はじめに 「5S」は、整理・整頓・清掃・清潔・習慣(しつけ)の5つの行動をまと めて指す言葉で、職場の環境をきれいに維持するために、これまで多くの企業 で実践されてきました。「7S」は、これに「節約」と「創意工夫」の2つを 加えて、仕事のしかたやその環境をより徹底的に改善しようとする行動のこと です。 変化の激しい今日、仕事を取り巻く環境はとても厳しいのが現実です。ビジ ネスマンは、みんな忙しく、とかく目の前の仕事だけに目と心を奪われ、全体 が見えにくくなり、必死になって努力しているのに、成果が上がらない、ミス が多いと頭をかかえている人は少なくないようです。 そうした中で、落ち着いて快適に仕事のできる環境をつくり、成果が上がる 仕事のしかたを身につけるために、7Sの考え方と方法論を学ぶのがこの講座 の目的です。 7Sは、仕事のしかたや環境を改善していくための行動指針です。したがっ て、その目的や意義をしっかり学ぶとともに、仕事の場面で実践する中で、そ の意味と効果を身をもってつかんでいただくことが大事です。この講座は、そ うした実践のための方法についても具体的に紹介しています。 テキストは、本巻と続く第2巻とで、7S全体を学ぶようになっています。 では、この1巻の構成を簡単に紹介しておきます。 第1章では、まず7Sの意味と、5Sとの違いを理解していただくことから はじめて、仕事に7Sが必要な理由、7Sが仕事にどのような効果をもたらす かなど、7Sの意味と意義をしっかりつかんでいただきます。そのうえで、7 Sをはじめるにあたっての準備と、実践の基本的な進め方について学びます。 第2章からは、7Sの一つひとつのステップについて、目的や意義、具体的 な実践方法について学んでいきます。 第2章で「整理」、第3章で「整頓」、第4章で「清掃」について学習します。 この3Sを実践することで、職場には本当に必要なものだけが、何がどこにあ るのかひと目でわかるように配置され、すっきりと片づけられた空間で仕事を することができるようになります。まずは自分が、そして職場のメンバーが気 持ちよく働ける環境づくりに取り組みましょう。環境が整うことで、仕事へも よい影響がでてきます。 3 第1巻:7Sの全体像と基本を理解する 第1章 7Sは仕事の新常識 なぜ5Sではなく、7Sか 8 仕事に7Sが必要な理由 10 7Sは仕事の改善・改革の基礎づくり 12 7Sで仕事の成果を向上させる 14 7Sでビジネススキルを向上させる 16 7Sで仕事への意識と仕事の環境を改善する 18 7Sをはじめる前に 20 7Sの基本的しくみ 22 24 第2章 いる/いらないを整理する 「整理」―いらないものをなくし、必要なものを用意する― 26 「整理」の現状をチェックする 28 ものの整理は心の整理から 30 整理基準をつくる―整理の標準化 32 仕事の整理術(1)―作業の洗い出し・分解・再構築 34 仕事の整理術(2)―業務フローチャート 36 仕事の整理術(3)―情報の流れ図 38 赤札作戦で整理を「見える化」する 40 42 4 第3章 整頓し、ものの配置のルールを決める 「整頓」―何を、どこに、どのように置くかを決める― 44 「整頓」の現状をチェックする 46 整頓の基準をつくる―整頓の標準化 48 仕事の整頓術―ムリ・ムラの排除 50 看板作戦で整頓を「見える化」する 52 置き方ルール(1)―道具置き場 54 置き方ルール(2)―ロケーションマップ 56 ペンキ作戦で動作のストライクゾーンづくり 58 60 第4章 清掃でゴミ・汚れのない気持ちいい状態をつくる 「清掃」―ゴミ・汚れがなく気持ちのよい状態にする― 62 「清掃」の現状をチェックする 64 汚れを見つけてオモテに出す 66 日常清掃のポイント 68 清掃道具の管理と清掃当番表の作成 70 清掃点検と清掃保全 72 仕事の清掃術(1)―文書のファイリング 74 仕事の清掃術(2)―PDCAを回す 76 78 5 第1章 7 S は仕事の新常識 なぜ5Sではなく、7Sか 5Sとは何か? よく知られている5Sとは、製造業やサービス業などの職場環境 維持・改善活動で使われているスローガンです。