主要レンダー別(10 行)の保有残高推移および解説
J-REIT 向け融資残高(2008 年 9 月~ 2015 年 9 月)
● 全レンダー融資残高推移および解説
●5分類(主要7行、信託銀行、生損保、地方銀行、その他)比較および解説
● 主要レンダー別(11 行)の融資残高推移および解説
● J-REIT セクター別(オフィス、複合、レジデンス、その他)の融資残高推移
および解説
不動産業向け融資残高(2009 年 3 月~ 2015 年 9 月)
● 5 分類(全レンダー、主要 6 行、地方銀行、信託銀行、その他)比較および
解説
● 主要レンダー(11 行)比較および解説
発刊によせて
本書は、公表資料に加えてヒアリングを実施することにより、過去 7 年間にわたって蓄積された貴重なデータ集である。金
融機関全体だけでなく、業態別、主要レンダー別の動きの分析も可能なものとなっている。リーマンショック後、市場全体
では何が起きたのか、その後にどうなったのかなどについて、こうした客観的なデータをベースに振り返ることは、今後の
ファイナンス戦略を検討する上でも大変有意義なことであり、私自身もいくつかの新たな発見をすることができた。
公立大学法人宮城大学 事業構想学部 教授 田邉信之
July-August 2016
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