約5割は低血糖 - サノフィ株式会社

PRESS RELEASE
2016年8月2日
約7割の糖尿病患者は合併症、
約5割は低血糖、約4割は血糖変動に不安感
- 糖尿病患者と医療従事者のインスリン治療に対する認識の相違に着目した
「インスリン‐ライフ・バランス調査2」実施 サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャック・ナトン、以下「サノフィ」)は、このたび「イン
スリン-ライフ・バランス調査 2 」を実施しました。本調査は、インスリン‐ライフ・バランス(インスリン治療と日常生
活の調和)の実現へ向けて医療ニーズを探る 2 回目のインターネット調査です。
今回は、「患者と医療従事者(医師・看護師)の間でインスリン治療に対する認識や考え方にどのような違いがあ
るのか」と「患者の血糖コントロール状況に影響を与える医療従事者側の要因は何か」の 2 点に着目しました。
本調査はインスリン使用中の糖尿病患者 712 名、インスリン治療にかかわる医師 221 名および看護師 110 名
を対象に行いました。
本調査の指揮を執られた横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫
先生は、「今回の調査では、血糖コントロール(HbA1c )の良・不良、年齢に関わらず、さらなる血糖改善を求
めている一方、低血糖や血糖変動への不安を抱えている患者が多いことがわかりました。医療従事者が考え
ている以上に患者は『新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報 』を強く求めていると考えられます。患者が
新 し い 治 療 法 に つ い て医 師 に 尋 ね た く て も 尋 ね ら れ な い な ど 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ギ ャ ッ プ が 生 じ て
い る 可能 性 も あり 、 医 療従 事 者 が 患者 の ニ ーズを 把 握し 、 それ に 沿っ た適 切 な 情報 提 供を す るこ と
によって、より良い治療へつながると期待します」と述べられました。
主な調査結果は以下の通りです。
1) 患者は血糖コントロール状況に関わらず、合併症・低血糖・血糖変動に不安を抱えている
 患者が抱える糖尿病に対する気持ちの上位 3 項目は、「糖尿病による合併症は怖い」72.5%、「低血
糖は起こしたくない」48.9%、「血糖値の変動が気になる」43.0%であり、いずれも血糖コントロール状
況(良好群:HbA1c<7.0/不良群:HbA1c≧7.0)での大きな違いは認められなかった
 過去 3 カ月以内に低血糖を経験した患者は 38.6%で、良好群 37.2%、不良群 41.4%であった
2) 患者は血糖コントロール状況に関わらず、医師・看護師が思うよりも血糖コントロール改善に意欲的である
 血糖値を改善したい患者は 93.2%であるのに対し、医療従事者が考える「血糖値を改善したいと考え
ている患者の割合」は、医師 73.3%、看護師 64.9%であった
 患者は年齢や現在の血糖コントロール状況によらず血糖値の改善意欲が高い
 年齢別解析:65 歳未満 93.2%、65 歳以上 93.7%
 血糖コントロール状況別解析:良好群 92.1%、不良群 94.6%
〒163-1488 東京都新宿区西新宿 3-20-2 東京オペラシティタワー
www.sanofi.co.jp
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3)
患者は医師が思うよりも新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている
 患者が医師から説明して欲しいこととして、「新しい治療方法について」42.3%、「新しいインスリン製剤
について」32.6%と高い回答を示し、実際に説明を受けた患者はそれぞれ 20.4%、19.0%であった
 「新しい治療方法」、「新しいインスリン製剤」の説明の必要性が高いと考える医師はそれぞれ 10.9%、
11.3%と患者調査の結果と比較して低かった
本調査では、インスリン治療を行っている患者はより良好な血糖コントロールを目指して、「新しい治療法や基
礎インスリン製剤の情報」を積極的に求めていることが明らかになりました。より良い糖尿病治療に向けて患者
と医療従事者間における治療や認識のギャップを解消すべく、サノフィは糖尿病領域において、患者が「イン
スリン治療と日常生活の調和」のとれた生活が送れるよう、革新的かつ総合的なソリューションを提供してまいり
ます。
以上
インスリン-ライフ・バランス調査とは