これは、それぞれ の職場において徹底されるべき事項を5つにまとめたもので、その 事項の頭文字がすべてSであることから「5S」と呼ばれて定着し ています。 その5Sがそれぞれ何を指すのかはご存じの方も多いと思います が、その意味を正しく説明できるでしょうか。まず最初に、その5 Sのそれぞれの意味を簡単に確認しておきましょう。 ●整理:必要なものと不必要なものを区分し、不必要なものを捨てること。 ●整頓:必要なものが必要なときにすぐ使えるように、機能的な置き方やレイアウトを決めるこ と。不要品のないことが前提。 ●清掃:ゴミ・汚れなどをなくし、きれいにすること。道具や機械、場所など生産にかかわるも のすべてを最高の状態に維持して、その機能を十全に果たせるようにすること。 ●清潔:心身ともにきれいに保つこと。整理、整頓、清掃が繰り返されて、その状態が維持され ていること。 ●習慣(しつけ):決めたこと、決められたことを、そのとおりにきちんと守れるように習慣づ けていくこと。 この5Sを実践する活動を5S活動、5S管理などと呼び、それ は長年にわたって大きな実績を上げてきました。とくに製造業の生 産現場では、生産性と安全性の向上に大きく寄与したのです。 「習慣」と「しつけ」 5Sの5番目のSは、 従来「しつけ」としてい る場合がほとんどである。 しかし、「しつけ」という と、上から下へ半ば強制 的に身につけさせるよう なニュアンスが強いため、 本講座では「習慣」とい う言葉を使うことにする。 その結果、この5Sは、戦後数十年の間に驚異的な成功を果たし た日本企業の秘密のひとつとして、海外企業にも広く知られること となりました、そして、海外でもこの5Sが取り入れられるように なったのです。日本で生まれた5Sの概念は、海外の企業でも5S という名前はそのままで「ファイブ・エス」と呼ばれています。い わば、整理・整頓・清掃・清潔・習慣(しつけ)は、職場の環境維 持・改善活動における基本概念として、世界共通言語のひとつにな っているのです。 8 第1章 7Sは仕事の新常識 7Sとは何か? 最近では、企業独自の取り組みとして、5Sにさらにプラスアル ファを付け加えて実施するケースが増えています。 たとえば日本電産グループでは「作法」を加えて「6S」 、また は「3Q6S」としています。また、東芝グループでは、 「しっか り」 「しつこく」を追加して「7S」としています。この講座では、 5Sに「節約」と「創意工夫」を加えた7Sとして学習します。 節約とは「コストダウンを図り、作業効率をアップさせること」 「環境に配慮した働き方をすること」 、創意工夫は「自分から考え、 行動する自律型社員をつくること」です。では、なぜ、今この2つ のSを加えた「7S」を学ぶのでしょうか。それは、5Sがさまざ まなビジネスの現場で使われるようになったところに理由がありま す。 まず、 「節約」について考えてみましょう。生産部門の製造現場 日本電産グループの 「3Q6S」 「作法」は、礼儀作法に とどまらず、仕事全般に おいてルールやマニュア ルを守るというマナーの こと。 「3Q」は、Quality Worker,Quality Company,Quality Products(良い社員,良 い会社,良い製品)。3つ のQを実現するために6 つのSを実行するという 経営指針。日本電産は小 型モーターのトップメー カー。 では主に技術的な側面からコストダウンが追求され、徹底的な効率 化が着実に成果を上げてきました。 それに対して、事務部門やサービス部門などでは、まだまだ効率 化が十分に達成されているとはいえません。ビジネスをめぐる環境 の変化がますます高速化・複雑化する今、すべてのビジネスの現場 で一人ひとりが、どの部分をどのようにコストダウンすれば、無理 なく全体の効率化につながるのかといった「節約」の視点をもつこ とが求められているのです。それはまた、21世紀型の環境に配慮し たビジネスのあり方にもつながってきます。 同様に、 「創意工夫」も、ビジネスのスピードが加速する中で、 臨機応変に目の前の事態に対応するために、また、マニュアルでは カバーしきれない応用力を要求される場面で、必要度を高めている ものです。