断 層認定基準PDF

■縦ずれ断層(正断層)の認定
①地盤の縦ずれ変位(Dip-slip deformation)
②線条痕、擦痕(Striations)
③ノンテクトニック断層は除外
地表面に生じた直線的な段差など地盤の縦ずれ変位が明瞭なもので,地形にかかわ
らず広範囲に直線状に連続性が追跡できるもの、かつ、②の線条痕、擦痕が見られる
ものを正断層として識別した.
断層運動によって生じた断層壁面の擦り傷のことで,断層の変位様式を記録し
ている.縦ずれ断層の場合は,鉛直方向の条線として記録される.
地表面に生じた亀裂には、下記のように,テクトニックな運動で形成された地表地震断層以外の要因に
よるものが混在していることがあり,それらはノンテックトニック断層と呼ばれる.本図ではノンテクト
ニック断層は除外している.
・斜面方向と平行に発達する引張性の亀裂
・切盛境界で発生した亀裂
・沖積面において陥没,土塊の側方流動等で発生した亀裂など
概ね直線状に連続
断層に沿った鉛直変位の例
(宮山地区)
広範囲に概ね直線状に連続する
(小森牧野地区)
■横ずれ断層(走向移動断層)の認定
①地盤の横ずれ変位(Strike-slip deformation)
畝の系統的なずれなど地表地盤の横ずれ変位が明瞭なものを,横ずれ断層として識
別した(アスファルト等の構造物のみのずれなど系統的でないものは断層と識別しな
い).明瞭な指標がなく変位が明確でない場合でも②のリーデルせん断面が明瞭に識
別できるもの,あるいは③の線条痕・擦痕が判別できるものは、横ずれ断層として識
別した.
断層壁面で観察される鉛直方向の擦痕(小森牧野地区)
地震動で道路の切盛境界に発生した直
線状の亀裂(小森地区)
地震動で生じた斜面のトップリングによる
亀裂群(河陽地区)
②リーデルせん断面(Riedel shears)
③線条痕、擦痕(Striations)
横ずれせん断の初期段階では,まずR1面に相当する亀裂が雁行状に配列するので(右横ずれであれば
‘杉’型, 左横ずれであれば‘ミ’型),これを現地にて識別した.
断層運動によって生じた断層壁面の擦り傷のことで,断層の変位様式を記録し
ている.横ずれ断層の場合は,水平方向の条線として記録される.
R1 面(0°<φ/2<30°)
変位なし
右横ずれによる典型的な
地表面変位の形態(堂園地区)
道路盤が圧縮変形を受けているが、排水
路や歩道部には変位が全くない
図1 リーデルせん断実験による破断面
(初期段階)の模式図(狩野・村田, 1998)
図2 右横ずれ断層の形成に伴うせん断組織
(狩野・村田, 1998)
断層壁面で観察される水平方向の擦痕(下陳地区)
■地表地震断層の記載基準
①【縦ずれ断層の認定】、【横ずれ断層の認定】、に基づき現地で実際に地表地震断層として確認されたものを実線で記した。
②上記基準に基づき地表地震断層と推定される亀裂が断続的に分布するなどにより、その連続が推定されるものを点線で記した。
③水平変位が認定されるものについては変位の方向を矢印で示した。また変位量が確認される箇所については、その変位量を赤字で記した。
④鉛直変位が認定されるものについては相対的に沈下している方にケバを付した。また変位量が確認される箇所については、その変位量を紫字で記した。