Society 5.0実現に向けて -産業界への期待内閣府 総合科学技術・イノベーション会議 久間 和生 「Society 5.0」の概念 Society5.0とは、 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に 続く、以下のような新たな経済社会をいう。 ① サイバー空間とフィジカル空間を高度に 融合させることにより、 ② 地域、年齢、性別、言語等による格差なく、 多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かに 対応したモノやサービスを提供することで 経済的発展と社会的課題の解決を両立し、 ③ 人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を 送ることのできる、人間中心の社会 1 「Society 5.0」プラットフォーム構築 ○総合戦略2015で定めた11システムのうち「高度道路交通システム」「エネルギーバリュー チェーンの最適化」「新たなものづくりシステム」をコアシステムとして開発。 他システムと連携協調を図り、新たな価値を創出。 ○新たな価値・サービス創出の基となるデータベースを整備 ○基盤技術(AI、ネットワーク技術、ビッグデータ解析技術等)の強化 ●「Society 5.0」プラットフォーム構築のイメージ スマート・フード チェーンシステム スマート 生産システム 地球環境情報 プラットフォーム ヒト・モノ・車 位置情報 医療情報 地球環境 情報 統合型 材料開発 システム ものづくり システム 新たな サービス おもてなし システム エネルギー バリューチェーン 基盤技術 AI、ビッグデータ処理技術 サイバーセキュリティ等 異業種間 データ流通促進 ①基盤技術となる、AI、ビックデータ解析技術、 サイバーセキュリティ技術等の強化 エネルギー 需給情報 地域包括 ケアシステム 高度道路 交通システム インフラ 維持管理システム 映像情報 3次元 地図情報 データベース ●知的財産戦略と国際標準化の推進 ●規制・制度改革の推進と社会的受容の醸成 ●能力開発・人材育成の推進 ※今回取り上げたデータベースは参考例 防災・減災 システム ②各システムの高度化に 資するデータベース構築と、 複数システム間で利活用 が期待されるデータベース の在り方の検討 衛星観測 情報 ③将来のシステム連携に備えた 通信インターフェース、 データフォーマットの検討 2 CSTIを中心とした「Society 5.0」実現の取り組み CSTIが司令塔機能を発揮し、内閣府各プロジェクトや委員会等を骨格に、産業界と共に 推進策を具現化。さらに官民対話や他省庁プロジェクト等と連携を強化し実現を加速 産業界 COCN 経団連 IoT推進コンソーシアム (総務省、経産省) Society5.0実現プラン共創 本格的産学官連携、 府省連携で、 Society5.0推進の モデルケース化 連携 ・プラットフォーム構築 他 産学官連携推進 他 連携 技術・データ利活用促進 内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) SIP、ImPACT 各戦略協議会・WG、基盤技術検討会 他 連携 エネルギー・環境イノベーション戦略 連携 アクションプラン 官(各省庁) 総務省 文部 科学省 経済 産業省 人工知能技術戦略会議 (総務省、文科省、経産省) ロボット革命実現会議 他 3 具体例:SIPとアクションプラン対象施策の連携(個別システムの高度化) インフラ、自動走行、エネルギーなど、SIPが存在する個別システムにおいては、 SIPを先導的施策として位置付け、アクションプラン対象施策(関連省庁重点施策)を SIPと相乗効果をもたらす施策として連携させて、課題解決と社会実装を目指す 青字は自動走行システムの例 4 具体例:SIPと人工知能技術戦略会議の連携 出口戦略が明確なSIPと人工知能技術戦略会議(総務省、文部科学省、経済産業省) を連携させ、成果を連続的に社会還元して「Society 5.0」実現を推進する ・内燃機関の最大熱効率を50% ・持続的な産産学学連携の構築 革新的燃焼技術 杉山雅則 トヨタ自動車 革新的構造材料 岸 輝雄 東京大学 エネルギーキャリア 村木 茂 東京ガス インフラ維持管理・更新・マネジメント技術 藤野陽三 横浜国立大学 自動走行システム 葛巻清吾 トヨタ自動車 ■PDの強いリーダー シップのもとで着実に 研究開発を推進 ・航空機・発電機器への適応 ・マテリアルズインテグレーションの技術開発 ■これまでの蓄積も活 