かつては、上司の指示・命令に忠実に従うことが重視さ れましたが、今は、一人ひとりが自ら考え、行動することができな ければ、変化の激しい時代に対応できません。 このように、現代の仕事環境に求められる2つのSを加えた7S は、新しい時代に対応した5Sの進化版なのです。 9 仕事に7Sが必要な理由 意外にできていないところに 7Sの重要性がある 7Sは、整理、整頓、清掃、清潔、習慣、節約、創意工夫です。 これが大切であることは、仕事に限らず日常生活の中でだれもが認 識しているでしょう。ところが、これがふだんの生活で十分にでき ているかというと、なかなか難しいのではないでしょうか。 ●整理や整頓ができておらず、探し物が多くなる。どこに何があるのかわからず、必要なときに 必要なものが見つからないため探す時間がかかり、その後の行動に支障を来す。 ●清掃を怠っていてパソコンのキーボードを汚れたままにしていたら、それが原因で故障した。 ●節約ができないと、ムダが多くなる。非効率になる。 ●創意工夫が足りないと、現状から進歩しなくなり、状況の変化に対応できない。 このように、7Sができていないことで、大なり小なり、さまざ まな支障が引き起こされるわけです。 これがビジネスの現場では、さらにシビアになってきます。整理、 整頓ができていないと、重要な書類やデータを紛失したりします。 清掃ができていないと危険な状態を見過ごしたりします。清潔さが 保たれていないと顧客に不快感を与えて商談がうまく進まないこと もあります。節約ができていないと、生産性が下がりますし、環境 保護の視点から見れば企業としての社会的責任を果たしていないと みなされます。創意工夫が足りないと、仕事が停滞します。それで はモチベーションに大きく影響するし、成長している実感も乏しい でしょう。 一つひとつはほんの小さなことであっても、それが積み重なると、 全体として大きな損失につながります。逆にいえば、7Sを徹底す ることで、ムリ・ムダ・ムラを大きく減らしていくことができるの です。 最初に述べたように、7Sは基本中の基本ですが、それが意外に できていないところに問題があり、企業活動を大きく阻害する要因 となるところに重要性があるのです。 10 第1章 7Sは仕事の新常識 7Sを推進していくと、 人の行動と意識も変化していく 7Sは、それ自体は基本的で、それほど難しいことではありませ ん。ところが、これを実践していくと、想像以上に大きな効果をも たらします。取りかかりは簡単なことだけに、目に見えやすく、そ の効果は仕事や人間の意識にはっきりした形で表れるのです。 では、7Sの効果は具体的にどのように表れるのでしょうか。た とえば生産現場では、次のような効果があげられます。 ●仕事の能率が上がる:道具や機械が常に整備され、取り出しやすく、使いやすい状態で保管さ れていると、手際よく仕事ができる。道具や機械の操作ミスや機械の故障も防止できる。油汚 れやホコリ等による事故なども予防でき、安全が確保される。 ●ミスが減る:たとえば、組み立て工場で7Sを徹底すると、部品の装着ミス、誤った組み立て、 誤品出荷などを防止できるようになる。また、キズをなくし、加工精度を上げ、クリーンな環 境で製品不良を減らすことができる。 ●モラルと意欲が向上する:7Sを行った結果、決めたことは守る、必要なコミュニケーション を怠らないというモラルが育ち、自ら積極的に行動する意欲的な仕事への姿勢が身につく。こ れが、最も重要なポイントである。 7Sには人の行動と意識を変えていく不思議な力があるといわれ ています。7Sの実践をとおして、仕事に対する考え方や進め方が 変わることで、仕事のレベルが上がり、質や効率性が大きく向上す るのです。このように7Sを推進していくことで、ムリ・ムダ・ム ラを減らすとともに、自ら進んで積極的に仕事に取り組もうという 姿勢が身につきます。 また、7Sの実施は個人だけではなく、組織全体のレベルアップ を図るのにも有効です。一部の人だけが努力するのではなく全員参 加で、体系的、組織的に展開することで、より大きな効果が得られ ます。7Sを職場全体の活動として展開していくうえでは、まず現 状の7Sについての問題点を話し合い、その具体的な基準を定め、 一人ひとりが分担する役割を決める、というように個別的・具体的 に改善活動をしていきます。 