サノフィでは、インスリン治療のアンメットニーズを探索するため、2015 年、糖尿病患者さんのインスリン治療と
日常生活における生活の質に着目した「インスリン-ライフ・バランス」(インスリン治療と日常生活の調和)調査
結果を発表しています。
http://www.sanofi.co.jp/l/jp/ja/layout.jsp?scat=17E347EE-564A-46A2-86DC-63B6CCA247AD
2016 年は、インスリン治療患者のみならず、治療に携わる医師・看護師の認識等を明らかにすることでアン
メットニーズを把握することを目的として、2 回目のインスリン‐ライフ・バランス調査を実施しました。インスリ
ン-ライフ・バランス調査 1 の結果同様、本年度の調査結果も糖尿病情報ウェブサイト「糖尿病がよくわかる
DM TOWN」( http://www.dm-town.com/insulin/goodbalance/index.html )に公開する予定です。
サノフィについて
サノフィは、グローバルヘルスケアリーダーとして、患者さんのニーズにフォーカスした医療ソリューションの創
出・研究開発・販売を行っています。5つのグローバルビジネスユニット(糖尿病および循環器、ジェネラルメデ
ィスンと新興市場、サノフィジェンザイム、サノフィパスツール、メリアル)で組織され、パリ(EURONEXT: SAN)
およびニューヨーク(NYSE: SNY) に上場しています。日本においては、「日本の健康と笑顔に貢献し、最も信
頼されるヘルスケアリーダーになる」というビジョンの実現に向けて、患者中心志向に基づき、医薬品等の開
発・製造・販売を行っています。詳細はhttp://www.sanofi.co.jp をご参照ください。
別紙: インスリン-ライフ・バランス調査 2 結果
2/7
<別紙>
【インスリン-ライフ・バランス調査2】
概要
実施時期 2016年3月25日~4月18日
調査手法 インターネットリサーチ
調査地域 全国
調査対象 患者調査
インスリン投与患者 712名 内訳:1型糖尿病81名、2型糖尿病631名
(現在、基礎インスリン製剤を使用中の 20歳以上の男女)
医師調査
221名
(糖尿病患者に対して基礎インスリン製剤を使用して治療している医
師)
看護師調査
110名(インスリン治療にかかわる内科・糖尿病科に勤務する看護師)
調査監修 横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学教授 寺内 康夫 先生
調査結果
1. 糖尿病に対する気持ち・不安
患者は血糖コントロール状況に関わらず、合併症・低血糖・血糖変動に不安を抱えている


患者が抱える糖尿病に対する気持ちの上位 3 項目は、「糖尿病による合併症は怖い」72.5%、
「低血糖は起こしたくない」48.9%、「血糖値の変動が気になる」43.0%
いずれも血糖コントロール状況(良好群:HbA1c<7.0/不良群:HbA1c≧7.0)での違いはなかった
患者が抱える糖尿病に対する気
持ちの上位 3 項目は「糖尿病によ
る合併症は怖い」72.5%、「低血糖
は起こしたくない」48.9%、「血糖
値の変動が気になる」43.0%であ
った。いずれも血糖コントロール状
況(良好群:HbA1c<7.0/不良群:
HbA1c ≧ 7.0 ) で の 違 い は な く 、
「糖尿病による合併症は怖い」は
良好群 72.1%、不良群 75.7%、
「低血糖は起こしたくない」は良好
群 48.8%、不良群 50.4%、「血糖
値の変動が気になる」は良好群
44.2%、不良群 45.5%であった。
【グラフ 1】
【グラフ 1】患者調査:糖尿病に対する気持ち
血糖コントロール良好(HbA1c7.0%未満)(n=215)
患者全体(n=712)
血糖コントロール不良(HbA1c7.0%以上)(n=411)
72.5
75.7
72.1
80%
50.4
48.9 48.8
60%
43.0
44.2 45.5
42.3
39.7
37.7
34.5
31.0
27.0
40%
34.8
30.9
25.6
28.5
30.4
24.7
25.7 25.6
26.8
22.9
26.0
25.6
20.4
22.2
21.4
10.8 10.2 11.2
20%
1.1
0%
糖
尿
病
に
よ
る
合
併
症
は
怖
い
低
血
糖
は
起
こ
し
た
く
な
い
非
常
に
気
に
な
る
自
分
の
血
糖
値
の
変
動
(
高
低
)
は
糖
尿
病
管
理
を
し
た
い
イ
ン
ス
リ
ン
製
剤
を
使
用
し
な
い
で
糖
尿
病
を
管
理
す
る
の
は
負
担
に
感
じ
る
感糖
じ尿
る病
治
療
の
た
め
の