かして成果を連続的に 社会還元する ・インフラライフサイクルコストの最小化 ・インフラマネジメント産業創出 ・水素関連産業での世界市場をリード ・交通事故削減、渋滞削減、CO2排出量削減 ・東京オリパラの安全な開催 ・電力・通信・交通等重要インフラの安定運用 重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保 後藤厚宏 情報セキュリティ大学院大学 明確な出口戦略 PDのリーダーシップ 上記以外のSIP及び ImPACTとも連携を進める (総務省) (文部科学省) (経済産業省) 5 具体例:「エネルギー・環境イノベーション戦略」との連携 ○COP21の「2℃目標」実現には、約300億㌧超の温室効果ガス排出量の追加削減が必要 (現在の排出量は500億㌧/2030年試算は570億㌧)⇒イノベーションで、経済成長と気候変動対策を両立 ○総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が全体を統括し、関係府省の協力を得て 政府一体となった研究開発体制を構築 ○AIを活用し、エネルギーシステム統合技術を推進する 短 中 期 2020 中 長 期 2030 2040 2050 Version 1.0 エネルギー・環境イノベーション戦略 ※青枠内:環境エネルギー技術革新計画参照 凡例 (平成25年9月改訂) 地熱発電 高効率石炭火力発電 原子力発電 高効率天然ガス発電 生産・供給分野 消費・需要分野 エネルギーシステム統合技術 (AI、ビッグデータ、IoT) (IGCC、A-USC) システムを構成するコア技術 (1700℃級) 風力発電(洋上) (次世代パワエレ、革新的センサー、多目的超電導) 太陽光発電(14円/kWh) 流通・需給統合分野 革新的生産プロセス 太陽熱利用 海洋エネルギー(波力、潮力、海流) その他の技術 世界の温室効果ガス排出量 C(O2換算 次世代自動車 次世代自動車 (EV) (燃料電池自動車) 高効率ヒートポンプ 革新的構造材料 (給湯) (CFRP) 革新的デバイス (テレワーク) 革新的デバイス 現在の排出量 (約500億トン) (SiC半導体) 現状技術パス 高効率(低燃費) 航空機・船舶・鉄道 高度道路交通システム (分離膜、触媒) 超軽量・耐熱構造材料 次世代蓄電池 水素等製造・貯蔵・利用 (金属-空気電池、全固体電池) (CO2フリー水素) 次世代太陽光発電 次世代地熱発電 (ペロブスカイト太陽電池等) (高温岩体発電、超臨界地熱発電) 既存技術の向上・普及 CO2固定化・有効利用 (CO2革新的分離・回収技術、 CO2有効利用技術) 約570億トン (プローブ情報相互利用) 革新的デバイス (ノーマリーオフプロセッサ) エネルギーマネジメント システム(HEMS/BEMS/CEMS) エネルギーマネジメント システム(電力融通・ネットワーク技術) 高効率エネルギー 産業利用(コジェネ) 革新的製造プロセス (省エネセメント) 省エネ住宅・ビル 燃料電池 蓄熱・断熱等技術 (PEFC/SOFC) 約300億トン超 の削減 バイオマス利活用 人工光合成 (微細藻類) 二酸化炭素回収・貯留(CCS) 環境調和型製鉄プロセス 超電導送電 ●既存技術の一層 の向上・普及 ●新たな技術シーズ の創出・発掘 (超電導ケーブル) 水素製造・輸送・貯蔵 高性能電力貯蔵 (輸送・貯蔵) メタン等削減技術 水素製造・輸送・貯蔵 (嫌気性処理) (製造) 地球観測・気候変動予測 ●革新技術の 導入・普及 温暖化適応技術 植生による固定 (スーパー樹木) 約240億トン (現在の約半減) 核融合 宇宙太陽光 ) 6 産業界への期待 ○産学官がそれぞれの役割を明確にしSociety 5.0の実現を強力に推進 産︓イノベーション創出、実用化・事業化の推進 学︓目的を明確とした基礎研究の推進、人材育成の強化など 官︓政府開発投資の強化、制度や規制の改革、産学官連携の仕組みづくりなど 産業界には、産学官で取り組むべき協調領域を具体的テーマとして設定し、 全体をマネージするリーダーシップに期待 ○オープンイノベーションの現場である大学、研究開発法人に対して 産業界から研究費や人材を拠出し、本気の産学官連携の推進を! ○国民にSociety 5.0の成果を早期に実感してもらうことは、研究開発投資拡大の 世論形成のためにも重要。 中長期に向けた研究開発を強力に推進するとともに、これまでの研究開発 投資で蓄積された研究成果を、短期でも徹底活用し経済成長へ貢献 7
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