11 7Sは仕事の改善・改革の 基礎づくり 仕事を改善するとはどういうことか 今日、時代の変化に対応せずに生き残ることのできる企業はあり ません。どんなに大きな規模の会社でも、どれだけ大きな業績を上 げている会社でも、社会から信頼されている会社でも、同じやり方 を続けていれば必ず衰退し、競争相手に追い抜かれてしまうでしょ う。 とくに近年のビジネス環境をめぐる変化のスピードはすさまじい ものがあります。どの企業も絶えず改善・改革に取り組んでいかな ければならないのです。 こうした企業の改善活動としてよく知られているのが、日本を代 表する世界的企業トヨタの生産方式のひとつ、 「カイゼン」です。 これは改善活動のひとつの手法の名称で、海外でも「KAIZEN」と して広く採用されています。もともとは1950年代にトヨタの生産現 場ではじめられたものが、1980年代になってアメリカ企業に注目さ れ世界中に広がりました。 トヨタ生産方式 トヨタ生産方式といわ れている手法は、「カイゼ ン」のほかにもいくつか ある。 ○ジャスト・イン・タイ ム:必要な部品を、必要 なときに、必要なだけ生 産・納入して、量を省く 手法。 ○カンバン方式:必要な 部品や数量を書いた札 (カンバン)を生産工程で まわしていくことで、ム ダの削除と効率化、ミス の排除を図る手法。 ○見える化:ビジネスの 現場で、見えないもの、 見えにくいものをできる だけ目に見えるようにし て、課題の発見とその解 決などを図る手法。 12 このカイゼンをひと言でいえば、小さな変化の積み重ねを重視し、 一人ひとりの仕事の中で不要なことをやめる、ムダを減らす、とい うことを徹底して絶えず実践していくという手法です。ポイントは、 対象を自分の仕事の問題に絞り込み、現実的なアイデアを現場でど んどん実施する、というところにあります。しかも、新しいことを 付け足すのではなく、不要なことをやめる、減らすことが改善につ ながるという点が重要です。 具体的にカイゼンを実践するにあたっては、多くのノウハウがあ り、そう簡単なことではありません。しかし、この概念には、企業 の改革、仕事の改善には「現場での一人ひとりの小さな気づきが重 要。一つひとつの改善が企業全体の改革につながる」という思想が 示されています。企業の改革は決して経営トップが考えて決断する だけのものではありません。社員みんなで目の前の仕事、作業のや り方を工夫してよりよいものに変えていくことが、企業の生き残り につながるのです。 第1章 7Sは仕事の新常識 7Sが仕事の改善や 企業改革につながる 仕事の改善を行ううえで重要なポイントは、社員一人ひとりが改 善活動に取り組むことによって、それが企業全体を大きく変革して いく原動力になるということです。7Sは、職場全体の活動となっ てこそ大きな効果が上がりますが、一人ひとりが自分のこととして 取り組むことからはじまります。個人が7Sを自分の業務に取り入 れていくうえでも、そうした視点が不可欠です。 たとえば、7Sのうち、整理・整頓をもっときちんとしようとチ ームで決めたとします。しかし、つい次のような考えになってしま わないでしょうか。 ○みんなが行動を起こしたら、自分もそれに合わせよう。 ○自分ひとりでやっても効率が悪いから、だれかが「やろう」というのを待とう。 ○ものがどこにあるかは自分ではわかっているのだから、この程度の整理・整頓で十分だ。 ○片付いていないなんて人に言われたくない。もっと整理・整頓ができていない人もいる。 多くの場合、 「今日から7Sに取り組みましょう」というだけで は、なかなか成果が上がりません。簡単なことであるはずなのにで きない、徹底しない、ということになるのです。 それは、7Sを単なるスローガンとしてとらえて、一人ひとりが 自分に都合のいいように解釈してしまうからです。 これを避けるためには、7Sの本質は、組織のシステムづくりで あり、一人ひとりの取り組みが積み重なって組織を活性化していく ことにあるという共通認識をもたなければいけません。この本質は、 現在の組織のシステムが変わっていくプロセスそのものでもあるの です。