平成 28 年 8 月 1 日 No.547 平成 27年分の贈与税の申告状況 国税庁より平成 27 年分の贈与税の申告状況について報道発表がありました。贈与税の申告書を提出した人員 は 53 万 9 千人で、前年分から 3.7%増加しました。そのうち、申告納税額のあるものは 38 万 3 千人で前年分 から 4.6%増加し、申告納税額は 2,402 億円で前年分から 14.3%減少しました。申告者数、納税者数は増加し ましたが、申告納税額は減少する結果となりました。申告納税額が減少する結果となったのは、平成 27 年から 贈与税率が改正された影響ではないかと想像されます。 1. 暦年課税及び相続時精算課税の申告状況 申告書を提出した人員のうち、暦年課税を適用した申告人員は 48 万 9 千人(そのうち、特例税率(注)適用 者は 23 万 8 千人)で、前年分から 4.1%増加しました。申告納税額は 2,161 億円で、前年分から 16.4%減少 しました。 (注) 特例税率とは、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の 1 月 1 日において 20 歳以上の者(子・ 孫など)への贈与税の計算に使用する税率をいいます。 また、相続時精算課税を適用した申告人員は 4 万 9 千人で、前年分から 0.1%減少し、申告納税額は 241 億 円で前年分から 10.2%増加しました。 平成26年分 申告 人員 平成27年分 平成27年分/平成26年分 納税 人員 申告 納税 申告 納税 申告 1人当 申告 1人当 人員 人員 人員 人員 納税額 たり 納税額 たり 千人 千人 億円 万円 千人 千人 億円 万円 % % 合計 519 366 2,803 77 539 383 2,402 63 103.7 104.6 暦年課税 470 363 2,584 71 489 380 2,161 57 104.1 104.6 相続時精算課税 50 3 218 652 49 4 241 682 99,9 105.3 (注 1)両年分とも翌年 3 月末日までに提出された申告書の計数です。 (注 2)相続時精算課税に係る人員には、暦年課税との併用者を含んでいます。 申告 納税額 % 85.7 83.6 110.2 1人当 たり % 81.9 80.0 104,6 2. 住宅取得等資金の非課税の申告状況 住宅取得等資金の非課税を適用した申告人員は 6 万 6 千人で前年分から 2.1%増加、住宅取得等資金の金額は 6,508 億円で、前年分から 29.6%増加、住宅取得等資金の非課税の適用を受けた金額は 6,159 億円で、前年 分より 42.6%増加しました。 平成26年分 住宅取得等 申告人員 非課税の適用 非課税の適用 資金の金額 を受けた金額 を受けた金額 千人 億円 億円 千人 億円 億円 65 5,023 4,318 66 6,508 6,159 1人当たり 773万円 664万円 1人当たり 986万円 933万円 (注)両年分とも翌年 3 月末日までに提出された申告書の計数です。 申告人員 住宅取得等 資金の金額 平成27年分 平成27年分/平成26年分 申告人員 % 102.1 1人当たり 住宅取得等 資金の金額 非課税の適用 を受けた金額 % % 129.6 142.6 127.6 140.5 【相続時精算課税の利用は慎重に!】 相続税の節税を目的として相続時精算課税を利用する場合は、将来価値が上昇する可能性のある財産や将来に わたり収益を生みだす財産を贈与財産として選択することが望まれます。しかし、最新の税務統計(平成 26 年分) によると、相続時精算課税適用財産合計額のうち現金預貯金等が約 38%を占めています。現金預貯金等を贈与 しても額面金額が相続財産に加算されてしまい、その効果は期待できません。また、この制度を一度選択すると 暦年課税の贈与制度に戻ることができないこともあり、利用に際しては慎重に検討が必要です。 (担当:関 貴人)
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