通
院
は
負
担
に
じ食
る事
に
気
を
遣
う
こ
と
が
ス
ト
レ
ス
に
感
気
に
な
る
体
重
が
増
加
す
る
の
で
は
な
い
か
と
た糖
い尿
病
の
治
療
は
医
師
の
判
断
に
任
せ
付
き
合
い
に
制
約
を
感
じ
る
糖
尿
病
管
理
の
た
め
に
人
と
の
会
食
や
に
感
じ
る
家
族
に
気
を
遣
わ
せ
る
こ
と
が
ス
ト
レ
ス
2.8
そ
の
他
3/7
0.2
また、実際に過去 3 カ月で低血糖を経験した
基礎インスリン患者は 38.6%で、良好群
37.2%、不良群 41.4%であった。
【グラフ 2】
【グラフ 2】患者調査:過去 3 カ月での低血糖経験
2. 血糖値改善意欲
患者は血糖コントロール状況に関わらず、医師・看護師が思うよりも
血糖コントロール改善に意欲的


血糖値を改善したい患者は 93.2%
「血糖値を改善したいと考えている患者の割合」は、医師 73.3%、看護師 64.9%
血 糖 改 善 を 望 む 患 者 は 93.2% で あ っ た 。
【グラフ3】患者、医師、看護師調査:患者の血糖値改善
この値は血糖コントロール状況別にみても
意欲ならびに医師と看護師の認識
ほと んど差が なく 、コ ントロ ー ル良好 な患 者
であっても9割以上が改善したいと回答し
改善したいと思う
やや改善したいと思う
どちらともいえない
あまり改善したいとは思わない
改善したいとは思わない/現状維持でよい
ている。これに対して、医療従事者が「自
身が管理・指導している患者のうち、血糖
値を改善したいと考えている患者の割合」
は、医 師 73.3% 、看 護 師 64.9%で あ った 。
【グラフ3】
4/7
ま た 、 血 糖 コ ン ト ロ ー ル状 況 別 の 血
【グラフ4】患者調査:血糖コントロール、年齢別血糖改善意欲
糖 改 善 意 欲 は 良好(HbA1c<7.0%)
改善したいと思う
やや改善したいと思う
92.1% 、 不 良 ( HbA1c ≧ 7.0% )
94.6%で、血糖コントロールが良い患
者も血糖コントロール不良の患者同
様にさらなる血糖改善を望んでいた。
さらに、患者の血糖改善意欲を年
齢でみると 65歳未満93.2%、65歳以
上93.7% で 、 年 齢 に 関 わ ら ず 改 善
意欲が高いことも示された。
【グラフ4】
あまり改善したいとは思わない
改善したいとは思わない/現状維持でよい
どちらともいえない
5/7
3. 診察時に説明して欲しいこと / 説明する必要性が高いと思っていること
患者は、医師が思うよりも、新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている


患者が医師から説明して欲しいこととして、「新しい治療方法について」42.3%、「新しいインスリン
製剤について」32.6%と高い回答を示し、実際に説明を受けた患者はそれぞれ 20.4%、19.0%で
あった
「新しい治療方法」、「新しいインスリン製剤」の説明の必要性が高いと考える医師はそれぞれ
10.9%、11.3%と患者調査の結果と比較して低かった
患者が医師から今までに説明を受け
たこととして、回答した人の割合が高
かった項目は「糖尿病の合併症」
85.1% 、「 食事 療法 ・運 動療法 の 重要
性」 72.2%、「基礎イ ンスリン製剤の効
果」 67.4%で あっ た。患者の回答の全
体的な傾向としては、医師が「患者へ
の説明の 必要性が 高い 」と し て選んだ
回答の傾向に近く、医師の説明の内
容は医師の考えどおりに患者に認識
されていることがうかがわれた。【グラ
フ5】
【グラフ5】患者は医師が思うよりも新しい治療法やインスリン
製剤に関心を持っている
患者が医師から説明されたこと
患者が医師に説明して欲しいこと/再度またはより詳しく説明して欲しいこと
医師が患者への説明の必要性が高いと考える項目
100%
85.1
81.9
72.2
67.9
80%
42.3
60%
32.6
40%
20.4
20.4
19.0
10.9
9.7
11.3
20%
0%
一方、患者が医師から説明して欲しい
こととして、回答の割合が高かった項目
は 「 新 し い 治 療 方 法 に つ い て 」 42.3% と
「新しい基礎インスリン製剤について」
32.6% で あ っ た が 、 こ の 2 項 目 に 関 し て
説明を 受けたと回答した人の割合はそれ
ぞれ 20.4%、 19.0% に と ど まっ た。また、
この2項目に関して、患者への説明の必
要性が高いと答えた医師の割合はそれ
ぞ れ 10.9% と 11.3% と 低 く 、 患 者 と 医 師
の考え方の間に大きなギャップがあること