7Sは、その取り組み方に重要なポイントがあります。一見、 できて当たり前に思えることがなぜかできない、取り組んでいるは ずなのになぜか成果が上がらない――それは、7Sの本質を理解し ていないためです。 一人ひとりの具体的な行動一つひとつが、組織を活性化し、企業 を変えていくという意識をもつことが重要なのです。 13 7Sで仕事の成果を 向上させる 7Sは仕事を成功に導くために 欠かせない 7Sを行うそもそもの目的は、きれいで快適な環境の中で働ける ようにする、効率よく安全で、また楽しく仕事のできる職場にする ということです。そして、7Sそれぞれの項目や項目ごとのポイン トは、この目的を実現するための組織的な行動の指針になるもので す。 7Sの効果は、仕事のしかたや、業務や作業の環境を改善するこ とにとどまりません。7Sを実行することは、仕事の結果・成果を 向上させることにもつながります。仕事のやり方や職場の環境を改 善することは、そこでみんなが快適に働けるということのほかに、 仕事がうまく進むということがねらいですから、7Sが仕事の結果 にも好影響を与えるというのは、いわば当然のことです。 では、7Sが仕事の成果にどう結びつくのか、すぐ気づく点を挙 げてみましょう。 ●整理:書類や情報が整理されていれば、仕事に必要な資料等が速く的確に入手でき、仕事の成 果を確実に上げることができる。 ●整頓:机回りが整頓されていれば、手際よく、またストレスなく仕事を進められ、ミスが少な く、精度の高い仕事ができる。 ●清掃:さまざまなモノ・場所について清掃が行き届いていれば、整理・整頓の状態が常に維持 され、気持ちよく仕事ができる環境が得られる。 ●清潔:仕事環境を清潔に保っておくと、問題点やミスが見つけやすくなり、それらを解決する ことで、仕事の精度を上げることができる。 ●習慣:ルールやマナー、モラルを守ることを習慣にしていると、周囲のメンバーや顧客の信頼 を得られ、仕事の成果に結びつきやすい。 ●節約:節約によりコストダウンを図ることは、仕事の効率性を上げたり利益を高めたりする成 果に結びつく。 ●創意工夫:仕事は課題の解決の連続であり、創意工夫を駆使して課題に的確に対応することで、 仕事を成功に導くことができる。 14 第1章 7Sは仕事の新常識 仕事の成果が向上するとは、速く確実に仕事が終わる、仕事上の ミスが少なくなる、製品の質がよくなる、顧客に満足してもらえる 仕事ができる、などいろいろ考えられますが、それらはすべて、7 Sがその行動指針になることがよくわかります。 7Sを実践して、気持ちのよい環境で快適に仕事を進めていけば、 仕事の成果も確実についてくるというわけです。 まず実行しやすいことからはじめる 7Sが仕事を成功に導くための大きな武器になることは、おわか りいただけたでしょう。しかし、言うのは簡単ですが、実行するの はなかなか難しい課題でもあります。また、思いついたらやるとい うだけでは効果が出ず、それらを実行することを「習慣」にする必 要があるので、なおさら大変です。 そんな中で7Sを実践していくために、次のようなポイントが大 事になってきます。 ○まずできることこからはじめる:7Sのポイントを押さえ、たとえば机回りの整理・整頓など、 比較的簡単なことからはじめ、それを習慣化させながら、少しずつ行動を増やしていく。 ○周囲と協力する:一人でやってみることは大事だが、モチベーションが上がらないこともある ので、できるだけ周りを巻き込み、互いに協力し、刺激し合うようにする。7Sは、みんなで 実行することで本当の効果が出る。 7Sの意味と意義を理解し、具体的な活動のポイントをつかんだ としても、すべてを一気に、また完璧に実行するのは不可能なこと です。ひとつ、またはいくつかの行動から開始し、成果を待って行 動の幅を広げていくようにします。また、少しずつ周りを巻き込み ながら仲間を増やしていくようにしましょう。 そのようにして、7Sを習慣にしていけば、好ましい変化にすぐ 気づくはずです。そうすれば、モチベーションが上がり、さらに7 Sへの取り組みが進んでいくことでしょう。 15
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