CSR 調達の推進

CSR 調達の推進
サプライチェーンにおける社会的責任を果たすため、調達パートナーの協力のもと、CSR 調達に取り組んでいます。
■調達パートナーとの協力
CSR 調達の基本的な考え方
ニコングループでは、これまで、説明会の開催、アンケートによる
社会と真摯に向き合い、社会的責任を果たしていくためには、自ら
調達パートナーの状況調査、個別パートナーとの意見交換、個別
だけでなくサプライチェーン全体で社会的責任を踏まえた行動を
パートナーの状況の訪問確認と、調達パートナーへの働きかけを
実践する必要があります。
段階的に強化してきました。
そのためニコングループでは、社会的責任の基本姿勢である「ニ
2016 年 3 月期に策定したニコン CSR 調達基準を展開するにあた
コン CSR憲章」と、調達の基本的な方針である「ニコン調達基本方
っても、調達パートナーに正しく理解した上で取り組んでいただくた
針」に基づき、腐敗防止や人権尊重をはじめとした CSR 活動をサ
め、基準制定の背景やポイント、今後の活動計画などを共有する
プライチェーン全体で取り組むため、CSR 調達を進めています。
説明会を開催しました。日本で 3 回、中国で 2 回、タイで 1 回開催
した説明会には、計 897 社 1,223 名の調達パートナーにご参加い
ただきました。
■CSR 調達基準の制定
なお、ニコングループでは、調達パートナー(一次サプライヤー)
これまでニコングループでは、調達パートナーに対してニコンの
が、それぞれのサプライヤーに対して CSR を促すよう要請するこ
CSRに対する考え方へのご理解を得ることに主眼をおいた活動を
とで、サプライチェーン全体において CSR を促進しています。
行ってきました。
また、調達パートナーのコンプライアンス違反に対しては、原因・
しかし、社会的要請の高まりや、CSR 活動におけるサプライ
対応・再発防止策などを求め、厳正に対処しています。2016 年 3
チェーン管理の重要性などを鑑み、2015 年 8 月、調達パートナー
月期は、違反の報告はありませんでした。
に対する順守いただきたい内容を明記した「ニコン CSR 調達基準」
を策定しました。同基準は、電子業界のグローバルスタンダードと
なっている EICC(Electronic Industry Citizenship Coalition)の行
動規範に準拠しています。
ニコン CSR 調達基準
http://www.nikon.co.jp/profile/procurement/csr/index.htm
CSR 調達の推進体制
中国(無錫)での調達先説明会風景
ニコングループでは、サプライチェーン全体の CSR に関する懸案
事項について、組織横断的に審議・決定を行うための体制として、
「サプライチェーン部会」を設置しています。この部会は、ニコン執
行役員 業務本部長を部会長としており、メンバーは各事業部の
調達部門および国内外のグループ生産会社です。半期ごとに部
会を開催し、主に半期の活動報告と次期の計画を審議しています。
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調達パートナーの CSR 改善活動の流れ
サプライチェーン・コミュニケーション
調達パートナーにおける CSR 調達基準の順守状況を確認するた
めに、ニコングループでは、2016 年 3 月期より調達パートナーに
対する監査を開始しました。
地域特性や取り扱う部材、ニコングループとの関係性など、多様な
視点から CSR リスクがあると考えられる調達パートナーを調査対
象として選定し、セルフ・アセスメント(調達パートナーによる自己
評価)を実施していただきました。各回答については、質問ごとに
リスクの重みづけを行い、集計してリスクプロファイルを作成しまし
た。この結果、特に改善の必要性が高いと判断した企業に対して
は、第三者監査機関の訪問による監査を実施し、発見された不備
については改善を要請しました。また、監査対象外だが優先度が
高いと判断された調達パートナーについても、改善計画書の提出
とその実行を要請しました。
2016 年 3 月期は、主要な調達パートナー207 社に調査を実施し
(回答率 100%)、その内 3 社(所在地はアジア)に対して監査しま
した。3 社とも主に労働と倫理の項目について指摘があり、改善を
依頼しました。また、これと合わせて計 13 社に改善計画書の提出
を要請しました。この内 2 社は、年度内に改善を完了しています。
なお、改善に際しては、具体的な方法について支援(訪問、メール
等)を行いました。
2017 年 3 月期には、調査や監査の各工程を見直し、CSR 監査の
質と効率の向上を図る計画です。今後も監査を継続し、責任ある
調達を推進していきます。
なお、これら調査や監査、改善要請の結果は、サプライチェーン部
会を経由して、取締役をメンバーとする上位組織の CSR 委員会に
も報告されています。
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