が明らかとなった。
【グラフ5】
糖
尿
病
の
合
併
症
に
つ
い
て
重 糖食
要 尿事
性 病療
に 治法
つ 療・
い に運
て 動
お
け療
る法
の
糖尿病治療について
新
し
い
治
療
方
法
に
つ
い
て
製新
剤し
にい
つ基
い礎
てイ
ン
ス
リ
ン
患者 n=712
医師 n=221
新しい治療方法について
※グラフの項目は「糖尿病治療について」「新しい治療方法について」に限定
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調査を振り返って:より良い糖尿病治療のために患者の治療に関する考えや要望を把握し
その情報を医療従事者間で共有を
横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫
2 回にわたるインスリン-ライフ・バランス調査を通じて、有効性や安全性の高いインスリン製剤が相次いで登
場し糖尿病治療も進歩しているにも関わらず、まだまだアンメットニーズは多く存在することが明確になりまし
た。
インスリン-ライフ・バランス調査2からはインスリン治療患者は血糖コントロール(HbA1c )状況に関わらず将来
の合併症に不安を抱えていることがわかりました。だからこそ血糖コントロール(HbA1c )が良い患者であって
も血糖改善意欲が高いことが示唆されます。また、高齢者で あっても改善意欲が高いという結果は注目す
べ きで あ り、 医 療従 事者に は 「 高齢 者糖 尿 病の血 糖 コ ン トロ ー ル目 標 」 * を 意 識し な が らも 、患者 の 高
い意欲を損なうことなく治療を進めることが求められているといえます。
血糖コントロール(HbA1c )の良・不良、年齢に関わらず、さらなる血糖改善を求めている一方、低血糖や血
糖変動への不安を抱えている患者が多いことがわかりました。だからこそ医療従事者が考えている以上に患
者は『新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報 』を強く求めていると考えられます。患者が新しい治療法
について医師に尋ねたくても尋ねられ ないなど 、コミュニケーションギャ ップが生じている可能性もあ
り、医療従事者が患者 のニ ーズを 把握し 、それ に沿っ た適切な情報提 供を することによっ て、 より良
い治療へつながると期待します。
医師が思うより 「患者の血糖改善意欲は高い 」「患者は新しい治療方法やインスリン製剤につい て知
りたいと思っ ている 」など 、患者の「今」の気持ちや考えと医療従事者 が思うそれ にはズレ が生じ てい
ることから「患者本人が目指し たい 状態 」と、医師・看護師が考え る「患者が 目指し たい状態 」の間
に大きなギャップが生じていると考えられます。
近年、患者が望 む低血 糖のリ スク が少な くさ ら なる血糖改善が期待で きる基礎イ ンス リン が登 場し て
い ます 。また、問診シ ー トなど を 活用することで 限られ た診療時間 の中 で コミュニケーショ ンギ ャ ップ
を 解 消 す る こと も 期待 で き る と 考え ま す 。 これ らの ギ ャ ッ プ 解 消 はイ ン ス リ ン - ラ イ フ ・ バ ラ ン ス の実 現
に向けた課題のひと つで あり、医師・看護師には、患者の糖尿病管理に対する考え や気持ち、治療
に対する要望などを把握し、それらの情報を十分に共有することが求められ ます。
* 高 齢 者 糖 尿病 の 血 糖コ ン ト ロ ー ル 目 標 : 2016年 5 月 に 「 高齢 者 糖尿病 の 治 療 向上 の た め の日 本
糖 尿 病 学 会 と 日 本 老 年 医 学 会 の 合 同 委 員 会 」 が 発 表 し た 基 準 で 認 知 機 能 や ADL 、 使 用 薬 剤 や 年
齢によって設定目標が異なり、従来よりも緩やかな目標設定となっている。
寺内 康夫 (てらうち やすお) 先生
横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学教授
1988 年(昭和 63)年 東京大学医学部医学科卒業
日本内科学会(評議員・雑誌「Internal Medicine」編集委員)、日本糖尿病学会(評議員・
神奈川県糖尿病 対策地域担当・Public Relations 委員・定款細則検討委員・利益相反検討委員)
日本糖尿病協会(理事・学術評議員・将来計画検討委員・運営委員会委員・企画委員会委員)
日本糖尿病療養指導士認定機構(理事長)
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